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石橋氏が自民党総裁に決まって、日本の株式市場は大幅な下げを記録。 9月30日、東京株式市場で日経平均は、前営業日比1940円01銭安の3万7919円55銭と大幅反落して取引を終えた。石破茂新総裁の誕生を受けて巻き戻しの売りが出た。 ありもしない危機による「売り」であり、安い日本の割安株は外国人投資家に買われることだろう、 政治家、不動産屋に続き株屋も、日本を切り売りする売国奴と化している。 そんな経済発展可能性に乏しい国ではなく、経済発展の可能性に満ちた中国は、政治の暴走で不動産バブルが荒っぽく強制終了させられ、経済の混乱、停滞にj拍車がかかっている。 不動産バブルの急速な解消という、自由主義経済の国家ではなしえないことを、なしえない速度でなし、中国共産党の習金平国家主席は誇らしいことだろう。 不動産価格は劇的に低下したが、不動産の作り手も、買い手もいなくなった。 景気浮揚策、GDP拡大策として、中国政府は、鉄鋼、EV、太陽光パネルに力を入れている。 鉄鋼は不動産バブル崩壊により内需不足。EVは国内の過剰生産能力の解消が急がれる状況。EVの先進国への海外販売道は、失業につながるとして封じられつつある。海外現地生産の拡大では、中国国内経済への浮揚策とはなりにくい。 地方政府財政も不動産バブルの崩壊で様々な痛手を負っており、EV充電インフラの拡充、太陽光パネル導入促進、高速鉄道網拡大などを今後大きく進めることはできない状況。 6000万戸もの「売れ残りタワマン」に習近平主席もお手上げ…「EV頼み」でも経済を立て直せない中国政府の大迷走プレジデントオンライン 2024年9月30日 9時15分 … (略) … 2023年半ば、不動産デベロッパーの破綻懸念を背景に、中国の新築・中古住宅ともに下落に拍車がかかった。足許の価格下落ペースは当時を上回る。不動産バブル崩壊により住宅市場の厳しさは増している。 … (略) … 不動産業者の財務内容を規制する3つのレッドラインは、業者の借り入れなどに重大な影響をもたらした。大手デベロッパーであるカントリーガーデンなど、不動産業者の経営体力は急速に低下した。2021年秋ごろから、住宅価格は下落に転じた。マンション建設の減少、資金繰り確保のための値下げなど、バブル膨張とは逆に、「売るから下がる、下がるから売る」という弱気心理が連鎖し、不動産バブルは崩壊した。 ■マンションの売れ残り在庫は6000万戸にも それ以降、マンションなどの需給バランスは悪化傾向だ。過去、中国では住宅在庫の面積を成約面積で割った消化月数は、12~14カ月が適正な水準といわれてきた。易居研究院によると、2023年末時点で主要100都市の消化月数は22カ月程度、2024年4月時点では26.5カ月まで伸びたようだ。供給が需要を上回る状況に拍車がかかった。 中国全体で、マンションなど集合住宅の売れ残り在庫は6000万戸あり、未完成の物件は4800万戸との試算もある。相場の格言に「落ちてくるナイフをつかんではならない」とある。住宅の買い手や投資家は、今後もマンション価格は下落すると警戒を強めている。足許、完成前にマンションを販売し住宅ローンの返済を始める、いわゆる“予約販売”の比率が18年ぶりの低水準に落ち込んだ。人々の警戒心が高まっていることを物語っている。 ■鉄鋼、EV、太陽光パネルなどに注力するが… 今年5月、需給バランスの改善を目指し、中国政府は200以上の都市に住宅在庫の買い取りを指示した。開始から3カ月程度で、その指示に従ったのは29の都市にとどまったようだ。地方財政の悪化による買い取り資金の不足に加えて、今後の住宅価格下落リスクから地方政府でさえ手を出せないのが実情だろう。中国人民銀行が設定した資金枠(3000億元、約6兆円)も少なかった。 今のところ、中国政府の経済運営は手詰まり状態といってよい。中国政府は、基本的には投資を軸にした経済運営に固執しているようだ。重視する目標は、鉄鋼やアルミなどの基礎資材、EV、太陽光パネル、デジタル家電などの供給増加にあるようだ。EVなどに関しては、民間主要企業と国有・国営企業に土地や産業補助金を支給して価格競争力を高め、世界シェアを高めたいのだろう。 ただ、その発想だとデフレ圧力の上昇は避けられない。不動産市況対策が思ったような効果を上げていないこともあり、政府内部でも2024年の経済成長率目標(5%前後)の達成は難しいとの危惧も出ているようだ。 ■不動産業者の破綻処理を重視していない? 不動産市況の悪化に伴い、これからさらに地方政府の財政は悪化する恐れがある。住宅需要の減少によって、地方政府の土地使用権譲渡収入は減少傾向だ。2024年前半は前年同期比18.3%減だった。2021年と比較すると土地使用権の譲渡益は4割近く減少したとみられる。経済対策などとしてのインフラ投資、公務員給与の支払いなど歳出の削減を余儀なくされる地方政府が増加するだろう。 今年8月、国際通貨基金(IMF)は中国が住宅在庫の圧縮などを進めるには、最低でも140兆円程度が必要と指摘した。不動産バブル崩壊対応のための不良債権処理などのコストも含めると、政府の対策費はそれを上回る可能性は高い。 それに対して中国政府は、既存の政策で十分であるとIMFに反論した。中国は中央政府の財政支出拡大による地方政府の救済、不動産デベロッパーなどの破綻処理、規制緩和による成長産業の育成などの必要性は低いと判断しているのかもしれない。 ■交通違反の罰金収入にはしる地方政府も 財政の悪化を食い止めるため、交通違反など罰金収入の増加に取り組む地方政府が増加傾向だ。内陸部など経済規模が小さい都市ほど、罰金依存は高い傾向にあると考えられる。公安と連携し、脱税などの摘発に取り組むケースもある。電気、ガスなど公共料金を引き上げる都市もある。 IMFの予測によると、地方融資平台の債務残高は2024年の約66兆元(1320兆円)から、2029年に約92兆元(1840兆円)に増加する。今後、財源確保のため罰金の徴収など、苦肉の策に頼らざるを得ない地方政府は増えるだろう。 地方政府の財政悪化により、産業補助金政策などの持続性は低下するだろう。公共料金の引き上げなどは、個人消費にマイナスだ。低価格競争の激化などでコストカットに追い込まれる企業も増え、雇用・所得環境も悪化する可能性は高い。それにより、中国の株式や不動産などの価格は下落し、デフレ圧力は高まるだろう。 ― 引用終わり ― 電気自動車(EV)用モーターに使われる磁石の材料となる「ネオジム」など、レアアースは現代の産業には欠かせない資源となっている。中国はレアアースの主要生産国。 10月1日、ハイテク製品の生産に欠かせないレアアース(希土類)に関する国家の管理を強化する「レアアース管理条例」を施行し、政府の管理を強化する。米国などへの対抗策と考えての施策だろうが、途上国の自動車市場はまだまだ小さく、中国の自動車メーカー、中国製EVの孤立は深まる。即ち、輸出商品としての活路が閉ざされる。 共青団勢力を政権の中枢から追い出し、独裁体制を築いた習政権では有効な経済回復政策が打てないことだろう。このことはアジアの安全保障を揺るがす事態につながる。
2024年10月07日
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反日韓国人のように利に敏い中国人は「愛国ビジネス」を展開しつつある。 参戦・反対の別はおき、「反日」はSNS上でバズるそうだ。 習金平の中国で、天安門事件への言及や中国共産党への批判は、直接・間接を問わず許されないが、反日は禁じられていない。 そこにビジネスチャンスを見出した者たちがいた。 2024年6月24日、中国・蘇州で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われる事件があり、犯人の男に立ち向かった中国人女性・胡友平さんが、男に何度も刺されて2日後に亡くなった。 中国では、他にも外国人を対象にした無差別殺傷事件が起きている。 9月16日、外務省は中国の日本人学校がスクールバスの警備員を配置する費用を補助する2025年度予算案の概算要求をした。世界に危険な国・地域は多数あるので、中国に駐在する家族の危険は企業で判断してくれということなのだろう。 この事件の後、「日本人学校はスパイを養成している」といったデマ動画が拡散されSNSで人気を集めているという。 9月18日、中国広東省・深センで、日本人の母親と歩いて登校中の男子児童が刃物を持った男に襲われ、19日未明、死亡した。 男児が襲われたのは日本人学校から約200メートルの路上だった。 9月18日は、満州事変の発端となった柳条湖事件の発生から93年にあたり、反日感情の高まりやすい日だとされている。中国各地で毎年、抗日記念館の見学イベントなどが組まれる。また、東北地方の遼寧省では、14都市で午前9時18分に防空警報が鳴らされ、交通機関は運行を停止し、公共メディアはSNSを通じて屈辱を忘れるなと強調する。 中国「愛国ビジネス」暴走、日本人襲撃...中国政府は止められないのか周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)ニューズウィーク日本版 2024年9月23日 11時0分<深圳で日本人学校の男子児童が中国人の男に刃物で襲われて亡くなった。その背景には、愛国・反日教育が生み出した「迷惑系ユーチューバー」たちの存在がある> このコラムを執筆中にいたたまれないニュースが飛び込んできた。9月18日、中国南部の広東省深圳で日本人学校の男子児童が中国人の男に刃物で襲われ、19日未明に病院で亡くなったのだ。 現時点ではまだ容疑者の動機も事件の背景も分からない。だが、恐れていたことが起きてしまったような気がした。 今回書こうとしていたのは、動画配信者たちの暴走についてだった。外国人を目の敵にして突っかかり、そのやりとりを動画に収め、ネットで配信する。世の中にはそんなろくでもない輩(やから)がいる。 「愛国」の名の下に迷惑行為を働き、金儲けをする輩 9月7日、北京の円明園という観光地で日本人観光客が現地の動画配信者に暴言や罵声を浴びせられる事件が起きた。 中国メディアによれば、観光客が中国人通訳を介して「写真を撮りたいから場所を空けてほしい」と頼んだところ、「なぜ日本人のためにどかなくてはならないのか」と激高し、日本人を追いかけ回すなどしたという。おまけに、駆け付けた警備員までもが「日本人はこの場所には入れない」と動画配信者に味方したらしい。 一部始終を配信していたこの中国人は、いわゆる「愛国ビジネス系配信者」だ。過去には航空機内で白人男性を挑発し、「差別された!」と大騒ぎする動画を上げたこともある。 「愛国」の名の下に迷惑行為を働き、その映像でアクセス数を稼いで金儲けをする輩だ。日本で言うところの「迷惑系ユーチューバー」の一種で、5月末に靖国神社の石柱にスプレーで落書きし、SNSに投稿した中国人動画配信者も同類だ。 実は、そんな愛国ビジネス系配信者の同類が日本にもいることはご存じだろうか。 この夏、有名な迷惑系ユーチューバーの男性が奈良公園を連日のようにパトロールし、彼が言うところの「鹿に暴力を振るっている」中国人観光客を見つけては、強い口調で注意し、その様子を「さらして」いた。 しかし、私が見た1つの動画では(確かに行儀は悪いが)足で鹿の脚と握手するような行為をしていただけで鹿を蹴ってなどいなかった。写真の説明には「中国人が鹿さんをサッカーボールのように蹴り上げた」とあったが、本当にそうなのか。中国人のマナーが悪いのをいいことに差別意識をあおっているのではないかと思った。 … (略) … 中国政府は円明園の事件後、「外国人差別は許さない」とのメッセージを出し、当然ながら深圳の事件後も「外国人の安全のため効果的な措置を取る」としたが、6月には江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが襲われる事件があったばかり。 政府が暴走を望まなくても、もはやそう簡単に火消しはできないだろう。数十年間の愛国・反日教育のツケが回ってきたのだ。 ― 引用終わり ― 中国南部の深センで、日本人の男子児童が男に襲われ死亡した事件を受け、柘植芳文外務副大臣は、訪問先の北京で事件の対応を協議し、反日的なSNS投稿の取り締まりなどを求めた。 9月23日、中国外務省は、反日的な投稿の有無について言及しなかったものの、「中国には反日教育はない」と指摘した。 男子児童が刺殺事件を受け、中国に拠点を持つ日本企業が駐在員の一時帰国を認めるなど、影響が広がっています。 パナソニック・ホールディングスは、現地に駐在している社員と、それに帯同している家族の一時帰国を認めると発表した。 帰国にかかる費用はパナソニックが負担する。帰国の開始時期は未定。 中国に約100名の社員が駐在している東芝は、現地の駐在員や出張中の社員に対して、大使館が発表した情報を共有するなど注意喚起を行っている。 深セン市で中国の自動車大手・BYDとの研究開発の合弁会社があるトヨタ自動車は「日本大使館と日本人学校が発信する情報をメールで駐在員と共有し、注意喚起している」。 「悲劇を繰り返すな」日本人男児殺害事件の再発防止を訴える―シンガポールメディアRecord China 2024年9月22日 7時0分 シンガポール華字メディアの聯合早報は20日付で、広東省深セン市で日本人男児が登校中に襲われて死亡した事件を受けて、事件が発生した背景への分析を加えた上で、類似の事件の再発防止を訴えるコラムを掲載した。 … (略) … 記事は次に「中国政府や各メディアは、抗日ものの映像作品などを使って、毎年日本が中国を侵略した出来事を繰り返し思い出させる。その目的は歴史を風化させないこと、そして民族の団結と自立を促すことのはずで、一般市民に現在の日本政府や日本人に過去の報復をしろと言っているわけではない。だが、これらの歴史や現実の衝突を促す素材は、ひとたびネット上にアップされてしまうと、閲覧回数やフォローの多さを追い求めるインフルエンサーの利益追求の動機が加わって、違った局面を作り出してしまう」と指摘した。 記事は続けて、「中国のネット上では『反日』とはバズるためのキーワードの一つになるからだ。無知な者がキーボードをたたいて英雄を気どり、愛国投稿をバズらせながら、現実への不満を晴らしている。中国のネット上では中国にある日本人学校に対する攻撃的な言動が形成され、日本人学校の付近を撮影し、中国から追い出そうと威嚇する動画を流すチャンネルもあるという。このようなチャンネルは政府の手で強制的に閉鎖されるが、多くの閲覧を獲得できるので、何度でも復活する」と指摘した。 記事はさらに「オンラインであおられた反日感情は、例えば『精日(精神日本人の略。精神的に自らを日本人とみなしている人物を指す)』と思われる芸能人の排斥や、北京市の円明園で中国人インフルエンサーが日本人観光客らに難癖をつけて追い回した動画のように、オフラインでの具体的かつ極端な行動へと移行してしまう。そして今、深センの事件が起きた。これは反日感情やポピュリズムが非常に極端な方向へ滑り落ちていることへの警鐘だ。 ポピュリズムによって危険な行為が引き起こされ、治安が破壊され、中国のイメージを損ね、外資参入すら危うくする。黙って見ているわけにはいかない。地域的な視点から見れば、日中両国民の反感の高まりはこの地域を不安定にさせるたくさんの種をまくことになる。中国の経済不振が反社会的な行為を助長し、愛国の名義を借りて個人的な憂さを晴らしていると論じる意見もある。もしそうだとしたら、非理性的な反日感情が間接的に中国の経済的矛盾の土壌を培養しているのではないか? 非常に心配な局面だ」と分析した。 ― 引用終わり ― 「反日」「抗日」はポピュリズムなどという一過性のものではなく、中国共産党政権の国策。自由主義の日米に対抗するため、共産党が必要だということを長期間、継続的に国民に訴える精神的支柱。 かつて「造反有理」という言葉があった。中国語で「造反に理が有り」という意味。正義を実現するための謀反側や反乱者に正義があるとしてて文化大革命で紅衛兵が掲げたスローガン。日本の学生運動でも使用された。 日本人をはじめ中国を害する可能性のある外国人を襲撃することは、中国を守り、発展させるために必要なことと考えることができる。 習金平政権が対外拡張戦略を改めない限り、中国の外国人無差別襲撃に遭う「悲劇が繰り返される」可能性に満ちている。 EV製造で新たな生産拠点を設けつつあるトヨタ、ホンダ、日産などの日系自動車企業は、中国の駐在員とその家族をどのように守るのだろうか。
2024年10月06日
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経済の膨張でGDP世界2位となった中国は、多くのことに自信をもって臨んでいる。 どれほど自信があっても、世界の軍民航空市場に参入することは容易ではない。 自動車はエンジンが止まっても死ぬとは限らない。壊れたら整備すれば済む。 航空機はエンジンにトラブルがあると墜落するため、一般に航空市場は、価格安さより実績と信頼を優先する。 航空産業で歴史も技術力もあるロシアでさえ、輸出向けの旅客機は欧米製のエンジンを搭載できるよう開発された。性能はそこそこながら欧米のエンジンに比べ耐用時間に大きな差があるとされる。 中国製の軍用ジェットエンジンは、そのロシアのバッド・コピーとされる。大きく、重く、低出力で、耐久性が低い(耐用時間が短い)ことで定評がある。 親中とされるセルビア、タイの軍事政権もアビオニクスが高性能であると称する中国製の戦闘機は購入しなかった。 セルビアはフランスのラファールを購入、タイはスウェーデンのサーブ・グリペンを購入した。輸出用としてダウングレードされた、堕ちる可能性も高い戦闘機にカネを費やすのは無駄と思ったのだろう。 2023年8月、ウクライナのゼレンスキー政権は、ロシアの脅威に対抗することを想定して開発されたグリペンの供与を求め、スウェーデンと協議を始めた。 価格は仏ラファールの4分の1なのに売れません…親中国家にもそっぽを向かれる中国戦闘機「殲10C」2024年9月23日 朝鮮日報 欧州の代表的な親中国家であるセルビアが、古くなったMiG29を代替する戦闘機としてフランスのラファールを選び、中国は腹が煮え返っている雰囲気です。これまで中国は自国製のJ10C(殲10C)輸出のため力を入れてきましたが、信用していた相手に裏切られたのです。ソーシャルメディアには「性能も対等で価格は4分の1という安さなのに、どうして鉄盟だという国がラファールを選ぶのか」という書き込みまでありました。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は8月29日、1泊2日の日程でセルビアを国賓訪問し、アレクサンダル・ブチッチ大統領と首脳会談を行いました。ブチッチ大統領は首脳会談直後の記者会見で、ラファール戦闘機の購入契約を公式発表しました。 中国のJ10Cは国際舞台の受注戦で連戦連敗を喫しています。J10CとスウェーデンのJAS39グリペンの間で悩んできたタイも、8月27日に「グリペンを購入する」と発表しました。習近平主席まで乗り出して力を入れていたサウジアラビアも昨年末、フランスのラファール戦闘機を買うと決定しました。 ■東欧の代表的な親中国家 バルカン半島の内陸に位置するセルビアは、ハンガリーと共に、東欧の代表的な親中国家といえます。中国の「一帯一路」プロジェクトに積極的に応じてきており、昨年はブチッチ大統領が中国を訪問して中国と自由貿易協定(FTA)を締結しました。習主席も今年5月、フランス訪問の直後にセルビアを答礼訪問しました。 セルビアは、中国産の兵器の輸入国でもあります。最近はHQ17AE(紅旗17)近距離防空システム、FK3中・長距離防空ミサイルなどを中国から購入しました。 セルビアは今回、12機のフランス製ラファール戦闘機を27億ユーロ、およそ30億ドル相当(現在のレートで約4300億円。以下同じ)で配備すると発表しました。1機当りの価格は2億5000万ドル(約360億円)になります。東欧の小国セルビアは、旧ソ連から購入したMiG29戦闘機14機が空軍の主力です。今回の契約で、2028年からラファール12機が配備されれば、MiG29は全て退役するといいます。 ■高価でも検証済みのラファールを選ぶ 中国はこれまで、複数のルートを通してセルビアにJ10Cを購入するよう打診し、破格の価格も提示したといいます。しかしセルビアの最終選択はラファール戦闘機でした。 J10は、米国の小型・多目的戦闘機F16を意識して作った単発戦闘機で、2005年に実戦配備されました。胴体の大きさや離陸重量などはF16と同等です。 J10Cは、初期モデルを改良して18年に登場したタイプで、アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーなど最新の電子装備を搭載したといいます。ただし、F16・ラファールなど競合機種より武装搭載量は少なく、実戦経験がないというのが弱点です。1機当りの価格は6000万ドル(約86億円)ほどで、ラファールよりはるかに安値です。 ラファールはインド、エジプト、カタールなどに輸出されたフランスの主力戦闘機。小型の機体ながら武装搭載量や機動性に優れ、空対空・空対地・空対艦などさまざまな役割を遂行できるのが強みです。リビア爆撃、アフガニスタン戦争、IS(イスラム国)攻撃などに投入され、実戦で性能は検証済みという評価を受けています。 ― 引用終わり ― 親中とされたミャンマーの軍事政権は、兵器の調達に関してロシア寄りとなっている。 2023年3月27日、ミャンマー国軍は、国軍記念日恒例の軍事パレードで、ロシアから新たに調達した戦闘機スホイSu-30などを披露した。ロシアとミャンマーは原子力発電所の開発に向けた協力覚書を締結するなど非軍事分野でも接近が目立つ。 高速鉄道で日本の裏切ったインドネシア・ジョコ政権のインドネシア空軍は、フランスと米国から戦闘機を購入した。 2012年から2017年にかけて米国から24機のF-16 C/Dブロック52戦闘機を購入したことが欧米製航空機によるインドネシア空軍現代化の契機とされる。 2022年2月にインドネシア空軍は、フランス製のダッソー・ラファール(Rafale)戦闘機42機を約1兆1,908億円(81億ドル)で購入する契約を結んだ。 2023年8月、ボーイングF-15EX双発機24機を米国から購入すると発表した。 韓国製T-50練習機の度重なる墜落で、「堕ちる飛行機」の購入にこりたのだろう。 世界の最貧国の一つとされるラオスのラオス人民軍は、ソビエト連邦製の航空機が主力となっている。中国資本で豊かになったら、安い中国製のジェット戦闘機を購入するだろうか?
2024年10月05日
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ゼロコロナ政策明けの中国は内需の低迷が続く中、製造業の過剰生産能力のはけ口を輸出拡大に求めている。中国の輸出攻勢に対し、相手国側は貿易制限の動きを表面化させている。 米国は鉄鋼やアルミニウム製品に加え、電気自動車(EV)や半導体などの中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げると発表した。欧州連合(EU)も中国製EVに対して追加関税の導入を検討している。 コラム:国際金融にも「チャイナ・ショック」途上国債務危機であらわにBy Felix Martin2024年3月5日 ロイター 発展途上国で進行中の債務危機は、世界経済について重要だが過小評価されている事実をあらわにした。数十年かけて世界一の輸出国として台頭してきた中国は国際金融の超大国でもあるということだ。 中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した後の「チャイナ・ショック」はよく知られている。世界経済を包括的に再編し、12億人の国民の生活水準を歴史上どの国よりも早く引き上げ、製品を破格の値段で世界に供給した。 しかし、マイナス面もあった。大部分の米国で非工業化を加速させ、保護主義への傾斜に拍車をかけたほか、いくつかの西側民主主義諸国における政治的メルトダウンを加速させた可能性がある。 現在は2度目のチャイナ・ショックが国際金融の場で起きている。20年にわたる経常黒字によって中国は世界最大の対外資産を蓄積することができた。製造だけでなく、金融でも世界の巨人となったのだ。 ― 引用終わり ― 世界銀行のアジェイ・バンガ第14代総裁は中国発展ハイレベルフォーラムで「中国の経済成長率が5%程度だとしても、世界の経済成長に対する中国の貢献度は30%にも達する。中国のような14億人の人口を抱える経済体は、世界の経済成長において重要な役割を果たすに違いないと私は信じる。」と述べた。 逆もまた真であろう。GDP世界2位の大国となった中国経済の低迷は世界に大きな影響を与える可能性が高い。 チャイナショック出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 チャイナショックまたは中国ショックとは、中国(中華人民共和国)及び中国人に端を発し、人々を震撼させる事件や事象のことである。主に中国でしか通用しないような常識が外国まで波及した時などに使用される。このチャイナショックは政治・経済・軍事など多岐にわたる。 近年話題となったチャイナショックとしては2007年の上海ショック、2008年に問題化した中国産食品の安全性や2015年の中国株の大暴落があり、さらに1990年代から2000年代にかけての中国からの輸出の急増もチャイナショックと呼ばれる。 中国では外国メディアを受け入れない場合があり、消費者が知りたい情報が手に入らないケースもあり、チャイナショック拡大に拍車をかける。このような中国側の対応によって、中国産食品の中毒問題の場合には消費者の中国産食品離れがすすみ、その後中国産野菜の輸入が激減した。しかしながら日本の場合、中国製品への依存度が高い分野が多く、中国製品の安全性問題は日本の安全保障に直結するので、チャイナプラスワンまたは中国以外での生産を加速させようという意見もある。また、中国との連携を強化してチャイナリスクを軽減し、チャイナショックが起こらないようにさせようという意見もある。 ― 引用終わり ― EVの生産過剰、販売不振により、EV駆動用電池に必須の素材であるリチウムの先物価格は2023年3月に急落した。同時期、コバルト価格も暴落した。 価格決定の事情は希少金属と異なるが、中国経済の悪化による需要の低迷が、原油市場にも「チャイナショック」を起こす可能性が濃厚となっている。 工業部門で発展を続けてきた中国は、世界の原油需要の伸びを牽引してきた。内需の低迷、外資の撤退により、中国の石油需要の伸びが期待できなくなれば原油は大きくだぶつき価格は下落する。サウジアラビアなど国家財政の大きな部分を原油に依存する中東諸国の政情を不安定にする方向に働く。 2024年7月16日、IMF(国際通貨基金)は「世界経済見通し(WEO)」の改訂版を発表した。 2024年の中国経済の成長見通しは今年4月の発表時より0.4ポイント上昇し、5%になる見込みという。4月16日に発表した「世界経済見通し」では、2024年の世界経済の成長率を3.2%、中国の経済成長率を4.6%と予測していた。 度重なる洪水などの大規模自然災害で内需が伸びるというのだろうか?たんに中国政府の発表値に合わせたのだろうか。
2024年07月25日
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2021年、中国の不動産開発大手デベロッパー・恒大集団(エバーグランデ)は初のデフォルト(債務不履行)に陥った。2023年6月時点の恒大集団の負債総額は2兆3882億元(約48兆円)で、6442億元(約13兆円)の債務超過。 2023年10月、中国不動産開発業界最大手の碧桂園(カントリーガーデン)が、1500万ドルのオフショア債の利払いを延滞し、でデフォルトが判明した。 3年間続いた政府のゼロコロナ政策のために、たくさんの中小零細企業が倒産し、若者の失業率は大きく上昇し、不動産市場の供給過剰が顕在化した。 その不動産不況が、金融セクターに波及し始めている。現在、その中心にあるのが、銀行ではない金融機関・商品、「シャドーバンキング(影の銀行)」。 とりわけ不動産バブルと歩みを共にした信託業界が焦点となっている。 中国最大級の資産運用会社の一つである中植企業集団の傘下にある、信託会社・中融が組成した高利回りの信託商品でデフォルト(債務不履行)が生じたと、顧客3社が2023年8月11日に明らかにした。中融は中国で9番目に大きな信託会社。 中国シャドーバンキング大手が破産申請:債務超過は5兆円規模か#木内 登英2024/01/11 NRI 北京市第一中級人民法院(中等裁判所)は1月5日に、中国のシャドーバンキング(影の銀行)大手の中植企業集団破産申請の受理を決定した。同法院によると、中植企業集団は期限までに債務を返済できなかったほか、すべての債務を償還するのに必要な資産が不足しているなどの理由で破産申請を行ったという。今後は「企業破産法」に基づき、破産清算手続きが進められる見通しだ。最近の中国では、最大級の規模の企業破綻となった。 ― 引用終わり ― これまで破綻しないと信じてきた国民心理や中国の株式市場は、投資についての不安を増している。 3月9日、中国の倪虹(げいこう)住宅都市農村建設相は、債務超過に陥った不動産企業について「破産すべきものは破産し、債務再編すべきものは再編すべき」と発言した。政府保証はなかった。 米国をはじめとする自由主義経済と対立を深める中国経済は、GDP世界2位、世界の工場、経済成長の新たな牽引車から世界経済発展の重石に転換している。 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight世界経済の中期見通し①:中国経済が世界経済の重石に2024/04/25 NRI … (略) …中国の成長率は下方に大きく屈曲 世界経済の成長率のトレンドを押し下げる要因の中で、主なものとしては、労働力の増加率低下、設備投資の抑制、地政学リスクの上昇による市場の分断化、非効率な資源配分とそれを促す政府の規制、補助金政策などが考えられる。 これら諸要因が重なり、成長率の低下傾向が最も顕著となっているのは中国だ。2021年の人口減少の始まり、民営企業に対する政府の規制強化、米国との貿易摩擦を受けた先進国市場へのアクセスの後退などに加えて、足もとでは不動産不況が中国の成長率を押し下げている。 2023年の中国の実質GDP成長率は、ゼロコロナ政策の影響で大きく落ち込んだ前年の反動で、+5.2%と政府目標の5%前後に達成したが、2024年は+4%台に低下することが見込まれる。成長率を押し下げているのは、2022年頃から深刻化し始めた、不動産不況の影響である。しかし政府は、不動産開発業者を直接支援して住宅建設を促すなどの積極措置を講じることには依然慎重であり、不動産不況の出口はまだ見えていない。 ただし、中国経済の躓きは、近年のゼロコロナ政策の影響や不動産不況の影響によるものだけではない。中国は1970年代末から約30年にわたって平均10%程度の高成長を維持してきた。いわゆる「奇跡の高成長」である。しかし、2010年頃から成長率のトレンドは下向きに転じていった。成長率の下振れは、10年以上も前から始まっていたのである。 その背景にあるのは、農村部の余剰労働力の枯渇やそれに伴う賃金上昇だ。それによって、海外企業が中国の沿岸部に投資を拡大させ、安価な労働力を用いて生産を拡大し輸出主導で成長する、「世界の工場」という中国のビジネスモデルが次第に成り立たなくなっていった。 さらに、2022年からは人口減少が始まり、2016年に一人っ子政策を廃止したにもかかわらず、想定以上のペースで少子化が進んでいる。中国国務院は、中国の人口は2024年の14億2,500万人程度から、2035年に14億人、2050年に13億人にまで減少すると試算している。さらに、国連は中国の2100年の人口が7億6,667万人にまで減少すると試算する。 また、2018年以降は米国との貿易摩擦が激化し、米国及び先進国市場から中国が次第に締め出されていること、そうした中、中国政府は国内経済よりも米国への対抗という安全保障をより重視していることも、経済の低迷を助長しているだろう。 ― 引用終わり ― 2024年に入って中国では、長期国債の利回りが急低下し、国債市場の過熱。10年国債利回りは6月末に2.1%台まで低下した。これは、2000年以降で最も低い水準とされる。 政府の不動産バブルの解消はバブル経済の崩壊を招き、政府の統制強化による外資の撤退と相まって経済は急速に縮小、頼みのEV販売のみならず自動車市場が縮減している。中国政府が初回の購入者を対象に頭金の比率を引き下げるなど低迷する不動産・建設部門の支援策を打ち出したのを受けるかのように、5月、上海市、杭州市、西安市は、住宅購入の条件を緩和するなど、不動産市場のてこ入れ策を発表した。6月の新築住宅価格は約9年ぶりの大幅な下落率を記録、不動産投資も減少と7月15日、ロイターが報じた。 内需の柱である不動産価格の底入れがみられない中、中国人民銀行は、長期国債の利回りの安定確保に乗り出し、7月1日に、公開市場操作(オペ)で近く国債を買い入れると発表した。 中国人民銀行が国債売却へ:中国版シリコンバレーバンク破綻も警戒か#木内 登英2024/07/11 NRI中国で長期国債の利回り低下が加速 中国では今年に入ってから、長期国債の利回りが急低下し、国債市場の過熱が目立ってきている。10年国債利回りは6月末に2.1%台まで低下した。これは、2000年以降で最も低い水準と考えられる。2013年末の4%台半ばをピークに10年国債利回りは低下トレンドを辿っているが、足もとではその低下ペースが加速している。これは、中国経済の低迷と平仄を合わせた動きだ。 利回り低下の背景には、不動産不況などを受けた景気の低迷、物価上昇率の低下、中国人民銀行(中央銀行)による金融緩和観測、リスク回避(質への逃避)などがある。 利回りの低下には、低迷する国内経済を下支えする効果が期待される一方、人民元安を促し、それが国内資金逃避を後押ししてしまう可能性や、米国から通貨切り下げ批判を受けるなどの弊害がある。さらに、行き過ぎた利回りの反動で、利回りが大きく上昇すれば、国債を保有する金融機関に含み損が広がり、金融システムを不安定化させる可能性もある。昨年米国で生じたシリコンバレーバンク(SVB)の破綻のようなことが中国で生じることが懸念されている。 中国人民銀行が国債を借り入れ売却を準備 そこで、中国人民銀行は、長期国債の利回りの安定確保に乗り出した。人民銀行は7月1日に、公開市場操作(オペ)で近く国債を借り入れると発表した。借り入れた国債を市場で売却することで、利回りの低下をけん制するためだ。中国人民銀行は、「債券市場の健全な運営を維持するため、市場の形勢を慎重に観察した上で、近くオペを通じて一部の金融機関から国債を借り入れることを決めた」とのコメントを発表した。 人民銀行の潘総裁は6月19日に、金利上昇による保有債券の含み損が一因となって破綻したSVBを例に挙げて、「一部の金融機関の大規模な中長期債券保有に伴うリスクに注意しなければならない」と過度の国債買いに警鐘を鳴らしていた。 人民銀行は7月5日に、複数の主要金融機関と「数千億元」相当の中長期債を自由に借り入れられる契約を締結したことを明らかにした。 ― 引用終わり ― 政権の思惑通り住宅価格は下落を続けている。住宅購入者の不満は抑え込んでいるのだろう。住宅建設工事は進まず、製鉄不況、建築資材不況が発生、EV、太陽光発電パネルは過剰生産の整理が始まり失業者の増加に輪をかけている。 中国は金融と生産手段公有で社会主義化への道を驀進している。 頻発している大洪水は、経済面からみれば経済の拡大要素。中国政府が意図的に起こしているとは思われないが。
