全国的に新型コロナウイルスによる感染者が増加する中で近県の徳島県は感染者数が一桁と健闘していると言っていいのだが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大したのを受け、徳島県知事は県境をまたぐ移動を自粛するよう県民に要請したという。県外客に対しても徳島県が所有する宿泊施設や文化施設などを訪れた場合は「利用をお断りさせていただく」とくぎを刺している。ただ民間事業者への休業要請は見合わせており、人の移動をどれだけ抑えられるかは未知数だという。新たな方針を受け月見ケ丘海浜公園は県外客の予約を受け付けず予約済みの場合も取り消しにするがキャンセル料は取らず、引き続き開館するもののウェブサイトなどで県外客の利用自粛を呼び掛けるという。
また徳島県内を発着する高速バスの全便運休を決めているそうだが、民間の遊興施設などには当面の間自粛を要請しない方針だという。徳島県危機管理政策課は「『県外客お断り』はかなり踏み込んだ表現。県内に感染は広がっていないことから、まずは県の施設のみで、となった」としている。先に緊急事態宣言が出された大阪府や兵庫県では遊興施設への休業要請を受け、パチンコ客らが対象地域でない近隣の奈良県や和歌山県などに流れる現象が起きたそうなのだ。徳島市医師会感染症対策委員長の岡部達彦医師は「命に関わることであり、事態の悪化を想定した、もう少し踏み込んだ判断をしても良かったのではないか。県民の皆さんは感染拡大地域と同じ心構えを持ち、できる限り外出を控えてほしい」と話している。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため県境をまたぐ移動の自粛を求めて徳島県は県内各地の高速道路の インターチェンジや観光施設などで県外ナンバーの車がどの程度流入しているかを調べる実態調査をしているが、徳島県危機管理政策課は「県外ナンバーの車を多く見かける」といった指摘が徳島県に寄せられていることから実態把握に乗り出したというが、数十人の県職員が県内のインターチェンジや観光施設などで調査を実施しているという。インターチェンジを通過する車や駐車中の車のナンバープレートを目視で確認するなどして県外ナンバーの車の台数を調べているが、神戸淡路鳴門自動車道の鳴門インターチェンジでは県職員が双眼鏡で車のナンバーや車種を確認しそれぞれの台数を紙に記録しているという。
飯泉嘉門知事は県民に対して「不要不急の帰省や旅行など都道府県をまたぐ移動を自粛してほしい」と要請しているが、県外在住者に対しても「来県をお断りする」と表明し県所有の公園や文化施設などを休業にしたり県外客の利用を制限したりしてきた。しかしその後「県外ナンバーの車を多く見かける」といった指摘が県に寄せられていたという。徳島県の担当者は「感染リスクの高い地域との往来は危険。県外ナンバーの車がどれくらい来ているか実態を把握し、集めたデータをもとに県外の人たちの流入状況を分析して今後の対策に役立てたい」と話しているが、今回の調査で駐車場に県外ナンバーの車が多く止まっていることが確認された施設には休業要請をすることなども検討するという。
車のナンバーは住所地に合わせて変更するよう道路運送車両法で定められているが、徳島県では警察署や運輸支局に行くなど手間が掛かり費用も掛かることから、大阪府や兵庫県の県外ナンバーのままで利用している人が多いという。徳島市の内藤佐和子市長は緊急会見を開き新型コロナウイルスの感染者や家族に県外ナンバーの車への嫌がらせが起きているとして冷静な対応を呼びかけたという。内藤市長は「不確かな情報やデマ、フェイクニュースに惑わされることなく、正確な情報に基づいて、冷静かつ賢明な行動をとってほしい」と述べたが、「県外ナンバーに敵意を持つのはやめていただきたい。差別や分断は容認できない」と訴え誹謗中傷などが医療崩壊を招きかねないと危機感を示したという。
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