これからの日本の高齢者の暮らしぶりを考える時に私たち高齢者の逼迫した生活をめぐる問題を捉えた言葉として、「下流老人」というキーワードで警鐘を鳴らした藤田孝典氏は「年収が 400 万円の人でも、将来、生活保護レベルの生活になる恐れがある」と語っている。この「下流老人」とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」のことで、小手先の対応ではどうにもならないのだそうなのだ。老後の貧困を決定的にするのはやはり健康問題だといわれているが、「健全な心身が保てなくなって働けない」・「病気で治療や投薬のお金がかかる」・「自分は健康でも家族の介護で働けない、だからお金が残らない」という状況に陥るとやっかいで、健康のためになら何でもできることはするという覚悟が必要だという。
具体的には生活習慣の改善と病気予防があるそうで、生活習慣の改善のポイントは、悪いもの特に有害な飲食料を摂らないことだkでなく、規則正しい生活をすることそして定期的な運動をすることだという。病気予防のポイントは健康診断やがん検診などを欠かさず受けることで、それ以外に遺伝子検査で自分の先天的な身体のリスクを知るということも手軽に行えるようになっていることから、インターネットで検査機関を探して口内の粘膜や爪を送ることで検査レポートを受け取ることができるというのだ。健康に関しては「転ばぬ先の杖」こそお金がかかっても持つべきツールで、しこも自分だけが強健でも不十分だという。自分と配偶者・家族が健康であるようにできることはすべてやらないと「下流老人」への道へ突き進んでしまうというのだ。
また他人との交流は人に生きる勇気と知恵を与えてくれるといわれているが、健康やお金の面で困難な局面に陥っても周りの人のアドバイスや協力があれば、そこから抜け出すこともできるというのだ。頼りになる友人や知人は貴重な財産だがそれは老後の生活においても変わることはないというのだ。定年後のためにできれば仕事とは別のプライベートな人脈を充実させておきたいものだが、頼りになる人材を作れる人はその人自身が頼られる人になることだという。エゴから人脈を作るという発想ではなくて利他の精神で自分が役に立てる人材になるところから頼りになる人脈は生まれ、他人が何をしてくれるかではなくてあなたが他人のために何をできるかを考えて自分自身を磨いておくべきだというのだ。
現役時代に一般的な水準の年収を得ていた者でも下流老人に陥る危険性があると指摘されているが、健康でなくても人脈がなくてもお金があれば生活困窮になることはないという。お金が切り札ではないがお金は生活の最低ラインを守ってくれるという。そのためには若い頃から資産運用の知恵を身につけて財産形成に励まないといけないが、具体的には「収入の 1 割は使わない、貯金する」・「貯金の半分は、投資する」・「投資したお金は、老後まで使わない」ということを実践することが大切だというのだ。現在 40 歳の人が毎月 6 万円を強制貯蓄してその半分の 3 万円を投資して、もし 6 %で運用できれば 65 歳時には元本の 1080 万円は 3000 万円には増えているはずで、これが長期複利運用の力だというのだ。
下流老人は当事者だけでなく全世代の国民にかかわる社会問題であるとされているが、これを放置すれば経済的負担の大きさから親と子の 2 世代が共倒れとなり、高齢者の尊厳が失われ将来の不安から現役世代の消費が抑制され、少子化を加速させる要因にもなり得ると指摘されているそうなのだ。高齢期の収入が著しく少なくないようしして、十分な貯蓄をもって周囲に頼れる人間がいて社会的孤立をしないようにするなど、セーフティネット等を失った「 3 ない状態」に注意さえして入れば、少しくらい健康に自信がなくても下流老人になる心配はいらないというが、自力では健康で文化的な生活を営むことが困難な状況にならず、元気で楽しみな老後を今から創っていけるようになるというのだ。
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