2024年07月21日
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経済の停滞、雷雨喘息、北部の干ばつ、南部の洪水など内政の不安定化と反比例するかのように、中国の他国の領海、EEZで海洋進出が盛んになっている。 2024年1月から4月までの日本沖縄・尖閣沖関係だけでも、下記の通りだ。 1月11日、中国公船4隻が領海侵入、1月27日、中国公船2隻が領海侵入し日本漁船に接近、2月6日、中国公船4隻が領海侵入、3月20日、中国公船4隻が領海侵入、3月28日から3月30日まで、中国公船2隻が領海侵入し日本漁船に接近、4月5日、中国公船2隻が領海侵入し日本漁船に接近、4月12日、中国公船4隻が領海侵入、4月25日、中国公船1隻が領海侵入し日本漁船に接近、4月26日、 中国公船2隻が領海侵入し日本船舶に接近、4月27日、中国公船2隻が領海侵入し日本船舶に接近。 中国はフィリピン領海でも進入を繰り返している。 6月17日、中国海警局は、フィリピンの補給船が南シナ海セカンド・トーマス礁の周辺海域に違法に侵入し、故意に危険な方法で中国船に接近した結果、両船が接触したと表明した。 フィリピン軍は、中国の船舶がフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で違法に活動していることが引き続き大きな問題だと主張した。 中国は台湾を自国の領土としているが世界平和のためにも、極東アジアの平和のためにも、歴史の古い中華民国と新興勢力である中華人民共和国の二つの中国を認めるときが来ているようだ。 台湾の頼総統就任以降、中国は台湾への威圧行為を繰り返している。中国人民解放軍は5月23日から2日間にわたり台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。 台湾との関係を深める日本に対しても、中国の呉江浩駐日大使は、台湾独立に日本が加担すれば「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」と発言し、日本への恫喝も行っている。 台湾は中国との戦争を求めておらず抑止力構築目指す=国防部長ロイター 2024年6月17日 15時19分 台湾の顧立雄国防部長(国防相)は17日、中国との戦争を求めておらず、中国による台湾占領を難しくするために防衛・重層的な抑止力を構築することが台湾の政策だと述べた。 中国が攻撃を仕掛けてきた場合、台湾は米国の支援なしでどの程度の期間持ちこたえられるのかと記者団から質問された顧氏は「どれくらい持ちこたえられるかという問題ではない。われわれの戦略・前提はマルチドメイン抑止力を構築するための非対称戦争であり、その過程で中国の侵略能力を弱めることだ」と述べた。 また、台湾海峡の緊張を引き起こす「トラブルメーカー」は中国だと指摘。「われわれが戦争を求めたことはない。われわれの戦略全体が防衛作戦であることは明確だ」と語った。 ― 引用終わり ― 中国南部では豪雨により洪水や土砂崩れが発生し、5月中に数百万人が被災した。 米加日比、南シナ海で合同演習実施ロイター 2024年6月17日 20時13分 米国、カナダ、日本、フィリピンは南シナ海のフィリピンの排他的経済水域で2日間にわたって合同海上演習を行った。米太平洋艦隊が17日発表した。 「航行と飛行の自由を守り、地域の安全保障と安定を強化する4カ国の取り組みを再確認する」ことが目的としている。 4隻の軍艦が参加し、軍の原則、戦術、技術、手順の相互運用性をテストし検証するための一連の海上演習が行われたと説明した。 ― 引用終わり ― 6月17日、南シナ海のアユンギン礁周辺で中国とフィリピンの船舶衝突が発生。中国による攻撃的行動でフィリピン兵7人が負傷し、うち1人が指を切断したとし。銃8丁を押収されたと報じた。 6月23日、フィリピンのマルコス大統領は、南シナ海のアユンギン礁で中国との衝突により負傷した兵士など80人に勲章を授与し「激しい挑発の中、最大限に自制して航行した80人の将兵に敬意を表する」と称賛した。 6月21日、中国当局は「台湾独立派」による「国家分裂」行為を処罰する司法手続きの指針を発表し、死刑を科すことも可能とした。 台湾で民主進歩党(民進党)の頼清徳総統が就任してから中国は、「台湾独立派」とみなす頼政権への〝恫喝〟を激化する一方。 中国南部の広東省、福建省などで1週間以上にわたって記録的な大雨が続き、6月20日までに13人が死亡し、17人が行方不明になっていると、中国・国営中央テレビが報じた。中国の海洋進出、対外進出は続く。
2024年06月28日
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2024年1月24日、香港金融管理局(HKMA)と中国人民銀行(PBOC、中央銀行)は、香港と中国本土間の金融協力を深化させるための政策を次のとおり6つ公表した。1.HKMAの人民元流動性ファシリティーの適格担保リストに、中国本土で発行された国債や中国の政策銀行が発行した政策銀行債を含める。2.中国本土のインターバンク債券市場に既に参加している域外機関投資家〔中国本土と香港間の債券相互取引(ボンド・コネクト)に参加する投資家を含む〕のオンショア・レポ取引への参加を可能とする。3.広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)での「越境理財通(クロスボーダー・ウェルスマネジメント・コネクト)パイロット・スキームの実施改善を公表する。4.香港・マカオ住民が粤港澳大湾区内の中国本土の住居を購入する際、越境決済を円滑化する措置を実施する。5.域内外の信用状況を照会する業務の協力を推進し、企業の越境資金調達を円滑化する。6.香港でデジタル人民元の越境利用を拡大する。 決算の内容が不確定な企業に貸し込んでいる金融機関が統合・連携されたとしても、資本力の充実が図れると思えない。 3月5日、中国政府は全人代(全国人民代表大会)で、金融リスクと「隠れた危険」を防ぐ対策を強化すると表明した。 李強首相は全人代での政府活動報告で、「症状と根本原因の両方に対処」することで、不動産セクターと地方政府債務、中小金融機関のリスク解消を目指すと述べた。また、企業や政府の担当者がリスク削減の責任を果たすよう協調を深める方針も示した。 李首相は不動産政策を向上させ、デベロッパーの正当な資金需要に応えていくとも説明した。経済音痴の習金平政権に、自らの手で徹底的につぶした不動産バブルに関する反省はない。 3月18日、国家金融監督管理総局は、金融リスクを抑制するため、消費者金融会社の規制強化を発表。住宅と自動車購入以外の消費者金融を提供する企業は、2014年の規制で義務付けられていた最低資本金3億元の3倍以上となる最低10億元(1億3900万ドル)の登録資本金を保有すること必要になる。 金融リスク削減のため、貸し手を整理統合しようとする意図らしい。「金融」の機能を全く理解していない者の試みだ。 規制強化は来月発効するが、アナリストや業界幹部は国家金融監督管理総局が実施規則を準備するため、数カ月から1年の猶予期間が設けられると予想している。 4月16日、国営の中央テレビ(CCTV)は、財政省や国家金融監督管理総局(NFRA)、中国証券監督管理委員会(証監会)が立ち入り検査の対象となると報じた。 中国工商銀行をはじめとする中国最大級の国有金融機関や、上海と深圳の証券取引所も調べられるという。 中国政府が国有の大手銀行や中国人民銀行(中央銀行)、主要規制当局に対する新たな反腐敗検査を始めた。金融界に衝撃が広がっているという。 金融の腐敗を除去しても、悪化した中国経済は良好に転換することはない。 4月20日、中国人民銀行(中央銀行)は、住宅ローン金利の目安となる事実上の政策金利を0.25%引き下げた。5日に1兆元(約21兆円)の長期資金を市場に放出したことに続く緩和策となる。中国政府は不動産市場の低迷で地方財政が逼迫し打つ手が狭まる。金融政策を通じて住宅販売のてこ入れを急ぐ。 中国の銀行員に「減給の嵐」“残るも地獄、去るも地獄”の現実―中国メディアRecord China 2024年5月26日 中国メディアの澎湃新聞はこのほど、中国の銀行では職員の給料が激減している話題を紹介した。銀行に残っても、賃金がさらに下がる可能性は否定できない。「これではやっていけない」と離職する選択肢もあるが、リスクが伴う。いずれにせよ、一時は「この世の春」を謳歌した銀行員は、厳しい状況に直面している。 幹部の発言とは裏腹に改善待遇は期待できない状況 中国西部のある地方銀行で顧客マネージャーを務めるZさんは、保険料などを差し引いた5月の給料の手取り額が1000元(約2万2000円)に満たない計算になった。4月には2000元を超えていたから、半減以下だ。Zさんの手取り給料は、過去には1万元(約22万円)を超えることも珍しくなかった。 中国のインターネットSNSでは、銀行業界の賃金引下げを論じる投稿が激増し、あるSNSでは閲覧回数が100万回を突破した。上海に拠点を置いて関連企業や一般向けに金融情報を提供するWindによると、2023年にはA株上場銀行の42行のうち14行が行員一人当たりの報酬を引き下げた。下げ幅は最大で13.95%だった。 鄭州銀行の趙飛董事長(会長)は業績説明会で、資源の最適化とコスト削減と効率向上を実施すると述べ、役員報酬は24年から2年に分けて毎年10%引き下げ、現場の行員の賃金を引き上げるなどで収入格差を圧縮すると説明した。 しかし現場行員の説明では、手取り賃金の増加は望めそうにもない状態だ。前出のZさんによると、担当する業務のうちで預金関連では、預金を獲得するたびに「歩合」が得られる。しかし金額は以前に比べて9割以上も下がった。 給料減額のあの手この手の仕組みが また、Zさんが務める銀行では、毎年の業績給のうち一定割合は翌年以降に支払われる。この方式自体は労働契約に明記されているが、今年の場合は契約の基準より減額された状態が続いている。銀行側は、減額分は後で支払うと説明しているが、具体的な時期は知らされていないという。 Zさんによると、銀行側の業績考課の方式も変更された。複数のタスクが設けられるが、かつては一つのタスクが未達成でも他のタスクが超過達成していれば、差し引きで計算されるので、全体としてタスク達成と認められることがあった。しかし現在は、差し引き計算は行われていない。また、銀行側が達成困難なノルマを設けるようになった。 また、個人融資関連の業務でも、契約を獲得すれば数百元を得ることができるが、不良債権が1件でも出ると、給料が半年連続で減額される。銀行側は融資業務を伸ばすために「大胆に融資せよ。不良債権を出しても責任を問わない」と言っているが、とても信用できないという。Zさんは、務めている銀行について、貸し倒れ率はこれまでとほぼ同様だが、貸し倒れ件数は増えており、新規貸し倒れの多くが個人向けの小口融資と説明した。銀行側が融資を伸ばせと求めても、初めて会った人が優良顧客かどうか見極めるのは極めて難しいいので、自分自身のリスクを考えれば、上からの求めに応じることは「基本的に不可能」という。 また、銀行の企業向け業務でも収益性は落ちている。銀行間で優良企業の顧客を奪うためには、貸出金利を下げるしかなく、顧客を引き抜くために、企業に対する与信枠を大きく設定し、低い金利で融資を出す銀行もあるという。Zさんは、多額の融資を行うことはできるが金利が低いために収益にはつながらず「仕事を回しているだけ」と説明した。 本社との関係もあり人件費を縮小せざるをえない支店の事情 現場の行員の給与水準の低下について、国有系大手銀行の中国南部にある支店の責任者であるWさんは、本社の上級管理部門による分配の方式に関係すると説明した。本社は各地方支店に対して、設定した基準を達成できたかどうかで、利益の還元を行う。しかし現在は経済悪化のため地方支店の基準達成は困難で、本社から地方支店に還元される報酬が減少した。このことが行員に対する報酬の総額に影響が出ている。 また、本社から地方に対する「還元」の計算方式も変更された。Wさんによると、かつては支店が利益を1万元(約22万円)増加させれば、本社から200元(約4300円)が還元された。しかし現在では還元額が180元(約3900円)になった。このため、行員が以前と同じ実績を達成しても、給与は減額される可能性があるという。 ― 引用終わり ― 2024年1月30日、中国財政省は、地方債の発行状況と債務残高に関する2023年12月分の報告書を公表した。それによれば、2023年末時点の地方債の発行残高は総額40兆7373億元(約840兆6671億円)。地方政府が発行する地方債の残高は2023年末時点で40兆元(約825兆4520億円)を突破し、年間の支払利息が1兆2000億元(約24兆7636億円)を超えた。 地方政府も中央政府の方針に沿って施策を展開すべく借金漬けになっている。 習金平独裁政権の一連の取組で、資本逃避、資本隠しが一段と強まり、中国経済は加速度的に縮小することだろう。 国の統制が強まることにより国民の消費に対しる警戒感は強まり、国内産業における国営企業の占める比率の高まりもあり、低成長の経済が長期化する可能性が大きい。 チャイナ・リスクに備えよ『中国不動産バブル』 崩壊で中国では年金減額の恐れも <聞きたい。>柯隆さん(東京財団政策研究所主席研究員)2024/5/19 産経新聞 未完成のマンション、ゴーストタウンのような大型開発地-。中国の国内総生産(GDP)の3割を占めるとされる不動産関連産業の不況が長引き、不動産バブルが崩壊したかどうかを巡って専門家の意見が分かれる中、エコノミストの著者は「2023年に崩壊した」との見方を示す。 バブルの象徴といわれる不動産開発大手、中国恒大集団が21年に初のデフォルト(債務不履行)に陥って以来、同社や同じく開発大手の碧桂園(へきけいえん)の経営悪化が繰り返し報じられている。なぜ崩壊時期を23年とみるのか。 「バブルはいくつかの要因が重なったときに崩壊する。コロナ禍が収束しても経済は回復せず、多くの中小企業が倒産し失業率が上がるとみな消費を控えた。不動産を買う人が減る一方、海外移住する人が手放し、売りが買いより増えた。全体的にデフレになり不動産価格も下がったが、こうした動きに対して政策が打たれていなかった」 ― 引用終わり ―
2024年06月08日
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EU(欧州連合)は2023年10月、中国製の電気自動車(EV)について、中国政府による企業への補助金が欧州企業との公正な競争を阻害していないか調査を開始した。 2024年2月に列車製造会社、4月には風力発電用タービンや太陽光パネルを製造する中国系企業に同様の調査を実施すると発表している。 EUは中国の不況による余り物の輸出、原価と売価のバランスを失した極めて低価での輸出産品、「失業の輸出」を警戒している。 安価な中国の産品を受け入れた場合、自国の関連事業者が倒産、失業することにつながるからだ。 なぜ最近「激安の中国製品」が大量に出回っているのか…「世界の工場」がお荷物と化した習近平政権の自滅プレジデントオンライン 2024年4月15日■米国の財務長官が直接“警告”する異例 4月5日、広東省広州市の米国商工会議所にてイエレン米財務長官は、「中国の過剰製造能力が世界経済に及ぼす影響に対する懸念が高まっている」と述べた。米国の財務長官が自ら中国を訪問し、過剰生産能力の増加は世界経済のリスク要因になりつつあると表明した意味は重い。 イエレン財務長官の真意は、「中国の習近平政権が国内の需要不足を輸出の増加で埋め合わせようとすると、世界的な不均衡で貿易戦争が勃発しかねない」と中国政府に直接言いたかったのだろう。それほど、中国問題は深刻化する可能性があるということだ。 ■余った安い製品をどんどん輸出している 足許、中国では不動産バブル崩壊の深刻化によって、不良債権は大きく膨らんでいる。人々の節約志向は高まり消費は低迷し需要が低迷する一方、中国政府は生産能力の強化を加速している。当然の結果として、過剰生産能力の増加に拍車がかかる。本来、中国政府は金融緩和に加え財政出動と規制緩和などを強化し、需要を喚起することが必要なのだ。 しかし、中国政府は重要喚起策には慎重で、政府系企業などの生産能力をさらに強化する方向に向かっている。現在の経済環境下で供給力が増大すると、国内で余った安価な製品を輸出に向けることになる。 主要先進国は自国企業を守るため、中国製品への関税引き上げなどの必要性は高まる。欧米の対中圧力に、中国も無策でいられない。中国政府は報復措置を打ち出し、世界的な貿易戦争が勃発、熾烈化する危険性は上昇傾向にあると考えられる。 ■「不当な価格競争の圧力が及んでいる」 イエレン米財務長官の中国訪問の主たる目的は、中国の過剰な生産能力が世界経済のリスク要因になる懸念を伝え対応を求めることだった。米国の財務長官自ら中国を訪問したケースは珍しい。 イエレン氏は、「主要な企業に対する支援は、政府の産業育成と強く関連していることを理解している」と発言した。中国製造2025などの産業振興策の強化もあり、中国企業の生産能力は、国内外の需要を上回る部分が増えているとの認識も示した。 その上でイエレン氏は、米国、メキシコなどに不当な価格競争の圧力が及んでいると強い懸念を表明した。中国政府は、過剰生産能力の問題に適切に対処し、市場原理に基づいた改革を推進する必要性も高いと指摘した。 ― 引用終わり ― 2024年5月に行われた中国の習近平国家主席訪欧の焦点の一つは、貿易を巡る欧州との対立を緩和できるかどうかだった。EUは、中国による輸出攻勢を国家の補助金を利用した「不公正」なものだと批判し、中国系企業を標的にした調査を連発しており、5月6日のフランス大統領、EU委員長との会談でも双方の溝は埋まらなかった。だが今後、中国が報復に打って出れば、欧州各国の足並みが乱れる可能性もある。 5月9日、中国の習近平国家主席は、ハンガリーの首都ブダペストの宮殿でシュヨク大統領と会談した。 会談で習主席は「中国とハンガリーの関係は現在、史上最高の状態にある」としたうえで、「政治的相互信頼を深め、協力を強化する用意がある」と伝え、関係をさらに強化したい考えを示した。 5月9日の共同記者会見後のオルバーン首相の声明によると、ハンガリーは常に中国と相互尊重に基づく友好関係を維持してきたと強調し、過去20年間の両国間の経済関係の発展をたたえた。 中国は欧州域外で最も重要な貿易相手国で、両国間の対外貿易額は過去12年間で4倍に増加した。中国は2023年にハンガリーの最大の対内直接投資相手国だった。 習氏がハンガリー首相と会談さらなる緊密化アピールBy Anita Komuves、 Boldizsar Gyori2024年5月10日 ロイター 欧州外遊の締めくくりとしてハンガリーを訪れた中国の習近平国家主席は、オルバン首相との会談後、両国の関係は今後「黄金の旅」に乗り出すことになると語り、一層の緊密化をアピールした。 中国に対して一部欧州諸国が依存度を下げることを検討している中で、ハンガリーは中国にとって投資や貿易の面で重要なパートナーとなっている。 ― 引用終わり ―
2024年06月07日
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2024年5月20日、中国共産党の意向に反し、民進党の 頼清徳(ライチンドォー) 氏が中華民国の総統に就任した。1996年の総統直接選挙導入後、同一政党が3期連続で政権を担うのは初。 2024年2月14日、金門島沿岸で、台湾当局の取り締まり中に中国の漁船が転覆して乗組員のうち2人が死亡した。中国側は台湾当局に謝罪や責任の追及を要求し続けた。その後、中国・海監の船が「禁止水域」を航行したことが確認された。 2月18日、2人の死亡を受け、中国・海警局が周辺海域でパトロールを開始すると発表した。 2月19日、中国・海警局員が、台湾の観光船(乗組員11人・乗客23人)に乗り込み、航路計画、証明書、乗組員免許を確認し、約30分後に立ち去った。 2月20日、台湾は、実効支配する金門島付近で領海に侵入した中国海警局の艦船を追い払ったと表明した。 3月8日、台湾で対中国政策を担当する大陸委員会は、台湾が実効支配する金門島付近に警備艇を送り込んで「現状」を変更しようとするのをやめるよう中国に要求した。 3月15日、中国・海警局の船が、台湾の離島、金門島の沿岸に台湾当局が設定している「禁止水域」に初めて進入した。中国海警局は、金門島付近の海域を「法律に基づいてパトロールした」と発表し、航路を赤い線で示した資料をホームページに掲載した。海警局は「禁止水域」での航行を続ける構えを示し、台湾の民進党政権への圧力を強める姿勢を示した。 中国政府は、台湾の離島、金門島周辺の海域で遭難し、中国福建省の沿岸で3月18日に発見された男性のうち1人が台湾の現役軍人だったとして、関係部門による調査を行うことが3月22日に発表された。 国際法を無視した海洋進出を続ける中国は、プーチン・ロシア大統領やネタニヤフ・イスラエル首相に先んじて、世界大戦の引き金を引くことも辞さないとの姿勢の表れだろうか。 香港の圧政を見聞きし、様々の中華人民共和国からの圧力を感じた中華民国・台湾の国民は、中華人民共和国の軍門に下ろうとは思うまい。 内政の延長では外交は動かないが、そんなことも理解できないほど、不動産バブル崩壊で家の入手が困難になった者たち、外資の撤退で失業した者たちの不満への対応に、習政権は苦慮しているのだろう。 とりあえず習金平国家主席の経済音痴は本物とみた。 中国、台湾次期政権へ圧力強化=頼総統就任まで1週間時事通信 2024年5月12日 頼清徳・台湾次期総統の就任式まで13日で1週間。台湾の離島・金門島沿岸の水域では、5月に入ってから中国の海警船が4回にわたり編隊を組んで航行した。挑発的な行動は、習近平指導部が「台湾独立派」と敵視する次期政権に対する圧力の一環とみられ、台湾当局は警戒を強めている。 台湾の海洋委員会海巡署(日本の海上保安庁に相当)は6日、「最近、中国海警局の船が隊列を組んで意図的に金門島水域を航行している」と発表。同署によると、9日には海事部門や漁業部門の公船も初めて加わり、10隻余りが沿岸水域に展開した。 台湾当局は、実効支配する金門島の沿岸に「禁止水域」と「制限水域」を設定し中国船の進入を規制している。海巡署は11日、「総統就任式期間の国家の安全を確保するため、強力な掃討計画を実施する」と発表。金門島を含む三つの離島で巡視艇や人員の配置を増やし、取り締まりを強化した。 1月の総統選で中国と距離を置く民進党の頼氏が当選して以降、中国はさまざまな方法で台湾への圧力を強めている。金門島周辺では、中国漁船の転覆死亡事故をきっかけに海警船が「パトロール」と称して台湾側水域へ進入するようになったほか、台湾の観光船に対して異例の乗船検査も実施。気球の台湾上空通過や、台湾海峡上空の民間航空路の一方的な変更などもあった。 外交面でも、頼氏の当選直後の1月に南太平洋の島国ナウルが台湾と断交し、中国と国交を樹立。外交関係を結ぶ国の切り崩しが続く。 中国の狙いを、民進党関係者は「民進党政権は中国にうまく対応できないと印象付けることで、世論を揺さぶることだ」と指摘する。4月に習国家主席が親中的な最大野党・国民党の馬英九前総統と会談したり、国民党訪中団に対して当局が台湾観光の部分再開を伝えたりしたことも、揺さぶりの一部とみられる。 ― 引用終わり ― 1月20日に台湾総統選で勝利した与党・民進党の 頼清徳 氏(64)が、5月20日、台北市の総統府で就任の宣誓を行い、 蔡英文 氏(67)の後任として第16代総統に就任した。 就任演説で頼氏は中台関係について、中国との統一でも独立でもない「現状維持」を表明した。 頼氏はその後の就任演説で、「中国が尊厳のある原則の下で対話と交流を進めることを期待する」と呼びかける一方「平和を追求するが、幻想を抱くことはできない」と述べ、防衛力の強化を進める方針を示した。「台湾は中国に隷属しない」と主張し、「一つの中国」原則を受け入れない考えを示した。 5月21日、中国外務省の汪文斌報道官は記者会見で、頼清徳総統の就任式典に日本などの議員が出席したことに対し、「中国の内政への乱暴な干渉だ」と反発した。 日本と韓国、英国にある中国大使館がそれぞれ「断固とした反対」を表明し、各国に抗議したと表明した。 金門島は中国南東部、福建省アモイ市の10kmほど沖合にある。中国大陸側の支配地域とは最小2.1km。台湾本島からは200km離れている。 1949年の中台分裂で国民党政権が台湾に逃れた後、1949年の古寧頭戦役や1959年の金門砲戦を経て防衛に成功、台湾側が島を実効支配している。金門と福建の間では1979年まで海を挟んで砲撃戦が交わされていた激戦の地だった。 金門島には、中国軍によって47万発もの砲弾が撃ち込まれたという。その砲弾の弾殻を包丁の材料として再利用した。「金門包丁」は、切れ味のよさで好評だという。 1992年11月7日の戒厳令解除後、特に三通政策の実施後は、中国大陸から多くの観光客が訪れる島となった。 2001年、中台双方が歩み寄り、アモイからの船便が解禁され、中国から多くの観光客が金門島を訪れるようになった。 2018年8月、福建省側から金門へ水を供給する海底送水管が開通して、金門島の中国への依存度は一段と高まった。
2024年05月23日
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不動産バブルを崩壊させた経済音痴の習政権は、重要閣僚の更迭が続き、国家主席の独裁の度を強めている。 2023年7月中国の秦剛前外相、就任から半年余りで突然、解任された。 9月19日、米・ウォールストリートジャーナルは、秦氏がアメリカで大使を務めていた際、不倫を続け、現地で子どもをもうけていたことが解任につながったとしたうえで、国家の安全について情報を漏らした可能性についても調査の焦点となっていると報じた。解任の理由は「生活スタイルの問題」とされた。 2024年2月27日、秦剛前外相が全人代代表(議員)を辞任したと全人代常務委員会が発表した。理由は明らかにされなかったが汚職疑惑があると報じられた。 2023年10月、ロケット軍をめぐる汚職疑惑が取り沙汰された李尚福前国防相が解任された。 約2カ月間も後任不在の後、12月29日、全時代常務委員会は、中国海軍の前司令官である董軍(とう・ぐん)氏が国防相に就任する人事を決めたと、中国国営新華社通信が報じた。 軍の汚職疑惑では、12月27日、宇宙開発に携わる国有企業、中国航天科技集団の呉燕生会長ら軍需関連企業の幹部3人の政協委員資格を人民政治協商会議(政協)が取り消すことを決めたと、香港紙「明報」が報じた。 習政権は、外交・軍事の重要閣僚がそれぞれ就任から半年余りで解任されるという異常事態が続いた。閣僚に任じられた主流派が更迭、粛清されるのは極めて異例。 そして、2024年5月18日、農業農村相の唐仁健氏(61)が重大な規律・法律違反の疑いで調査を受けていると中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会が発表した。 中国、農業農村相が規律違反疑い現職の閣僚級調査は異例共同通信 2024年5月18日 中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は18日、農業農村相の唐仁健氏(61)が重大な規律・法律違反の疑いで調査を受けていると発表した。現職の閣僚級が調査されるのは異例の事態だ。違反の内容は明らかにしていないが、汚職に関わったとみられる。習近平指導部は汚職を摘発する反腐敗運動を強化している。 唐氏は広西チワン族自治区の幹部や甘粛省の省長などを歴任し、2020年に農業農村相に就任。今月15日には陝西省で開かれた農村部の人材育成に関する会議に出席していた。 ― 引用終わり ― 国家主席への権限の集中で、現職閣僚の更迭が続いても中国共産党のトップの責任は問われない。 中国の経済は停滞するが軍事費の膨張は続く。 肥大を続ける中国共産党、人民解放軍を中国経済は支え続けざるを得ない。
2024年05月22日
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中国・習金平国家主席は1953年6月生まれ 2007年、政治局常務委員就任。 2012年、共産党大会で胡錦濤氏の後任として党トップの総書記に就任。 2013年、全国人民代表大会で中華人民共和国・国家主席に就任。 対抗勢力、抵抗勢力の排除を重ね独裁体制を築き上げてきた習国家主席は、米国の経済制裁で海外の味方がいないことに思ったようだ。 2024年5月6日、フランス・エリゼ宮で、習国家主席は、マクロン大統領とEU(ヨーロッパ連合)のフォンデアライエン委員長と会談した。 習国家主席のヨーロッパ訪問は5年ぶり。 会談後、マクロン大統領が「国際情勢は、これまで以上に、ヨーロッパと中国との対話を必要としている」と述べた。フォンデアライエン委員長は、ウクライナや中東情勢、それに中国政府の補助を受けて過剰に生産された製品がヨーロッパに輸入され、競争をゆがめているとしてEUが問題視している状況などをめぐって意見を交わしたと述べた。 5月8日、習国家主席はセルビアのブチッチ大統領と会談した。貿易や人的交流の拡大に向けて、両国関係をいっそう強化していくとした共同声明に署名した。会談のあとの会見で、習国家主席は、独立を巡って対立する旧ユーゴスラビアのセルビアとコソボについて、セルビアの立場を支持する姿勢を示した、ブチッチ大統領は「台湾は中国の一部だ」とする中国の立場を支持した。 5月9日、習国家主席はハンガリーでオルバン首相と会談した。 両首脳は、中国が主導する巨大経済圏構想「一帯一路」のもと、ハンガリーとセルビアを結ぶ鉄道の建設を進めるほか、中国企業による積極的な投資を通じて、関係をさらに強化することなどで一致したと報じられた。 ハンガリーは、中国との経済関係の強化を進めている。 2022年8月12日、中国の車載電池大手のCATL(寧徳時代新能源科技)は、ハンガリー東部のデブレツェン市にEV用の電池工場を新設すると発表した。投資総額は73億4,000万ユーロ。 2023年12月22日、ハンガリーのシーヤールトー・ペーテル外務貿易相は12月22日、中国のBYD(比亜迪)がハンガリー南東部の都市セゲドに欧州初のEV組立工場を建設すると発表した。BYDのハンガリーにおける投資は、2017年に開設した電気バス工場、2023年6月に発表されたバッテリー組立工場に次いで3件目。 中国はハンガリーをEU経済への突破口としている。 習国家主席の欧州訪問は、欧州各国との関係を強化することで、対立が続く米国をけん制する狙いがある、とされていた。 ロシアのウクライナ侵攻が続く中、「一帯一路」による経済的メリットが少ないこともあり、ロシアとの交流が続ける中国とはイタリアさえ距離を置きつつある。発表された声明を見る限りでは、中国に寄り添う姿勢はフランス、EUともにみられなかったようだ。 欧州各国との関係を強化することで、安全保障や先端技術などをめぐって対立が続くアメリカをけん制する中国の狙いはかなわなかった。 習近平による「脱米外交」が加速中小国の擁護者を目指す中国世界に広がる反米感情も後押しまいどなニュース 2024年5月10日 … (略) … 今回の両国歴訪は、習近平による「脱米外交」と表現できよう。米国を中心に欧米陣営が中国への経済安全保障上の懸念を強める中、中国としては非欧米陣営を強化するべく、欧米と中小国との間に楔を打ち込み、より多くの中小国との関係強化を目指している。 習氏の中では既に11月に行われる米大統領選は終わっている。すなわち、バイデンが再選してもトランプが勝利しても米国の対中強硬姿勢に変化はなく、選挙戦の行方を注視していても意味がないことから、今のうちからより多くの中小国と関係を強化したいのだ。 そして、今日の世界情勢は脱米外交を展開し、中小国の擁護者を目指す中国にとって最適な環境と言えよう。昨年10月以降、イスラエルによるガザ地区への攻撃がエスカレートし、パレスチナ側の死亡者数は3万人を超えているが、ネタニヤフ首相は依然として攻撃の手を緩めない。しかし、強硬姿勢を貫くイスラエルに対する批判や反発は諸外国で拡大する一方で、トルコはイスラエルとの貿易を停止し、米国内でも若者たちによる反イスラエルデモがエスカレートしている。それにも関わらず、バイデン政権はイスラエル支持の姿勢を崩しておらず、それによってアラブ諸国だけでなく世界的な対米不信、反米感情というものも拡大している。実際、マレーシアやインドネシアなどのイスラム教国では、マクドナルドやスターバックスなどへの客足が減っているという。 ― 引用終わり ― 米ソ対立、東西冷戦の時代、インドネシア、インド、中国は第三世界の盟主とも呼ばれた。第三世界は、西側諸国にも東側諸国にも属さない国々を指した。 民族独立が正義だった時代、覇権争いをする超大国米ソの政策、戦略に対する第三世界の盟主の発言は、公正中立寄りな感じがした。今の中国は覇権国家になりたい焦りしか感じ取れない。あるいは、自己の利益にのみ執着する国家観が思い浮かぶ。 一帯一路で債務の罠に嵌まった国々をみる中、中国についていこうとするのは、強欲な発展志向をもつ独裁的運営の国々だろう。それらの国々をオトモダチにすることは、国際世論が何と言おうと、1国1票の国連では貴重な支持勢力となる。 1960年代70年代、立ち上がり異議申し立てをすることは「正義」だった。 21世紀、聖徳太子の唱えたと伝わる「和を以て貴しとなす」の姿勢が、人類を分裂と破滅的な危機から救うと思われる。
