西日本豪雨に伴うため池決壊被害 を受け、私の住む愛媛県など瀬戸内沿岸の6県が財務省と農林水産省に緊急要望を行い、農業用ため池の災害復旧事業支援と総合的な防災・減災対策の支援強化を訴えたそうなのだ。要望によると瀬戸内沿岸では農業用水確保のため多くのため池が造られたが老朽化が進んでおり、台風や豪雨による決壊などで多大な被害が懸念されていたという。全国にある約 20 万カ所のうち所有者などの記録がそろっているのは半数の約 9 万 6000 カ所にとどまることが農林水産省の調査で分かったというが、決壊で女児が犠牲になった広島県は防災のため利用されていない約 5000 カ所を廃止する方針だというのだ。ため池の改修工事や手続きに所有者の承諾が必要で大幅に遅れる恐れが出ているという。
全国にある約 20 万カ所のうち土砂や流木で埋没するなどの被害を受けた愛媛県内のため池は184カ所にのぼり、今治市大三島ではため池が決壊していたことが愛媛県のまとめで分かったというのだ。私が住み愛媛県内には稲作やみかん栽培に使うため池が3200あまりあり、決壊すると影響が大きい「防災重点ため池」は355カ所にのぼる。瀬戸内沿岸の6県を代表し香川県の西原義一副知事が財務省と農林水産省を訪問し、ため池の災害復旧事業で採択基準を柔軟に適用や補助対象拡大による早期復旧に向けた財政支援などを要請したという。利用しないため池の廃止を進めるための手続き簡素化し、ため池管理者への支援施策充実なども求めたが、農水省農村振興局の室本隆司次長は「検討したい」などと答えたそうなのだ。
西日本豪雨のため池決壊被害が甚大だった広島県にはため池が全国で 2 番目に多い 1 万 9609 カ所あるそうだが、そのうち利用していたのは約 1 万 4600 カ所で残り約 5000 カ所は使われていなかったという。広島県が 40 年ほど前に作成しその後電子化した台帳によると、ため池の設置時期は全体の 6 割が不明か江戸時代にまでさかのぼるそうで、台帳に所有者や管理者などが記されているが、農家減少で利用されなくなったり相続手続きが不十分で更新されなかったりして半数近い約 9000 カ所は所有者などが分からないという。所有者不明分の内訳は広島県が精査しているが廃止や対策が必要なものが多数とみられ、担当者は「現行制度では所有者を割り出して同意を得る必要があり、膨大な時間がかかる」と話している。
昨年 7 月の西日本豪雨では河川の氾濫に加え各地のため池が崩れて犠牲者まで出たのだが、所有者不明のため池は今後の廃止作業が難航する可能性が高く自治体からは雨期を見据え不安の声が漏れている。対策強化を求める指摘も出ているそうで、被害のあった農業用ため池は私の住む松山市が60カ所で最も多く、過去の調査では災害対応の緊急性が低いとみていたが、豪雨では決壊し周辺家屋に土砂などが流れ込んだという。現在は利用されておらず廃止が検討されているが、登記上の記載は「共有地」のみで所有者などの情報はないという。市内にあるため池の半数以上が同様に「共有地」として登記されており、担当者は「所有者や管理者を特定するため近隣住民への確認が必要になってくる」と話している。
私の住む松山市では豪雨で約 60 カ所のため池が決壊または損壊したことから、廃止を検討するため池のうち管理者不明が 23 カ所あるほか、改修工事が必要なため池で所有者が 10 人以上登記されているものもあって今年の梅雨までに対策が間に合わないという。ため池の管理は地元集落や水利組合などが主体となって管理されてきたが、近年では農家数が減り土地利用も農地から転用されるなど保全組織が充分機能せず、以前と比べてため池の管理が困難になってきている。ため池が万が一決壊した場合に備えるため貯水量が 10 万 m3 以上ある27か所の大規模なため池は決壊による浸水想定区域の情報を公表しているが、現在の設置基準を満たさない脆弱な古いため池も多く、抜本的対策を考える必要があると指摘している。
キーワードサーチ
コメント新着