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2023年07月05日
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テーマ: ロシア(98)
カテゴリ: ロシア、ソ連
 2023年6月24日、ロシア正規軍と対立し、報復を宣言している民間軍事会社「ワグネル」のトップ、エフゲニー・プリコジン氏は、部隊を首都・モスクワに向けて進めると報じられた。モスクワから400kmの地点に到達したとの情報もある。
 プリゴジン氏は、ロシア軍がワグネルの拠点を攻撃したとして報復を宣言し、ウクライナからロシア南部ロストフ州に入り、空港など軍事施設を支配下に置いたと主張している。ワグネルの部隊は、途中でロシア軍と交戦した可能性もあり、ボロネジ州では、石油貯蔵所が炎上した。
 プーチン大統領は24日、緊急演説で「われわれが直面しているのは裏切りだ」とし「断固たる行動をとるよう指示した」と警告した。
 プリコジン氏は、徹底抗戦の構えを崩しておらず「プーチン大統領やロシア連邦保安局、そのほか誰かの要請で降伏する者はいない」と述べた。
 6月23日、プリゴジン氏は、SNSでウクライナ東部の激戦地バフムトで、ロシア軍からキャンプにミサイルを撃ち込まれ、多くの兵士が犠牲になったとして、「ロシアの軍事指導部の悪事を止めなければならない」と報復を明言した。
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反攻作戦と連動し流動化も
乱立する派閥、軍事会社
2023年6月24日 産経ニュース
 ロシアの民間軍事会社(PMC)「ワグネル」のトップ、プリゴジン氏が起こした武装反乱は、ウクライナ侵略戦争で蹉跌(さてつ)をきたしているロシアが動乱の時代に突入したことを印象づける。プリゴジン氏の動きがどう帰着するかは予断を許さないが、強力な私兵部隊を持つ有力者が公然とプーチン政権に反旗を翻した影響は大きい。ウクライナの反攻作戦と連動し、露国内の情勢が流動化に向かう可能性もある。
 露南部ロストフ州などで部隊を進めたプリゴジン氏は、露国防省がプーチン大統領を欺いて侵略戦争を始めたと述べた。プーチン氏を名指しで批判することは避けつつも、プーチン氏が始めた侵略戦争の根幹にある「大義」を否定した。
 プリゴジン氏は「戦争はショイグ(国防相)が元帥になるために必要だった。(プーチン氏が侵攻の目的とした)ウクライナの非軍事化と非ナチス化に戦争は必要なかった」と断じた。
  ―  引用終わり  ―
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 6月24日、ワグネルはモスクワへの進軍を停止。
 プリゴジン氏による武装反乱は、13時間後、撤退で終わった。
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…衝突回避へベラルーシ大統領仲介か
2023年6月25日 読売新聞
 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏は24日、ワグネルの戦闘員に対し、首都モスクワへの進軍を停止するよう命じたことを自身のSNSで明らかにした。これにより、モスクワでワグネル部隊と露軍や治安部隊が衝突する事態はひとまず回避される見通しになった。
 ロシアの同盟国ベラルーシ大統領府筋は、同国のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が24日、プーチン露大統領との合意に基づき、プリゴジン氏と長時間にわたって電話で会談し、露領内での流血の事態を避けることで一致したことをSNSを通じて明らかにしていた。ルカシェンコ氏の仲介で何らかの事態打開策に合意した可能性がある。
  ―  引用終わり  ―
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 ワグネルと国防軍との対立構造が明確となった。ワグネルはモスクワに向け進軍できたし、弱体化しているとされているロシア国防軍はワグネルの進軍を軍事的に阻止することができなかった。
 内部対立の発生により、プーチン大統領は統制をより強め、不満分子の粛清を強化するとみられている。
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弱体化どころか…〝粛清の嵐〟危惧する声
2023年6月26日 東スポWEB
  …  (略)  …
 プリゴジン氏はウクライナ侵攻に参加するワグネル部隊をロシア軍が攻撃したと不満を表明。「正義の行進」と主張し、一時支配下に置いた南部軍管区司令部からモスクワに向かって24日に進軍していた。
 通信アプリなどを使って持論を展開。「彼ら(ロシア軍指導部)は兵士の命を軽視し、正義という言葉を忘れた。われわれは正義を取り戻す。何万人ものロシアの兵士を殺した者は罰せられるだろう」とロシア軍指導部を批判。また、プーチン大統領がワグネルについて「裏切り」と指摘したことには「大統領は大きな間違いを犯した。われわれは皆、愛国者だ」と訴えた。
 プリゴジン氏の動きを受けて、ロシア連邦保安局(FSB)はプリゴジン氏の捜査を開始。モスクワでは対テロ作戦態勢が宣言されるなど、緊張感が高まっていた。
 しかし、一夜にして事態は急変。突如プリゴジン氏は撤収命令を出し、ベラルーシに〝亡命〟。ロシア側も捜査を取り下げ、ワグネル戦闘員の刑事責任も問われないという。ルカシェンコ大統領とプーチン氏の間で電話会談があり、その後、ルカシェンコ氏とプリゴジン氏で協議し、撤退となったという。