2024年05月19日
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太魯閣、太魯閣渓谷は中華民国・台湾の人々にとって、日本人の霊峰富士、富士山のような象徴的存在。 社名にも「太魯閣」は頻繁に使われている。「タロコ」は台湾原住民タロコ族の言葉で「連なる山の峰」の意。 台北、新竹、高雄は産業中心の都市。 風光明媚な太魯閣渓谷がある太魯閣国家公園は 花蓮県北部にあり、 総面積は9万2000ha 台湾の国立公園。 台湾の象徴である太魯閣渓谷に台湾東部沖地震で甚大な被害が生じた。 台湾地震で甚大な被害太魯閣観光「壊滅的打撃」復旧に5年以上か産経ニュース 2024年4月9日 20時10分 台湾東部沖地震は10日で発生から1週間。甚大な被害が出た花蓮県の有名観光地、太魯閣(タロコ)渓谷について、台湾当局は無期限の閉鎖を決定した。現地メディアによれば、復旧には5年程度かかる見通し。観光が基幹産業の東部地域にとって経済的打撃は計り知れない。 標高3千メートルを超える山々と、切り立った断崖絶壁の間を流れるエメラルドブルーの渓流。台湾八景の一つに数えられる雄大な自然は、毎年約400万人を呼び込む景勝地として知られ、日本人観光客も訪れる。 … (略) … 渓谷内は地震で山崩れが相次ぎ、絶景スポットへ向かう道路も各所で寸断。台湾当局は8日、「復旧のめどが立たない」として無期限の閉鎖を決定した。現地メディアも、地震後に渓谷内を調査した地質専門家の話として、元の状態に戻るには「少なくとも5年はかかる」との見通しを報じた。 花蓮県観光協会によれば、発災後は宿泊施設の予約キャンセルが相次ぎ、4月の予約率は10%を下回り、観光業の損失は53億台湾元(約250億円)に上ると試算。同協会の陳義豊理事長は「過去の大地震でもこれほどの被害はなかった。太魯閣は東部地域を代表する観光地であり、復旧のめどが立たなければ、地域経済は壊滅的な打撃を受ける」と危機感をあらわにした。 ― 引用終わり ― 台湾の原住民であるタロコ族は非道な日本軍と戦った歴史を持つ。1986年、日本兵の不埒な行為が発端となり発生した「新城事件」で日本軍と戦った。樟脳製造現場の賃金トラブルにより起きた1906年「ウイリー事件」で、1914年「太魯閣戰爭」で勇猛果敢な太魯閣族は日本軍と戦った。
2024年04月24日
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台湾株が好調なのと対比されるように、香港株は軟調が続いている。「経済音痴」として有名な習主席の打ち出す政策のお陰だろう。 「香港国家安全維持法」施行以来、中国市場に世界に向けた窓口であった香港市場にかつての面影はない。 2024年3月19日、香港特別行政区(以下、香港)立法会は3月19日、香港基本法(憲法に相当)第23条に基づく国家安全維持条例法案(条例案)を全会一致により可決した。香港の自由維持への動きへの圧力はいっそう高まり、経済は沈滞、外資は新たな中国への投資を徹底的に避けるようになった。 中国・香港株式市場・大引け=中国株下落人民元安や外国勢の売りで香港急落By ロイター編集2024年3月22日 ロイター 中国株式市場は下落して終了した。人民元が1ドル=7.2元の節目を割り込み4カ月ぶり安値を付けたことで地合いが悪化した。香港株は急落。 株式相互取引による外国勢の売り越し額は31億元(4億2890万ドル)で、2日連続の売り越しとなった。 上海総合指数(.SSEC)終値は29.0794ポイント(0.95%)安の3048.0336。 上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数(.CSI300)終値は36.088ポイント(1.01%)安の3545.002。 ― 引用終わり ― 4月10日、台湾株は序盤に史上最高値をつけたあと利益確定の売りに前日比マイナス圏となった。昼にかけて再び買いが強まり高値を更新し20883.69となった。その後一転して利益確定売りとなり、高値から100ポイント以上下げてマイナス圏となっている。 同日、香港株は4週間ぶり高値。天然ガスのENNエナジーが上昇。アリババやJDドットコム、美団などハイテク関連が朝からの堅調地合いを維持。紫金鉱業集団など金鉱株も上昇。習主席が力を入れているハイテク株中心に国家隊が買いに入ったか。 前日の9日、不動産バブル崩壊で不調な建設関連株のセメントメーカー・天瑞集団水泥の株価が取引終了間際の15分間で前日比99%安の約0.05香港ドルに急落した。 資本家のすることは資本主義、社会主義を問わず一様。株式や為替市場で国家主体のインサイダー取引を行っている中国政府は、民間のインサイダー取引を規制できるだろうか。 株価15分間で99%急落-中国のセメントメーカー香港市場で売買停止2024年4月10日 Bloomberg News→ 中国天瑞集団水泥の時価総額は1.41億香港ドルに減少→ 支配株主と配偶者が共同で同社株の約70%を保有 10日に香港株式市場で売買停止となった中国のセメントメーカー、中国天瑞集団水泥が注目が集まっている。同社株は9日、取引終了間際の15分間で急落し、時価総額のほぼ全てを失った。 香港取引所への届け出によれば、同社の香港上場株の取引は現地時間10日午前9時から停止されており、内部情報に関する発表があるまで継続される。 天瑞の株価は9日に99%安の約0.05香港ドルで終了し、時価総額は1億4100万香港ドル(約27億3200万円)に減少した。株価急落の間、同社の浮動株の3分の1に当たる約2億8100万株が売買された。このうち8000万株余りが引け直前の数分間で取引された。 天瑞株が突如大幅に下落したことは、株式保有が一部に大きく集中する中国企業および、株式を債務の担保にするような資金調達慣行に従事する企業に関連するリスクをあらためて浮き彫りにしている。また、中国の前例のない住宅危機を受け、国内の不動産開発業者や建設会社のストレスが高まっていることも背景にある。 1月の届け出によると、天瑞の支配株主である李留法氏とその配偶者は、共同で同社株の約70%を保有。また同社は当時、最大1億6650万元(約35億円)の12カ月間の融資を確保するため、全株式の3.3%に当たる9700万株を担保として提供したと発表していた。 ― 引用終わり ― 中国の国家安全法などの内政の動きが、世界の中の中国の経済活動を大きく阻害していることを、習政権は考えないようにしている。 中国共産党の意に沿わない動きをする経営者はハイテク企業も含め首を挿げ替えられ、頼みのハイテク産業の成長も多くは望めない。 社会・経済の実態を無視して、全てを中国共産党の色に染めようとするさまは、まさしく毛沢東主席の再来。 人類史上最多数の虐殺行為「中華人民共和国大飢饉」が再来しないことを願う。 ロシアの中東進出、中国の海洋進出の布石は着々と整えられ、国連・安保理は機能しないことが示されている。 中華人民共和国大飢饉出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 中華人民共和国大飢饉(ちゅうかじんみんきょうわこくだいききん、英語: The Great Chinese Famine)または3年大飢饉(さんねんだいききん、中国語: 三年大饥荒/繁体字中国語: 三年大饑荒/拼音: Sānnián dà jīhuāng)とは、1959年から1961年までの中華人民共和国の歴史において広範にわたり発生した、大規模な飢饉である。一部の学者は、1958年または1962年もこの期間に含めている。この大飢饉は、人類史上最大級の人為的災害の1つであり、飢餓による推定死亡者数は数千万(1,500万〜5,500万以上)人にも及び、史上最悪な飢饉であったと広く見なされている。なお、この期間中の犠牲者はすべてが餓死によるものではなく、そのうちの6%から8%が拷問や処刑によるものとされる。 飢饉を起こした毛沢東共産党主席 飢饉の主要な原因は、この間に起こった旱魃などの自然災害に加えて、毛沢東政権下の1958年から1962年にかけて行われた大躍進政策と人民公社による数々の政策であった。第2代中国国家主席の劉少奇は、1962年初頭の七千人大会で、今回の大災害は三分が天災、七分が人災(中国語: 三分天灾、七分人祸)であったことを公式に認めた。改革開放の開始後の1981年6月に、中国共産党は、いくつかの自然災害に加えて、大躍進政策と反右派闘争の過ち、そして中ソ対立が大飢饉の主な原因であると公式に述べた。 ― 引用終わり ―
2024年04月23日
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不動産バブルの崩壊、外資の撤退、一帯一路にもとづく開発の失敗などで中国経済は失速している。 経済音痴とされる習国家主席にも理解できるほどの失速だ 2013年に就任した習近平政権は、経済発展を続けた胡錦涛政権(2002年から2012年)から、不動産投資の拡大で成長する中国経済の成長モデルを引き継いだ。 不動産開発は活況を続け、中国のGDPの約40%も占めるまでになった。一般の不動産会社も銀行からの低利の融資を受け、開発の原資に事欠かなかった。上昇を続ける不動産価格により、投資目的の不動産購入が増加し住宅価格も急騰、大多数の国民が購入可能な水準より住宅価格ははるかに高くなった。不動産投資で大儲けする富裕層も生まれ、富の格差は一層拡大した。 2019年、不動産バブルのコントロールの効かない崩壊を懸念、社会格差の拡大のおそれから「共同富裕」を理念に掲げた習近平政権は、不動産部門に対する強力な規制を展開した。 銀行の貸出利子率の引き上げ、「3つのレッドライン」により不動産産業に対する総量規制を実施した。この効果はすぐに現れ、不動産バブルは崩壊し不動産価格は暴落、不動産開発企業や地方融資平台の破綻が相次いだ。 不動産開発で得られる土地使用権の収入が激減したことで地方政府の財政収支が悪化し、地方政府の債務残高は1,100兆円となり、返済不能でデフォルトする政府も出る事態となった。 不動産部門に融資をしていた銀行は大量の不良債権を抱えて経営が悪化、他の産業への融資も困難になった。 不動産部門は中国のGDPの40%も占めるので、内需が縮小、不動産バブル崩壊による負の経済的波及効果は絶大だった。 中国不動産大手、苦境が鮮明に恒大、碧桂園は決算公表できず共同通信 2024年4月1日 18時16分 中国の不動産市況の低迷が続く中、業界大手の苦境が鮮明になっている。綱渡りの経営が続く中国恒大集団と碧桂園は2023年12月期決算をいずれも3月末の開示期限までに公表できず、信用不安が深刻化。決算発表した他の民間大手も業績悪化が目立った。 恒大に対しては、香港高等法院(高裁)が外貨建て債務を巡り24年1月に清算命令を出した。3月には子会社の財務書類に巨額の虚偽記載があったとして罰金を科されたことも発覚した。碧桂園も同月28日に決算発表の延期を表明し、香港証券取引所での株式売買停止が不可避となった。債権者が香港高裁に碧桂園の法的整理を申し立てるなど、難局が続いている。 ― 引用終わり ― 下記の記事のように、中国はハイテク分野で復権するとの説もあるがハイテク製品のサプライチェーンはグローバルに分散している。現在のように強権政治を続ければ、共産党員以外の優秀な頭脳は海外流出し、ソフト面での進化も今までのようにはいかなくなることだろう。 「中国経済は終わり」は本当か?安心していると痛い目にあう日本。あと数年の最悪期を経て、中国が最先端テクノロジーで世界を制す=高島康司2024年3月23日 MONEY VOICE … (略) … 不況下の中国経済の背後で進む構造転換 こうした状況がいまの中国経済だ。不動産バブルの崩壊は市場の動きの結果、自然に起こったものではない。習近平政権が導入した総量規制(不動産部門に流れる資金の規制)による人為的な崩壊である。 このため、いまの不況は習近平不況と呼ばれている。そして日本のメディアでは、格差の少ない「共同富裕」の社会の実現を自らの功績にしたい習近平個人の野心が引き起こした状況だとして、中国を揶揄する報道がほとんどだ。 しかしこれは、現在中国が大規模な構造転換の過程にあり、この転換が終了すると中国は新たな成長の軌道に乗る可能性が高いことを示す事実も実は多い。 この メルマガ では第774回の記事で、「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」の報告書、「重要技術競争をリードするのは誰か」の衝撃の調査結果を紹介した。それによると、中国は、重要な最先端技術分野の大半において圧倒的に進んでおり、世界最先端の科学技術大国となるための基盤を構築している。 44の最先端分野のうちアメリカが首位なのは7分野だけで、それ以外の37分野では中国が首位だった。ちなみに、日本がリードしている分野はゼロである。特に10の分野では中国の科学技術が他国の追随を許さず、この分野の製品の供給は、すべて中国が独占していた。 これを支えているのが、中国政府の科学技術への支援方針である。昨年9月、習近平は初めて「新しい生産力」の構築という考えを提起した。「新生産力」という言葉は、科学技術のイノベーションを活用して新産業を創出し、国の経済発展を加速させるという中国の計画を指す。習近平は今年2月1日、「新生産力とは、伝統的な経済成長モードや生産性発展路線から解放され、ハイテク、高効率、高品質を特徴とし、新たな発展理念に沿った高度な生産性を意味する」と述べた。 ― 引用終わり ― BRICsとグローバルサウスの覇者、アフリカの星として中国は生き残ることはできるかもしれない。そのマーケットは欧米日を合わせた市場にはとうてい満たない。 インド、インドネシアは経済面で中国についていくことはないだろう。現在のような強権政治を継続すると、第三国経由の先進国への輸出も制約が強まり、中国は強い制約下での経済発展を強いられる。 焦点:成長復帰へ中国の不安消えず適切な処方箋と新エンジン不在By Joe Cash2024年4月2日 ロイター … (略) … ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は「中国はもうこれから二度と、昨年以上の成長はできない。成長率をさらに押し上げるための財政コストが非常に大きいからだ」と指摘。現在の中国の成長モデルは、持続可能ではなくなっていると付け加えた。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は先週、中国は今一つの「岐路」に直面しており、質の高い成長という新時代に向けて自らを衣替えしなければならないと指摘した。 IMFが今年1月に公表した中国の今年の予想成長率は、政府支出の増加を理由に0.4ポイント上方修正の4.6%となったが、依然として昨年実績の5.2%よりは低い。 中国当局者が信奉するのは、習近平国家主席が昨年9月に提唱した「新質生産力」で、先端産業における技術革新に依拠して経済を発展させるという考えだ。 ただ、アナリストは中国が成長ペースを維持しつつ、同時に経済構造を変化させるのは不可能ではないかとみている。 ナティクシスのガルシア・エレロ氏は、中国は成長ペースがじりじりと切り下がっていく流れをほとんど止められておらず、今年序盤の好調さも新たな成長の芽吹きとは言えないと説明した上で「5.2%は(成長の)底ではなく、天井だ」と言い切った。 ― 引用終わり ― 2月23日、米・アデエモ財務副長官は、中国経済が現在直面している経済的な苦境が短期的に米国の経済成長を鈍化させる公算は小さいものの、中国の過剰生産能力が世界経済に及ぼす影響を懸念していると述べた。 3月29日、習国家主席は、米国ビジネス関係者らと会談の中で、米国企業が「一帯一路」や、中国国際輸入博覧会などのイベントに参加し、中国へ投資することを歓迎するとした。 4月2日、中国・習近平国家主席と米・ジョー・バイデン大統領が電話会談を実施した。中国時間の2日夜に、バイデン大統領の求めに応じて会談を行った。 習国家主席は、2023年11月の首脳会談以降、双方はコンセンサスを真摯に実行に移し、両国関係は安定に向かっていると評価した。同時に、マイナス要因も増加しており、注意が必要だとした。 その上で、中国と米国のような「2つの大国」は、交流ややり取りを途絶えさせてはならず、ましてや衝突や対立をしてはならないとした。その上で、安定的で健全かつ持続可能な道を前進し続けるべきだと強調した。 中国は虚勢を張っているが、中国経済を再び発展させるためには、経済・外交面でグローバルルールに復帰することが必須だ。
2024年04月22日
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ゼロコロナ政策に基づくロックダウンにより中国経済は成長率が鈍化。中国当局による経済的威圧、ウイグル人への人権弾圧、改正反スパイ法などにより、海外から中国への投資は懸念が増大し得減少した。 日本企業でも脱中国が進んでいる。中国の国家外貨管理局が2024年2月18日発表した昨年の国際収支によると、日本企業を含む外国企業による直接投資が日本円で4兆9500億円あまりに留まり、前年比で82%減少し、30年ぶりの低水準になった。 2022年、ホンダは昨年自社が持つ部品の国際的サプライチェーンを再編し、中国とその他地域を切り離す方針を打ち出した。マツダは新車の製造で使用する部品の中国依存度を下げていく方針を明らかにした。いずれも生産を安定させるために取った措置だ。 2023年、タムラ製作所は中国の工場で生産している芝刈り機などをルーマニアの工場でも生産する計画を発表した。 日本タングステンは主要製品の原料であるタングステンを中国産にほぼ100%依存してきたが、今後は北米や欧州からの調達を強化する方針を発表。 LIXILは米国向け水回り製品の製造拠点を中国からメキシコにシフトさせることを明らかにした。 中国は政府の政策による不動産バブル崩壊不動産価格が低下し、資材高騰がなくなった。 住人のいないゴーストタウン(鬼城)や建築途中で放棄されたマンションが増えた。中国から次々と外資が撤退、外資との合弁工場が操業を停止、閉鎖となり、広東省や浙江省の工業地帯も空き工場建屋が増加、同時に失業者も増加した。 中国の経済繁栄が終わり、不動産バブルが破綻し、贅沢を楽しんだ時代が去った。 雇用が減少したので、中国政府は失業率を公開しなくなった。大卒即失業という環境になった。 まともな職がない若者は、結婚しない、子供はつくらない。出生率は1.0を割り込んだ(2022年の合計特殊出生率は1.09)と推測される。 地方公務員は給与の半年遅配が報じられたり、銀行で借り入れを強いられたことなどが報じられた。 海外脱出も増加し、習主席肝いりの「一帯一路」もあってか、アフリカ(54カ国)に25万人を超える中国人が移住した(米ジョンズ・ホプキンス大学)と推定されている。エクアドル経由で米国境まで約3700キロも密林などを歩き、米国へ不法入国する移民も2023年だけで数万人とされる。 二度とない中国の復活。いま起こっているのは実質的なバブル崩壊人口がどんどん減っていく中国に勝ち目はない=鈴木傾城2024年3月16日 MONEYVOICE … (略) … 中国の時代は不動産バブルの崩壊と共に終わった 経営再建中の中国不動産大手・中国恒大集団がニューヨークで連邦破産法第15条の適用を申請したのは2023年8月17日のことだった。 この企業はその2年前から経営危機に陥っていて、米ドル建ての社債の利払いができなくなって、この時点で債務不履行(デフォルト)と認定されていたのだが、その負債総額は約49兆円にのぼることが発覚して世界は息を飲んだ。 そして、2024年1月29日、香港の高等法院(高裁)はこの企業に清算命令を出して、この企業は実質的に法的整理の手続きに入ることになった。 中国の不動産市場は2021年から崩落に近い様相を見せており、問題は中国恒大集団だけにとどまらない。ほかにも、融創中国・世茂集団・佳兆業集団・花様年控股集団・新力控股集団……と多くの不動産デベロッパーが危機に瀕している。 これらの企業は主に銀行からの融資や社債発行によって調達されているのだが、不動産市場の低迷で住宅販売が低迷し、資金繰りが悪化していく一方である。新築住宅価格は、2021年9月から全国平均で約10%以上も下落し、とくに上海や深圳などの大都市で下落率が顕著である。中古住宅価格も下落している。 それもそうだ。これまで多くの都市で平均的な住宅価格は年収の10倍を超えていた。中国の不動産市場は完全にバブルだったのである。 しかし、中国もいよいよ少子高齢化に入り、人口は減少する。すでに住宅価格は高騰して中国政府も規制を強化している。このため、不動産市場の低迷は、今後も続く可能性が高い。 中国の不動産市場はGDPの約20〜30%に影響を与えるものであり、ここが崩壊していくというのは中国経済が崩壊していくも同然である。 中国の時代は、もうやって来ない。終わった。実質的にバブル崩壊が起こっていると見てもいい。 「不正」で成り上がった中国経済 そう言えば、中国べったりのジャーナリストや評論家は、ずっと「アメリカの時代が終わって、これからは中国の時代がくる」と言い続けてきた。 2008年当時のことを私は今でも覚えている。欧米の金融システムがリーマン・ショックで大混乱した後、中国べったりの識者たちは「これからは中国の時代が来る」と高らかに宣言し、返す刀で「アメリカはもう終わりだ」と嘲笑していた。 ドルの価値も崩壊し、この世からドルが消えるとも言った。そして、中国が世界に君臨するのだと彼らは高らかに宣言した。 ところが、アメリカが脅威の粘り腰で崩壊から踏みとどまって経済回復していき、やがてアメリカは中国のやっている「不正」を激しく糾弾するようになっていった。 中国は世界中の知的財産を強奪し、その強奪によって自国の経済発展を成し遂げてきた「泥棒国家」である。 知的財産を強奪するためにスパイを放ち、重要な技術を持つ企業や大学の情報を根こそぎ盗み、それぞれの国の政治家を買収し、ワイロやハニートラップでワナにかける。 中国は、国家から国策企業までもが、そのような不正手段を常習化させていた。 人口がどんどん減っていく中国に勝ち目はない アメリカが中国に対して激しい半導体規制を行うようになったのは、中国のこうした不正をもはや許さないことに決めたからだ。 トランプ時代から本格的になった中国への規制はバイデン政権にも受け継がれ、アメリカは完全に中国を「敵対国」として見るようになっている。 知的財産の強奪が封じられると、中国はもう成長できない。中国は新しいイノベーションを生み出せるような国にはなっていないからである。人工知能も、次にやってくる量子コンピュータもアメリカの企業が制覇する。 グローバル社会から排除され、危険視され、投資資金も止まり、不動産バブルも本格化し、高齢化が進んで人口がどんどん減っていく中国に勝ち目なんかまったくない。 徹底的に監視するディストピア社会 「中国の時代が来る」という仮定は、中国がきちんと民主化し、情報統制を解いてオープンになり、選挙で政治家を決め、イノベーションを促進できるような民主国家になったらの話だった。 中国が経済発展していくと、恐らく中国は民主化すると世界は思い、だからこそ、欧米の金融マフィアたちもそこに賭けた。しかし、今の段階ではそのどれも実現していない。実現する気配もない。 中国は民主国家になる気などさらさらなく、習近平の独裁化も進むばかりだ。そして、中国共産党政権が支配する独裁国家が、ハイテクを使って国民を徹底的に監視するディストピア社会へと突き進んでいった。 一国二制度であると言われていた香港でさえも強権の対象と化し、今や香港人の全員が監視され、民主派は次々と社会からも抹殺されている。中国に従わない人間は、不可解な死を遂げていくようになっている。逃げられる香港人はみんな世界各国に資産を持って逃げている。 香港の民主活動家、周庭氏(アグネス・チョウ)もカナダに逃亡して、事実上の亡命宣言を出している。彼女は恐怖の中で生活しており、頻繁にパニック障害を起こして日常生活にも支障をきたしているということだ。 「中国に戻らないと一生追われることになる」と中国当局は脅している。しかし、彼女が中国化してしまった香港に戻ることは一生ないだろう。 中国人民の少なからずが中国崩壊を見越して、子どもたちには別の国籍を与えようと必死になっており、人民元も信じないで仮想通貨に金を移していた。そのため、中国共産党は2021年9月には仮想通貨を全面禁止にしてしまったほどだ。 ところが、中国大好きジャーナリストや評論家だけが、相変わらず中国が大国であり続けると信じているのである。もはや本気でそんな与太話を聞く人もいないし、失笑されるだけとなっている。 欧米の金融機関も失望して中国を見捨てており、中国に投資はしない。時代は、とっくに変わっている。 中国がアメリカに取って変わるというのは絶対にない ― 引用終わり ― 中国政府のテクノクラートである共青団は執行部から排除された。 独裁者・習金平主席の方針を世界情勢に合わせて適切に修正する力は働かなくなっている。
2024年04月03日
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2024年3月5日、中国の重要政策を討議する第14全人代(全国人民代表大会=国会に相当)が、北京の人民大会堂で開幕された。習近平国家主席ら党と国家の指導者が出席し、李強首相が政府活動報告を行った。 政府活動報告によると、今年の発展目標として、1.国内総生産(GDP)成長率5%前後2.都市部新規就業者数1200万人以上、都市部調査失業率5.5%前後3.消費者物価指数(CPI)上昇率3%前後4.住民所得の伸び率は経済成長率と同ペースに保つ5.国際収支は基本的に均衡を保つ6.食糧生産量6億5000万トン以上7.GDP単位当たりの総エネルギー消費量を2.5%前後削減し、生態環境の質を持続的に改善する などを決定した。 習近平主席は全人代で産業構造の改革に意欲を示した。江蘇省の代表を集めた分科会で「イノベーションを促進し、新興産業を育成し、産業システムを改善しなければならない」と表明した。 中国人民銀行の潘功勝総裁は市中銀行の預金準備率を引き下げる余地が残されていると指摘。物価の緩やかな回復を促進することは、人民銀の政策決定にとって考慮すべき重要事項であると指摘。十分な金融政策の余地と十分な手段があると繰り返した。最近のドル安傾向にも触れ、中国からの資本流出を招かずに金融緩和が可能だと話した。 人民銀行はここ数カ月、住宅ローンの主要指標金利を過去最大の幅で引き下げるなど積極的な緩和策で政策効果を高めてきた。藍仏安財政相は、金融や雇用、産業政策などとの協調を強化すると述べた。 中国政府が経済成長について強弁していることから明らかなように、中国経済は不況。公開しなくなったことから分かるように、失業率は極めて高くなっている。 習主席は不動産価格の引き下げに成功したが、その代償は限りなく大きく、住居としての不動産の取得不能、不動産開発、建築、建築資材関係者の失業など、多くの人民が喜べない事態を招いている。 反スパイ法などを通じて、外国企業を統制する体制も整ったが、外資の脱中国促進、外資の新規投入激減で、こちらも経済面で大きなマイナスとなった。 「共同富裕」転じて「共同貧困」となり、先行きの見通しが真っ暗となった中国の若者は、ライフスタイルを転じ時代の流れに対応した。 中国の若者は「お金」より「自由な時間」を重視するように―独メディアRecord China 2024年2月20日(火) 7時0分 独メディアのドイチェ・ヴェレ(中国語版)は18日、経済の鈍化によって中国の一部の若者がより自由な時間を重視するようになっていると報じた。 記事は、上海市に住む23歳の女性の例を挙げた。女性はファッション業界で働いていたが2年前に退職した。理由はたび重なる残業と、上司への不満だった。女性は現在、週1日の旅行会社の在宅業務をこなしながらタトゥーの技術を学び、タトゥーアーティストを目指している。 女性のように「仕事にがむしゃらにならない若者」は近年、中国で増え続けている。女性は「私にとって仕事の意義はあまり大きくない。ほとんどの仕事は上司のため。彼らを喜ばせるためにするもの。だから私はそういう仕事はしないと決めた」と語った。 中国で1995~2010年に生まれた、いわゆる「Z世代」の若者はおよそ2億8000万人いると言われている。ある調査によると、Z世代は現在の中国の全年齢層の中で最も悲観的な世代だという。 記事は「この半世紀で経済成長が最も鈍い時期に、どのようにこの世代をなだめるかは、中国当局が直面している重要な政策における挑戦だ」と指摘。中国人力資源・社会保障部が先月、「今年の雇用安定にはさらに多くの努力が必要」との認識を示したことを伝えた。 ミシガン大学のジョウ・ユン教授は「彼らの将来に対する悲観的感情は無視できない」とし、「中国の経済成長が鈍化し、労働力市場が緊張する中、若者にとっては硬直化した社会的不平等、絶えず強化される政治的なコントロール、そして暗たんたる経済の先行きにどのように向き合うかが、一つの巨大なチャレンジになっている」と述べた。 記事は、こうした要素が合わさることで、(前出の)女性のような若い世代が「絶え間ないストレス」よりも「個人の幸せ」を優先するようになっていると分析。女性が「以前より幸せ。自分がした選択には価値があった。給料は少ないが日常生活を送るには十分。自由な時間は数千元(1元=約20円)のお金よりずっと価値がある」と語ったことを伝えた。(翻訳・編集/北田) ― 引用終わり ― すでに多くの富を蓄えた大人たちをよそに、コロナ禍を経て中国の若者は爆買いを選ばなくなった。 2023年10月から11月の「独身の日」のネットセールの売上高は前年同期比2.1%増の1兆1,386億元(約24兆円)にとどまった。 中国:肩透かしに終わった独身の日のネットセールと「国進民退」経済調査部 経済調査部長 齋藤 尚登2023年12月11日 大和総研 中国の調査会社である星図データによると、2023年10月31日20時から独身の日(11月11日終日)までのネットセールの売上高は前年同期比2.1%増の1兆1,386億元(約24兆円)にとどまった。業界第2位のJD.comの創業記念日である6月18日(6月1日~18日)のネットセールと併せて年2回の大セール時期に、消費者の財布のひもが緩んでもおかしくはなかったが、そうはならなかった。報道によると、売上上位には、家電、スマートフォン、服装、コスメ、靴・カバンなどの耐久消費財や日用品が並び、キーワードは「最安値」だった。「爆買い」に象徴されるかつての勢いは完全に失われている。 ネットセールが期待外れに終わった背景の1つに、若年層の消費意欲の低下がある。かつて中国の若者は、毎月の給料を使い尽くす「月光族」と呼ばれた。しかし、コロナ禍以降、16歳~24歳の失業率は上昇傾向を強め、2023年4月に20%を超え、6月には21.3%を記録した。若年層の失業率は年々増加する大卒者(9月入学)が労働市場に参入する毎年7月にピークを付けてきたが、過去最高をさらに更新するとみられた2023年7月分から年齢別失業率(16歳~24歳、25歳~59歳)のデータの発表が中止されてしまった。「卒業即失業」という悲惨な状況の中で、若年層が節約に勤しんでいるのだ。 ― 引用終わり ― 年明け、本格的なロックダウン明けとなったが、不動産バブル崩壊、外資の撤退が続き、中国経済の先行きは暗転したままで若年層の失業率の増大、大量に増加した大学卒業者の就職率は低下したままとなった。 中国の若者は経済防衛に入り、キャッシュレス化の進展もあり、クレジットカードを持たなくなった。 中国の若者の間でクレジットカード離れ経済低迷で使い過ぎ気にして財布のひも固く?Record China / 2024年3月16日 中国の若者の間でクレジットカード離れが話題になっている、と中国メディアが伝えた。最近の調査によると、クレジットカードを持っているのは半数以下。ついつい使い過ぎることを気にしているためとみられ、経済の低迷に伴い、消費者の財布のひもが一段と固くなっていることをうかがわせた。 中国の代表的なクレジットカードは「銀聯カード」。中国の銀行では異なる銀行や都市ではお金のやりとりができず、利用者にとっては使いづらかった。そこで、各銀行共通のネットワークを作るために中国政府主導で中国人民銀行(中央銀行)が中心となって「中国銀聯」という決済ネットワーク運営会社を設立。2002年に銀聯カードの提供が開始された。 中国の最高額紙幣は100元(約2100円)で、現金で高額な買い物をする場合、多くの紙幣を持ち歩かなければならず、紛失や盗難のリスクがあった。 さらに偽札が出回ることが珍しくない状況だったため、安全かつスムーズに利用できるカードの需要が高かったことが挙げられ、銀聯カードの登場で中国では一気にキャッシュレス化が進んだ。VisaやMastercard、JCBなどの国際ブランドと次々に提携し国外でも名が知られるようになり、全世界での発行枚数は80億枚を超える。 … (略) … 一方、オンライン・クレジットカード申請プラットフォーム「融360」の担当者は「クレジットカード発行枚数は減少しているが、市場の消費活力が弱まったわけではない」と説明。銀行のDX(デジタルトランスフォーメーション)が深化するにつれ、クレジットカードの発行規模を追求するのをやめ、サービスの質や顧客満足度の向上に努めるようになったからだとしている。 ― 引用終わり ― 不動産バブルの崩壊、関連資材産業の破綻、縮小、外資の撤退などによる失業率の増加などで、中国の内需は確実に減少、消費活力は低下している。 日本経済の面で、中国を含めインバウンド(訪日外国人)は回復傾向。JTBの調査によると、2024年は新型コロナウイルス禍前の水準を超える外国人旅行客数が見込まれる。ただ、内容には変化があり、中国人団体客の回復は遅れており欧米客の割合は増加するとみられている。 インバウンドの消費行動も「爆買い」が減少、「モノ」より体験価値「コト」を重視する傾向が強まっている。即ち、中国人の消費減退は、小売りなどの日本の内需にも影響を与える可能性大だ。
