政府は新型コロナウイルス感染症対策追加で事業規模を総額233.9兆円とする方針を固めたそうで複数の政府筋が明らかにしたという。追加策を盛り込んだ今年度第2次補正予算案を編成し閣議決定したわけなのだが、追加策の事業規模は今年度第 1 次補正予算案と同じ117.1兆円で財政支出は72.7兆円になるそうなのだ。財政支出のうち国費は33.2兆円で財政投融資は39.3兆円の歳出総額31兆9114億円という題2次補正予算案を編成するという。全額を新規国債発行で賄い2次補正で建設国債を9兆2990億円となり、赤字国債を22兆6124億円追加して2次補正予算の編成で今年度一般会計歳出総額は160.3兆円となるという。これで国債発行額は90.2兆円となる見通しで公債依存度は56.3%に悪化するという。
新型コロナウイルス対策の財源確保に自治体が苦心しており、自治体の「経営力」によって生活に直結する支援策に格差が生じているという。財政難を抱えた自治体でも新型コロナウイルス対策もとらないといけないし、コロナ対策の財源捻出や税収減を見越し大型事業を中断する市も相次いでいる。兵庫県芦屋市の JR 芦屋駅南側は約 188 億円をかけてビルやロータリーを整備する計画を進めるが、市議会が「新型コロナウイルスの影響で税収の大幅減が見込まれる」と用地買収などの予算を否決したそうなのだ。千葉県浦安市は地域の飲食店で使えるクーポン券など独自のコロナ対策として約 8 億円の予算を編成したが、これに伴って子ども図書館の設計や小学校のプール整備を延期したそうなのだ。
削る予算がない自治体はさらに深刻で、兵庫県加西市は新型コロナウイルス対策の財源として正規の全職員の約 600 人から 10 万円ずつを寄付形式で集めることを想定した予算を組んだという。新型コロナ対応の生活支援や経済対策などに使う「みんなで支え合う新型コロナウイルス感染症対策基金」を新設する議案を臨時市議会に提出したが、基金の積立金として 7750 万円を計上しうち 6 千万円を職員からの寄付により、残る 1750 万円を市幹部や市議の給与・報酬カットなどでまかなうと説明し、市議会の全会一致を得て可決されたという。全国すべての人に一律 10 万円を配る「特別定額給付金」をあてこんだ取り組みで、加西市は任意とするが 6 月の期末手当から天引きできる方法を職員に提示しているという。
全国すべての人に一律 10 万円を配る「特別定額給付金」をめぐってはこの兵庫県加西市以外にも自治体職員に寄付や負担を求めようとする動きが各地で出ているそうなのだが、新型コロナ対策の財政支出は誰がどう返すのかということでは、政府が新たに専門家委員会に加えた顔ぶれから「つけ回し先」が見えてきたというのだ。財源の穴埋めとして増税の可能性が出てきたようで痛みを負うのは会社員だという。政府が新型コロナ対策の専門家会議「基本的対処方針等諮問委員会」のメンバーに経済専門家の視点を加えるというが、大竹文雄大阪大学大学院教授や小林慶一郎東京財団政策研究所研究主幹をはじめ、増税と財政再建を最重視する顔ぶれがずらりとそろっているそうなのだ。
今年は年収 850 万円超の独身や子供なし世帯について給与所得控除額を 195 万円の頭打ちにすることで実質増税になっているが、東日本大震災復興税と同じように所得税と住民税に上乗せした「コロナ復興税」を導入すればこの層の負担感が最も重くなり、自営業者と違って会社員は節税対策などほぼ不可能だというのだ。財政再建を最重視する学者たちがこぞって増税を急げば結果的に景気の立ち直りは遅れるはずなのだが、「アベノマスク」をはじめ新型コロナウイルス対策予算は総じて的外れで、色々と出費は増えても収入の減った大半の人は 10 万円でお終いでそしていずれくる大増税となると、消費増税によりデフレ脱却も実現できないままの安倍政権の弱点があぶり出された格好だといわれている。
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