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2024年02月08日
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テーマ: 中国&台湾(3304)
カテゴリ: 中国、台湾
 2023年の中国は経済成長率5.2%で政府目標の5%をクリアしたとの公式発表があった。
 供給サイドをけん引役に景気の底入れが続く一方、需要サイドは力強さを欠くなど需給ギャップが広がる動きがみられる。
 デフレ懸念が強まっているが、人民元安を警戒して中銀は利下げに動けないなど「自縄自縛」状態に嵌っている。
 サプライチェーンの見直しなどによる有力外資の撤退なども続き、中国経済を取り巻く環境には不透明感が一段と高まっている。
 2024年1月5日、中国のシャドーバンキング大手の中植企業集団が破産申請を行った。ピーク時の運用資産が1400億ドル(約20兆2600億円)を超える巨大企業だったが、深刻化する不動産危機により急激に転落し破綻した。
 申請を受理した北京市第一中級人民法院は、中植が「明らかに」債務返済能力を欠いていると文書で指摘した。
 昨2023年11月の投資家向け書簡によると、監査の結果、中植の債務は最大4600億元(約9兆3100億円)、資産は2000億元で大幅な債務超過の状態だった。
 中植のようなシャドーバンキングは、銀行が販売する「理財商品」、信託会社が販売する「信託商品」を通じて、市中からの投資、家計の貯蓄をプールして融資を行ったり、不動産や株式、債券、商品などに投資したりすることが多い。銀行預金より短期で大きな利を選んで稼げることから中国人の嗜好に合っている。
 不動産大手の破綻に続いて、関係の深いシャドーバンキングの破綻が懸念される。
 中央政府の統制のききにくい民間セクターの破綻に続くのは、中央政府の意向に沿って野放図な鉄道誘致と都市開発をすすめた地方政府の破綻。
 地方政府は2023年の経済成長の原動力ともみられている。
 最終的に破綻のツケは中央政府の巨額債務に結実する。日本のような中央政府が大債務、大累積赤字を継続する財政も予想できるが、最も現実的な絵柄は、資本が国に集中する国家社会主義。
 バブル崩壊後の日本との図式の違いは、破綻法制、破綻時のソフトランディングの経済社会的枠組みが中国に備わっていないこと。
 賢明な人材が豊富な中国のことだから、失われた数十年と呼ばれないよう日本よりもっとよい対処法、共産党にとって都合のよいやり方を用意しているのかもしれない。現在は市民の抗議活動を個別に火消、圧殺するにとどまっている。習皇帝の意向と推察される。
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中国
「弁済能力がない」不動産不況で債務超過か
2024年1月6日 TBS NEWS DIG
 中国・北京の裁判所は5日、大手資産運用会社「中植企業集団」が破産申請を行い、受理したと発表しました。中国の不動産市場の不況などにより巨額の債務超過に陥ったとみられています。
 中国・北京の第1中級人民法院がSNSで発表した内容によりますと、破産申請が受理されたのは中国の大手資産運用会社「中植企業集団」です。
 中植企業集団は破産を申請した理由について、「すべての債務を弁済するには資産が不足しており、弁済能力がない」と説明したということです。今後、裁判所が企業破産法に基づき、破産処理を進めるとみられています。
 中国メディアは去年11月、中植企業集団が2200億元以上、日本円でおよそ4兆4千億円以上の債務超過に陥っていると報じていました。中植企業集団は不動産への投資が多く、中国の不動産市場の深刻な不況で債務超過に陥ったとみられています。
 北京市の公安当局は、中植企業集団に対し捜査を始めたことを明らかにしています。
  ―  引用終わり  ―
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 2023年8月、中植傘下の信託会社、中融国際信託が複数の高利回り投資商品に関して顧客への支払いができず、北京市内で抗議活動が起きていた。
 中融国際信託は経営難に陥った不動産開発会社への融資を拡大。中国恒大集団などの企業から資産を買い取っていた。
 2023年11月時点で、中植企業集団の破綻で投資家が被る損失は最大560億ドル(約8兆3500億円)に上るとアナリストが試算していた。
 中国政府による不動産融資規制による不動産セクターは借入を信託商品にシフト。
 不動産セクターが破綻したため、シャドーバンキングの信託商品が破綻、投資家、富裕層や企業などに被害が及んでいる状況。
木内 登英
2023/08/18 NRI
信託会社・中融の問題は当初考えられていたよりも深刻
  …  (略)  …
不動産セクターは銀行借り入れから信託商品からの資金調達にシフト
 中国信託業協会によると、国内信託会社の資産は今年3月時点で約2兆9,000億ドル(約422兆円)に上り、このうち約72%は、富裕層や企業に投資商品を販売する融資信託が保有している。
 2019年半ばには、この融資信託の資産の約15%が不動産に投資されていた(コラム「高まる中国信託商品のリスク」、2019年7月16日)。その比率は、2019年以降62%減少し、今年3月時点でわずか7.4%まで低下したとされる。
