西日本豪雨は発生から半年となったが、戦後最大級の水害を受けた岡山県の被災地では家屋の解体・撤去や店舗再開といった復興への動きが少しずつ進む一方で、なお 9 千人超が仮設住宅などの「仮住まい」で生活しているそうなのだ。一時は約 60 カ所に上った岡山県内の避難所は昨年 12 月でほぼ解消され被災者の多くは仮設住宅に移っているが、被害の大きかった岡山県によると自治体が民間住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」は 3347 戸に 8957 人が生活し、倉敷市と総社市に整備された 建設型仮設住宅は 299 戸に 707 人の入居が決まっているという。建設型仮設住宅であるみなし仮設は建設型に比べて住民が分散するケースが多いとされているが、これからは住民の孤立を防ぐ手だてが求められているという。
昨年 7 月の西日本豪雨で被害の大きかった岡山県・広島県・愛媛県の全 70 市町村のうち、約半数で職員の人手不足が続いていることが大手新聞社の調査で分かったという。死者・行方不明者が出た 25 市町に限ると 7 割が現在も人手不足に陥っているそうで、職員不足が地域の復興やインフラ復旧の足かせになっている可能性があり、災害前の状態に戻るまで 5 年以上かかるとの回答が 25 市町の 5 割以上に達しているそうなのだ。調査は昨年 12 月に復旧・復興を進める上での課題や発生当時の様子などを書面で尋ね 3 県の全市町村から回答を得ているが、死者・行方不明者が出た 25 市町で、職員の人手は 84 %が「発生当時、不足していた」と答え不足人数は回答した 8 市町だけで計 1000 人に達しているそうなのだ。
調査では「不足なし」は広島県では福山市と広島市で、私の住む愛媛県では今治市と松山市の 4 市だったという。現在も不足する自治体は 18 市町に上り不足人数は回答した 11 市町で計 105 人だったという。死者・行方不明者のなかった 45 市町村では発生当時は 58 %の 26 市町村で職員が不足していたが現在の不足は 36 %の 16 市町に改善しているという。業務への影響は発生当初は避難所運営など災害対応が滞っていたが、現在は土木や農林業など技術系の職員が足りない傾向がみられるという。復旧・復興に関し豪雨前の状況に戻るまでに必要な期間を尋ねると 25 市町のうち 14 市町が 5 年以上と答え、岡山県倉敷市や井原市に広島県の熊野町・愛媛県の宇和島市の 4 市町は「見通しが立たない」状態だという。
死者・行方不明者がなかった 45 市町村でも 13 %にあたる 6 市町村が 5 年以上を必要とし、うち岡山県真庭市や愛媛県上島町・内子町の 3 市町は復旧・復興の見通しが立っていないと回答している。復旧・復興の課題や障害について複数回答で聞くと「財源不足」が 40 市町村で一番多く、「人材不足」が 26 市町で「高齢者支援」は 18 市町などを挙げる自治体が多かったという。災害時の自治体運営に詳しい秦康範山梨大准教授は「半年が経過するのに、これだけ人手が足りていないのは深刻だ」と指摘し、「市町村は災害対応の最前線に立つが、職員削減や人事異動の影響でノウハウが蓄積しづらい。災害対応を専門とする全国組織を作り、被災自治体へ派遣するなど根本的な仕組みの見直しが必要だ」と話している。
現在の豪雨の死者は関連死を含め全体で 236 人とされるが、岡山県・広島県・愛媛県では被災後のストレスなどで亡くなり災害関連死と認められるケースが 13 人に上ったという。この 3 県では仮設住宅計 697 戸が計画通り完成し災害廃棄物も来夏までに処理を終える見通しとなっているが、関連死の県別内訳は広島県と愛媛県が各 4 人で岡山県は 5 人となっているそうなのだ。半年後に犠牲者 110 人の半数を関連死が占めた熊本地震と比べ被害が広範囲で統一基準づくりや認定作業に時間がかかり、体力が低下し肺炎などになった住民が含まれ行政のケアが今後も課題となっている。関連死は広島県でさらに 2 人が認定される見込みだし、広範囲が浸水した岡山県倉敷市真備町地区も認定が増える可能性が高いといわれている。
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