2024年03月23日
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「チャイナショック」とは、中国(中華人民共和国)及び中国人に端を発し、世界の人々を震撼させる事件や事象を指す言葉。 中国共産党支配下の中国国内でしか通用しないような常識が外国まで波及した時などに使用される。 チャイナショックは政治・経済・軍事など多岐に使用される。 経済の分野では1990年代から2000年代にかけて中国から世界各国への輸出が急増したことによる各国国内の産業構造の変化、製造業の衰退などに使用された。 2001年の中国のWTO(世界貿易機関)への加盟に際しても使用された。 2023年10~12月期、中国の対GDP債務比率は、286.1%と過去最高を更新した。 最近では中国の巨額債務が、世界経済、世界金融に与える負の影響を「チャイナショック」と名付けることも多い。 IMF(国際通貨基金)は中国経済の実態を包み隠そうとしているが、不動産開発バブルの崩壊に伴う巨額債務、バブル崩壊による融資平台の巨額債務、「一帯一路」による海外諸国の返済不能債務などを合計すると債務は2京5千兆円という試算まで唱えられている。 コラム:国際金融にも「チャイナ・ショック」途上国債務危機であらわにFelix Martin2024年3月5日 ロイター発展途上国で進行中の債務危機は、世界経済について重要だが過小評価されている事実をあらわにした。数十年かけて世界一の輸出国として台頭してきた中国は国際金融の超大国でもあるということだ。 発展途上国で進行中の債務危機は、世界経済について重要だが過小評価されている事実をあらわにした。数十年かけて世界一の輸出国として台頭してきた中国は国際金融の超大国でもあるということだ。 中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した後の「チャイナ・ショック」はよく知られている。世界経済を包括的に再編し、12億人の国民の生活水準を歴史上どの国よりも早く引き上げ、製品を破格の値段で世界に供給した。 しかし、マイナス面もあった。大部分の米国で非工業化を加速させ、保護主義への傾斜に拍車をかけたほか、いくつかの西側民主主義諸国における政治的メルトダウンを加速させた可能性がある。 現在は2度目のチャイナ・ショックが国際金融の場で起きている。20年にわたる経常黒字によって中国は世界最大の対外資産を蓄積することができた。製造だけでなく、金融でも世界の巨人となったのだ。 次の段階は最近まであまり目立たなかった。金融危機後、発展途上国には当初、リターンを求める民間資金が流入。しかし、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を示唆したことに伴う13年の「テーパー・タントラム」以降、この動きは終わりを告げた。 その年に打ち出された中国の巨大経済圏構想「一帯一路」がそのギャップを埋め、中国はその後10年間で外貨収入の大半を途上国のインフラ整備に振り向けた。これは数十年来の国際金融パターンを覆すものだった。 17年までに中国は途上国に対する最大の債権国となった。ウィリアム・アンド・メアリーのグローバル・リサーチ・インスティテュートAidData研究室による最近の調査によると、中国の新興国市場ソブリン融資ポートフォリオは現在1兆1000億─1兆5000億ドルとされている。 しかし、貿易ショックの場合と同様、この金融ショックは予期せぬ結果に見舞われる危険性がある。22年以降、米国とユーロ圏の金利が急上昇したため、途上国への民間資金の流れが抑制され、多くの借り手が窮地に立たされている。 途上国の債務再編は複数の要因によって妨げられてきた。その中には、中国の機関による融資が公的なものとして扱われるべきか、私的なものとして扱われるべきかを巡る意見の相違、中国の担保融資習慣による複雑さ、データ共有の欠如に起因する混乱などが含まれる。 現在の緊迫した地政学的環境下では、西側諸国が開発融資を支配していた時代に時計の針を戻した方がいいという結論に達したくなる。しかし、貿易のチャイナ・ショックに対抗する試みの歴史は、ソブリン金融大国の中国を押し戻す取り組みがなぜうまくいきそうにないかを示している。 グローバルな資金と商業の流れは、国際貿易・金融が1つの国による支配に抵抗することを意味する。例えば、関税が全ての主要貿易相手国で調整されない限り、貿易保護は単に2国間の赤字と黒字を入れ替えるだけで、全体の不均衡はそのまま放置される傾向がある。これがWTOで具現化された多国間主義の背後にある論理だ。 ― 引用終わり ― 競争より共創が世界経済好転の「正解」として求められているが、国際政治の世界の競争、軍拡競争は拡大するばかりで国際経済を阻害している。 3月5日、北京で開幕した全人代(全国人民代表大会、国会に相当)で、李強首相が行った政府活動報告で国債発行の概要が説明された。 超長期特別国債を1兆元(約21兆円)相当発行する計画。超長期国債は数年続けて発行される予定。また、地方政府が主にインフラ整備向けの資金調達に用いる専項債は、新規発行枠を3兆9000億元に設定された。中国政府は財政出動を通じた刺激策を強化し、景気浮揚をはかるとみられる。 外資の脱中国化などによる失業者の増大、不動産開発会社の破綻により住宅の当てがないのに住宅ローン返済を迫られる人々の増大で社会が不安定化する中、官民合わせた中国の債務はますます増大する。 3月5日夜、NHK海外放送のニュース番組が中国で全人代を報じた際、放送が中断された。「習近平国家主席への権力集中が強まる中、経済の今後の展望が不透明感を増している」などと伝えた部分が視聴できなかった。中国当局が経済の先行きについて神経を尖らせていることが分かる。 2023年、世界各国の抱える公的債務は92兆ドルを超え、コロナ禍やウクライナ戦争をきっかけに債務不履行(デフォルト)に陥る国も増え、地政学的リスクは高まる一方となっている。ここにイスラエルのガザ地区侵攻、中国の強引な海洋進出が加わる。世界の不安定化が極まっているようにみうけられる。 全人代の中で明かされた政府予算案を中で、国防費は昨年より7.2%増えて1兆6655億人民元、日本円で34兆8000億円余りで、経済が低迷し社会不安が増大する中、さらに軍備を増強する姿勢を示した。 経済の低迷の主因は急速な不動産危機。不動産開発の低迷が、地方政府の財政危機、融資平台の債務不履行を招く。鉄鋼、建設資材産業の衰退に加え、反スパイ法、ウイグル族の弾圧などによる外資の中国からの撤退、投資の大幅減少が加わり、失業者が増大し内需が低迷する。 中国の不動産危機と地方政府債務危機―政策リスクにより低下する標準シナリオの実現可能性―2024年02月07日 株式会社日本総合研究所三浦有史 中国経済をけん引してきた不動産開発業は転換点に差し掛かっている。背景には、販売面積と販売額が2年連続で減少し、不動産開発企業のレバレッジ経営が行き詰まったことがある。債務削減を促す3つのレッドラインを意味する「三道紅線」の達成状況を見ても、不動産開発企業にもはや財務体質の健全化を目指す余裕はなく、債務返済のための資金を確保することに追われている、というのが実情である。 一方、広義の政府債務残高は増加を続け、2027年にGDP比147%に達する見込みである。地方融資平台(LGFV)の債務増加ペースは非常に速く、政府債務はもはや「コントロール可能」な水準にあるとは言えない。LGFVがデフォルトを起こさないのは政府が銀行に支援を要請しているためで、そのしわ寄せは中小銀行に向かう。国際通貨基金(IMF)は、中小銀行の多くが資本不足に陥ると予測する。LGFVの多くは既に「存続不可能」であり、現在のLGFV救済策はいずれ破たんする。 ― 引用終わり ― 不動産危機の経済面の課題は、不動産開発企業のデフォルト(破綻)が増えていることではなく、デフォルトが増えているにもかかわらず、破産法の不備により破産・再編手続きが進められている企業がないこと、資本主義経済では既に破綻しているはずの「ゾンビ企業」が活動を続けており、債務の清算が進まないことにある。 地方政府債務危機の問題についても、LGFVがいつデフォルトを起こすかではなく、デフォルトに陥ってもおかしくないLGFVが増えているにもかかわらず、破綻法制の整っていない中国では一向にデフォルトが起きないので債務の清算がすすまない。 債務の清算が宙ぶらりんのままだと、債権者の破綻が続くことになり、不況の深刻化の度合いがいっそう高まる。 中国経済の先行き不安を高めているのはデフォルトリスクではなく、共産党独裁による場当たり的な法令、執行の改廃による不透明な政治リスク。 中国経済の下振れリスクは巨大で、経済成長率が徐々に鈍化し、2028年に3.4%に低下するというIMFが示す標準シナリオは「世界経済安定」を願って絵に描いた餅と化しつつある。 中国不動産開発大手の債務残高は、恒大集団48兆円、碧桂園28兆円、万科企業27兆円、緑地控股集団24兆円、保科発展控股集団23兆円とされる。巨額の債務超過となっても国内で上場を維持できるが、外債が返済不能となったことで破綻認定された企業集団もある。 不動産開発企業群の後に融資平台の債務2000兆円(IMF推計)、地方政府債務1800兆円(IMF推計)が控えている。 日本政府の債務は中央1000兆円、地方200兆円の1200兆円。 債務大国である中国において、2024年の5%経済成長が容易ではないことは、李強首相に強調されなくとも分かる。
2024年03月19日
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2024年1月16日午前、スイスの寒村ダボスで行われた世界経済フォーラム(WEF)年次総会(通称「ダボス会議」)の開幕式。主要国の政財界のVIPたちを始め、1500人もの聴衆が集まった大広間の中央の壇上では、わざわざ遠く北京から駆けつけた、中国ナンバー2の李強首相が熱弁を振るっていた。 李強首相は、「中国経済光明論」を説いた。 GDPの5.2%成長は決め打ちされたものかもしれない。16日に首相がダボス会議で発言し17日に中国国家統計局の局長が公表した。 中国首相、ダボスで講演 経済開放アピールAntoni Slodkowski2024年1月16日 ロイター 中国の李強首相は16日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演し、中国経済はビジネスに開かれていると述べ、海外企業にとっての投資の可能性を強調した。 李首相は、中国経済は回復し上向いているとし、2023年の成長率は政府目標の5%前後を上回り5.2%前後に達したと推定されると述べた。 中国経済は着実に前進しており、浮き沈みにも対処でき、世界的な原動力であり続けるとし、長期的成長という全体的傾向は変わらないと述べた。 健全な競争は協力とイノベーションを強化する鍵だと指摘し、世界が競争の障壁を取り除き、環境戦略や科学分野の国際交流で協力する必要があるとした。 世界のサプライチェーン(供給網)の「安定と円滑」を維持する重要性も強調した。 深刻化する南北格差に焦点を当て、開発協力の必要性を強調した。 主な内容は下記の通り。・中国は全世界の発展の重要な牽引役であり、この数年、世界経済成長の3割前後を貢献してきた。・2023年の中国経済は総体的回復傾向にあり、GDP成長率は5.2%前後になり目標値の5%前後を達成する。・中国は製造業の世界成長の約3割を占め、14年連続1位。200以上の成熟した産業グループを形成している。・中国の「人口ボーナス」は「人材ボーナス」に昇華しており、人材資源総数・科学技術人材資源・研究開発人員総数などは世界トップだ。毎年の資本形成額は全世界の約3割に上っている。・中国のデータ産業は巨大で、データ資源は豊富で、世界第2位の「データ埋蔵国」だ。・先端技術を持った企業は約40万社に上りユニコーン(企業価値10万ドル以上の非上場企業)数は世界2位だ。・現在、中国の中間層は4億人を超え、今後十数年で8億人に達する。・3億人近い農民が市民化への過程にある。・全世界の新エネルギー車の過半数は中国で走っており、新エネルギー車保有数は2000万台を超える。・中国はすでに、140カ国・地域の主要貿易パートナーであり、関税の総平均は7.3%まで下降した。 … (略) … 1月17日には、北京で国家統計局の康義局長が、高らかに述べた。 「初期の概算によれば、全国の国内総生産(GDP)の増加値は、126兆582億元で、物価変動を入れない数値で、年率5.2%成長した。これは、当初の目標値である5.0%前後を上回るものだった」 よくよくこの日の国家統計局の発表を読み込めば、以下のような内容も盛り込まれていた。 ・1月~11月の全国規模以上工業企業利潤は-4.4%・通年貨物貿易の輸入額は-0.3%・12月の住民消費価格(CPI)は-0.3%・12月の若年層(16~24歳)失業率は14.9%・昨年末全国人口は14憶967万人で、-208万人。通年出生数は902万人で1000万人割れ・労働年齢人口(16~59歳)は61.3%に減り、65歳以上は15.4%に増加・全国不動産開発投資は-9.6%。うち住宅投資は-9.3%・不動産開発企業家屋施行面積は-7.2%。うち住宅施行面積は-7.7%・不動産開発企業家屋新規工事開始面積は-20.4%。うち住宅新規工事開始面積は-20.9%・商品家屋販売面積は-8.5%。うち住宅販売面積は-8.2%・商品家屋販売額は-6.5%。うち住宅販売額は-6.0%・昨年末の商品家屋売れ残り面積は6億7295万m2で+19%。住宅売れ残り面積は3億3119万m2で+22.2%・不動産開発企業手元資金は-13.6%。うち国内融資-9.9%、外資-39.1%、自己資金-19.1%・12月の不動産開発景気指数は93.36で、過去一年で最悪・12月の70大中都市新築商品住宅販売価格は、前月比でプラス7都市、マイナス62都市、変化なし1都市。同じく70大中都市中古住宅販売価格は、70都市すべてでマイナス ― 引用終わり ― 中国政府は、自国が日本的なデフレに追い込まれるリスクを早くから認識しており、日本の「バブル崩壊」「失われた30年」について相当な研究を進めているといわれていた。 もしかしたら李国強前首相とともに共青団の優秀な経済官僚もいなくなり、習金平のイエスマンで周囲が固められているのかもしれない。 破産・更生関係の法制も整っておらず、公的機関による救済策も整備されていない。破綻した経営者を逮捕することで破綻に関わる法人の業務を困難にしている。 ゼロコロナ明けの中国で、旅行や飲食店などのサービス業支出は前年比で増加しており、これたの分野で物価は上昇している。 内需の大きな部分を占める不動産・建築関係のマイナスインパクトはそれらを上回るはずだ。 土木建築関係の雇用が減り、鉄鋼業を筆頭に建築材料関係の業務も縮小。人権問題や米中対立の激化で外資の撤退が相次ぎ、中国は世界の工場から転落し、多数の失業者が発生。その結果、支出はさらに減少して「負のスパイラル」が加速している。 これらに融資平台の破綻による地方政府の財政破綻と「一帯一路」の破綻による海外債権の回収不能が重なる。 李強首相は、開かれた中国、経済発展を続ける中国をダボス会議で世界に訴える役割だったのだろうが、中国共産党の支配下にない人々に、そのような妄言を信じる者はいない。 国内では軍事強硬路線の演出をすすめている。 春節前日放送の中国国営テレビ人気番組で機関銃を抱えた人民軍兵士が軍歌を熱唱軍事強硬路線を強調する演出かNEWSポストセブン 2024年2月18日 中国国営の中央テレビ局(CCTV)は日本の大晦日に当たる春節(旧正月)前日の2月9日夜、毎年恒例の年越し番組「春節連歓晩会(春晩)」を放送した。春晩はいわば日本の紅白歌合戦のような番組で、世界で最も視聴者の多いテレビ番組といわれている。今年はそこに中国人民解放軍機甲部の現役将兵ら200人以上が両手に機関銃を抱えて登場して熱唱した。 「春晩」で現役の軍部隊が登場したのは初めてで、台湾問題や米中対立などで、中国は妥協しないという軍事的威嚇との見方も出ている。 ― 引用終わり ― 内政に窮し、米中対立で外交・経済に窮した習金平主席は、世界のどこで戦端を開くだろうか。 ラオスやミャンマーを圧殺する手もあるが、ベトナム侵攻の時のように勝てないといっそう見苦しくなる。 今のところ有望な候補国は、米国の安全保障の傘下にないロシア、次にインド。国境問題を明確にする切り口。海洋進出であればフィリピン領の南シナ海。内政面でプラスになりうる。 北朝鮮侵攻で米国が動くことはないと思われるので、想像しうる選択肢の一つ。
2024年02月25日
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2023年の中国は経済成長率5.2%で政府目標の5%をクリアしたとの公式発表があった。 供給サイドをけん引役に景気の底入れが続く一方、需要サイドは力強さを欠くなど需給ギャップが広がる動きがみられる。 デフレ懸念が強まっているが、人民元安を警戒して中銀は利下げに動けないなど「自縄自縛」状態に嵌っている。 サプライチェーンの見直しなどによる有力外資の撤退なども続き、中国経済を取り巻く環境には不透明感が一段と高まっている。 2024年1月5日、中国のシャドーバンキング大手の中植企業集団が破産申請を行った。ピーク時の運用資産が1400億ドル(約20兆2600億円)を超える巨大企業だったが、深刻化する不動産危機により急激に転落し破綻した。 申請を受理した北京市第一中級人民法院は、中植が「明らかに」債務返済能力を欠いていると文書で指摘した。 昨2023年11月の投資家向け書簡によると、監査の結果、中植の債務は最大4600億元(約9兆3100億円)、資産は2000億元で大幅な債務超過の状態だった。 中植のようなシャドーバンキングは、銀行が販売する「理財商品」、信託会社が販売する「信託商品」を通じて、市中からの投資、家計の貯蓄をプールして融資を行ったり、不動産や株式、債券、商品などに投資したりすることが多い。銀行預金より短期で大きな利を選んで稼げることから中国人の嗜好に合っている。 2024年1月29日、巨額の負債を抱えている中国の不動産大手、中国恒大集団が、香港の裁判所から清算を命じられた。 不動産大手の破綻に続いて、関係の深いシャドーバンキングの破綻が懸念される。 中央政府の統制のききにくい民間セクターの破綻に続くのは、中央政府の意向に沿って野放図な鉄道誘致と都市開発をすすめた地方政府の破綻。 地方政府は2023年の経済成長の原動力ともみられている。 最終的に破綻のツケは中央政府の巨額債務に結実する。日本のような中央政府が大債務、大累積赤字を継続する財政も予想できるが、最も現実的な絵柄は、資本が国に集中する国家社会主義。 バブル崩壊後の日本との図式の違いは、破綻法制、破綻時のソフトランディングの経済社会的枠組みが中国に備わっていないこと。 賢明な人材が豊富な中国のことだから、失われた数十年と呼ばれないよう日本よりもっとよい対処法、共産党にとって都合のよいやり方を用意しているのかもしれない。現在は市民の抗議活動を個別に火消、圧殺するにとどまっている。習皇帝の意向と推察される。 中国大手資産運用会社が破産申請「弁済能力がない」不動産不況で債務超過か2024年1月6日 TBS NEWS DIG 中国・北京の裁判所は5日、大手資産運用会社「中植企業集団」が破産申請を行い、受理したと発表しました。中国の不動産市場の不況などにより巨額の債務超過に陥ったとみられています。 中国・北京の第1中級人民法院がSNSで発表した内容によりますと、破産申請が受理されたのは中国の大手資産運用会社「中植企業集団」です。 中植企業集団は破産を申請した理由について、「すべての債務を弁済するには資産が不足しており、弁済能力がない」と説明したということです。今後、裁判所が企業破産法に基づき、破産処理を進めるとみられています。 中国メディアは去年11月、中植企業集団が2200億元以上、日本円でおよそ4兆4千億円以上の債務超過に陥っていると報じていました。中植企業集団は不動産への投資が多く、中国の不動産市場の深刻な不況で債務超過に陥ったとみられています。 北京市の公安当局は、中植企業集団に対し捜査を始めたことを明らかにしています。 ― 引用終わり ― 2023年8月、中植傘下の信託会社、中融国際信託が複数の高利回り投資商品に関して顧客への支払いができず、北京市内で抗議活動が起きていた。 中融国際信託は経営難に陥った不動産開発会社への融資を拡大。中国恒大集団などの企業から資産を買い取っていた。 2023年11月時点で、中植企業集団の破綻で投資家が被る損失は最大560億ドル(約8兆3500億円)に上るとアナリストが試算していた。 中国政府による不動産融資規制による不動産セクターは借入を信託商品にシフト。 不動産セクターが破綻したため、シャドーバンキングの信託商品が破綻、投資家、富裕層や企業などに被害が及んでいる状況。 深まる中国シャドーバンキング(影の銀行)の問題木内 登英2023/08/18 NRI信託会社・中融の問題は当初考えられていたよりも深刻 … (略) … 不動産セクターは銀行借り入れから信託商品からの資金調達にシフト 中国信託業協会によると、国内信託会社の資産は今年3月時点で約2兆9,000億ドル(約422兆円)に上り、このうち約72%は、富裕層や企業に投資商品を販売する融資信託が保有している。 2019年半ばには、この融資信託の資産の約15%が不動産に投資されていた(コラム「高まる中国信託商品のリスク」、2019年7月16日)。その比率は、2019年以降62%減少し、今年3月時点でわずか7.4%まで低下したとされる。 しかし実際には、融資信託の投資先は明確には分からないようだ。迂回されて不動産セクターに投資される部分もかなり多い可能性がある。ちなみに、大きな問題を抱える地方融資平台(中国の地方政府傘下にある投資会社)への投資の数字も明らかにされておらず、数字の透明性は低い。 政府が不動産デベロッパーへの銀行融資を規制し始めてからは、不動産デベロッパーは規制の緩い信託からの資金調達を増やした可能性がある。一種の規制逃れである。そこで、中融信託など「中植系」信託会社は、資金供給で大きな役割を果たしたとみられる。そのため、不動産市場が調整し、不動産デベロッパーの経営が揺らぐと、信託商品の投資のパフォーマンスが悪化し、支払いが滞ることになる。 信託商品も政府の「暗黙の保証」で価格が歪められている可能性 信託商品に富裕者や金融機関のお金が集まった背景には、庶民が保有する傾向が強い投資信託の一種である理財商品と同様に、「暗黙の保証」という問題がある。多くの信託会社は地方政府や国有企業が株主になっており、一部の融資は地域のインフラ計画を支えている。そのため、信託商品には政府による暗黙の保証が付いている、とみなされることが多い。 そのため、信託商品の投資家は、高い運用利回りを享受する一方、投資リスクを十分に把握していないことが考えられる。このことが、信託商品の価格を歪めている面があるだろう。また信託商品の価格が元本割れをし、またデフォルトを起こした際には、それが社会問題化しやすい背景にある。 景気減速、不動産市場の調整をきっかけに信託商品の価格が大幅に低下すれば、それに投資する金融機関では損失が発生し、金融システムを不安定化させる可能性がある。また、信託商品の解約が急増し、それに応じきれない信託会社の破綻が相次げば、信託会社からの資金調達に依存する企業の経営が一気に行き詰まり、実体経済に大きな打撃となる事態も生じ得よう。 ― 引用終わり ― 中国政府は大規模な国際発行も可能だろうし、元を無制限に発行することによる国家債務の早期償却も可能だろう。 債権喪失、インフレ、失業などによる社会の混乱は、内外の不安定化で乗り切るつもりかもしれない。 内は少数民族の分断、周防愛の規制強化、外は海洋進出強化。リスクは絶大だが、中印国境紛争、中露国境紛争も強化するかもしれない。 内政が何ともならなくなったら、米中戦争の引き金となりうる台湾への武力侵攻が共産党独裁維持のための最後の一手となる。 米国の大統領選挙で共和党のトランプ氏が選ばれた時が、台湾進攻のチャンスとなる。 情報BOX:中国当局、低迷する株価にてこ入れ策継続2024年1月9日 ロイター] 中国の優良銘柄で構成するCS1300指数は今週、政府が昨年から相次ぎ打ち出した株価対策にもかかわらず、約5年ぶりの安値に沈んだ。 複数の関係筋によると、中国証券監督管理委員会(証監会)は新たに、国内の一部の大手投資信託会社に対し、債券ファンドなどよりも株式ファンドの発売を優先するよう窓口指導を行った。 CS1300指数は2023年に12%下落と、世界の株価指数の下落率上位に入った。初めて3年続落となった。 当局がこれまで講じた措置や今後見込まれる対策を以下にまとめた: <取引コスト> 中国は昨年8月28日に株式取引にかかる印紙税を半減させた。証券会社が証券取引所に届け出ている取引手数料も引き下げられた。 各証取はまた、投資家の借り入れ促進に向け証券担保ローンの担保比率を引き下げた。 当局の指針を受け、投資信託会社は株式ファンドの運用手数料を引き下げた。 <資本調達と借り換え> 証監会は資本調達と投資活動の「動的平衡」を目指し、新規株式公開(IPO)のペースを抑制した。 また、赤字企業や業績不振の上場企業による借り換えへの制限を強化した。 <小口投資家の保護> 証監会は、上場企業の主要株主による保有株売却への規制を強化した。 また、プログラム取引が相場の変動率を高めているとの一部投資家の指摘を受け、プログラム取引への監視を強めた。 当局はさらに、上場企業の自社株買いを奨励している。 <国家ファンドの買い入れ> 中国政府系ファンドの中央匯金投資は10月に株式市場の安定回復に向け上場投資信託(ETF)購入を開始したと発表。 12月には国有ファンドの国新控股がテック銘柄に特化したインデックスファンドの購入を開始したと発表した。 <売り越し禁止> 証監会は23年終盤、主要運用会社に1日当たりの株式売買で売り越しにすることを禁止した。売り越し規制は24年初めに解除された。 <今後の追加措置> 証監会は、中国の資本市場に投資する年金基金を含む長期投資家を増やすため策を講じる計画。 また、取引時間延長の可能性も検討している。 ― 引用終わり ― 中国共産党のためにならないこと以外(=経済開放以外)はあらゆる手段を尽くして経済活性化をはかる中央政府の意向がみてとれる。
2024年02月08日
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中国は2014年以降に反スパイ法や国家安全法の制定を通じ外国人を厳しく監視してる。2023年7月、取り締まり強化のため改正反スパイ法を施行した。 10月、アステラス製薬の日本人社員がスパイ容疑で逮捕された。 11月、中国湖南省長沙市で、反スパイ法に違反した罪で懲役12年の実刑判決を受けた日本人男性の上訴が、3日に同省高級人民法院(高裁)に棄却され、判決が確定したことが11日に分かった。 これまでに日本人は17人が拘束され、計10人の3〜15年の実刑判決が確定。起訴されていない人も含め、現時点で5人が中国国内にとどめられている。 中国、詳細地図を取り締まり「海外スパイ悪用の恐れ」共同通信 2023年12月11日 16時30分 中国国家安全省は11日、中国で提供されている詳細な地図データを「海外のスパイ機関が中国の軍事行動を監視するため悪用する恐れがある」として、取り締まりを始めたと発表した。地図の悪用が反スパイ法違反に当たる可能性を示唆した。 センチメートル級の高精度地図が軍事や国家機密に関連する場所を地図上に示し、情報漏えいのリスクがあると指摘。海外の地図ソフトが中国の地図データを集め「国家安全の深刻な脅威」となっていることが調査で分かったとしている。 国家安全に関するデータの窃取や違法な提供は反スパイ法に違反すると指摘し、そうした行為を見つけたら通報するよう国民に呼びかけた。 ― 引用終わり ― どんなことが反スパイ法違反になるか分からないので、中国に長期間滞在する日本人駐在員は危険に曝されている。 不幸中の幸いは、米中対立の影響、機密漏洩の可能性が大きいことなどから、中国から撤退する外資系企業が相次いでいること。AGC、キリン、キヤノン、ニデック(旧日本電産)、パナソニック、帝人、自動車でスズキ、三菱自動車など日系企業も中国での生産活動から続々と撤退している。卸売り、サービス業も中国からの撤退が急増している。 独裁に伴う統制社会は、監視行為による非効率を招くのみならず、新しい物事の発展を阻害し、経済社会の停滞を招くことが、数々の事例から明らかになっている。 即ち、習金平による共産党独裁の強化で中国は衰退社会となる。そのはけ口が対外政策に向かう可能性は大きい。
2024年01月14日
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日本で「産業のコメ」と呼ばれた半導体は、兵器において欠かせないものとなっている。 各種機械類の制御に半導体が必要とされ、武器・弾薬も同じとなる。精密兵器が増えるほど半導体の需要は高まる。 大国として中国が、兵器開発による軍事的優位性の維持拡大、継戦能力を高めようとしたなら、半導体の自給は必須となる。 覇権国家として中国は、半導体の自給率を高める必要がある。足りない技術は国策としてでも開発する。 中国の半導体自給率に「2023年で70%」説国産化目標の2025年75%は達成できるか高野悠介 2023年12月8日 レコードチャイナ 国家によるサポートは半導体産業チェーン構築に欠かせない。中国政府は2014年に「国家集成電路産業発展推進綱要」を発表。翌2015年、半導体自給率を2020年に49%、2025年に75%に引き上げる目標を掲げた。同年、投資ファンドを設立し、国有大企業や金融機関、その他から出資を募った。第1期に1387億2000万元、第2期に2041億5000万元を集め、株式や債権投資などの形でSMIC(中芯国際集成電路製造)、上海華虹、長江存儲科技(YMTC)、長電科技(JCET)、北方華創(ナウラ・テクノロジー・グループ)などのトップ企業を支えた。そのうち上位企業の現在を最新ニュースから探ってみたい。 長江存儲科技…メモリーでサムスンを追走 … (略) …華虹…NEC合弁からスタート、ファウンドリー大手 … (略) …SMIC…半導体産業の「中国代表」 … (略) … 業績低下も投資は維持 しかし両者とも、直近の四半期決算は2022年までと一変して冴えない内容だ。2023年第3四半期決算では、SMICは売り上げが前年同期比10.6%減の117億8000万元、利益が同78.4%減の6億7800万元、華虹は売り上げが同5.1%減の41億900万元、利益が同86.4%減の9583万元だった。 しかし、上に記したように生産設備の拡張を続けている。SMICは75億ドル、華虹は全資子会社の華虹宏力に126億元を投じた。投資の歯止めが効かず、破綻寸前の不動産企業を思い起こさせる。 中国メディアによると、2023~2027年の世界需要見通しは成熟(レガシー)工程28nm以上が7に対し、先進工程16nm以下が3の割合という。さらに、中国スマホメーカーは米クアルコムなどからの調達が多く、中国ユーザーに対する現地生産化は進んでいない。だから大丈夫、という論理なのだろう。 国産化はすでに目標達成? 中国メディアによると、SMICは国策企業として業績へのプレッシャーをはねのけてでも産業チェーンの上流と下流それぞれに需要を創出しなければならないという。 SMICの2019年の半導体生産設備、原材料、部品の国内自給率は10%に満たなかった。2023年には、サプライチェーンの多くで国産化が進んだ結果、自給率は40%に上昇した。しかし、これは欧米から最新機器や部品が調達できなかった裏返しでもある。 一方、「中国はすでに国産化率70%を達成している」「100%になれば外国投資を呼び込めずグローバリゼーションの観点から非現実的」(清華大学教授談)などという記事を配信し、国産化達成のゴールポストを移動させる作業に取り組んでいる。70%の根拠は示していない。さらに、「核心技術を習得しなければ米国制裁の効果をまともに浴びてしまう」「将来の制裁解除の折には先進プロセスは完全海外従属になってしまう」などとも主張している。制裁は効き、メディアは混乱している印象だ。結局、地道な技術的ブレークスルーを積み重ねるしかないだろう。 ― 引用終わり ― 米中対立を続けようとするなら、中国は核心技術について、争っている間は他からの習得が困難なので、地道な技術的ブレークスルーを積み重ねるしかない。 即ち、経済の量的拡大をもって覇権国家として中国が振る舞うことは多分に無理がある。経済の量的拡大期は、平和を唱え裕福になる絶好の機会だが、避けるべき危機への不安から、軍拡を実行し、持った力で他の国々と争う羽目に陥っている。 ゆめゆめ台湾を手の内とすることで、各種半導体技術を得ようなどと考えないことを願いたい。
2023年12月24日