 これで進軍前に元通り…とはならなそう。英紙サンでは〝プーチン最大の敵〟と呼ばれる投資家のビル・ブラウダー氏が「始まりにすぎない」とさらなる混乱を予告。「プーチン大統領はプリゴジン氏をこれまでにも殺害しようとしてきたが、おそらく再び試みるであろう。そのことをプリゴジン氏も理解している。今は誰も信用していないと思う」と暗殺の陰謀が始まっていると指摘した。
 また「これまで見たことがないような大規模な粛清が起きるだろう。プーチン大統領は政敵で刑務所を埋めるはずだ。何も終わってません。始まったばかりです」と付け加えた。
 プーチン体制は弱体化していくのか。軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹氏は「プーチン氏の権力が弱まればロシアの分裂もあり得ると想定していましたが、今回の件で分裂は遠のいたでしょう。むしろプーチン体制は強化されます」と話した。
  ―  引用終わり  ―
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 6月28日、米・ウォールストリート・ジャーナルは、欧米の当局者の情報として、プリゴジン氏がセルゲイ・ショイグ国防相やワレリー・ゲラシモフ参謀総長・ウクライナ侵攻総司令官の拘束を一時計画していたと報じた。
 6月29日、ロシア下院の国防委員会の委員長は、プリゴジン氏に、ロシア国防省と契約しなければ国からの資金提供を打ち切り、ウクライナでの作戦にも参加できなくなると伝えていたことを明らかにした。このことがプリゴジン氏・ワグネルの乱の契機となったと思われる。
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マスク姿で関連企業所有ヘリに乗り込む
地元メディア報道
2023年6月30日 FNNプライムオンライン
 ロシア軍への反乱後、消息不明だった民間軍事会社のトップ、プリコジン氏とみられる姿をロシアメディアが報じた。
 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が拠点とするロシア第2の都市・サンクトペテルブルクで29日、ヘリポートを歩くプリゴジン氏とみられる男性の姿をとらえた写真を、地元メディアが掲載した。
 「マスク姿で100%プリゴジン氏だと確認できないが、プリゴジン氏の関連会社が所有するヘリコプターに乗り込んだ」と伝えている。
 プリゴジン氏は反乱後、消息不明になっていたが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が27日、国内にいると認めたほか、プリゴジン氏が所有するジェット機が、首都・ミンスクからサンクトペテルブルクに向かったことが確認されていた。
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 6月30日、プリゴジン氏が保有するメディアグループが活動を停止したと独立系およびロシアの国営メディアが一斉に報じた。
 ロシアの軍事ブロガーは、かねてより軍の戦略の不備を批判し、ワグネルの戦術的強さを称賛するものが多いと報じられていた。
 ショイグ国防大臣は、非常事態省大臣(1991年 - 2012年)としてロシア国民の人気を博していた。軍人経験が無いショイグ氏は2012に国防大臣に就任した。2022年ロシアのウクライナ侵略戦争開戦前はプーチン大統領に次ぐ人気政治家であり、後継大統領の最有力者とされていた。開戦後は軍事作戦面で失態を繰り返し、軍事ブロガーの批判も多く、国民の人気が大きく低下したとされる。
 プーチン氏の人気と同様に、力による支配を好むロシアでは、プリゴジン氏が根強い人気を保っていることが報じられた。
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ロシア世論調査で「率直な愛国者」「優れた指導者」
2023年7月1日 FNNプライムオンライン
 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」のトップ、プリゴジン氏がロシア国内で根強い人気を保っている。
 ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」は先月29日、プリゴジン氏の支持率が29%と3割を保っていると発表した。
 ロシア軍への反乱直前の今月22日と23日の58%からは半分に減ったものの、ウクライナ東部の激戦地バフムトを解放したとの主張が好意的に受け止められ、「率直な愛国者だ」「優れた指導者だ」として、人気を維持している。
 プリゴジン氏が来年の大統領選に出馬した場合の支持率も10%をキープしている。
 反乱前の19%から半分に減ったが、反乱を起こしたことがロシア国民に完全否定されていないことがわかった。
 世論調査は反乱が起きた24日を挟んだ今月22日から28日に、ロシアの187地域の18歳以上を対象に行われ、1600人が回答した。
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 ワグネルのプリゴジン氏も、ロシアに毒を盛られたのではと噂になったベラルーシのルカシェンコ大統領も、公開された場に姿をみせていない。
 ロシアはベラルーシへの戦術核の搬入を開始し、6月27日、ベラルーシのルカシェンコ大統領は既に大半が国内に搬入されたと述べたと報じられた。
 7月1日、ロシアのリャプコフ外務次官は、同盟国ベラルーシへのロシアの戦術核兵器配備について「ロシアは核兵器の管理は移管しない」と明言し、配備は核拡散防止条約(NPT)を含む「国際的義務に違反しない」と強調した、とタス通信が報じた。







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最終更新日  2023年07月05日 06時00分11秒
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