英中銀イングランド銀行 は金融政策委員会で政策金利を 0.75 %に据え置くことを決めたそうだが、金融資産購入による量的緩和策の規模についても 4,350 億ポンドで維持しており、市場では英国の欧州連合離脱を目前に控えカーニー総裁が任期最後の会合で引き下げに踏み切るとの見方も出ていたという。公表された議事録によると性格金利の据え置きを支持したのは委員9人のうち7人で、ジョナサン・ハスケル委員とマイケル・ソーンダース委員は前回に続き 0.25 ポイントの利下げを主張した。カーニー総裁は演説で経済不振が続けば直ちに行動に移す準備があると発言しているが、その後経済データが改善しなければ利下げに票を投じると示唆したため市場では五分五分の可能性で中銀が利下げに踏み切るとみていたという。
英中銀イングランド銀行 は国内総生産が横ばいにとどまったとの見方を示していたが、その後は米中貿易摩擦の懸念が部分的に和らいだことを受けて世界経済の見通しが改善しているだけでなく、総選挙の結果により「EU離脱」を巡る不透明感もやや弱まったと指摘されているほか、英国の総合購買担当者景気指数が前月から大きく上昇するなど景況感も上向いていることから、国内総生産は今年第1四半期には 0.2 %のプラスを確保するとの見通しを示している。英中銀イングランド銀行は今後についてこうした「プラスの兆候が長続きしない場合や物価がなお伸び悩む場合には、金融政策により回復を促す必要がある」とする一方、「予想通りに経済が回復すれば、一定の金融引き締めが必要になる可能性もある」としている。
英国の国債等の格付けは現在「AA」で格付け見通しは「安定的」としているなっており、以前は最高級の「AAA」だったが「EU離脱」支持派が多数を占めた国民投票直後に2段階引き下げている。格付け会社によると「現在の英格付けにはEU市場アクセスの急速な悪化は反映されていない。この仮定通りにならなかった場合、英国のソブリン格付けに対する下向き圧力が増大する可能性がある」としているが、その上で包括的・恒常的な通商合意が得られなければ企業が英国で大規模な投資を実施することに消極的になる状況は続くと警告する。そのうえで「投資減退は英国の経済成長率が1.8%を下回るトレンドが継続することを意味する」と明らかなマイナス要因となるかとから格付け見通しは「ネガティブ」としている。
英首相官邸によれば官邸の外壁をライトアップして時計を映し出し離脱の瞬間をカウントダウンで迎えるとしているが、「英経済の中期的な成長見通しはEUとの将来的な関係がどのようなものになるかに大きく左右される」という。また欧州連合離脱を記念して発行する 50 ペンス硬貨の写真を公開したが、この硬貨は月末から流通する予定で「平和、繁栄そして全ての国々との友好」との言葉と「 2020 年 1 月 31 日」という離脱日が刻まれており、年内に計 1 千万枚が流通するという。ジャビド財務相は「 EU 離脱は歴史上の転換点であり、硬貨は新たな章の始まりを記念するものだ」と話しているが、英メディアによると記念硬貨は離脱期限とされた昨年 10 月 31 日の前にも約 100 万枚がつくられたが離脱の延期でいったん溶解されたという。
そんな英国とは別に欧州連合のバルニエ首席交渉官は、EU離脱後の英国との通商交渉について「欧州連合側が単一市場のルールについて譲歩し、その完全性を損ねることは決してない」と強調したという。英国の一部の政治家は通商交渉でEU側が英国との貿易が滞らないよう域内ルールに柔軟性を持たせる可能性があると指摘してきた。しかし英領北アイルランドのクィーンズ大学ベルファストで講演したバルニエ氏は「単一市場について譲歩はしない。決してない」と言明したそうなのだ。単一市場は欧州連合の国際的な影響力の基礎になっていると説明したことなのだが、通商交渉で欧州連合側は「柔軟で現実的な対応をとる用意があるが、英国の選択が欧州連合との摩擦のない貿易を不可能にした」という。
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