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2027年の中国政府の債務残高は地方政府の債務統計に反映されない「隠れ債務」の急増により、日本に次ぐ世界2位(GDP比149%)となるとみられている。 中央政府による不動産バブル潰しで地方融資平台 による隠れ債務が地方政府で顕在化することが見込まれている。 中国の政府債務は日本に次ぐ水準に2023年07月27日 三浦有史 日本総研 中国の政府債務残高は、地方融資平台(Local Government Financing Vehicles:LGFV) による隠れ債務の増加により、2027 年に GDP 比 149%と、日本に次ぐ水準となる見込みである。 ■LGFV は隠れ債務の元凶 地方政府に代わって都市インフラ整備のための資金調達を担う LGFV は、中国国内でも地方政府の債務統計に反映されない「隠れ債務」を増やす元凶と見なされている。LGFV は「暗黙の政府保証」のもとで、債務を急速に増やしている。国際通貨基金(IMF)は、LGFV を含む中国全体の債務を独自に推計している。それを整理すると、次のことが指摘できる。 第 1 は、LGFV が地方政府全体の債務残高を増やす主因となっていることである。2018 年時点で 35 兆元、GDP 比 38%であった LGFV の債務残高は 2023 年に 66 兆元、同 53%と、GDP 比で 15%ポイントの上昇となる見込みである。一方、地方政府債務残高は 18 兆元、GDP 比 20%から、40 兆元、同 32%へと増加するものの、GDP 比で 12%ポイントの上昇にとどまる。LGFV の増加幅は地方政府債務より大きく、LGFV と地方政府債務を合わせた地方政府全体の債務残高はLGFV によって押し上げられたといえる。 第 2 は、隠れ債務がもはや「隠れ」という形容に相応しくない規模になっていることである。2018 年の隠れ債務は 41 兆元(GDP 比 44%)で、中央政府と地方政府を合わせた政府債務 33 兆元(同 36%)との差は 8 兆元(同 8%ポイント)であったが、隠れ債務の増加ペースが政府債務を上回ったため、2023 年の隠れ債務は 82 兆元(GDP 比 66%)となり、政府債務の 69 兆元(同55%)との差は 13 兆元(同 11%ポイント)へと、一段と拡大した。 第 3 は、LGFV が広義の企業債務残高を押し上げていることである。ここでいう広義の企業債務とは、企業債務に LGFV 債務を加えたものを指す。経済主体別にみると、債務残高そのものは企業が最も多い。しかし、2018~23 年の企業債務残高の増加幅は GDP 比でみると 8%ポイントの上昇にとどまり、LGFV の 15%ポイントを下回る。LGFV は国有企業であるため、このことは国有企業が興隆する一方で、民営企業が衰退する「国進民退」が進んでいることを表している。 ■政府債務は 2027 年に日本に次ぐ水準に LGFV の債務残高の増加は、国際的にみた中国の政府債務の位置づけにも大きな影響を与える。中国の政府債務については、地方政府債務の急拡大が懸念材料であるものの、中央政府の債務増加が抑制的であるため、全体としては深刻な水準にあるとはいえない、とされてきた。IMFの世界経済見通し(2023年4月)によれば、2022 年の中国の政府債務残高は GDP 比 77%と、データの採れる 188 カ国中 57 位で、日本(261%、1 位)、イタリア(145%、5 位)、米国(122%、12 位)、スペイン(112%、18 位)、フランス(111%、19 位)を大きく下回る。 しかし、4 兆元の景気刺激策が実行される前の2008 年から IMF が予想する 2027 年までの約20 年間の GDP 比でみた政府債務残高の増加幅と、それに伴う 2027 年の国際社会における政府債務残高の位置づけをみると、上述の評価はもはや妥当とは言えない。世界経済に与える影響が大きいG20を比較対象とすると、中国の政府債務残高の増加幅は74%ポイントと、日本の 81%ポイントに次ぐ高さで、英国(64%ポイント)、米国(61%ポイント)を上回る。2027年の政府債務残高は GDP 比 101%と、G20 のなかで 6 位となる。 ― 引用終わり ― 12月5日、中央・地方政府の債務増を懸念し、ムーディーズ、中国格付け見通し「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。 中国に対する「A1」の長期格付けは据え置かれた。ムーディーズは、地方政府などへの支援に向けた財政刺激策の活用が中国経済にリスクをもたらしつつあると分析した。 2023年は記録的な債券発行となる方向で、中国の債務水準を巡る懸念は高まっている。 ムーディーズ中国格付け見通し「ネガティブ」に債務問題を懸念ロイター 2023年12月5日 格付け会社ムーディーズは5日、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。 中期的な経済成長率の低下や不動産部門の縮小が理由。 ムーディーズは中国の成長減速・債務増加見通しを踏まえ2017年に格付けを1段階引き下げA1とした。それ以来の調整となる。 長期自国通貨建て・外貨建て発行体格付け「A1」は据え置いたが、GDP伸び率は24年と25年に4.0%に減速し、26─30年には平均3.8%に低下すると予想した。 見通しの変更についてムーディーズは、中国当局が債務問題を抱える地方政府や国有企業への資金支援を迫られることが予想され、中国の財政、経済、構造的強さに広範なリスクを与えているためと説明。 さらに「中期的な経済成長の構造的・持続的低下や、現下の不動産部門縮小に関連したリスク」も見通しの引き下げ要因とした。 国際通貨基金(IMF)の最新データによると、地方政府債務は22年に92兆元(12兆6000億ドル)、国内総生産(GDP)比76%で19年の62.2%から上昇した。 ― 引用終わり ―
2023年12月14日
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オーストラリアを訪問中の自民党の麻生副総裁は11月13日、首都キャンベラで講演し、「個人的な意見」として、米英豪による安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」に日本を加える「JAUKUS(ジョーカス)」の創設を提唱した。中国に対抗するため、日本の新たな同盟相手として「豪州は明白な選択肢だ」とも訴えた。また、日本の周辺にロシアや中国、北朝鮮が位置していることを挙げ、「世界中でこれだけ危険で予測不可能な地域はほとんどない」と強調した。 危険の点で日本はイスラエルに勝てないと思う。防諜能力、諜報能力に劣るため有事の予測可能性は日本が低いと思われる。 経済と友好にかまけて有形無形の「国防」を怠っている日本は、中国経済の停滞と中国共産党の独裁体制の強化により大きな危険に曝されている。 中国の法いつの間にか変わっているので逮捕されたときは、以前と同じように行動していたとしても、法律違反と知らずとも「法の裏付け」がある可能性が高い。したがって逮捕されたときは「有罪」。 中国「法に則って処理」“反スパイ法”日本人男性に懲役12年確定でTBS NEWS DIG Powered by JNN / 2023年11月13日 23時17分 中国で「反スパイ法」に違反したとして逮捕された50代の日本人男性に懲役12年の実刑判決が確定したことについて、中国政府は「中国は法治国家で、法に則って案件を処理する」と主張しました。 介護関連の仕事に携わっていた50代の日本人男性は2019年7月、湖南省長沙市で「中国の国家安全に危害を加えた」として、「反スパイ法」違反の疑いで国家安全当局に逮捕されました。 日本政府によりますと、今月3日に湖南省の高級人民法院で懲役12年の実刑判決が確定したということです。 中国外務省の毛寧報道官は13日の記者会見で、「案件の具体的なことについて主管部門に聞いてほしい」としつつ、次のように述べました。 中国外務省 毛寧 報道官 「中国は法治国家で、法に則って案件を処理し、当事者の各種合法的な権益を法に則って保障する」 中国では2014年に「反スパイ法」が施行されて以降、17人の日本人が拘束され、今回のケースを含めて10人が実刑判決を受けています。 ー 引用終わり ー 11月13日、松野官房長官は、「11月3日、中国湖南省高級人民法院において、2019年7月に拘束された50代邦人男性に対する第2審判決公判が行われ、当該邦人に対する上訴が棄却され、第1審判決が維持されたことにより、懲役12年の刑が確定したと承知しています」「今後とも邦人の保護の観点からできる限りの支援を行う」と記者会見で述べた。 今年の3月には日本の製薬会社の中国駐在員が反スパイ法違反で拘束され、4月には中国共産党系の新聞「光明日報」の幹部が、北京で日本大使館の職員と面会した直後に中国当局に拘束されるなど、物騒な事件は中国の日本人社会の身近なところに及んでいる。 スパイを疑われているのは会社員だけではない。中国当局は駐在員の身分で滞在する会社員の活動のみならず、研究者などの学術交流についても警戒している。 中国は自国民を利用して海外で情報詐取を行っているので、海外諸国も同じように会社員、アルバイトから研究者、学生まで情報詐取をしていると考え警戒を強めているのだろう。 米中対立で海外からの情報流入が減ったことも警戒心を強める動機の一つだろう。 共産党独裁が強化され全体主義傾向が強まる中、政府や組織の幹部の思い一つで善悪が決まる混沌とした社会へと習金平の中国は急速に向かっている。 中国へ進出している外資企業は着々と脱出しつつあるが、VW、テスラ、トヨタ、ホンダなどの自動車企業は、世界最大の新車市場である中国を離れられないでいる。それどころかEV工場の新設をすすめている。脱出するならノウハウが詰まった生産設備を置いていけ、ということも考えられる。 財務的打撃や情報流出などによる企業の将来不安とともに、外国人であるということだけでスパイ候補となっている現地駐在員の身が案じられる。 中国で「日本人スパイは至る所に」の報道も…訪中日本人が感じた“不気味な異変”の数々姫田小夏:ジャーナリスト2023.10.13 6:00 ダイヤモンド オンライン中国で「日本人スパイは至る所に」の報道も…訪中日本人が感じた“不気味な異変”の数々 日本と中国は政治的な溝だけでなく、ビジネス間の溝も深まっている。「政治、外交がダメでもせめてビジネスでは」――と期待する日本のビジネスパーソンも中国の現状に落胆する。この状況に、追い打ちをかけるのが中国の改正「反スパイ法」だ。今年7月の導入から3カ月あまりがたつが、互いを疑心暗鬼にさせる同法は、日中の経済交流にますます深刻な影響を及ぼしそうだ。(「China Report」著者 ジャーナリスト 姫田小夏) 中国の社会システムからはじき出される日本人 この夏中国へ渡航した日本からの出張者が続々と帰国した。現地事情についての情報交換が行われる中、長年にわたり日中間を往来する出張者が異口同音に語るのは「中国の現状は想像を超えていた」ということだ。 北京に出張した人は、北京五輪当時、急ピッチで新設された北京首都国際空港のターミナルについて「ほこりまみれで劣化が激しい」と驚いた。また、上海に出張した人は、宿泊先の老舗ホテルについて「コロナ禍の消毒液の影響で壁やエレベーターのボタンがボロボロ」と、痛ましい変化に眉をひそめる。今や住人がいなくなった「幽霊マンション」はどこにでもあり、企業倒産も珍しくない。 出張した日本のビジネスパーソンたちが問題にしたのは、景気の悪化だけでなかった。 2010年代に上海の現地法人で総経理を務めた経験のあるA氏は、「中国はもう外国人が生活できる場所ではありません。現地に信頼できる中国人がいなければ、外国人は“行き倒れ”になるリスクさえあります」と、中国出張を振り返る。 「コロナ前まで、私は中国の決済アプリでキャッシュレス決済を行っていましたが、今回の渡航では銀行認証が厳格化されて使えませんでした。訪問先の中国東北部でも現金はほとんど使えず、必要なものは友人の中国人のスマホで立て替えて買ってもらいました」 買い物先や観光地、タクシーや鉄道で――中国社会で成熟する決済システムや予約システムからすっかりはじき出された出張ベースの外国人は、現地に家族や親類、友人がいる場合を除いて、相当の不便を強いられるという。 「外国人が強いられる不便さ」はすでにビザ申請の時点から始まっていた。福岡県在住のB氏は「ビザ申請書には昔の職場の上司の連絡先どころか、他界した親の情報まで記入させられ、申請書を提出してからは3回も修正させられました」とあきれる。複雑な申請は外国人を遠ざけるには効果的だ。 「反スパイ法」の裏に“外国人アレルギー” 19世紀の半植民地化を経験し、20世紀の東西冷戦では「竹のカーテン」で閉ざされた中国だが、ここに来て“外国人アレルギー”はますます高まっている。 そのきっかけの一つが、今年7月に施行された中国の改正反スパイ法だ。同法はスパイ行為の定義を拡大したもので、「国家機密または国家情報、そのほかの国家の安全と利益に関する文書、データ、情報および物品の窃取、偵察、買収、または不法に提供する活動等」といった文言などが盛り込まれた。 中国では国家安全部による「怪しい活動をしている人物がいればただちに当局に通報せよ」とする文書がネット上に掲載され、7月以降、国民を動員しての“スパイ封じ込め”が一段と強化されるようになった。 浮き彫りになるのは外国人への警戒だ。中国政府は「外国には、中国の社会主義制度を転覆し、台頭を阻止したい勢力が存在する」という認識を持ち、スパイは外国から送られてくることを想定している。 実際、近年中国では、全く知らない外国人がメールやSNSを使って中国人に接触し、中国の軍事機密を調べさせる「スパイ行為」が後を絶たないと中国メディアが報じている。 “外国のスパイ”が狙うのは、政治、経済、国防、最先端技術などを専門にする大学生が多いといい、9月の新学期には中国の各大学で、スパイを見つけた場合の通報方法、国家の安全を脅かす行為を特定する方法などを教える特別講座が設けられた。 大学生は「金欲しさ」に機密を売り渡してしまう傾向があるというが、最近の就職難や経済難を思えば、報酬目当ての情報売却の増加は容易に想像がつく。 国家安全保障に詳しい中国人専門家の投稿記事によると「中国人に対する外国のスパイの要求は、最初は『市内の風景を撮影してほしい』という簡単なものから始まり、次第に港や造船所を撮影してほしいとエスカレートを見せ、与える報酬も多額なものになる」という。 中国当局による取り締まりは強化されている。今年8月、国家安全部は、中国で軍事機密プロジェクトに従事していた女性を、海外でスパイ活動を行っていた容疑で逮捕した。女性は渡航先のイタリアで米国の駐イタリア大使館員と食事などを通して緊密になり、米国移住と引き換えに軍事機密情報を売り渡したという。大使館員はCIAの職員だった。 ー 引用終わりー 11月16日、台湾国防部(国防省)は、台湾海峡に面した台中市の清泉崗空軍基地を日本メディアに公開した。 中台の停戦ラインとして機能してきた台湾海峡の中間線を中国軍機が越えることが常態化しており、台湾軍は昼夜を問わず緊急発進(スクランブル)で警戒にあたっている。台湾国防部によると、中間線を越えるなどした中国軍機は昨年月平均で延べ280機だったのに対し、今年は380機以上に上る。 国内経済が停滞し続け失業率が高まり社会不安が昂進する中、対外政策で国民の支持を得ようと、台湾をはじめ海外への人民解放軍の軍事的圧力は高まる一方だ。
2023年11月24日
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2023年11月15日に中国国家統計局が発表した10月の鉱工業生産は前年同月比4.6%増加し、9月の4.5%増から加速した。小売売上高の伸びも予想を上回った。 1~10月の都市部固定資産投資は前年同期比2.9%増にとどまった。うち不動産開発投資は9.3%減と、マイナス幅は1~9月の9.1%、1─8月の8.8%減から拡大した。 鉱工業生産と小売業伸びが加速した一方、10月の工業統計によると不動産開発投資の伸びの低下を反映してか、粗鋼生産は前年同月比1.8%減の7909万トンで2カ月連続の前年割れとなった。1日当たりの粗鋼生産は255万1千トンで前月から18万6千トン減少し、2022年12月以来の250万トン台に減少。 中国粗鋼生産、10月は前月比3.7%減利幅縮小と需要低迷でロイター編集2023年11月15日 ロイター 中国国家統計局が15日発表した10月の粗鋼生産は前月比3.7%減の7909万トンと、4カ月連続で減少した。需要が振るわず利幅が低下する中、炉の点検を前倒しで行う動きが拡大した。 生産量はアナリスト予想(8000万─8100万トン)を下回った。前年同月比では1.8%減だった。 ロイターの算出によると、1日当たりの平均生産量は255万トンと、9月から6.8%減少し2022年12月以来の低水準となった。 コンサルティング会社マイスチールによると、10月末時点で黒字だった製鉄所は20%未満で、9月下旬の約30%から減少した。 統計局によると、1─10月の粗鋼生産は8億7470万トンと、前年同期比1.4%増だった。 ー 引用終わり ー 不動産開発投資の減速と不動産価格の下落が主因と思われるが、中国の中央政府は地方政府の官民連携事業(PPP)を中止するよう指示した・ これまで年間予算の最大10%をPPPに充てることを地方政府に認めてきたが、今後は当局が事業を個別に審査=制限することとした。 中国地方政府に官民連携事業の削減指示債務リスク抑制=関係筋ロイター編集2023年11月14日 ロイター 関係筋によると、中国政府は地方政府に対し「問題がある」と指摘された官民連携事業(PPP)を中止するよう命じた。地方政府の債務リスクを抑制することが狙い。 地方政府や政策銀行、国有金融機関に宛てた先月の中国国務院(内閣に相当)の文書に新たなガイドラインが記載されていたという。 これまで年間予算の最大10%をPPPに充てることを地方政府に認めてきたが、これを廃止し今後は当局が事業を個別に審査する。多くの地方政府のPPP支出が過去数年間で基準の上限に達していた。 国家審計署が今年が実施した検査で「問題のある」と指摘された事業には停止し、指摘された問題に対処するよう命じた。関係筋の1人は問題のある事業ついて、地方政府のインフラ投資会社である融資平台(LGFV)が民間のパートナーを装ったケースなどが含まれると説明した。 また2月までにパートナーを決定する入札手続きが終了していないプロジェクトは全て停止される。 ― 引用終わり ― 中国で未完成のまま放置されているマンションは約2000万戸あると推定されている。 マンションは投資物件だけでなく、居住用物件も相当数含まれていると推測され、多額の借金を背負い、住む当てを失った購入者が抗議活動を行うことなどにより、社会不安が発生することが予測される。 米中対立による景気低迷、IT系企業の成長抑制、カントリーリスクの増大から外資系企業が撤退を続けていることなどから、中国各地で失業者が増大している。中国各地で退職手当の支払いなどを要求する抗議活動が発生している。大卒者を含む若年失業率(16~24歳)は6月まで3カ月連続で20%の大台を超え、中国当局は7月以降の数値の公表を取りやめた。若者の反乱は、天安門事件のような大きな社会不安につながる要素として中国政府・共産党が大きく警戒するところだ。 若年失業者の増加と高齢化の進展などにより、中国経済の中長期的な成長力の低下が語られている。 中国未完成のまま放置のマンションは2000万戸社会の安定脅かす可能性も―米メディアRecord China 2023年11月18日 8時0分 米ボイス・オブ・アメリカの中国語版サイトによると、中国で未完成のまま放置されているマンションは約2000万戸あると推定され、野村證券は報告書で「住宅引き渡しの遅延問題が社会の安定を脅かす可能性もある」と指摘している。 記事によると、中国の1~10月の分譲住宅販売面積は前年同期比7.8%減で、減少幅は1~9月の同7.5%減から拡大した。不動産開発投資の減少幅はさらに大きく、1~9月の同9.1%減に対し、1~10月は同9.3%減だった。新築住宅着工面積も急速に縮小しており、1~10月は同23.2%減で、1~9月の同23.4%減と大きな変化はなかった。1~10月の不動産開発会社が調達した資金は同13.8%減で、1~9月の同13.5%減と比べてさらに悪化した。 記事が米CNBCの報道として伝えたところによると、野村證券はこのほど発表した報告書で、中国の未完成の販売済み住宅の規模について、2022年末時点で中国不動産開発大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)の規模の約20倍だと指摘している。 野村の中国担当チーフエコノミスト、ティン・ルー氏によると、中国には未完成のまま放置されているマンションが約2000万戸あると推定され、残りのユニットを完成するには約3兆2000億元(約64兆円)が必要だという。 中国のマンションは通常、完成前に販売される。建設の遅れにより人々のマンション購入意欲が低下するため、住宅の建設を確実にすることが政府の優先事項となっている。 野村の報告書は、「不動産セクターの崩壊と不動産開発業者の間での広範な信用低下の中で、住宅購入者は購入した新築住宅の引き渡しを待つ間、ますます焦りを感じる可能性がある」と指摘する。 野村のアナリストによると、住宅引き渡しの遅延問題は、来年のある時点で社会問題化し、社会の安定を脅かす可能性があり、中国政府が強力な政策支援を行えるかどうかが、不動産セクターと経済の信頼を真に回復するための鍵となる。 中国では昨年、多くの住宅購入者が建設の長期的な遅れを理由に住宅ローンを支払わないことを決めた。多くの開発業者が債務危機に直面している。 野村のアナリストによると、今年の住宅竣工率を20%と仮定すると、開発業者が15年から20年までに販売した住宅のうち引き渡せるのは48%で、52%は予定通りに引き渡されないことになる。(翻訳・編集/柳川) ー 引用終わり ー このような背景の中、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の合間に、中国の習近平国家主席と支持率低下でジリ貧の岸田首相とは、1年ぶりの首脳会談に臨んだ。 両国は「戦略的互恵関係」の位置付けを再確認し、新たな意味合いを持たせるべきだ、と述べた。東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡る問題について、対話を通じて解決を目指していくことで一致した。 中国共産党の機関紙、人民日報は11月18日付の紙面で、習近平国家主席と岸田文雄首相との日中首脳会談について2面に掲載する扱いをとった。
2023年11月23日
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中国・習国家主席は自らのしてきたことの誤りに気づき始めているのだろうか。 2023年7月に習国家主席は外相を解任、2カ月後に国防相更迭が報じられ、核兵器を管理する人民解放軍ロケット軍の指導部も刷新された。 綱紀粛正で共産党幹部、中央政府幹部、地方政府幹部を更迭することで権力基盤を強化してきた習国家主席のやり方は、国内外の情勢を一段と不安定化させた。 説明のつかない突然の人事交代や政策変更で市場の不安は増大し、対米強硬姿勢が米中の経済関係を滞らせ外資は撤退が加速、海外からの投資も激減している。国内経済は不動産価格規制にともなう諸施策で不動産価格が下落し大量の不良債権が顕在化し、90年代の日本のバブル崩壊と似ていると評されている。 「一帯一路」に伴う海外のインフラ投資も焦げ付きが多く、収益の上がらない海外インフラを人民元で買ったような形となっている。 これまでの対米強硬姿勢と異なり、10月9日、米上院議員団と会見で習国家主席は「中米関係は世界で最も重要な2国間関係だ。両国がどう付き合うかが、人類の未来と命運を決める」と述べたと報じられた。 習氏、米中関係は「人類の運命」左右 米上院議員団訪中2023年10月9日 AFP BB News 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は9日、北京を訪問した米上院議員団と会見し、米中関係は「人類の運命」を左右すると述べた。 チャック・シューマー(Chuck Schumer)米上院院内総務らと会見した習氏は「変化と混乱の世界を前に、中国と米国がいかに良い関係を保っていくかが人類の未来と運命を決めるだろう」との認識を示した。 さらに「世界で最も重要な二国間関係」だと強調し、「これまで私が何人かの大統領も含めて述べてきたように、中米関係を改善する理由は千とあるが、破滅させる理由は一つもない」と話した。 ー 引用終わり ー 「世界の工場」としての役割を終えた中国は、貿易、経済の重要性に気が付いて、「一人勝ち」を目指して行ってきた諸々の国策の軌道修正を始めるのだろか。 貿易の前提は独りよがりの秩序の強制ではなくお互いの利益の尊重であり、厳格で急な締め付けではなく平和的で安定した制度の継続。 米中のような大国間の大きなトラブルは、世界経済にとってよいことは少ない。
2023年10月21日
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2023年7月31日、中国指数研究院は、売上上位100位内の不動産開発大手の売上総額は前年同月比で34.1%減。前月比で33.8%減と発表した。 8月11日、中国人民銀行(中央銀行)は、7月の新規人民元建て銀行融資は3459億元(478億ドル)で、6月の3兆0500億元からは89%減と発表した。 中国政府の思惑通り、不動産バブルは崩壊しつつある。 2023年7月17日に発表された2021年と2022年の通期決算によれば、2年間の純損失は単純合計で8120億3000万元(約15兆7021億円)。2022年末時点の総負債は約2兆4400億元(約47兆1818億円)。 9月16日、中国・深圳市公安局は、経営再建中の不動産大手、恒大集団傘下の資産管理会社、恒大財富(エバーグランデ・ウェルス)の社員の身柄を拘束したことを発表した。2021年9月上旬、恒大財富の違法経営が改めて摘発され、すべての理財商品(高利回り商品)の元本の償還を停止したことから、全国各地で債権者の抗議行動が起きていた。 9月25日、恒大集団の夏海鈞・元最高経営責任者(CEO)と潘大栄・元最高財務責任者(CFO)が当局に拘束されたことが報じられた。 同日、当局からの調査を受けているため、新規債券の発行はできないと発表した。香港市場での株価が25%暴落した。 9月28日、恒大集団の創業者・許家印会長が法律違反の疑いで当局から「強制措置」を受けていると恒大集団が発表した。 債務超過が明らかとなり、業績回復も見込みのない恒大集団であるが、香港市場での株式の取引は再開された。 中国では、民間企業の破綻・再生に関する法令の整備がない。破綻する民間企業の経営者は犯罪者として処罰されると聞く。 恒大集団が捨て身の資産海外逃避作戦習近平政権が怒りの創業者会長拘束で巨額損失発生の破綻処理は必至2023/10/3 現代ビジネス 9月28日、中国不動産開発大手の恒大集団は、創業者の許家印会長が法律違反の疑いで当局から「強制措置」を受けていると発表した。それに先立って25日、中国メディア財新は、恒大集団の夏海鈞・元最高経営責任者(CEO)と潘大栄・元最高財務責任者(CFO)が当局に拘束されたとも報じた。 これで政府当局はいっせいに、恒大集団の最高経営陣に捜査・摘発などの法的措置をとることに踏み切ることとなったが、それでは恒大集団に残された債務再建・再生のわずかな可能性は完全に潰され、中国屈指の開発大手は事実上の「死刑宣告」を受けた。そして恒大集団が背負う47兆円債務のうち、少なくとも11兆6000億円の超過債務分の返済はほとんど不可能となったわけである。 … (略) … NYでの破産申請はなにを狙ったものなのか ここまでの恒大集団を含めて、自らの不祥事や危機的状況をできるだけ隠蔽して延命を図るというのが中国国内企業の一貫としたやり方であるが、今回に限り、恒大集団が当局から調査を受けていることや許会長拘束の一件を迅速にかつ素直に発表したのはいかにも不可思議なことで、まさに謎である。 その謎解きの鍵の一つが、恒大集団が8月17日、ニューヨークで破産を申請した事実にあるのではないかと思う。 恒大集団はニューヨークのマンハッタン地区連邦破産裁判所に対し、連邦破産法第15条の適用を申請したが、この条項の適用によって、米国籍以外の企業、すなわち恒大集団は、米国内の資産を保護する目的で資産の強制的な差し押さえなどを回避できるのである。 そうなると、ここで出てくる可能性の一つはすなわち、恒大集団は今まで、かなりの資産を米国に移しておいて、その中には許会長以下経営陣の個人資産は何らかの形で組み込まれることとなっていることである。そうなると、恒大集団本体が破産したとしても、米国にある、許会長ら経営陣の個人資産は保護されて手元に残すこととなる。 彼らにしてみれば恒大集団の破産はすでに織り込み済みであって、本気で再建・再生を図るつもりは毛頭ない。下手に延命を図ろうとすると逆に負債はさらに膨らみ傷が大きくなるから、早めに破産した方が良いとの判断となったのであろう。それなら、恒大集団は前述のように、自分たちの抱える不祥事や危機的状況を自ら進んで公表し、破綻を急ごうとしていることの理由は何となく分かる。 ー 引用終わり ー 恒大集団が法人としてなくなった後、恒大集団に終の棲家の夢を託した中国人民をどうするかが、地方政府の大きな課題となる。 中国最大の都市開発企業・碧桂園が破綻しても同じ課題が残る。中央政府の采配が注目される。 デフォルト回避で綱渡りを続ける中国不動産開発大手『碧桂園』#木内 登英2023/09/13 NRI■当面のデフォルト危機をなんとか回避 経営難に陥った中国不動産大手・碧桂園(カントリー・ガーデン)の債権者は9月11日に、同社の人民元建て債券の108億元(約2,200億円)分について、3年間の償還延長に関する投票を実施した。報道によれば、8本の債券のうち6本が承認された。 これまでも別の人民元建て債券について、同社は返済期限を2026年まで延長する承認を債権者から取り付けていた。また5日には、ドル建て債券で延滞していた2,250万ドル(約33億円)の利払いを実施したことが、明らかになっていた。当面の債務不履行(デフォルト)危機をなんとか回避しているのである。 ただし、今回の投票では、まだ2本の承認は確定していない。碧桂園の関連会社が発行した今年10月21日償還債と、11月3日に早期償還を要求できるプッタブル債だという。 ■不動産市況が改善しない限り碧桂園の流動性危機は続く 債権者らは、碧桂園が外部から流動性支援などを受けることなく、年内に期限を迎える債務の返済が可能な状態なのか、大いに疑問を持っている。先行き返済できる見込みがないのであれば、今の時点で返済をあきらめるはずであり、そうでないのは、政府から支援の約束を取り付けているからなのではないか、との観測も出ている。しかしそれは根拠がなく、希望的観測でしかない。 海外の債権者からは、政府などから流動性支援を受けるか、さもなくば、破綻宣言を行い、早々に債務整理を進める方が良いとの意見も聞かれる。 ー 引用終わり ー 不動産価格騰貴の解消、居住用不動産価格の下落を目指した習金平総書記の下の中国で、不動産市況が改善する見込みは全くない。
2023年10月12日
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人民元は、ドル高を背景に2008年の世界的な金融危機以来の水準までに下落。2022年にオフショア人民元は最安値を記録している。 2022年10月24日、中国国家外為管理局は、一部の銀行に調査票を送付し、為替市場での銀行のポジションについて問い合わせた。 中国当局は急激な元安に歯止めをかけるため、企業や金融機関が従来より容易に海外市場から資金を調達できるようにする措置など、一連の対策をすでに打ち出している。 中国人民銀行は、人民元の発行、人民元レートと外貨の管理および国家貨幣政策の制定を担当する。 一帯一路ですすめた大規模な海外インフラ投資は、まともに返済されない情勢。 世界の工場であることを否定するような習金平政権の施策、ゼロコロナ政策で、海外から資本が流入するどころか、海外へと資本が流出する事態となっている。 9月13日、中国人民銀行は、香港市場で来週、手形発行を再び増額する方針を示した。人民元安に歯止めをかける狙いがあるとみられている。 9月19日、中国人民銀行は香港で期日到来分の3倍の手形発行。6カ月物の中国人民銀行手形の利率が過去最高3.38%となった。 経済力の増大とともに人民元高を心配していた為替管理当局は、急激な人民元安を警戒している。 中国人民銀、香港で期日到来分の3倍の手形発行利率は過去最高2023年9月19日 ロイター 19日に香港で売却された6カ月物の中国人民銀行(中央銀行)手形の利率が過去最高となった。当局が元の急速な下落に歯止めを掛けようとする中、香港で流動性が逼迫している。 香港金融管理局(HKMA、中央銀行)によると、6カ月物人民元建て中銀手形を150億元(20億6000万ドル)売却。利率は3.38%で、前回6月の2.24%を114ベーシスポイント(bp)上回り、2018年にオフショア元建て手形の発行を開始して以来最高となった。 売却額は、この日期日を迎える50億元の3倍だった。 人民銀は香港での手形売却を2カ月連続で拡大している。トレーダーは、元の流動性を吸収して元ショート(売り持ち)を割高にするためとみている。 ー 引用終わり ー 国際決済通貨としての人民元国際化の重要なネックは、ドルの存在だけではない。人民元の信頼性の問題が重要だ。ある通貨が、国際通貨として信頼を得るためには、透明性の高い法制度とその運用、整備された金融市場、自由な資本移動などが必要になる。その点からみると、人民元の国際化には課題が多い。 信頼を得るという意味では、中国が国境を超えた資本移動を比較的厳格に規制していることは、人民元国際化のハードルだ。 その前に、国内経済の安定が必要なのだろうが。
