仁志・多喜馬の戯言日記&戯言通信

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2024年01月08日
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日本は明治維新以降ひおいて欧米先進諸国の技術や文化を積極的に受け入れて近代国家とし大躍進を遂げてきたのだが、現代社会において政治学等の分野で他国と比較して制度等を論じることは重要な研究手法の一つであり、実際の政治の場でも他国の事例や制度を参考にして時には輸入の形で活用することもあるという。現在のように情報化が進み航空機による移動が発達して国境を越えた知識のやり取りが容易になる以前から、他地域との交流や技術や知識のやり取りは人類の発展の歴史において極めて重要な要素となっており、日本では律令制や漢字という文字に稲作技術といった分野で、ユーラシア大陸との交流から多くの影響を受けているにしても、様々な問題を生み出す可能性があるのだというのだ。

 誰かが自分の声を聴いてくれることへの信頼が私たちの社会からどんどん失われているようだといわれているが、保育園の抽選に落ちた親が「保育園落ちた、日本死ね」というタイトルで投稿したことがニュースになったのだが、このことは待機児童問題を批判する叫びとして世間から大きな注目を集め国会で取り上げられ、その年の「新語・流行語大賞」のトップテンにランクインしている。ここで注目されたのは保育園に落ちた絶望が直接的に国家へ向かっているということで、投稿者が直面している苦悩は仕事と子育てを両立することができなくなり、自分の思い描いていた人生を歩めなくなったことなのだが、「その問題を解決できるのは国だけだった」と投稿者は考えており、だからこそ国に対して怒りの矛先が向けられているのだという。

 伝統的な日本社会には家庭と国家の間に位置するコミュニティである中間共同体が存在しましたそうで、いわゆる地縁と呼ばれるコミュニティがそれに該当し、「お隣さん」・「近所のおじさんやおばさん」だったのだという。若い両親が子育てに困っているときまず頼ることができたのは国家ではなくてそうした地域のコミュニティで、たとえ国家が自分のことを無視しても「近所の人は自分の話を聴いてくれる」という、そうした信頼が社会のなかに当たり前のように存在していたのに、そうした中間共同体への信頼は皆無になってしまったのだという。その非常に攻撃的な口調は自分の言葉が誰の耳にも届かないことに対する深い悲しみの裏返しで、そうした絶望が子育てというもっともハードな仕事を引き受ける親の心を蝕んだ結果だという。

 日本において政治・経済・教育などの共同生活をどう好ましい姿で行っていくのかという命題に対して、専門の学者は日本の伝統精神の根幹の考え方に「衆知を重んじるということ」・「主座を保つということ」・「和を貴び平和を愛好すること」の三点があり、「衆知を重んじる」ということは日本人が広く意見を集めて議論を行ってきたことや、優れた先人を神として奉りその知恵や業績に学んできたことだけでなく、海外から進んだ技術や諸制度を取り入れてきたことなどに表れているという。次に「主座を保つ」という点は海外の技術や諸制度を取り入れる際に日本の伝統精神は守り、日本に即した形に制度などを変化させてきたこと、例えば明治時代に言われた「和魂洋才」という言葉に表れているとしている。

 最後に「和を貴び平和を愛好する」点では、聖徳太子が制定したとされる十七条憲法の第一条に「和を以て貴しと為し」とあることなどから、日本の伝統精神の根幹にあることが見て取れるのだという。だから伝統的な地縁を復活させようというわけではなく、伝統的地縁にはそれはそれで問題があり、たとえばそこでは女性の人生の選択肢は著しく限られていて「保育園落ちた、日本死ね」の投稿者が嘆いているのはまさにその選択肢が奪われていることなのだという。社会学者はこうした事態を「システムへの過剰依存」と表現していて、それは私たちがあるコミュニティの一員であるという感覚空洞化させていき、こんな状況のなかでは自分の話を聴いてくれる他者の存在を信じられなくなるのはある意味当然のことになってしまったのだという。

 傾聴には共同体が必要なのだが、伝統的な地縁的コミュニティは解体してしまい、しかも偶発的にではなく構造的に歴史の流れに従って解体したというのさ。そうである以上かつての地縁的コミュニティの復活を期待することは単なるノスタルジーに過ぎず、私たちは別の可能性を考える必要があるというのだ。一つの方法は人為的に対話の場を創出することで、もともとは存在していなかった対話することを目的としたコミュニティを新たに創り出すのだという。そうした試みが、もっと多様に日本中の至るところで生まれていけば、「自分の言葉を聴いてくれる人がいない」という根本的な苦境をある程度緩和することができ、そのことが社会によって保障される必要があると考えられるのだという。ます。





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最終更新日  2024年01月08日 01時51分18秒
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