 しかし実際には、融資信託の投資先は明確には分からないようだ。迂回されて不動産セクターに投資される部分もかなり多い可能性がある。ちなみに、大きな問題を抱える地方融資平台(中国の地方政府傘下にある投資会社)への投資の数字も明らかにされておらず、数字の透明性は低い。
 政府が不動産デベロッパーへの銀行融資を規制し始めてからは、不動産デベロッパーは規制の緩い信託からの資金調達を増やした可能性がある。一種の規制逃れである。そこで、中融信託など「中植系」信託会社は、資金供給で大きな役割を果たしたとみられる。そのため、不動産市場が調整し、不動産デベロッパーの経営が揺らぐと、信託商品の投資のパフォーマンスが悪化し、支払いが滞ることになる。
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信託商品も政府の「暗黙の保証」で価格が歪められている可能性
 信託商品に富裕者や金融機関のお金が集まった背景には、庶民が保有する傾向が強い投資信託の一種である理財商品と同様に、「暗黙の保証」という問題がある。多くの信託会社は地方政府や国有企業が株主になっており、一部の融資は地域のインフラ計画を支えている。そのため、信託商品には政府による暗黙の保証が付いている、とみなされることが多い。
 そのため、信託商品の投資家は、高い運用利回りを享受する一方、投資リスクを十分に把握していないことが考えられる。このことが、信託商品の価格を歪めている面があるだろう。また信託商品の価格が元本割れをし、またデフォルトを起こした際には、それが社会問題化しやすい背景にある。
 景気減速、不動産市場の調整をきっかけに信託商品の価格が大幅に低下すれば、それに投資する金融機関では損失が発生し、金融システムを不安定化させる可能性がある。また、信託商品の解約が急増し、それに応じきれない信託会社の破綻が相次げば、信託会社からの資金調達に依存する企業の経営が一気に行き詰まり、実体経済に大きな打撃となる事態も生じ得よう。
  ―  引用終わり  ―
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 中国政府は大規模な国際発行も可能だろうし、元を無制限に発行することによる国家債務の早期償却も可能だろう。
 債権喪失、インフレ、失業などによる社会の混乱は、内外の不安定化で乗り切るつもりかもしれない。
 内は少数民族の分断、周防愛の規制強化、外は海洋進出強化。リスクは絶大だが、中印国境紛争、中露国境紛争も強化するかもしれない。
 内政が何ともならなくなったら、米中戦争の引き金となりうる台湾への武力侵攻が共産党独裁維持のための最後の一手となる。
 米国の大統領選挙で共和党のトランプ氏が選ばれた時が、台湾進攻のチャンスとなる。
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情報BOX:
2024年1月9日 ロイター]
 中国の優良銘柄で構成するCS1300指数は今週、政府が昨年から相次ぎ打ち出した株価対策にもかかわらず、約5年ぶりの安値に沈んだ。
 複数の関係筋によると、中国証券監督管理委員会(証監会)は新たに、国内の一部の大手投資信託会社に対し、債券ファンドなどよりも株式ファンドの発売を優先するよう窓口指導を行った。
 CS1300指数は2023年に12%下落と、世界の株価指数の下落率上位に入った。初めて3年続落となった。
 当局がこれまで講じた措置や今後見込まれる対策を以下にまとめた:
<取引コスト>
 中国は昨年8月28日に株式取引にかかる印紙税を半減させた。証券会社が証券取引所に届け出ている取引手数料も引き下げられた。
 各証取はまた、投資家の借り入れ促進に向け証券担保ローンの担保比率を引き下げた。
 当局の指針を受け、投資信託会社は株式ファンドの運用手数料を引き下げた。
<資本調達と借り換え>
 証監会は資本調達と投資活動の「動的平衡」を目指し、新規株式公開(IPO)のペースを抑制した。
 また、赤字企業や業績不振の上場企業による借り換えへの制限を強化した。
<小口投資家の保護>
 証監会は、上場企業の主要株主による保有株売却への規制を強化した。
 また、プログラム取引が相場の変動率を高めているとの一部投資家の指摘を受け、プログラム取引への監視を強めた。
 当局はさらに、上場企業の自社株買いを奨励している。
<国家ファンドの買い入れ>
 中国政府系ファンドの中央匯金投資は10月に株式市場の安定回復に向け上場投資信託(ETF)購入を開始したと発表。
 12月には国有ファンドの国新控股がテック銘柄に特化したインデックスファンドの購入を開始したと発表した。
<売り越し禁止>
 証監会は23年終盤、主要運用会社に1日当たりの株式売買で売り越しにすることを禁止した。売り越し規制は24年初めに解除された。
<今後の追加措置>
 証監会は、中国の資本市場に投資する年金基金を含む長期投資家を増やすため策を講じる計画。
 また、取引時間延長の可能性も検討している。
  ―  引用終わり  ―
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 中国共産党のためにならないこと以外(=経済開放以外)はあらゆる手段を尽くして経済活性化をはかる中央政府の意向がみてとれる。










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最終更新日  2024年02月08日 05時00分11秒
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