お正月と言えば初詣で多くの日本人が寺社にお参りするこの時期で、行きなれている人ならともかく初詣くらいしか行かないよという人がけっこう迷うのが「お寺と神社の違い」ではないということなのだが、お寺では参拝のときに静かに合掌のみだが、神社では深く二礼をしてから二回拍手を打ち願い事をしてから最後に一礼という違いを知っている人は少ないという。そういう話を耳にすることもよくあるが神様への拝礼作法は歴史的にはさまざまなものがあり、明治時代からこの「 2 拝 2 拍手 1 拝」という作法が一般化してきたそうなのだ。神社によっては今日でも伝統的な作法を行っているところもあって、拝礼の基本作法は「 2 拝 2 拍手 1 拝」だが歴史的にさまざまなものがあり神社によって違いも多いというのだ。
キリスト教の拝礼などと同様にシンプルに両手を合わせる仏教式はともかく、神社式の拝礼は手順もちょっとややこしく、また二回おじぎをして二回拍手し一礼する「再拝二拍手一拝」というポピュラーな作法についても、「いや、拍手をする習慣は宮中にはないので拍手をしてはいけない」とか、「男性はいいが女性は拍手をするものではない」とか、「一般神社は再拝二拍手一拝だが、出雲大社と宇佐神宮と弥彦神社は再拝四拍手一拝なのだ」とか、「伊勢神宮は四拝八拍手一拝だ」とか、「いや、本来古い祭祀を司ってきた白川神道の正しい所作は三拝三拍手一拝で、それが正しいのだ」とかさまざまな異説があるという。ときに「間違いだ」という指摘があったりして一体どうしたらいいのと迷ってしまうというのだ。
そこで神社検定の公式テキストである「神社のいろは」では正しい方法を紹介しているが、賽銭を入れて鈴を鳴らしたらいよいよ拝礼となるが、拝礼の基本の作法は「 2 拝 2 拍手 1 拝」で、その正式な手順はまず直立の姿勢から背を平らにして 90 度に腰を折って頭を下げ、これを 2 回繰り返すとされている。両手を胸の高さに合わせ右手を少し引いて 2 回手を打ち、その後に胸の高さで両手をきちんと合わせて祈り、手を下ろし最初と同じように頭を下げるというのだ。より丁寧な気持ちを表す場合には「 2 拝 2 拍手 1 拝」の前後に会釈を行うのだが「揖(ゆう)」というそうなのだ。この拝礼の作法は基本的に神職の神拝作法に準じたもので、拍手についてですが「柏手(かしわで)」または「開手(ひらで)」ともいうそうなのだ。
これは日本古来の拝礼作法で日本のことについて書かれた 3 世紀末の中国の史書「魏志倭人伝」には貴人に対して拍手していたことが書かれており、「日本書紀」には天皇が即位されるときに群臣たちが手を打って拝礼したことが記されているという。拍手は喜びや喝采を表現するもので、この拍手の作法は平安時代に宮中では行われなくなったようだが、神様を拝む際には拍手が用いられてきたという。拍手を「かしわで」というかについては「拍」を「柏」と誤記したというのが通説となっているが、柏の葉は食事を盛る皿として用いられていたのが食事を司る人や「お膳」そのものを「かしわ手」というようになり、さらに食事の際に感謝を込めて手を打つことを「拍手」というようになったとする説もあるそうなのだ。
初詣という風習の始まりは氏子の代表が大晦日の夜から元日の朝にかけて氏神の社に籠る「年籠り」が起源で、これが江戸時代末期ごろから元日の氏神や恵方参りへと変化していったというのだ。江戸時代は神社仏閣というのは一体のもので、起源は古く六世紀の宇佐神宮の神宮寺創建に遡り、春日大社と興福寺のセットは有名ですし、かつては伊勢神宮の中にも神宮寺があったというのだ。神仏混淆する中で近接する神社と寺は神社が寺の鎮守「明神」となり仏が「権現」として日本の神の姿をとるという信仰を形成して、もちつもたれつの共依存関係で地域共同体や国家を守護する役割を担うようになっていたというのだ。そこでお寺は合掌だけ神社は手を叩く、というような区別は江戸時代まではなかったそうなのだ。
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