2023年09月26日
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コロナ禍で動きを潜めた金正恩総書記がロシア・プーチン大統領と懇談するためロシアのウラジオストックを訪問。 相互の軍事協力の強化を図るとみられる。北朝鮮はロシアに砲弾などを提供、ロシアから先端技術の移転を要求するとの観測がある。北朝鮮には、連携を強化する日米韓に対抗し、ロシアとの結束を誇示する狙いもありそうだ。 17日、北朝鮮メディアは、金総書記が16日、ウラジオストクでロシア軍の戦略爆撃機や太平洋艦隊のフリゲート艦を視察した様子を伝えた。 金総書記は、視察に同行したロシア・ショイグ国防相と会談し、軍事協力の強化に向けた実務的な意見を交わしたと報じた。 金正恩氏のロシア訪問発表「プーチン同志と再会し会談する」…首脳会談で軍事協力を強化か2023年9月11日 読売新聞 ロシアと北朝鮮は11日、プーチン露大統領の招きにより、金正恩キムジョンウン朝鮮労働党総書記がロシアを訪問すると同時発表した。韓国政府は正恩氏の専用列車がロシア方向に向かうのを確認した。露極東ウラジオストクで会談が行われる可能性がある。 北朝鮮は朝鮮中央通信を通じ、正恩氏が近く訪露し、「プーチン同志と再会して会談する」と伝えた。両氏の会談は、正恩氏が専用列車でウラジオストクを訪問した2019年4月以来、4年5か月ぶりとなる。 ― 引用終わり ― 2023年5月15日、香港明報など中国メディアは、中国東北部の吉林省と黒竜江省が来月1日からウラジオストク港を中国国内の港と同じように使用することが可能になったと報じた。中国は165年ぶりにロシアのウラジオストク港の使用権を取り戻した。 中国とロシアの関係がこれまで以上に強固になるのはもちろん、中国東北部の物流網の改善により経済成長の効果も期待できそうだ。 中国がロシアの港を奪還? 極東権益を侵食中ウラジオストク港の使用権を165年ぶりに回復岡田 充 : ジャーナリスト2023/06/20 東洋経済オンライン 中国は2023年6月1日から、ロシア極東の最大都市ウラジオストクの港の使用権を165年ぶりに回復した。さらに西部国境では、中国とキルギス、ウズベクの横断鉄道計画にゴーサインを出し、ロシアの権益を次々と侵食している。 ウクライナ侵攻で衰退が加速するロシアの弱みを突いて「兄弟関係」を逆転しただけではない。ウクライナ危機の最大の受益者は中国かもしれない。 中国「祖国の懐に」と興奮 「ロシアによって165年間使用された後、港はついに祖国の懐に戻った」 中国東北部の吉林省と黒竜江省が、省産品を浙江省など沿海地域に出荷する際、ウラジオストク港を使用する特例措置が6月1日から認められたニュースを伝える報道だ。 かつて中国領だったウラジオストクが、帝政ロシアとの不平等条約によって奪われた「屈辱の歴史」をそそいだかのような興奮ぶりだ。ロシアはもちろん太平洋艦隊の基地がある極東最大の軍事拠点の同港を中国に「返還」するわけではない。順序を追って説明しよう。 中国税関総署は2023年5月4日、中国東北部の老朽化した工業基地を活性化するため、同年6月1日から国内貿易品を国境越えの通過港としてウラジオストク港を使用できるようになると公告した。 ロシア政府がこれを認めたのは、習近平が2023年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で3期目の国家主席入りを果たした後、3月20〜22日に初の外遊先としてロシア訪問した時だ。プーチン大統領との10時間以上におよぶ首脳会談での、最大のテーマはウクライナ問題だった。 首脳会談後に2人は、「2030年までの経済協力の大枠に関する共同声明」に署名した。この中で、「両国の鉄道、道路、河川、海運など輸送迅速化を含む物流面での協力」をうたい、ウラジオストク港使用でプーチンの「ダー(イエス)」を勝ち取ったのだった。 沿海州は清朝時代には「外満州」(Outer Manchuria)と呼ばれる中国領だった。しかしアヘン戦争で清朝が弱体化、帝政ロシアは1858年のアイグン(璦琿)条約と、1860年の北京条約でアムール川左岸を獲得、ウスリー川以東の外満洲を両国の共同管理地として「割譲」した。 中国側は帝政ロシアに奪われた国土の総面積を外満州にモンゴルと西域を合わせ約500万平方キロメートルと、現在の中国領土の半分強に相当すると主張、中国にとって屈辱的割譲だった。 ― 引用終わり ― 中国は、金正恩が列車で通った戦略的に重要な土地をめぐって不満を抱えている。国境地帯の中国側には、中国の領土喪失を図版や映像で伝える博物館まである。つまり、今回北朝鮮の金正恩総書記の訪問した一帯は、中ロ関係において非常にセンシティブな地域。 9月17日、ロシア極東を訪問していた北朝鮮・金正恩総書記を乗せた列車がウラジオストクの駅を出発した。 ロシア、中国、北朝鮮の関係は新たな段階に移行しつつある。 ロシアに対する「塩対応」からも見える「中露関係」の大きな変化2023年9月15日 ニッポン放送 NEWS ONLINE … (略) …ロシアに「塩対応」する中国 ~「中国・中央アジアサミット」によってロシアの庭に手を入れ、ロシアの外交力の低下を宣言中川)そういった意味では、プーチンさんに対して「塩対応をしている」というところは大前提にあるのです。 飯田)ロシアに対して。 中川)なおかつ、ロシアの外交力が減ったため、より一層塩対応になっている。日本でG7広島サミットを開催した際、中国が「中国・中央アジアサミット」を仕掛けたように、ロシアの庭に手を突っ込んで、あからさまに「ロシアの外交力の低下」を宣言しているわけです。その辺りを見ると、「ロシアと中国の関係が変わってきたな」と思います。 飯田)がっちり組んでいるイメージもあるけれど、むしろ他人の庭に手を突っ込むくらいのことを平気でするのですね。 中川)相当にロシアの外交力、また中国に対する交渉力が弱まっているところはあると思います。 中央アジア、中東、アフリカなど、ロシアの影響力があった地域に手を突っ込む中国飯田)中国は中東に関しても、イランとサウジの仲介を行いましたが、あの地域も、もともとロシアのプレゼンスがあったところに手を突っ込んでいるのですか?中川)そうですね。中央アジア、中東、アフリカなどでもロシアの影響力が多少あったところが減っているので、より一層中国が元気になっているのです。 ― 引用終わり ―
2023年09月18日
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IMF(国際通貨基金)は2023年の地域経済見通しとして、アジア太平洋地域を、世界経済にとって困難な年になりつつあるように見える暗い背景にもかかわらず、依然としてダイナミックな地域とした。 金利の上昇とロシアのウクライナ戦争が経済活動の重しとなる中、世界経済の成長は鈍化する一方、アジアの内需は昨年の70.4%から6.3%に加速し、2023年の世界経済成長の約8%に貢献するとIMFは2023年を予測した。 習金平の政策が世界経済を分断しているにも関わらず、中国のゼロコロナ政策からの経済再開が新たな勢いをもたらすとみている。不動産開発バブルの崩壊の事実があるにも関わらず、最も強い経済成長効果を中国への投資財需要とし、失業者の増大も考慮せず、消費需要の回復が最も大きいとし、中国経済が堅調な成長を享受する軌道に乗っているとみている。 IMFはAIIB(アジアインフラ投資銀行)と同様に、中国共産党に牛耳られているのだろうか? アジア、世界経済成長を牽引する底堅さ 中国の経済再開が追い風 中国とインドは合わせて、今年の世界経済成長の約半分に寄与するトーマス・ヘルブリング, シャナカ・ジャヤナス(ジェイ)・ピーリス, クリシュナ・スリニバーサン2023年5月1日 IMF BLOG … (略) … IMFの最新の地域経済見通しでは、世界で最も力強いアジア太平洋地域の強靭性と、政策当局者が直面する重要な課題について説明する。今年のアジア太平洋地域の成長率は、2022年の3.8%から4.6%に加速する見通しである。 主な進展は中国経済の再開であり、世界の他の地域の需要が弱いにもかかわらず、中国の消費が急増したことによって域内全体の成長が促されている。見通しに対するリスクは、米国が予想以上に金融政策を引き締めた場合の波及効果や、地経学的分断に伴うサプライチェーンの混乱などである。 ― 引用終わり ― 多国籍企業の中国脱出とうち続く中国経済不調の事象、データの数々を打ち消すように、投資運用会社フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソン社長兼CEOは「中国悲観論は行き過ぎ」との認識を明らかにした。 中国の経済的破綻は、私たちが想像する以上に世界経済に大きな影響をもたらすのだろう。 中国悲観論は行き過ぎ=フランクリン・テンプルトンCEO2023年9月11日 ロイター 世界的な投資運用会社フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソン社長兼最高経営責任者(CEO)は、中国への投資機会が終了したとの見方はおそらく行き過ぎだとの認識を示した。 シンガポールで開催されたフォーブス・グローバルCEO会議で「多くの悲観論が市場に織り込まれている」と指摘。「(中国は)第二の経済大国だ。毎年、世界のどの国よりも多くの技術者を生み出しており、技術革新からチャンスが生まれるはずだ」と述べた。 中国にはエネルギー・食料安全保障で自給自足体制を強めたいという意欲があるとも指摘した。 ー 引用終わり ー エネルギー・食糧安全保障についても不安、不確実性に満ちているようだ。中国発の技術革新が詰まったスマートフォンは、情報流出を恐れる世界から拒絶され、EV市場は早くも限界を迎えている。国際金融の世界と異なり、現実経済は口先介入しても破綻するものは破綻する。インド、インドネシアの成長ではなく中国経済の安定を強調するのは、解せない。 中国資本の国際金融市場からの一斉引上げ、内政に行き詰まった中国発の世界大戦も想定されるということなのだろうか。
2023年09月15日
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2022年、中国では大学の卒業生が1076万に達し、就職戦線は「超超氷河期」状態となり、「卒業即失業」という言葉が流行語になった。 新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で経済が低迷しており、卒業生の大半は「無職」のまま社会に出ざるを得ない状況となっているのだ。北京各紙が報じた。 12月、厳しいゼロコロナ政策に反対して、大学生らが白紙を掲げて、政府批判を展開する「白紙革命」が起こったほか、老齢者の医療改革に反対する「白髪革命」も大連市や広州市などで発生し、統制優先の政府に対する人民の不満が鬱積していることを示した。 2023年4月末現在の大学卒業予定者の内定率は男子学生が22%、女子学生は10%で、今年はこれまで20年間で最も厳しい状況だと報じた。若年労働者の失業の多さも話題となった。 不動産価格低下のための政府の金融引き締めと、ゼロコロナ政策による産業活動全般の低下で経済は停滞。停滞した経済を画期づけべく、中央政府は、国家予算としては2023年に過去最大の財政赤字を計上することになった。赤字はGDPの3%の3兆8800億元(約74兆円)。 EV補助金も復活するだろうし、赤字の高速鉄道は延伸され、軍事費は増大する。国民福利だけが取り残される状況が続くのだろう。 「大学は出たけれど」となり、学歴も就職に関して無力となった中国の経済社会のストレスに耐え切れず、「電子木魚」を利用する若者が増えているという。 中国の若者に「電子木魚」が流行単調なリズムが厳しい競争社会の癒やしにNEWSポストセブン 2023年6月17日「電子木魚」とはストレス解消系アプリのこと 中国では仕事や生活などのストレスを解消するために「電子木魚」を利用する若者が増えており、5月末現在で、あるショート動画プラットフォームでは関連する内容の動画再生回数が1億5000万回以上に達しているという。中国共産党機関紙「人民日報」が報じている。 「電子木魚」はストレス解消系アプリのことで、ネット上では「木魚を叩くという儀式を通して、自分を見つめなおし、魂を救うことができるほか、功徳を積むことができる」との利用者の感想が書き込まれている。 木魚を叩く単調なリズムは病みつきになると感じる人が多く、気分をリラックスさせる効果があるとして、様々な心理療法でも活用されているという。 電子木魚が人気を集めている背景には、中国が超学歴社会になっていることがあげられる。小学校から高校、大学まで試験の点数だけで、評価されるという厳しい現実がある。さらに大学卒業時には厳しい就職戦争が待ち受けている。中国最大手の人材会社「智聯招聘」が発表した最新のデータによると、2022年大卒者約1100万人の就職率は、例年就職率が高い工学部卒でさえ17.3%、文系学部卒の就職率は12.4%とさらに低く、「卒業と同時に即失業」という学生が大半だ。特に今年の卒業予定者は1158万人とこれまでで最も多いことから、「史上最悪の就職難になる」(同社)と予想されている。 日々厳しい競争にさらされるなか、学生を含む若者たちにとって、心を落ち着けてくれる「電子木魚」は一縷の救いとなっているともいえそうだ。 ― 引用終わり ― 科学的共産主義哲学の創始者であるカール・マルクスは『ヘーゲル法哲学批判』の中で〈宗教上の不幸は、一つには実際の不幸のあらわれであり、一つには実際の不幸にたいする抗議である。宗教は、なやんでいる者のため息であり、また心のない世界の心情であるとともに精神のない状態の精神である。それは、民衆のアヘンである〉と批判した。 行き詰った中国共産党の形成した社会主義国家の人民・民衆が、党の唱える「共産主義」以外の宗教=民衆のアヘンに走る構図は、誰が想像できただろう。
2023年09月10日
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習金平の不動産価格締め付け政策により金融が細った中国の不動産業界は業績悪化が続いていた。そこにゼロコロナ政策で一層の不動産取引停滞に見舞われた。中国では不動産開発大手の恒大集団だけでなく、中国では不動産不況で経営が困難になる巨大企業が続いている。 2023年8月14日、中国不動産大手の遠洋集団は、2023年1~6月期の最終損益が最大200億元(約4000億円)の赤字になる見通しだと発表した。 8月22日、中国不動産大手の遠洋集団控股は、資金繰りの悪化により人民元債の償還が困難になり、債権者に期限の延長などを提案すると発表した。利払いが滞った遠洋集団の米ドル建て債券の取引は停止された。不動産不況で業績は悪化により、債務不履行(デフォルト)必至とみられている。 中国最大の不動産開発会社とよばれる「碧桂園」も経営困難、資金繰りの厳しさが報じられていた。 8月10日、碧桂園は、今年1~6月期の最終損益が最大550億元の赤字になるとの業績予想を発表した。 8月31日、米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、碧桂園の格付けを、デフォルトの可能性を示す「Ca」に引き下げた。 9月2日、碧桂園の経営再建を巡り、9月4日に実質的な満期を迎える人が延長されることになったと報じられた。延長されることになったと報じられた。 中国碧桂園、債務返済を延長当面のデフォルト回避2023年9月2日 共同通信 経営難の中国不動産大手、碧桂園が債務返済の期限延長の承認を債権者から得たと、ロイター通信が関係者の話として2日報じた。当面のデフォルト(債務不履行)は回避できる見込みとなったが、今後も多額の利払いなどを控えているほか建設途中の物件も多数抱えており、市場の緊張は解けそうにない。 碧桂園は39億元(約780億円)の人民元建て債券の償還期限延長などを提案していた。債権者による投票期限を8月下旬から複数回延長し、9月1日が最終だった。 ― 引用終わり ― 中国の金融は大きく銀行系と融資の4割を占めるノンバンク系がある。2023年6月末の総融資残高は銀行系が230兆元(約4600兆円)、ノンバンク系が134兆元(2680兆円)で、先進国に比べてノンバンク系の比重が圧倒的に高い。 不動産不況が、中国金融セクターに波及し始めている。なかでも銀行ではない金融機関・商品、「シャドーバンキング(影の銀行)」とよばれる信託業界に大きな波紋が生じている。 中国の信託大手「中融国際信託」支払い遅延金融不安定化、懸念2023/8/14 産経新聞三塚 聖平 香港メディアは14日、中国の信託大手、中融国際信託の顧客企業の一部が、期限を迎えた信託商品の支払いが滞っていることを明らかにしたと報じた。中国では不動産市場低迷などの影響で金融部門が不安定化することが懸念されており、市場関係者が警戒を強めている。 香港紙、明報(電子版)によると、上海証券取引所に上場する少なくとも3社が、投資していた中融国際信託の信託商品が期日までに返済されなかったと開示した。このうち湖南金博碳素については、中融国際信託の信託商品に投資した6千万元(約12億円)に関連するものだという。湖南金博碳素は開示文書で「財務状況は健全であり、正常な企業運営や日常的な資金需要には影響しない」と説明している。 ― 引用終わり ― 不動産バブル崩壊の影響をノンバンクが大きく受け、国営の大手金融機関の経営に影響は少ないという構図を示したのが下記の記事。 破産法、民事再生法など倒産関連法制の不備、不慣れは、中国の経済立て直しが一朝一夕に進まないことを暗示する。 中国経済は本当のところどこまで深刻なのか秋以降の日本経済に影響が及ぶのは必至だ2023年9月2日 東洋経済オンライン … (略) …恒大集団が債務不履行になっても、銀行経営は揺るがず この問題がいかにややこしいか、例の恒大集団の内情から説明するのがよさそうだ。8月28日付の日本経済新聞に、「中国恒大、22兆円の開発用地が重荷 債務超過拡大も」という記事がある。ここに今年6月末時点の恒大集団のバランスシートが掲載されていて、その中身がまことに興味深いのだ。 恒大集団は総資産が1兆7440億元で、総負債は2兆3882億元。締めて6442億元の債務超過であり、普通の企業ならばこの時点でゲームセットである。1元=20円なので、総資産が34兆円で総負債が48兆円、バランスシートに14兆円の穴が空いている!と考えるとわかりやすいだろう。 それでは総負債の内訳はどうなっているのか。借入金は6247億元だから、せいぜい13兆円程度である。この程度であれば、恒大集団がデフォルト(債務不履行)したとしても、中国4大銀行(すべて国有銀行)の経営が揺らぐことはあるまい。 福本智之大阪経済大学教授によれば、中国は1990年代の日本における不動産バブル崩壊の過程を研究していて、「住宅価格の下落が不良債権問題を通じて金融不安を招く」怖さをよく理解している。だから不動産デベロッパーも、銀行からの借り入れは少ない。それは結構なことである。 だったらどこから金を借りているのか。まず、未払い金が1兆0565億元もある。これすなわち20兆円である。つまり恒大集団から、金を払ってもらえないカスタマー(たぶん建設会社や製鉄会社や運送会社など)が存在していることになる。普通だったら、果てしない連鎖倒産を生みかねない規模である。 ところが、である。おそらくは恒大集団に対して売掛金を立てている企業群は、ほとんどが国有企業であって、たぶん党本部から「余計なことするな」というお達しが出ているのであろう。ゾンビ企業を助けるために、周囲も一緒にゾンビになる、という恐怖のメカニズムである。これが20兆円規模だというから恐れ入る。 もっと罪深いのは、6039億元の「契約負債」があるということだ。この正体は何かといえば、中国では家が完成する前に3割程度の手付金を払うことになっている。ところが恒大集団に仕事を発注した消費者の多くは、金は払ったけれども家はできていない。それが12兆円規模、と考えるといかにも恐ろしい。 いくら中国が民主主義国家ではないとはいえ、さすがにこの問題をスルーするわけにはいかないだろう。ちゃんと家を完成させて買い主に引き渡すか、あるいはお金を返すべきである。とはいえ、そんなややこしい話が簡単に進むはずがない。 ー 引用終わり ー 日本の「地本主義」に基づくバブル経済の崩壊は、不動産開発会社、銀行、次いで住専などのノンバンク、そして国民が影響を受けた。 中国は、不動産開発会社、ノンバンクに次いで人民の順で不動産バブル崩壊の責めを負う構図になっている。 国と国営の銀行は大きな金融的衝撃はないようだが、地方政府は不動産開発会社の経営難の影響をもろに受ける。 住むところの約束が解消され怒れる人民、債務不履行となり権威だけを振り回す地方政府、人口減少・高齢化社会の環境で、いかに監視システムの整備がすすんだ中国共産党でもかつてと同じように専制的統治を続けることは難しそうに思える。 外資は中国から着々と脱出をはかっている。大きな生産設備をかかえる日系自動車メーカーも、世界最大の新車市場である中国生産の比重を軽くすることを検討した方がよさそうだ。
2023年09月09日
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中国の不動産大手「中国恒大集団」の2023年1~6月期の決算は最終利益が約6600億円の赤字。 2023年7月17日に発表された2021年と2022年の通期決算で、2年間の純損失は単純合計で8120億3000万元(約15兆7021億円)。 恒大集団は2021年12月にドル建て債のデフォルトを起こし、2022年3月には株式の売買は停止された。 中国恒大がNYで連邦破産法15条の適用申請:中国不動産問題は恒大の経営不安が表面化した2年前よりも深刻木内 登英2023/08/18 NRI恒大の債務再編交渉の難航が申請の背景 中国の大手不動産デベロッパー恒大集団は17日に、米連邦破産法15条の適用をニューヨーク・マンハッタン地区の連邦破産裁判所に申請した。いわゆる破産申請である。 米連邦破産法15条は、米国籍以外の企業が、米国内の資産を保護する目的で申請するもので、認められれば債権者による資産の強制的な差し押さえを回避できる。 恒大は2021年に経営不安に直面し、2021年12月にはドル建て債のデフォルト(債務不履行)に陥った。その後恒大は、ドル建て債の保有者と債務再編交渉を続けてきたが、難航したままだ。今回の米連邦破産法15条の適用申請は、米国での資産を保全することで、8月28日に予定している外貨建て債券の保有者との債務再編交渉を有利に進める狙いがあるとみられる。恒大が米国に保有する資産はわずかとみられることから、申請はややシンボリックな動きとも言えるだろう。国際的な債務再編交渉では、取引を最終的に取りまとめる過程で、同条の適用申請が必要になることがあるという。 ― 引用終わり ― 金融機関が整っている日本にいる目でみると、赤字額がどうのこうのというより、これほど巨額の債務を抱えた企業集団が解体もされず残っている方が不思議。社会主義・中国ならではの金融事情・金融環境があるのだろう。 中国恒大、1〜6月期6600億円の最終赤字…債務超過を脱する見通しは立たず2023年8月27日 讀賣新聞 中国の不動産大手「中国恒大集団」が27日発表した今年1〜6月期連結決算は、最終利益が330億元(約6600億円)の赤字だった。最終赤字額は前年同期の663億元から半減したものの、依然として経営は厳しい状況が続いている。 保有資産の評価下落が響いたとみられる。負債総額は2兆3882億元(約47兆円)と昨年12月末から2%減少したが、債務超過から脱する見通しは立っていない。売上高は前年同期比44%増の1281億元(約2.5兆円)だった。 決算発表資料によると、事業は継続している。恒大は今月17日に米連邦破産法第15条を申請。28日に債務者との間で外貨建て債務の返済協議を予定している。 ー 引用終わり ー 返済!……できるのか? 債務超過でもなく、債務不履行を起こしてもいない日本の中古車販売会社・ビッグモーターは、恒大集団を「恵まれた金融環境にいる」とみるのだろうか。 8月28日、香港市場で株式取引再開! 驚くことばかりであるが、公有企業の債務不履行が民間を上回っていると聞く中国では、これからも似たようなことが続くのだろう。 中国恒大集団の株価、80%近く急落1年半ぶり取引再開2023年8月28日 BBCニュース 経営難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団(エバーグランデ)の株式が28日、約1年半ぶりに香港で取引再開となった。株価は取引停止前と比べ、80%近く下落した。 かつて中国の不動産開発で売り上げトップだった恒大は、積極的な事業拡大で、負債が3000億ドル以上に膨らんだ。 2021年には、国際融資の約12億ドルの利払いを期限どおりに実施できず、債務不履行(デフォルト)に陥った。その後、債権者と再交渉を進めてきた。 昨年3月からは、恒大の株式は取引停止になっていた。 同社は今月初め、米ニューヨークの裁判所に連邦破産法第15条の適用を申請した。これは、外国企業が債務再編に取り組む間、米国内の資産を保護するもの。 ― 引用終わり ―
2023年09月03日
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中国の「一帯一路」政策に基づくインフラ整備などで、海外諸国が債務の罠に陥っていることがニュースとなっている。 返せない資金を貸す中国と借りる国家の間の関係は、サラ金問題を思い出させる。 2022年4月、中央銀行の外貨準備高を使い果たしたスリランカは、外貨建て債務の返済義務の停止を発表。5月にデフォルト(債務不履行)状態となった。 スリランカはアジアと中東・アフリカを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝。南端のハンバントタ港は2017年から99年間にわたり中国国有企業に貸し出された。インフラ整備のため中国からお金を借りたものの、思ったような経済効果が上がらずに返済不能に陥り、施設や土地を明け渡さざるを得なくなった。 2022年9月時点で、スリランカの総債務のうち、中国が19.3%、中国主導のアジア開発銀行(ADB)が15.7%、日本政府が7.1%を保有している。 中国はベネズエラのチャベス反米政権を支えるべく2019年までの10年間で中国は総額200億ドル以上(約5兆4600億円)を投じた。2007─2014年に中国政策銀行が行った同地域向け融資の半分以上がベネズエラに対して行われた。2013年、チャベス大統領が死亡し、政権はマドゥロ氏に引き継がれた。2015年、原油価格の下落によりベネズエラが壊滅的な「負のスパイラル」への転落を始め、政権は不安定化し野党勢力が優勢となった。 2018年1月、米格付け大手S&Pグローバルは、2020年に償還を迎えるベネズエラ国債について、デフォルト(債務不履行)状態にあると発表した。2018年のインフレ率は13万パーセント超のハイパーインフレを記録した。2021年10月、通貨ボリバル・ソベラノからゼロを六つ取り、100万分の1に切り下げるデノミネーションを実施した。ベネズエラは、製油施設老朽化による石油生産量の減少や社会主義的なばらまき政策、米国の経済制裁などの影響で財政難に陥ったが、歳入を確保しようと無秩序に紙幣を発行し、インフレを悪化させた。 両国とも、当初期待した中国の金利で返済は滞り、元本さえもどうなるのか未定。しかしながら世界経済に占める中国の大きさは高まっている。 中国から「もう逃れられない」国際機関に迫る影響力拡大の波 2023年8月12日 FNNプライムオンライン見直し迫る中国に「待った」も限界か 年末に交渉期限を迎えるIMF=国際通貨基金の資本増強に向けた各国の協議(クオータ改革)が大詰めを迎えようとしている。IMFは、2017年、途上国や新興国の経済発展に伴う債務の増大など各国の金融危機に対処するため、融資の資金基盤を現在の1兆ドルから拡充することを決めた。しかし、2019年10月に結論の先送りを決め、決定時期が今年12月まで延期された。先送りの背景には、国際機関にも及ぶ中国の影響力拡大への懸念もあったとされる。IMF関係者は「一度先送りされているので、今回は何らかの形で結論を出さざるを得ない」と口をそろえる。 189の国が加盟するIMFは、各国からの出資金を使い、経済危機に陥った途上国や新興国に融資を実施していて、それらは、主に債権国への借金の返済に充てられている。 IMFは、国連のような一国一票制ではなく、各国の出資比率に応じて投票権が割り当てられている。現在は、2010年の見直し協議で決められた比率が維持されていて、米国が17.43%、2位の日本は6.47%、3位の中国が6.40%と日本に肉薄している。しかし、GDP=国内総生産で日本を上回り、アメリカに次ぐ2位に躍り出た中国は、10年以上前に決められた算定基準に不満を示し、出資比率の見直し(改定)を訴え続けているのが現状だ。 これを踏まえ日本政府関係者からは「もう中国から逃れられないかもしれない」との声も挙がっている。 米中対立“激化”の懸念 今後、出資比率が見直されると、どうなるのだろうか。仮に中国が日本を上回り、2位になると意思決定を行う理事会で中国の発言権が増大する。「その場合、融資先(国)決定を巡る米中対立が激化しかねない」とIMF関係者は不安を吐露する。 さらにIMFの重要事項の決定には、投票権を持つ国の85%以上の賛成が必要なため、現在、15%超の投票権の比率をもつ米国は、事実上の拒否権を持つ。しかし、今後、米国の出資比率が15%を下回り、単独での拒否権が失われると、これまで米国の出方をうかがってきた各国からは、想定外の提案がされるなど世界の経済政策の意思決定が混迷する可能性もあるという。従来の欧米と日本主導の意思決定の流れが崩れてしまうことも想定される。 … (略) … 世銀もIMFの動向を注視 これまで主導権を握ってきた日米は、どう対応するのだろうか。これまで、加盟国の出資比率は、原則として経済規模(GDP)などに応じて決める計算式が採用されてきたほか、出資比率1位と2位の米国と日本が貿易の自由度や透明性などを計算式の要素に加えることを主張し、中国のシェア拡大をなんとか抑え込んできた。しかし、GDPが基本であることに変わりはなく、今回、計算式を見直す場合は、順位や比率が変わり中国が2位となる可能性が大きい。日本の政府関係者は「中国を抑え込む手立てを諦めたわけではない」と語るが、水面下で進められている米国との協議の先行きは、見通せないのが実情だ。 国際機関に迫る中国の影響力拡大の波は、IMFだけではない。同じくワシントンDCに本拠地を置く世界銀行も同様だ。世銀の関係者からは「GDPの規模で見れば今や中国は日本の約3倍。さすがに(IMF同様に)限界かもしれない」との声も挙がっていて、IMFの動向を注視している。見直しの方向性は、10月にモロッコで開催されるIMFの年次総会で決まる見込みだ。 ― 引用終わり ― 野放図に貸し出しを続けてきた中国が、国際金融機関で発言力を増すことの危険性は、はかりしれない。自国貸し出した「返ってくる見込みのない貸出金」を、国際金融機関に付け替えをはかろうとする可能性がある。
2023年08月22日
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2021年、中国・不動産開発の恒大集団(エバーグランデ)が債務の元利金を償還できず不渡りになり、中国の不動産市場は急速に沈滞した 中国・不動産開発の桂園(カントリーガーデン)は売上高基準で中国最大の不動産開発会社。2023年8月10日、碧桂園(カントリーガーデン)の不渡りの懸念が報じられた。 中国不動産「碧桂園」赤字1兆円…社債利払いできずデフォルトなら恒大集団より影響深刻か2023年8月12日 読売新聞 中国の不動産開発大手「碧桂園」は10日、2023年1〜6月期の最終利益が450億〜550億元(約9000億〜約1兆1000億円)の赤字になるとの見通しを発表した。景気減速に伴うマンション販売の減少が主因で、中国恒大集団に続き不動産大手の経営危機が表面化した。 碧桂園の22年1〜6月期の最終利益は19.1億元の黒字だった。最終赤字転落はこの1年間の不動産市況の悪化が直撃したことを示す。1〜7月の販売額は1408億元で、前年同期に比べ35%減、21年同期比では61%減と大きく落ち込んだ。 ロイター通信によると、碧桂園は米ドル建て社債2250万ドルの利払いを8月6日の期日までにできず、資金繰りが大幅に悪化。今後も大規模な社債の償還や利払いが予定され、仮にデフォルト(債務不履行)に陥れば、金融機関や債権者への影響は恒大集団よりも深刻になるとの見方がある。 碧桂園は10日、「様々な負債管理策を検討する」とのコメントを出した。 中国メディアによると、不動産大手「大連万達集団」では上級副社長ら幹部が当局に連行された。巨額の債務を抱える同社の経営再建への影響も懸念され、不動産業界の混乱は今後も拡大する可能性がある。 ー 引用終わり ー 大連万達集団(ワンダ・グループ)のグループ会社、大連万達商業管理集団は中国国内で発行予定だった社債発行を中止したことが6月に報じられた。社債発行の中止で資金繰りが悪化したことは間違いない。 大連万達集団は7月20日に利払いを迎えるドル建て社債4億ドル(約560億円)の償還を資産売却でしのぐと報じられていた。5月にショッピングモール20か所(7億人民元・約137億円から8億元)で売却することが検討されていると報じられていたが資産売却とはこのことか。ドル建て社債は25日に一部利払い。10日間の猶予期間があるとのことで、利払いができなかったと推定される。社債4億ドルの満期は2025年。 8月9日、ブルームバーグ・インテリジェンスは「碧桂園には恒大集団よりも4倍も多いプロジェクトがあり、支払い不能事態も恒大集団の崩壊よりもさらに大きな衝撃を中国住宅市場に加えるだろう」と見通しを示した。 碧桂園は9月に58億元の債務満期が到来し、利子4800万元を払わなければならない。 中国恒大集団の再建が難航していることが6月に報じられた。3月に外貨建て債務の再編案を公表したものの、債権者との交渉は難航。資金繰りは悪化し、各地で建設工事が停滞したままとなっている。負債総額は2021年末時点で1兆8980億元(約37兆円)。中国のGDPの1%を超える規模。 これに大連万達集団と碧桂園の引き受け手のない巨額債務が重なる形と思われる。ゼロコロナで停滞している中国経済浮上の重しになることは確実。 また、不動産・都市開発企業の債務不履行は、建設中のマンションなどの工事中止となり、将来の住居を失った中国人民の内政の不安定化につながる。 ゼロコロナによる生産と消費の低下、不動産バブル崩壊、高速鉄道債務(120兆円)、地方政府の債務(1100兆円)、一帯一路による海外債券の取り立て不能による債務かなどにより中国は急激なカネ詰まりを起こす可能性が強い。 いよいよ習金平政権の継続の起死回生の一手は、「台湾侵略」か。 中国、隠れ債務返済へ地方政府に1400億ドルの債券発行認める=報道By Reuters Staff2023年8月11日 REUTER 中国は、地方政府のインフラ投資会社である融資平台(LGFV)の債務などバランスシートに掲載されない債務を返済するために地方政府が債券発行を通じて約1兆元(1400億ドル)を調達することを認めると、米ブルームバーグ・ニュースが複数の関係筋の話として11日に報じた。 この「借り換え債」プログラムについて財政省が関係当局に通知したという。また、地域ごとに割り当て枠が設定されている。 国際通貨基金(IMF)の推計によると、LGFVの負債総額は66兆元(9兆1000億ドル)で、報じられている債券発行規模は負債総額の1.5%にとどまる。 ― 引用終わり ― 外貨準備高が減る一方、中国経済の健全さを示すように金の保有高を拡大させている。 中国5月の外貨準備減少金7カ月連続で保有拡大2023/6/7 20 共同通信 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した5月末の外貨準備高は3兆1765億ドル(約442兆円)と前月と比べ282億ドル減った。ドル高の影響により、ドル換算での資産全体の価格が下落した。マイナスは3カ月ぶり。 金の保有量は0.8%増の約2092トン。7カ月連続の増加で、安全資産として保有量を増やしたとみられる。 ― 引用終わり ―
