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2021年10月21日
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カテゴリ: 地震、原子力
 炭酸ガス排出量の抑制、大気汚染の改善のため、中国は石炭火力発電の抑制をはかり、大規模な電力不足を招いている。
 広範囲にわたり電力不足に陥っていることで、世界第2位の規模を誇る中国国内経済の回復が脅かされている。
 同時に世界のサプライチェーン(供給網)でさらに混乱が広がり、各国でインフレ圧力を高める可能性が想定されている。
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 一方、中国では石炭火力発電よりはるかに炭酸ガス排出量の少ない原子力発電所の建設を着々と推進し、電源確保をすすめている。
 砂漠地帯などそこで暮らす人が少ない広大な地域をもつ中国は、放射性廃棄物の貯蔵保管場所に困ることはないのだろう。
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原発新設加速、輸出政策強化で国益を追求
2020/10/12 東洋経済オンライン
  … (略) …
欧州の「脱原発」方針と新興国の原子力需要
 福島原発事故後、原子力産業を取り巻く環境は複雑だ。
 日本では明確な原子力政策が示されないまま時間が経過し、 ドイツやベルギー、韓国や台湾は、現在、原発を保有するものの、将来的には脱原発の方針を定めている。
 欧州は、新型コロナウイルスによって受けた経済の打撃を回復する道筋に「気候変動対策」や「脱炭素」を中心に据える 「グリーン・リカバリー」 を推進するため、包括的回復計画を示したが、主流化された再生可能エネルギーとは対照的に、そこに原子力発電の存在感はなく、 欧州全体では原子力発電への依存度を下げる「脱原発」の傾向が強まっている。
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 他方で、実は世界全体で見れば、新興国では経済発展、電力需要の増加が著しく、少量の燃料で大きなエネルギーを取り出すことができ、かつ温室効果ガスを排出しない原子力エネルギーの需要は、拡大の傾向にある。なかでも 中国では、原子力の発電電力量が2040年には約9倍(1350億kWh→1兆2000億kWh)と、著しい増加が予想されている。
 中国の1次エネルギー消費量の構成は、 2040年までに、化石燃料への依存が大幅に減少し、石炭35%、石油18%、ガス7%、再生可能エネルギー27%、原子力7%程度になると予測されている (2019年時点で原子力は2%)。
 また今後の傾向として、計画中、提案段階のものを含めれば、中東における原子力への関心の高まりも注目に値する。IAEA(国際原子力機関)による2013年の予測では、中東・南アジア地域では、2012年の時点で原子力発電容量は600万キロワットあり、2030年には4.5倍から9倍の増加が見込まれ、 新興国を中心に原発の新増設は今後も続くことが予測されている のである。
 とくに近年、中国における原子力発電施設建設の勢いが加速している。中国でも、福島原発事故後、原子力産業は深刻な打撃を受けた。数年間原発新設の認可がなかった時期もあるが、2019年より再開、同年には福建〓州原発の1・2号機、広東太平嶺原発の1・2号機の建設が相次いで認可され、いずれも中国独自開発の第3世代原子炉「華龍一号」が採用された。
  ―  引用終り  ―
 2021年10月、中国で大規模k津広範な電力危機が発生した。
 炭素排出量の抑制といった中国当局が目指す政策課題の優先順位に変化が生じた場合に、その影響がいかに世界経済全体へと波及するかを如実に物語っている。
 中国は次世代の電力源、エネルギー源として原発建設を継続している。少々のトラブルがあっても計画は揺るぎなく推進される。
 2021年6月14日、放射能漏れが報じられた台山原子力発電所
 原発は、 EDF傘下のフラマトムが設計した「欧州加圧水型炉」(EPR)で、現在稼働中のEPRは欧州での稼働例はなく世界中で台山だけ。
 フラマトム社は「入手可能なデータによると、原発は安全基準内で稼働している」と発表した。
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 2021年8月10日、中国・遼寧省発展改革委員会は、紅沿河原子力発電所の第2期建設プロジェクトの5号基が稼働を開始したと発表した。同発電所は中国の東北地方で初の原子力発電所で、同地方最大の電力エネルギー投資プロジェクトとして2期に分けて建設された。
 第1期4基の原子炉は2016年6月に建設が完了し、稼働を開始した。第2期の5号基と6号基は2015年3月と7月からそれぞれ建設を開始し、6号基は2022年上半期に運用開始する予定。
 5号基の稼働により、同発電所の年間送電量は375億キロワットになる見込み。これは遼寧省の年間電力使用量の15%に相当する。
 石炭火力からの転換で二酸化炭素の排出削減効果は約3,120万トンとしている。
 今後、遼寧省は紅沿河原子力発電所2期の稼働以外に、徐大堡第1期~3期(葫蘆島市)と庄河第1期・2期(大連市)の稼働と建設を計画している。
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 中国の原子力発電所の発電容量が現在の建設計画ベースで2030年ごろに米国を抜き、世界一の原発大国となる見通し。





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最終更新日  2021年10月21日 16時00分05秒
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