私は仕事中に疲れて集中できなくなった時に「コーヒーブレイク」ということでコーヒーを飲むことが多く、コーヒーと言えばカフェインが含まれていることが知られているが、カフェインを摂取すると頭がスッキリして集中でき眠気が消えるといった現象が起きるといわれている。人は脳内のアデノシン受容体という箇所にアデノシンという物質が結合することで疲労を感じるが、カフェインはこの受容体に結合してアデノシンが結合するのを邪魔するのだ。適量を摂取していればいいのだが慢性的に摂取するようになると依存が発生しカフェインを摂取しないといられなくなり、ここ数年カフェイン中毒で救急搬送される方が急増しており、日本中毒学会によると急性カフェイン中毒で救急搬送された患者は 101 人でそして 3 名が死亡しているという。
眠気覚ましやリフレッシュとして摂取する人も多い成分のカフェインはコーヒーに含まれることで知られているが、その中毒性や飲みすぎて胃が荒れやすくなるなどの弊害が指摘されることも多いという。長年にわたりコーヒーを 1 日 5 杯以上は飲んでいた 30 代の男性会社員は体調に異変をきたすようになり、「コーヒーを飲み続けている仕事中は元気なのですが、家に帰ると虚脱感に襲われてぐったりすることも。コーヒーの飲みすぎによる興奮状態の反動で、自律神経が乱れていたのかもしれません。そんな状態が続いたため、コーヒー断ちを決意。最初の数週間は飲みたいという欲求がすごくありましたが、少しずつ慣れました」と、大量のカフェインを日常的に嗜むことの弊害等のことを話しているそうなのだ。
具体的にどれだけのカフェインを摂取すると危険なのかということなのだが、欧州食品安全機関によると健康を維持するために望ましいカフェイン摂取量を 1 日当たりカフェイン 400mg 未満とし、 1 回あたりカフェイン 200mg 未満とするように提言しているという。これらを超える量のカフェインを漫然と摂取し続けると依存に陥りやすくなり、急性中毒については一般成人の場合 1 時間以内に 6.5mg/kg の摂取で約半数が急性症状を発症し、 3 時間以内に 17mg/kg の摂取で全数が発症となっているそうなのだ。重 60 キロの成人のケースであれば 1 時間以内に 390 ㎎で半数が、 1020mg で全数が急性中毒になる計算で、致死量は個人差が非常に大きく一概には言えないが一般的には 5000mg ~ 10000mg(5g ~ 10g) と言われている。
先ほどの基準を 1 杯 200 m L) として換算すると、コーヒーだと 1 時間以内に 9 杯でほぼ確実に急性中毒になり、 40 杯ほど飲むと致死量にかなり近づくという。かなりの量だが不可能な量ではないあたり依存形成くらいなら容易なことが伺え、カフェインを摂取すると疲労感が薄らぐ仕組みはあるが、頻繁にカフェインが体に入ってくると人体の方がカフェインに対応し始めて効きにくくなるという。こうなってくると常にカフェインを摂取していないと眠気や疲労感だけでなく集中できない状態が続くという状況になり、カフェイン摂取をやめて出るこれらの症状を離脱症状と言うのだ。そしてカフェインを摂取することでこれらの症状が消えるが、また欲しくなってコーヒーを飲んでも効かなくなって量が増え、そしてより強烈な離脱症状に襲われるという。
依存状態になり離脱症状を回避するために 1 回の摂取量が増えていくと、やがて中毒症状が起こる量に至るが、依存状態からの脱却にはカフェインに慣れてしまった体が元に戻る必要があるという。これは時間をかけて離脱症状に耐え続けるしかなく、一般には数日~一週間ほどで離脱症状が出なくなると言われているそうなのだ。経験者によるとコーヒー断ちの効果もあったのか体調は良くなってきたというが、時々コーヒーを飲みたい衝動に駆られるとカフェインレスのものを楽しむという。そうして「ノンアルコール飲料がだいぶ普及しているように、喫茶店でもカフェインレスメニューに対応するところが増えればいいのにと思います」と語り、過剰にならないように付き合っていくことが重要だとアドバイスしている。
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