2023年08月13日
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GDP世界2位の経済大国となった中国は、「一帯一路」政策で海外にインフラ建設に伴う多額の貸付けを行った。 返済不能なほど多額の貸付けは、中国による「債務の罠」として世界に知られるようになった。 港湾、空港、水道設備などで高金利で多額の貸付けを行い、返済不能となるとそれらの社会インフラを担保として取上げるのだ。 全米経済研究所(NBER)の報告書によると、中国が1949年から2017年にかけて152カ国に対して実行した5000件の融資および助成の半分は、IMFにも世界銀行にも報告されていないので、経済的に弱い発展途上国の債務総額が把握できない。中国は借金を返済できない国に融資している可能性が高い。 返済不能(デフォルト)となった後の債務再編に関して中国の金融機関は経験不足で、債務返済の協議に時間がかかるとのこと。発展途上国の加重債務、多重債務問題で、中国の金融機関は国際交渉のテーブルにつかなければならなくなるかもしれない。 拡張する中国の対外融資-債務危機で揺らぐ国際社会における地位三浦有史2021年02月15日 日本総研 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う開発途上国の債務危機が発生したことを受け、中国は世界銀行を通じて低所得国に対する融資実績を開示した。2019年の融資残高は1,085億ドルと、世界銀行の1,157億ドルと肩を並べる水準にある。 中国は、意図して開発途上国を「債務の罠」に陥れようとしているわけではないものの、重点国に対し過剰な融資を行う傾向がある。債務残高に占める中国の割合が高い「中国依存国」のなかには、債務不履行に陥るリスクが「高い」ないし「窮迫」と評価される国が多い。 中国政府は開発途上国に対する支援を「南南協力」と位置付ける。「南南協力」は互恵の原則に基づいて実施されており、融資は前提条件を設けず、高金利でなされる。中国の開発途上国向け融資の残高は2017年で3,930億ドルに達し、中所得国および非アフリカ地域にも積極的にアプローチしている。「開発途上国の盟主」としての中国の地位はOOF(ODA以外のその他政府資金)によって支えられている。 世界銀行は、開発途上国の抱える債務は“過去50年で最悪” と評するものの、低所得国の債務危機に対する懸念は次第に緩和されると見込まれる。危機の震源地になりうるという点では、低所得国よりもトルコやブラジルといった中所得国の方が危険といえる。 最大の債権国となった中国は、債務の持続可能性に与える影響が大きいにもかかわらず、融資の不明瞭さと、返済猶予交渉における消極姿勢が目立ち、中国以外の債権者の疑心暗鬼を誘発し、債務危機回避に向けた国際協調を損なう存在になっている。 ― 引用終わり ― 返済能力のない相手に多額の金を貸す様は、悪徳高利貸のようで、経済大国を自称する国(国の機関)がすることではない。国際的な金融秩序を乱すことは、貿易、経済活動を阻害するからだ。 焦点:新興国の債務軽減交渉、債権大国の中国が協力せず2022年7月5日 ロイター ザンビアの首都ルサカの国際空港を拡張する3億6000万ドル規模のプロジェクトから、スリランカの首都コロンボにおける14億ドル規模の港湾開発事業に至るまで、発展途上国で進められている多くの債務軽減協議で、中国の姿がすっぽりと抜け落ちている。 比較的規模が小さく、リスクの高い途上国に対する貸し付けで、中国は圧倒的な債権国となっている。だが中国は、返済に行き詰まった債務国との間で、融資条件だけでなく、どのように再交渉するかを巡っても、目立たない姿勢を維持している。 この姿勢は新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)後に一段と鮮明になった。現在、経済的に困窮する多くの国が債務軽減を求めている。 債務負担軽減を支援するため、中国により積極的な役割を果たすよう求める圧力が強まってきた。6月28日に公表された主要7カ国首脳会議(G7サミット)声明は、債権国による支援を促す中で中国を名指しした。 世界銀行によると、貧困国は今年、公的部門と民間部門の債権者に対して総額350億ドルの債務返済に直面しており、総額の40%余りは中国への返済だ。 だが専門家の話では、国際通貨基金(IMF)と世界銀行が前提とする債務軽減負担の公平な分担は、中国との衝突に向かう可能性があり、包括的な債務再編の見通しに疑念が生じるという。 ― 引用終わり ―
2023年08月10日
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中国では高速列車(新幹線)のサービスが2007年4月、中国国鉄(現・中国鉄路)によるCRH型車両導入により開始された。 中国鉄路によると、2021年時点で営業中の鉄道網の総延長は約15万kmで、そのうち約4万kmが高速鉄道。世界一の高速鉄道網だ。 中国鉄路は最終的には国内の人口50万以上の都市を全てHSRで結ぶ計画となっており、2035年までに総延長7万kmを目指している。 高速鉄道網は習金平主席が掲げる「一帯一路」の要。 高速鉄道の負債と「一帯一路」に伴い投資された多額の海外債務の焦げ付きが、中国経済の時限爆弾となると指摘されている。 2008年の世界金融危機(リーマンショック)後の世界的景気後退に際して、内需拡大のための4兆元の公共投資策の一環で2010年代には世界の高速鉄道の距離の3分の2も占める世界最長の高速鉄道網が建設されることとなった。 2011年7月1日のダイヤ改正に伴い、中国鉄道部は、高速鉄道の最高速度を350km/hから300km/hに引き下げる方針を表明した。理由については「より安全性が増す」「運賃を安く抑えられる」「エネルギー効率の向上」を最高速度引き下げの理由とした。 稼ぎ頭の京滬高速鉄道については、営業運転での最高速度は380km/hになるとも言われていたが、300km/hと250km/hの列車を運行し、2種類の運賃を設定すると発表した。また、ビジネス需要を旅客機から移すため、顧客にとって手頃な一般座席を増やし、手頃な値段で利用できるようにし需要悪大をはかろうとした。 新設路線の多くが交通需要のない人工希薄な地域間を結んでること、ゼロコロナ政策などにより、中国・高速鉄道は、2023年時点でかつてドル箱路線とされた北京から上海を最速4時間28分で結ぶ京滬高速鉄道を含む全路線が赤字となっている。 運営を司る中国国家鉄路集団有限公司の2018年9月時点の負債総額は、5兆2,800億元(約86兆円)に達していると推計された。 中国高速鉄道の光と影、莫大な中国鉄道の負債一帯一路は成功するのか政策提言委員・元公安調査庁金沢事務所長 藤谷昌敏日本戦略研究フォーラム … (略) … 莫大な負債を抱える中国の高速鉄道、盗用された新幹線技術 2018年末までで、時速250キロ以上で走る中国の高速鉄道網は、29,000kmを超えた。中国初の長距離高速鉄道は、2009年に広州と武漢で開業し、1,100kmを3時間で結んだ。このうち黒字路線は北京~上海間など1,318kmに過ぎないが、2030年には日本の約14倍に上る45,000kmにする計画を立てている。 北京交通大学の趙堅教授は「2018年9月時点で中国の鉄道の負債総額は5兆2,800億元(約86兆円)もある。この原因は、地方幹部が任期中に鉄道建設で経済成長を達成しようとして、債務返済を考えない無定見な投資をしたことにある」と地方の誘致合戦が赤字の要因だと強調する。さらに趙堅教授は、「2015年、中国全体の高速鉄道の平均輸送密度は1,700万人/km前後であったが、輸送密度が最高の“京滬”路線(4,800万人/km)でさえも、世界最高の輸送密度9,000万人/kmを誇る日本の東海道新幹線には遥かに及ばない。これは500kmの路線上に日本の人口の55%が集中していること、4,000km以上の都市交通が東海道新幹線に乗客を供給していることに起因している。日本の高速鉄道の平均輸送密度は3,400万人/kmであり、これは中国の高速鉄道の2倍である」として、中国の高速鉄道は、既に「灰色のサイ」(将来大きな問題を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、現時点で軽視されがちな潜在的リスク)となっていると断言している。 2019年12月期の売上高を見れば、1兆1,348億元(約17兆円)で最終損益は25億元の黒字だったが、2020年に入ると新型コロナウィルスの影響で、1~3月期は大きく落ち込んだ。最終的には613億元の赤字で、累積した負債総額は、19年末時点で5兆4,859億元に上る。債務膨張の最大の要因は、コロナによる経済損失と地方の景気退潮が著しいのにもかかわらず、景気下支えのため、地方の鉄道建設に資金を投入し続けたことにある。 … (略) … 一帯一路の屋台骨とされる中国高速鉄道 習近平が推進している「一帯一路」戦略の成否は、中国高速鉄道の外国、特にアジアでの成功いかんにかかっている。中国政府は、習近平が自ら主導したトップセールスにより、インドネシア、マレーシア、タイ、ミャンマー、パキスタン、ロシアなどの国と鉄道輸出に関する合意にたどり着いた。しかし、その後、タイ、ベネズエラ、メキシコなどで相次いで建設計画が白紙撤回され、マレーシアでは大幅な譲歩を余儀なくされた。 ― 引用終わり ― 中国の人口は2021年をピークに減少に転じている。今後は高齢化と労働人口の減少が始まる。 2022年、中国鉄路はゼロコロナ政策で低迷する景気底上げを目指す政府の意向をくみ、2035年に路線を現在より7割増やす方針を掲げている。 無軌道な拡大で不採算路線が増え、2022年7月時点で負債総額は120兆円の大台に達した。今後さらに70兆円超の建設費がかかるとみられている。 2022年12月期の中国鉄路の最終損益は695億元(約1兆3800億円)の赤字となり、21年12月期(498億元の赤字)から悪化した。売上高は0.4%減の1兆1272億元だった。2023年は約2500km延長され、人工希薄な南西部・雲南省の「秘境」にも到達する見込み。 高速鉄道路線誘致で中央政府の得点を稼ごうとした地方政府と合わせて負債総額は300兆円という試算もある。 最も稼ぎのいい高速鉄道も赤字転落中国国鉄集団の負債123兆円―中国メディア2022年9月7日 Record China 中国メディアの第一財経はこのほど、「最も稼ぎのいい高速鉄道も赤字転落、国鉄集団の負債総額6兆元(約123兆円)突破」とする記事を掲載した。 記事によると、中国の国有鉄道会社である中国国家鉄路集団(国鉄集団)が発表した2022年1~6月期決算は、売上高が前年同期比271億元(約5579億円)減の4857億元(約9兆9953億円)、純損失は前年同期の507億元(約1兆433億円)から804億元(約1兆6543億円)に膨張した。 22年6月末時点の負債総額は前年同期比3.45%増の6兆元、資産負債比率は66.81%。 国鉄集団は、負債総額が増加した主因は「鉄道固定資産投資が高水準を保ったため」とし、純損失の主因については「新型コロナが各地で散発的に流行したことが、鉄道輸送経営に比較的大きな影響を及ぼし、旅客輸送と多元的経営が特に深刻だった」としている。 1~6月期の貨物輸送の売上高は2344億元(約4兆8241億円)で前年同期比9.6%の増加だったが、旅客輸送の売上高は前年同期比38.3%減の965億元(約1兆9860億円)と落ち込んだ。 旅客輸送路線のうち「中国で最も稼ぎのいい高速鉄道」とも呼ばれる北京と上海を結ぶ高速鉄道の運営会社である京滬高速鉄路は、22年1~6月期は10億2800万元(約211億円)の赤字となった。今年4~6月期は20年1月の株式公開以来、四半期ベースで初めて赤字に転落した。1~6月期の自社運行の列車「本線車」の旅客輸送人員は前年同期比66.7%減少し、他社が運行を担当して地方の路線から乗り入れる直通列車「跨線車」の運営距離は同41.5%減少した。(翻訳・編集/柳川) ― 引用終わり ― 高速鉄道の赤字の主な要因は5つ 1.高速鉄道の建設は先行投資であり、コスト回収の見通しが立ちにくい。 地方政府は債務返済能力を考慮せず、政治的実績としてメガプロジェクトを建設する。2.高速鉄道の拡大は一般的に利用者の増加を見込むが、中国の人口は減少している。3.高速鉄道の運営コストや維持費が物価と比較して高額。4.中国政府の政策により、中国の高速鉄道の運賃はコストよりも低く設定されている。3と合わせ構造的な赤字要因。5.腐敗や汚職。高速鉄道は中国で最も深刻な腐敗の一つとされています。 腐敗による資金の浪費や不正な取引が建設コストと維持費の高さの一因となっている。 中国「国家鉄路」、上半期の赤字1兆6000億円超に新型コロナの流行拡大で旅客輸送人員4割減2022/09/13 東洋経済ONLINE 中国の国有鉄道である中国国家鉄路集団(国家鉄路)は8月31日、2022年1~6月期の半期決算を発表した。売上高は4857億元(約9兆7659億円)と前年同期比5.3%減少。純損益は804億元(約1兆6166億円)に上る莫大な赤字に陥り、損失額は前年同期の507億元(約1兆194億円)より6割近く増加した。 赤字拡大の要因は、言うまでもなく新型コロナウイルスの流行の影響だ。2020年に新型コロナの流行が始まって以降、国家鉄路は2020年の通期決算で555億元(約1兆1159億円)、2021年同498億元(約1兆13億円)の赤字を計上した。 ― 引用終わり ―
2023年08月09日
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2022年10月、中国共産党の習近平総書記(国家主席)が続投し、3期目へ入った。さらに共青団出身の李克強首相の退任と習総書記腹心の李強氏の就任を決めた。10年ごとに政権を次世代へ引き継ぐ仕組みが終わり、習氏が絶対的な指導者として中国を率いる時代が本格的に始まった。 【李下李上】李強総理就任、李克強退任へ…2023年中国全人代「その後の動き」を読む2023.7.20 幻冬舎ゴールドオンライン … (略) …李下李上――李克強退任…ついに経済運営主導かなわず 退任(下)予定だった李克強は、国務院(政府)トップの首相(総理)として最後の政府活動(工作)報告を約1時間読み上げた。 「安定(穏定)」に33回とかつてなく言及する一方、22年同報告では10回言及されていた「改革開放」は3回、18、19年100回以上言及されていた「改革」は今回40回に止まった。 前任の温家宝は退任直前の記者会見で、「政治体制改革、特に党と国家指導層に関わる制度の改革を進めることが必要。さもなければ、文革のような歴史の悲劇が再び発生する恐れがある」と、「政治体制改革」という敏感な問題に触れたことで有名だが、李は最後までそうした政治的発言をすることもなかった。 就任当初「リコノミクス(李経済学)」と言われ、大胆に経済改革を進めることが期待されたが、次第に市場機能に懐疑的な「シコノミクス(習経済学)」が中心となり経済運営を主導できず、「史上最弱の総理」とまで称された。反習筋の人気は高かったが、「結局、習に対峙する胆力はなかった」と失望する声が聞かれた。 李下李上――李強総理就任…多かった選任時の反対・棄権票 全人代では李強が新たに総理に就任(上)。習の3期目国家主席選任には反対・棄権票がゼロだったのとは対照的に、李強選任は賛成2936票、反対3票、棄権8票で、同時に行われた最高人民検察院検察長や最高人民法院院長など最高指導層の選任投票と比べても、反対・棄権票が最も多かった。 李克強が最初に首相に選任された2013年は反対3票、棄権6票とやや多かったが、この時にはまだ江沢民・曾慶紅派の影響力が強く、同派が李克強率いる共産主義青年団(共青団)と習派が手を組むことを阻止しよう … (略) … 両会後、海外の懸念を意識してか、李強は上記②、③をアピールし、李克強路線を踏襲するとのシグナルを発出することに注力している。 対外ビジネス拠点の広東と製造拠点の湖南を訪れ、中国発展高層論壇23年年次会(発展研究中心主催)では外国企業約500社を前に、「国際情勢がどう変わろうと対外開放を進め、外国企業に巨大な中国市場を提供していく」と発言。さらに自由貿易港として有名な海南でのボアオ・アジアフォーラムにも赴いた。 他方、両会後開かれた新総理として初の国務院常務会議では、「国務院はまずもって(首先)政治機関で、旗幟鮮明に政治を語り、2つの確立の決定的意義を理解し(中略)習近平総書記の重要指示・精神、党中央の政策を系統的に学習把握せよ」「国務院の使命は党中央が決めた政策を誠実かつ着実に実行すること」と指示。 さらに国務院工作規則を修正しこれら趣旨を明記。規則修正では常務会議の開催頻度を減らす一方(原則週1回→月2~3回)、習の考えや指示を重点に学習する「学習制度」を創設し2ヵ月に1回開催、テーマは「総理が決める」とした。 こうした李強の一連の行動や習への「ゴマすり(棒習)」は、習の権威を利用して自らの考えを実行に移すためとする見方と、李強は「召使(跟班)総理」でその経済運営は習の番頭(掌柜)が行うだけの「掌柜経済学」とやゆする声が交錯している。 ― 引用終わり ― 主に経済領域を担った李克強氏の退任は、中国の経済発展中心の政策の方向性を共産党により統制中心に変えた。習総書記の唱える「一帯一路」と一体となった不動産バブル、借金漬け政策が終わるとともに、ゼロコロナ政策により鉱工業の沈滞化とあいまって、中国の国内経済は急速に伸びが低下した。 統制強化により世界経済の中の香港経済の地位も大きく低下した。 地方政府、軍の営んでいた事業も停滞し、中国の内政は一段と不安定化しつつある。 習氏、軍幹部に「党の絶対的指導堅持」指示ワグネル反乱も踏まえ引き締めか2023年7月22日 産経ニュース 中国人民解放軍の幹部を集めた会議が20、21両日に北京で開かれ、習近平国家主席(中国共産党総書記)が「軍に対する党の絶対的指導を堅持」するよう指示した。22日付の中国共産党機関紙、人民日報が伝えた。6月下旬にロシアで民間軍事会社「ワグネル」の武装反乱が起きたことも踏まえ、中国軍の引き締めを図る狙いがうかがわれる。 中国軍の最高指導機関である党中央軍事委員会の主席も務めている習氏は「党と軍の全面的な厳格統治を持続的に推進しなければならない」と訴えた。中国軍制服組トップの何衛東(かえいとう)・中央軍事委副主席は、習氏が不動の権力と権威を固めたことを意味する「二つの確立」を「固く支持する」ことを全軍に求めた。 習氏は2012年に党総書記と中央軍事委主席に就任すると、反腐敗闘争を通じて軍内部でも対抗勢力を排除して権力集中を進めた。ただ、ロシアのプーチン政権を襲ったワグネルの武装反乱を巡っては露軍高官の関与も取り沙汰されている。習氏は会議で「戦争への備えと戦闘能力の強化」も求めており、米国との対立が激化する中で改めて軍の引き締めに力を入れる必要に迫られた形だ。 ― 引用終わり ― 急速な軍備の近代化をすすめた中国・人民解放軍の軍事的強さは不明。だが次にやることは軍備を国外に向けて使用すること、即ち台湾進攻であり、外交面ではそれを邪魔する勢力の弱体化・排除。 邪魔する勢力の筆頭は米国、それに次いで日本、韓国。 習総書記は台湾進攻という後戻りのできない道に歩をすすめた。極東アジアの熱い時は続く。
2023年07月29日
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たびたびの経済危機報道にかかわらず、中国経済は成長・拡大を続けてきた。都市と農村部の経済発展の差から、国内経済発展の余地もたっぷりあった。 だが、コロナ禍が収束方向となり、習政権が社会統制の色を濃くするにつれ、経済成長の減速が続いている。 中国経済成長の原動力の一つであった対米貿易問題の他、中央・地方政府の過剰債務、習政権の世界戦略である「一帯一路」の対外債務、高速鉄道の過剰債務など、国家経済が破綻前であることを示す話題に事欠かない。 不動産価格の下落策は国民的要請だったが、不動産会社の破綻で工事中止となる物件が多く、将来住むところをなくした多数の住民たちの生活の問題となっている。 習政権への権力集中は、海外からは恣意的な法の運用ととらえられ、少数門族への圧政への批判と相まって、外資が撤退を始め、それに伴う失業者も静かに増大している。 中国経済がおかしい。3つの壁を前に回復のめど立たず、対米強硬姿勢が国民不満のガス抜きに使われている=斎藤満2023年6月15日 MONEY VOICE 中国当局が同国の経済先行きに楽観的な発言を繰り返す一方、すでに若年層の失業率が20%を超え、地方の労働者は低賃金に苦しんでいます。経済政策も3つの壁を前に頓挫しており、回復のめどが立たない状況。習近平新体制は国民の不満を爆発させないよう、ガス抜きが必要になります。対米強硬姿勢はそのガス抜きに使われている面があり、危険です。(『 マンさんの経済あらかると 』斎藤満) … (略) …不安払しょくを図る当局 中国の中央銀行、中国人民銀行の易綱総裁が上海で行った発言が、9日に公開されました。 中国の4-6月のGDP(国内総生産)は前年比でみれば比較的高い成長率になる、との楽観的な見方で、さらに現在ゼロ近辺にまで低下している消費者物価上昇率も年末までに1%まで回復する、と述べています。 最近高まっている中国経済のデフレ懸念を払しょくさせる意図がうかがえます。 しかし、その楽観論にも確固たる根拠があるわけではなく、ベース効果(昨年4-6月が0.4%成長と弱かったことで今年の前年比が高く出ることか)による、としています。 問題は高いGDP成長率を提示することで、中国国民や内外の投資家が安心できるかどうかです。統計に不信感がもたれればかえって逆効果になります。 デフレ色が一層強まる 昨年4月はゼロコロナ政策の下で上海などでロックダウンがなされ、経済活動が一時的に停滞したことは事実ですが、その割に今年の4月、5月のデータはさほど反動高になっていません。 前年のコロナの影響を受けにくい指標では一段とデフレ色が強まっています。特に景気変動を敏感に反映するPPI(生産者物価)が、今年になって下落基調を強めています。 5月は前年比4.6%の下落ですが、これは4月の3.6%下落、3月の2.5%下落から下げ幅が加速しているばかりか、2020年のコロナ禍で経済が大きく落ち込んだ時以来の大幅下落となっています。 企業間での需要停滞がPPI下落につながっていると見られます。また消費者物価も4月の前年比0.1%に続いて5月も0.2%の上昇にとどまり、政府の3%目標から大幅に下振れしています。 … (略) … 政策に立ちはだかる3つの壁 中国経済の悪化に対して、北京政府は適切に対応するとの姿勢を示していますが、現実には政策対応が厳しい状況にあります。 まず財政面からの支援が困難な状況にあります。そもそも中央政府の財政状況が、公表される財政赤字よりも厳しいことです。これまで「一帯一路」で貸し付けてきた途上国向けの資金の多くが返済不能の「不良債権」化しています。その額は100兆円とも言われます。 さらに、財政支援策の大きな担い手となる地方政府が、やはり債務負担の重圧で身動きがとれなくなっています。特に、近年の住宅不況で土地利用料の売却収入が減り、地方政府の収入が減っているために、債務の返済も滞っています。こうした地方政府に公共事業などの拡大を求めても機能しません。 そして住宅市場の需給が崩れ、開発業者の多くが経営危機に陥っています。政府は市場の回復に努めますが、住宅の供給過剰で需給は緩く、政府の価格支持策にも限界があります。価格を高く維持すれば新規需要が伸びません。業者の経営悪化で未完成のマンションがゴーストタウン化しています。海外の投資家もこの住宅不況の影響を受けています。 この状況では住宅建設を柱とした景気対策は打てず、住宅を購入した人々の物件引き渡し、返金請求のトラブルも後を絶ちません。土地使用料の売買環境は冷え切ったままで、地方政府の収入回復にめどが立ちません。 対米強硬姿勢はガス抜きに使われている 金融政策も行き詰まっています。 今や主要国の中で中国だけがデフレにあり、当局も金融緩和を模索していますが、欧米が利上げを進めているだけに、中国が利下げをすれば、資金が中国から流出します。すでに人民元が1ドル7元の危機水準を超えて下落していて、これ以上の金融緩和は危険です。金融緩和で資金が流出すれば、意図せざる金融引き締めとなり、逆効果となります。 ― 引用終わり ― 「一帯一路」で描かれた習金平の妄想が実現することはなさそうだ。 妄想が瓦解し始めるとき、様々な対外摩擦が生じることは想像に難くない。 また、景気停滞期にナチスドイツは勢力を拡大し、対外侵略へと準備をすすめたことを忘れてはならない。 中国の出口を塞いでいるのは、日本、フィリピン、ベトナム、インドなどだ。 経済面では高速鉄道の債務も重い負担だ。 急激な整備・拡大をすすめた中国高速鉄道網の債務は日本の旧国鉄の比ではない。GDPの5%を占めるほどに達しているという。 中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か需要不足で負債120兆円空席が目立つ、北京と河北省張家口を結ぶ高速鉄道の列車内2022年7月14日 JAPAN Forward 中国の経済発展の勢いを象徴していた〝中国版新幹線〟の高速鉄道網が、中国経済の時限爆弾となるかもしれない。 採算性を無視した路線拡大により、高速鉄道を運営する国有企業、中国国家鉄路集団の負債総額は約120兆円に上る。巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手「中国恒大集団」が抱える負債の3倍近い規模だ。専門家は鉄路集団の巨額負債が重大な金融リスクになるとして、警鐘を鳴らしている。 ― 引用終わり ― 既に人口減少社会となり始めている中国経済に高速鉄道債務はより重い負担となって将来の中国経済にのしかかる。広大な国土を抱える中国は、航空路線とすれば経済的な路線をも高速鉄道で結び、膨大な債務と維持費を抱える構造を構築してしまった。 中国、高速鉄道の整備急ピッチ総延長、新幹線の10倍超―赤字路線続出で債務懸念2023年05月07日 JIJI.COM 中国が高速鉄道網の整備を加速させている。総延長は日本の新幹線の10倍を超える。今年は約2500キロ延び、南西部・雲南省の「秘境」にも到達する見込みだ。一方で採算が取れない赤字路線も続出し、債務膨張に懸念が高まっている。 … (略) … 中国は2000年以降、内陸部の経済発展を後押しするため、高速鉄道の整備を一気に進めた。22年の総延長は約4万2000キロと、10年間で4倍以上に拡大。運営する国有企業の中国国家鉄路集団(国鉄)は、35年に7万キロに延ばす計画だ。 高速鉄道は観光客の増加や企業の進出を通じて地方の発展に寄与してきた。麗江では高速鉄道の乗り入れをきっかけに省都の昆明などとの往来が活発化。観光収入が増え、地域経済を支えている。 もっとも「大半の路線は赤字」(地方政府関係者)。中国メディアによると、国鉄の債務は6兆元(約117兆円)超と、国内総生産(GDP)比で5%程度に達する。人口が21年をピークに減少に転じる中、鉄道事業は厳しさを増しそうだ。 ― 引用終わり ― 外資が中国からの撤退を続ける中、機をみるに敏な台湾人も中国大陸から撤退しているという。 自動車ではスズキはコロナ禍前の2018年に中国から撤退済み。トヨタやホンダは大丈夫なのだろうか? 一気に30万人消失! 台湾人が中国大陸から逃げ出している…技術を盗まれ、工場は乗っ取られ、愛人たちは金を持ち逃げし…2023/6/14 集英社オンライン … (略) …中国から30万人の台湾人が逃げ出した 2011年、中国に40万人の台湾人が駐在、あるいは移住していた。2015年、42万人となった。おそらくピーク、習近平の台湾強攻策が始まった。 2020年、往時の半分近い24万2000人に減った。理由はコロナ、共産党の強硬な態度、そして中国以外への工場移転である。このころ、台湾の世論調査では台湾独立をのぞむ台湾人が過半、現状維持が25.7%、両岸統一を語る人は11.8%だった。 2021年、中国に滞在している台湾人は16万3000人に激減した。その傾向は歯止めがかからず、現在はもっと減っているはずである。主因はコロナ災禍で、工場を休業し台湾へ帰り、そのまま戻らなかった。加えて習近平の独裁が確定し、台湾統一を前面にだして軍事訓練、威嚇を本格化させたため嫌気がさすようになった。 台湾企業も技術を盗まれ、投資した工場は彼らに乗っ取られ、愛人たちはさっさと金を持ち逃げ つぎに人件費の高騰で、川下産業の典型、繊維や玩具、雑貨などは中国からベトナムへ、カンボジアへ、そしてバングラデシュへ工場を移転した。台湾企業の繊維の街だった厦門近辺はゴーストタウン化した。 結局、台湾企業も技術を盗まれ、投資した工場は彼らに乗っ取られ、愛人たちはさっさと金を持ち逃げ、投資そのものが間違いだったことに気がついた。日本企業諸氏、この台湾起業家たちの教訓をどう読むか? ― 引用終わり ―
2023年07月17日
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中華思想の国である国中国は、基本的に文治の国、国民性だ。 1979年に中国・人民解放軍がベトナムの国境3カ所から攻勢を仕掛けた。中越戦争が始まった。 開戦理由の建前は、領土紛争をめぐって起こった事件への制裁。根底には中国の支援を得ていたクメール・ルージュを崩壊させる為にカンボジアに進攻したベトナムに対する制裁だった。 1979年1月1日、人民解放軍は56万人の兵隊をベトナム国境に集結し威圧を開始。2月15日、中国共産党の中央委員会・鄧小平副主席は「同盟国カンボジアへの侵攻と同国内の中国系華人の追放」を理由として、「ベトナムに対する懲罰的軍事行動」を正式発表し、宣戦布告した。 ランソンを中国軍が占領した3月5日、カンボジア方面に展開中だったベトナム軍主力が合流し、ハノイ郊外の巨大陣地に5個師団が加わった。ベトナム軍主力と軍事衝突すれば、野戦軍のさらなる被害増大と占領地の維持が危うくなることから、中国共産党中央軍事委員会は撤退を決定。 3月6日の「ベトナムへの軍事的懲罰の完了」宣言とともに、中国軍に対し撤退を命じた。 3月16日までに人民解放軍はベトナム領から撤退した。中越双方が勝利宣言したが、中国は小国ベトナムに勝てなかったということだ。 指揮命令系統の崩壊が多く、得意の人海戦術でベトナムを圧倒できなかった中国は、人民解放軍の近代化を最優先の国家目標として推進した。 人民解放軍は強力だったことはない。内戦に人民の支えがあって勝利したことがあるだけだ。 国産ではあるが現代的な装備を備えた現在の人民解放軍ではあるが、諸兵科を統合的に指揮・運用できる体制になったという話は聞いたことがない。諜報活動の得意な中国の人民解放軍は、情報と指揮の統合で最も先進的であると考えられている米軍から十分に知識を得て、密かに指揮統制、組織体系に反映しているのだろうか。 下記記事の筆者の見解通り、いまだにロシア軍を基盤としているとするならば、統合された兵科運用はなされていないことになる。 では脅威ではないかというと、人命の犠牲を恐れない人海戦術の脅威は、ウクライナ侵略戦争でみられる通りだ。 「またやってる…」それこそが中国軍の“真の狙い”!中国がすでに始めている「戦わずして勝つ戦術」【元・陸上自衛隊幹部学校長が解説】幻冬舎ゴールドオンライン / 2023年5月20日 11時15分 … (略) …中国は本当に脅威なのか? 一方、軍事的脅威は、一般的に国家の主権、領土の一体性及び独立を侵害しようとする外国の「意図」と「能力」によって測られる。 もし、ある国が他国を侵略する悪意ある意図を持っていても、その能力(軍事力)が伴っていなければ必ずしも「脅威」とは言い切れない。他方、ある国が軍事大国といわれる能力があっても、侵略する意図がなければ、同じく「脅威」とは見なされない。 このように、脅威の概念は、「意図」と「能力」の相乗積によって測られ、その二つが結びついた時に初めて脅威の顕在化として明確に認識されるものである。 では、中国は脅威か? 中国は言うまでもなく、日本にとっても、また台湾にとっても明らかな脅威である。しかし、その脅威が直ちに侵略の形で現実化するかどうかについては、冷静かつ慎重な判断が求められる。 なぜならば、中国は、尖閣諸島と台湾を自国の領土であると一方的に主張し、それを奪取し統一する意図を繰り返し宣明すると同時に、猛烈な勢いで軍事力を強化しているが、果たして真にその能力(実力)を備えているか否かは依然不透明・不確実であるからだ。 能力には、ハードウェアとソフトウェアの両面がある。兵器や装備に代表されるハードウェアは、比較的計測し易いが、それとて、軍事大国・核大国のロシア軍がウクライナ戦争において「世界が思っていたような強力な軍隊ではなかった」と酷評されているように、その正確な判断は難しい。 戦略(strategy)や作戦術(operationalart)・戦術(tactics)、教育訓練と部隊の練度、統合作戦、兵站(後方支援)、団結・規律・士気、将校や兵士の質などのソフトウェアに係わる能力の判断はさらに困難を極めるのは間違いない。 ましてや、中国軍が尖閣諸島を焦点とする南西地域や台湾に侵攻するには、過去に経験したことのない東シナ海や台湾海峡、南シナ海を越えた着上陸(水陸両用)作戦の遂行に依拠しなければならないからだ。 … (略) … 中国軍は「ソ連型の軍隊」 翻って、中国人民解放軍(中国軍)は、いうなれば「ソ連型の軍隊」である。ソ連軍(ロシア軍)と中国軍は共産主義革命軍としての共通項を持ち、その中で、中国人民解放軍(中国軍)はソ連の支援を受け、ソ連軍の組織、兵器・装備、戦い方、指揮統制、教育訓練、人事制度などに学びつつソ連軍をモデルに建設してきた歴史がある。 今日においても、中露は「包括的・戦略的協力パートナーシップ」を確立し、それを基盤として中国軍は、ロシアから戦闘機や駆逐艦、潜水艦など近代的な兵器・装備を購入し、定期的な軍高官などの往来に加え、共同訓練・演習など行い、ロシア製兵器の運用方法や実戦経験を有するロシア軍の作戦教義などの学習を通じて、いわゆる相互運用性(interoperability)を向上させている。 つまり、中国軍は、世界の中で、最もロシア軍と類似的特性を共有している軍隊の一つである、と言うことができる。 ― 引用終り ― 1958年8月23日から10月5日にかけて、中華民国福建省金門島に対し、中華人民共和国の中国人民解放軍が同島に侵攻すべく後に「金門砲戦」と呼ばれる砲撃を行った。人民解放軍は、大金門島・小金門島に対し火砲459門で砲撃を開始した。戦闘開始2時間で4万発、1日では5万7千発もの砲弾が使用された。 9月18日、米軍の船団よりM115 8インチ榴弾砲が金門島の中華民国軍に直接提供され、9月26日以降、中華民国軍は対岸のアモイの大嶝、二嶝の中国人民解放軍砲兵陣地を攻撃し大きなダメージを与えた。 人民解放軍は、10月5日「人道的な見地より金門への砲撃を7日間停止し中華民国軍船舶による補給を許可する」と発表、10月13日、再度2週間の攻撃中止を発表、中国人民解放軍の作戦は転換した。10月28日、中国人民解放軍は隔日攻撃の方針を発表し、戦闘は次第に終息化していった。 人民解放軍は470,000発の砲弾をもってしても金門島を攻略できなかった。 中国政府と人民解放軍はウクライナ侵略戦争のロシアの失敗から、有用な戦訓を学んだのだろうか。 ロシアは民間軍事会社や囚人兵を使った力業、人海戦術で現代戦を乗り切ることができなかった。ウクライナの戦略・戦術の巧みさと、湾岸戦争に続いて欧米の兵器の優秀さが改めて示された。 ちゃんと学んでいれば、中国・人民解放軍は台湾侵略戦争を始める前に、兵器・兵科を統合的に運用できるよう全面的な見直しを始めるはずだ。 運用できない空母、墜落の多い戦闘機、所在が明らかな潜水艦などの使えそうもない兵器類の見直しとともに。 中国侵略・満州国建国で見事日米開戦に導かれた帝国陸軍ばりに意気盛んな人民解放軍は、大したことは学んでいないと思われる。日ごろは計算高い中国人だが、毛沢東のように自分の影響力の確保と共産党の大義のためなら人民の命を毛ほども煩わない独裁者ではないと習金平主席を断定できないことと合わせて中国の存在は大きな脅威だ。 外交面で先進国のルールに沿った運営をできない中国は、非民主的な国々を糾合して、先進国に向かって吠える。相手が弱いと思えば、威圧にかかる。 G7に中国反発=「強烈な不満、断固反対」2023年5月20日 時事通信 中国外務省は20日夜、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳声明などに反発する報道官コメントを発表した。「G7は中国を中傷し、内政に乱暴に干渉している」として、「強烈な不満と断固とした反対」を表明。日本に「厳正な申し入れ」をしたという。 G7による台湾海峡や中国の人権問題、経済的威圧や核戦力の不透明さなどについての言及に反論。「西側の少数の先進国が世界情勢を動かす時代は終わった」「排他的な小サークルを形成し、他国を抑圧するのをやめよ」などと強い言葉で非難した。 ― 引用終り ― 中国が本気なら、米国に抗議するはずだ。自国の経済の基盤、欧米の市場を切り崩しながら、中国政府と中国共産党の機関である人民解放軍による小日本への威嚇・威圧行為は続く。
2023年06月02日
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恒大集団は、1996年に許家印氏が不動産会社「恒大」として設立した。 2009年、香港証券取引所に「中国恒大」として上場。 2020年9月末、中国当局・中国人民銀行)による不動産関連企業などの負債比率の高い企業に対して金融機関の融資を制限する動きが出たことを受け、恒大集団が債務不履行に陥る可能性があると報道された。 2021年6月末時点で恒大集団の負債は1兆9700億元に対し自己資本は4110億元だった。 習金平政権の不動産価格沈静化のための関連企業への引締めによる中国の不動産不況は深刻化している。各地で大規模なゴーストタウン(鬼城)が発生。 資金難に陥った開発業者がマンションの建設工事を途中で取りやめ、購入者が住宅ローンの支払いを拒否する事態も発生している。 2022年7月23日、経営危機に陥っている恒大集団は、夏海鈞最高経営責任者(CEO)らが辞任したと発表した。グループ会社の預金流用に関与しており事実上の解任だった。 2022年8月4日、恒大集団は広州市で進めていたサッカースタジアム建設事業向けなどの土地使用権を市に返還すると発表した。これに伴い、約55億2000万元(約1090億円)が返金される。資金は巨額債務の返済に充てると報じられた。 恒大汽車は自動車製造のために3年間で450億元(約8500億円)を投じ、2025年に生産販売量100万台を実現するという目標を掲げていた。統計によると、2021年上半期の時点で恒大汽車が投入した資金はすでに500億元(約9500億円)を超えたという。 恒大集団傘下の新興EVメーカーの恒大汽車(恒大新能源汽車集団)は2023年3月23日、新たな資金調達ができなかった場合、工場の操業停止に追い込まれるリスクがあると発表した。 中国市場ではEV販売の大きな伸びが報じられていたが、恒大汽車によれば、2022年7月に予約販売を開始した初の市販モデル「恒馳(ヘンチー)5」は、これまでの納車台数が900台余りにとどまっているという。 恒大汽車は香港証券取引所に上場している。2021年の決算報告書を期限までに提出できず、2022年4月から株式の取引が停止されたままだ。2023年3月23日に公表した未監査の財務データによれば、2021年末時点の現金および現金同等物の残高は12億8700万元(約247億円)、総資産は595億2000万元(約1兆1404億円)、総負債は588億3000万元(約1兆1272億円)。 3月24日、中国恒大集団は事業再編の一環として、EV子会社の中国恒大新能源汽車集団(恒大汽車)が2事業をグループの別の部門に売却すると発表した。恒大汽車は2事業を名目上2元で売却し、約247億9000万元の売却益を計上する。 販売台数の伸びが著しい中国のEV業界は、BYDを除く全企業が2022年度赤字決算となった。恒大汽車が黒字になる見込みは、現在の中国のEV市場にはない。 恒大集団に1千億円支払い命令中国の裁判所、創業者も対象2023年5月13日 共同通信 経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団は13日までに、中国の裁判所から同社と創業者の許家印主席が約60億元(約1170億円)の補償金などを支払う命令を受けたと発表した。恒大に投資した会社が支払いを求めて訴えていた。恒大は債務履行を求める訴訟などが増え、資金繰り改善の足かせとなっている。 投資会社は、恒大グループの50億元の株式を引き受けていた。株式の買い戻しや関連費用の支払いを広東省広州市の裁判所が命じた。 中国メディアによると、恒大の主要事業会社の恒大地産集団に対して債務履行などを求める訴訟が2月末時点で1317件あり、請求金額などは計約3124億元。 ― 引用終り ― 巨大なベンチャーキャピタル・恒大集団の未来は不明なまま。 不動産企業、EV企業の破綻の連鎖にも、共青団(中国共産主義青年団)のエリートを締め出した習金平の中国共産党は、動じない体制となった。
2023年05月31日
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政治的リスク、人権問題のリスクなど中国のカントリーリスクが高まったからか、高齢化・人口減少社会となることが確実な中国の労働市場が魅力を失ったからか、米・アップルは世界の工場である中国から脱出をはかっているという。 アップル「脱中国」は達成間近。消えた中国の世界的輸出増、サプライヤーの9割がインド・ベトナム移転へ=勝又壽良2023年3月11日 MONEY VOICE … (略) …消えた世界的輸出増 中国が内需振興へ力を入れている裏に、輸出不振という大きなプレッシャーが存在する。1~2月の輸出(ドルベース)は、前年同月比で6.8%減になった。輸入(同)は、輸出減を反映して10.2%減とさらに落ち込んでいる。 この輸出入の不振には、世界的なサプライチェーンの供給圧力が減り正常化したことが大きく影響している。その意味で、「パンデミック特需」は終了したのだ。 米ニューヨーク連銀は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)宣言から約3年を経て、グローバルサプライチェーンが通常に戻ったと分析した。NY連銀のグローバルサプライチェーン圧力指数は、2月の数字がマイナス0.26となり、2019年8月以降で初めてゼロを下回り、全世界の供給圧力が標準値未満に低下したのである。『ブルームバーグ』(3月7日付)が報じた。 これは、重大なシグナルである。中国のサプライチェーンにかかっていた超過需要圧力が解消されたことを示すのだ。中国輸出が、減少している背景がこれである。 習氏が、前述のように「国際市場に頼り、われわれを救うことはできない」という意味は、輸出で稼ぎ食糧などを輸入するというこれまでのパターンを警戒しているのであろう。中国のサプライチェーンが、世界へ与える影響度はすでにピークを過ぎたのだ。米中対立によるデカップリング(分断)が、これをプッシュしていると見るべきだろう。 アップルの「脱中国」はもう止まらない 冒頭で、アップルの中国サプライヤーの脱中国について触れたが、さらに詳しい動向を紹介したい。 米アップルのサプライヤー企業による中国外への生産移管は、観測筋の多くが見込むよりもはるかに速く進む公算が大きい。米中の緊張悪化で被る影響を未然に防ぐ狙いだと、アップルの大手サプライヤーの一社が明らかにした。『ブルームバーグ』(3月1日付)が報じた。 これによると、ワイヤレスイヤホン「エアポッド」を製造する中国の電子部品メーカー、ゴアテック(歌爾)は、中国外の生産拠点を模索している1社だ。歌爾のようなメーカーに対し、米国のテクノロジー企業が強く代替の生産拠点を探すよう働き掛けているという。企業は、「2月からほぼ毎日のように、多くの顧客企業の訪問を受けている」と述べ、決まって話題になるのは「いつ生産を移管できるのか」だと明らかにした。 アップルは、中国で生産システムを作り上げ、全体で数百万人を雇用している。その舞台裏では、アップルの最も重要なサプライヤー10社のうち9社が、インドなどに大規模な生産移管準備をしている可能性がある。中国側が知ったら仰天するであろう。 ― 引用終り ― 脱中国を図る日本企業は、代替国としてベトナムやタイ、インドネシアなどの東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々、また中国にとって代わる市場となる可能性のある若年層が多いインドなどを候補として挙げている。様々なものごとが整ってきた中国と比べると、代替国の確保は容易ではないが、習金平の中国は政治的リスクが高いので、脱中国の動きは止まらない。 もちろん脱中国にすすめない製造業もある。 ドイツ、日本、韓国の自動車企業は、完成車組立工場を大市場である中国に設けており、当面撤退する動きはない。EV専用の組立工場を新設している真っ最中だ。EV専業の米国・テスラは、中国の工場と市場が企業拡大の生命緯線となっている。 関連の部品メーカーを含めすそ野が広いとされる自動車工場といえども、プーチンのロシアからは撤退している。台湾への武力侵攻など、今後の習金平の中国の動き次第では、自動車メーカーの中国からの撤退も考えらる。
2023年04月08日
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中国・習政権は今年の全人代で、「宗教の中国化」を推進する政策の強化を打ち出した。 チベットは制御下に置いたようで、新疆ウイグル自治区などのイスラム教徒についての統制・管理強化を続ける方針を明らかにした。 彼らの主張する「宗教の中国化」とは、宗教を中国共産党の統制下におくことを意味する。 中国全人代「宗教の中国化」強調少数民族の管理強化継続へ産経ニュース / 2023年3月6日 … (略) … 習政権は、信仰よりも共産党指導を優先させる「宗教の中国化」を加速している。宗教施設での国旗掲揚を進め、クリスマスなど宗教に関するイベントへの規制を強化。特に、新疆やチベット自治区といった少数民族が多い地域では、そうした方針を徹底させようとしている。宗教活動が反体制運動に発展することを警戒しているためだ。 習国家主席は昨年7月、新疆を約8年ぶりに視察した際に「イスラム教の中国化の方向性を堅持し、宗教を社会主義社会に適応するものにしなければならない」と強調した。 ― 引用終り ― 歴史的な中華思想は、文治を重んじた。 現代の中国共産党の文治は、共産党の方針に従えということだけだ。毛沢東思想を受継いだ彼らに「文治」という発想はない。暴力による強制でも、相手に言うことを聞かせればよいとされている。 「同じ中国」なのに中国共産党に従わない台湾(中華民国)はトンデモナイ存在。 海外諸国も誤った各国の方針を止めて、中国共産党の指導する方針に従えということになる。 中国「日本は歴史の行為反省を」 外務省報道官が会見共同通信 2023年3月6日 中国外務省の毛寧副報道局長は6日の記者会見で、日本の政治家が中国新疆ウイグル自治区や香港の人権状況を問題視していることへのコメントを求められ「日本は人権を語る前に自国の歴史上の犯罪行為を深く反省し、慰安婦や強制労働など残された歴史問題を解決すべきだ」と述べた。 毛氏は「かつて日本は軍国主義に足を踏み入れ、侵略戦争を起こし、人道に対する深刻な罪を犯した。地域や世界に災難をもたらした」と批判した。新疆や香港に関することは「中国の内政であり、外国に干渉する権利はない」とも強調した。 ― 引用終り ― 毛沢東は史上最大の虐殺者だとの指摘もある。 中国共産党にとっては国際法も、国際的な取り決めも一切関係ない、という彼らの現状認識をあらわにしている。 経済的に大きくなった中国がどこに向かうのか、共産党指導部も分からないのではないか。これは、国境を接するアジアだけでなく世界情勢にとって、とても危険なことである。 敵(米国)の敵は味方と、中国はロシアと急速に親密度を高めている。大中国にとってロシアなど大した力(国力・軍事力)ではないと考えての振舞だ。「困ったちゃん」のロシアを宥めて、米国がまとめられない世界に君臨しようとしている。 習主席がロシア訪問、侵攻後初 ウクライナ「建設的役割果たす」共同通信 2023年3月20日 中国の習近平国家主席は20日、ロシアの首都モスクワを公式訪問した。22日まで3日間の日程で、習氏のロシア訪問は昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後初めて。プーチン大統領と首脳会談を行い、ウクライナ情勢などを協議した。対話による解決を訴える中国がどこまで関与を強めるかが焦点だ。 ― 引用終り ―
2023年03月26日
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3月2日、カナダ議会の委員会は、外国による選挙への干渉を巡る疑惑について正式に調査を開始するよう政府に求める決議案を可決した。外国とは中国を指すようだ。 中国もロシアもSNSの活用を含め、特定の対象国の時刻により有利な世論形成を行っているとみられる。中国は一帯一路の対象国と環太平洋の諸国。ロシアはもちろん旧ソ連国。 カナダ議会委員会外国による選挙干渉疑惑への正式調査を要求2023年3月3日 ロイター カナダ議会の委員会は2日、外国による選挙への干渉を巡る疑惑について正式に調査を開始するよう政府に求める決議案を可決した。 決議は拘束力を持たないが、トルドー政権に対する真相究明への圧力が強まる。 中国などが2019年と21年の総選挙に干渉しようとしたとの疑惑が浮上しているが、中国の秦剛外相は「完全に虚偽でナンセンスだ」と否定した。 カナダ安全情報局(CCIS)のビグノー局長は議会で証言し、19年と21年の選挙結果は損なわれていないとの調査結果を支持すると述べた。 同氏は中国による選挙への干渉を巡る報道の内容を確認せず、情報を漏えいした人物を調査していると説明した。 ― 引用終り ― 米国の反中国政策に穴をあけるため、中国からの移住者の多いカナダに、中国政府は目を付けたのだろう。 一時期激しく中国寄りとなったオーストラリアは、政府高官だけでなく、既に世論形成を含め選挙干渉を行っているに違いない。共産党独裁の中国政府は、普通選挙を民主主義国の弱点とみている。 秘密警察出身のプーチン大統領のロシアが、かつてのソ連邦諸国や少数民族問題について、マッチポンプ的な諸政策で侵略をすすめた経緯をつぶさに分析したのだろう。 米英と情報(インテリジェンス)連携の巧みなカナダであればこそ、外国の選挙干渉に早い段階で気づいたのだろう。 日本を支配しているのは米国だけではない。 日本ではいまだウクライナの不当性、ウクライナのNATO加盟の不当性を主張しロシアを擁護する政治家、評論家がマスコミに登場している。ロシアによる日本の内政干渉も中国に負けていないといったところか。問題はロシアの武力侵攻にあることに目をつぶって、帰ってくる気配のない北方四島返還を訴え、いい気なものだ。 政府自民党の有力政治家も、中国に弱みを握られている者が多いと噂になっている。赤字財政を続けながら、外国人による土地所有を規制しないなど、文字通り売国的な政策を継続する所以だ。公安はたいした力のない左翼、新左翼を追いかけ、右翼は共産主義叩きで日本が保たれるとの幻想にすがっている。公安は、公安の秩序に大きな影響を及ぼしつつある中国、ロシアの活動について、米国と同様に両目をつぶっている。
2023年03月13日
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1978年、中国は改革・開放政策を開始し工業、商業が経済成長がすすんだ。2000年代、中国は「世界の工場」と称されるようになり、世界経済を牽引車となった。人民が豊かになった習近平政権期の中国は、強国を目指し、国際社会にとって政治、経済、軍事、領土問題の脅威となった。 習政権は国内政治で「行き過ぎた民主化」「行き過ぎた経済発展」を是正すべく統制を強化し、外交面ではは「戦狼外交」を展開し、領土的野心をむき出しにしている。 中国の経済発展に最も貢献してきた米国や民主主義国は中国を警戒するようになり、貿易、技術協力の余地は減少している。 2022年10月に開催された中国共産党党大会で選ばれた中央委員(党序列上位の205人)の名簿には、李克強首相(67)ら4人の政治局常務委員の名前がなく、最高指導部から引退することが確定した。 李克強氏はエリート党員の育成機関、共産主義青年団(共青団)の全国組織トップを務め、同じく共青団出身の胡錦濤前総書記(79)を継ぐ最高指導者候補として早くから注目されていた。党大会での人事は共青団をしめだした形となった。習近平総書記、異例の3期目入り決め閉幕 党規約改正でさらに習氏へ権力集中をはかった。 2023年3月5日、全国人民代表大会の第1回会議が、北京の人民大会堂で開幕。退任が決定している李克強首相による政府活動報告が行われた。2023年のGDP成長率の目標を「5.0%前後」に設定した。事前の予想よりも低く、2022年の「5.5%前後」より低くかった。 中国政府の予想よりも、全体主義化が与えた経済への悪影響は大きかったと見える。 コラム:中国「5%前後」成長目標は容易か、深刻な問題反映By Pete Sweeney2023年3月6日 ロイター 中国は2023年にGDP(国内総生産)を「5%前後」成長させることを目標としている。これは昨年実績の3%がここ数十年で最も低いパフォーマンスであったことを考えると、低く見えるかもしれない。しかし、5日に出てきた演説や政策文書を総合的にみると、深刻な問題が垣間見える。 ― 引用終り ― 政府による企業活動の抑制、「ゼロコロナ政策」による経済の低迷、各種の人権抑圧などによる経済社会の変貌を予測してか、中国の超富裕層がシンガポール移住が活発化している。中国の富裕層の間では習近平国家主席が格差縮小を旗印に『共同富裕』という目標への懸念があるとされている。 「一帯一路政策」を含め、中国の資本・富は海外流出を続けた。ここにきて人材も流出を始めた。今更「共同富裕」を取り下げ、人権抑圧を緩和しても、流れ出た人は戻ってこない。中国の経済社会が開放的であることが、経済成長回復のカギとなるハズ。 中国の渡航緩和策で富裕層のシンガポール移住が急増その理由とは? 2023年3月6日 Record China 台湾メディアの中時新聞網はこのほど、中国政府が新型コロナウイルス感染症対策として実施していた海外渡航の厳しい制限を撤廃したことで、中国の富裕層の海外移住が急増しているとして、移住先やその理由を紹介する記事を発表した。人気の移住先の一つはシンガポールという。 記事によると、中国人富裕層が特に多く移住しているのはシンガポールという。南アメリカに拠点を置き世界のトップクラス富裕層とその消費パターンを研究するニュー・ワールド・ウェルスによると、2022年には約1万800人の中国人富裕層が中国を離れ、多くの部分がシンガポールに殺到した。シンガポールでは高級住宅価格の高騰や高級自動車の販売増、ゴルフクラブの外国人会員の会費の大幅上昇が発生したという。 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国政府が自由な出入国を再開したことで、中国人富裕層が家族ぐるみで海外に移転する現象が発生した。シンガポール政府は新規居住者の国籍データを公表していないが、富裕層移民についてのコンサルタントは、シンガポール定住を求める人の中で中国人は大きな割合を占めており、その割合は上昇しつつあると説明したという。 シンガポールの不動産調査会社であるオレンジティー・アンド・タイによると、22年にはシンガポールの住宅価格が8.6%上昇した。同社が22年10月に発表したリポートは、外国人がシンガポールのマンションを購入した事例では、中国人によるものが最も多いと指摘した。 セントーサゴルフクラブの外国人会員の年間会費は、新型コロナ感染症発生前は約25万シンガポールドル(約2500万円。23年3月5日現在の為替レートによる。日本円換算は以下同じ)だったが、現在までに84万シンガポールドル(約8500万円)にはね上がった。シンガポール政府の統計よると、高級車の登録台数も大幅に増加した。 ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国人富裕層がシンガポール移住に魅力を感じる理由として、アジアの金融センターであること、税率が比較的低いこと、中国や香港に比較的近いこと、中国語と英語が普及していること、質の高い教育が存在すること、資産管理業務に力を入れる金融業者が存在することを挙げた。 ― 引用終り ― 習金平政権の中国統一への動きは強まっているとみられている。 2023年3月6日、台湾の邱国正国防部長(国防相)は、台湾海峡の軍事的緊張が高まる中、中国軍による台湾海岸線に近い接続水域への「突然の進入」に警戒する必要があると発言した。 中国は台湾の総統選に向け、与党・民進党に厳しく対応しつつ、中国との対話を主張する国民党を側面支援する見通し。中台統一に向けた動きを加速させることには変わりなく、台湾工作を担う国政助言機関のトップに就任する見通しの共産党序列4位の王滬寧(ワンフーニン)政治局常務委員を中心に、統一の具体案が策定されるとの見方がある。
2023年03月13日
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習金平の中国は、国内の治安をデジタル技術による統制をはかった。中国国民だけでなく中国に滞在するものがデジタル技術に接していると政府により24時間監視されている。PC通信、携帯電話、街中のWEBカメラなど全てを統制している。 そしてそれは現在、国外にも及んでいる。 2022年10月25日、オランダのメディアは、中国がヨーロッパにいる反体制派を黙らせるため、外交サービスの提供を役割とする「海外サービスステーション」を利用している証拠を見つけたと報じた。オランダ外務省の報道官は、中国警察の非公式の出先機関が存在するのは違法だと述べた。 中国「海外警察」 違法な活動を即刻停止せよ2022/12/29 讀賣新聞オンライン 他国の主権や法制度を侵害し、国際法に違反する活動である可能性が高い。中国は各国の懸念を深刻に受け止め、現状を直ちに是正すべきだ。 中国の公安当局が「海外警察」と呼ばれる出先機関を諸外国に設け、反体制派中国人らの追跡や、中国への連れ戻しに使っている実態が明らかになった。 スペインの民間活動団体が公表した報告書によると、欧米など53か国で102か所の海外警察の拠点が確認された。日本でも東京など2か所にあるという。 ― 引用終り ― 中国政府の監視は中国国籍の者ばかりでなく、対象はより幅広いと考えるのが情報(諜報)活動の常識というもの。 コロナ後の中国は、「デジタル中国戦略」を国家戦略に位置づけ、イノベーション駆動型デジタル中国の更なる推進を目指している。 中国製の携帯電話、アプリなどのデジタルツール、ガジェットの情報は、必要に応じて、随時中国政府に情報が流れるようにされていると考えてよさそうだ。 2023年2月11日、中国政府でマクロ経済政策を担う国家発展改革委員会の何立峰主任が北京市内で講演し、日本と米国、オランダによる半導体製造装置の対中輸出制限を念頭に「中国と日本は半導体分野で緊密につながっており、日本がサプライチェーン(供給網)の安定を維持することを期待する」と述べた。 輸出制限、不買運動が自国にどうのように跳ね返ってくるか、中国も分かってきたようだ。中国は、情念で動く韓国より数段優れている。TikiTokアプリ排除を、米議員がアップルとグーグルに要請ロイター編集2023年2月3日 REUTERS 米上院情報特別委員会の委員であるマイケル・ベネット議員は2日付の書簡で、中国系短編動画投稿アプリ「TikiTok(ティックトック)」が国家の安全保障に危険をもたらすとして、アップルとアルファベット傘下のグーグルが運営するアプリストアから排除すべきと主張した。 ティックトックについては、中国政府が米国人の情報収集や国益に利用するとの懸念が強まっており、米議会は既に政府が所有・管理する機器での使用を禁止している。 ベネット氏は、アルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)とアップルのティム・クックCEOに送付した書簡で、「中国共産党の支配下にあるいかなる企業も、米国人に関するこれほど広範囲なデータを蓄積したり、人口の約3分の1に相当する人々とコンテンツを共有したりする権限を持つべきではない。こうしたリスクを踏まえ、ティックトックをアプリストアから直ちに削除するよう求める」と述べた。 ― 引用終り ― ティックトックは、中国政府は米国人の個人情報にアクセスすることも、アプリのコンテンツを編集することもできないと反論している。中国政府が情報収集できない仕組みを作ったなら、経営者は、中国共産党に首を挿げ替えられることだろう。 TikTokのアカウント削除方法とそれに伴う4つの注意点 2021.07.21 Norton 若い人たちを中心に人気の動画投稿SNSであるTikTok(ティックトック)。人気のSNSだけにユーザーはとても多く、そして人が多く集まる空間だけに人間関係のトラブルなどからアカウントの削除を検討している方もいらっしゃることでしょう。 TikTokに限らずSNS全般に言えることですが、アカウントの削除はそれまで時間をかけて作ってきたつながりなどを全て削除する事を意味します。 当記事ではアカウト削除やそれに関しての注意点、アカウントを削除することなく一般的な問題を解決するためのヒントなどを解説します。 ― 引用終り ― 台湾国内でも中国共産党に都合の良い世論形成を含め、様々な情報活動がすすめられていることだろう。 このところの動きをみていると、米国、米・バイデン大統領の国際情勢に関する関心は、ウクライナ侵略戦争よりも、中国の膨張政策にあると思えてならない。 米国の気を引きたいプーチン大統領も、金正恩総書記も残念に思うことだろう。
2023年02月24日
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中国共産党・人民解放軍は陸軍の歩兵中心の体制から、各種の装備を現代化した陸海空電脳の総合的な戦略体制に切り替えた。兵員数は大幅に減少し、毎年のように軍事費を大幅に増額し、戦車、戦闘機、軍艦などの装備の充実がすすんだ。 中国人民解放軍機関紙「解放軍報」が、軍内でこれらのハイテク兵器を操作する人材の育成が追いついていないと報じたという。 中国軍、軍備の高性能化に人材育成が追いつかず兵器が兵士の能力向上を待つ状況にNEWSポストセブン 2023年1月25日 中国人民解放軍は近年、高性能兵器の開発を大きく前進させたものの、軍内ではこれらのハイテク兵器を操作する人材の育成が追いついていないという。そのため、多くの高性能兵器の持てる威力を発揮できず、兵器が兵士の能力が向上するのを待つ奇妙な現象が起こっている。これは中国人民解放軍機関紙「解放軍報」が報じたもので、同紙が軍の問題点について、率直に論評するのは極めて異例といえる。 同紙は、中国軍北部戦区海軍のフリゲート艦の副艦長が新鋭艦の設備や軍備に対応できず、艦長に昇進するための実務試験に数年間、合格できなかった状況をルポルタージュ風に描写。中国海軍の人材育成が急速な装備の近代化に追いついていないというジレンマが垣間見える報告となっており、 ― 引用終り ― 情報が少なくハイテクかどうか判断できないが、人民解放軍の航空母艦は、いずれもトラブル続出で費用対効果が極めて低いと思われる。 航空母艦の運用など現代の兵器の多くはシステムとして効果的に機能する必要があり、「長」が分かっていればよいというものでもない。人民解放軍は現在のところ、人材育成制度の機能が不足しているのだろう。 「即戦力」という言葉の聞こえは良いが、ようは人材を育成できない状態を覆い隠しているに過ぎない。 米国ではしっかりとした育成プログラムを経て軍人を作る(育てる)。 おおよそ次世代兵器となるものは、ハイテク化した兵器だ。ステルス戦闘機のように、維持、整備も容易ではないものがある。 歩兵携行型のミサイル、ロケットの類でも照準から発射の手続きは、ライフルやハンドガンよりも複雑になっている。 人民解放軍の心配は不要だが、空母をもつなど高価で複雑な装備品が盛りだくさんになった我が国の国防軍=自衛隊は大丈夫(税金の無駄遣いとなっていない)だろうか?
2023年02月15日
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2022年12月9日、サウジアラビアを訪問中の中国の習近平国家主席は、中国・湾岸協力会議(GCC)首脳会議で演説を行い、石油・ガス貿易の人民元建て決済を推進する姿勢を表明した。 サウジアラビアは伝統的に米国と親密だった。 最近力技の目立つ習国家主席は、サウジの事実上の指導者である キラー ムハンマド・ビン・サルマン皇太子との新たなパートナーシップで、人民元を国際通貨として確立させ、世界貿易における米ドルの支配的地位に揺さぶりをかけた。 世界的に需要が減少するとみられている石油は、「中国が買いましょう」ということらしい。 サウジアラビアが米国製の高価な兵器類を低価格低品質の中国製兵器に買換えると、サウジの軍関係者は魂消るにちがいない。 [深層NEWS]中東に影響力拡大を図る習近平氏「サウジとうまくやる」意思2022年12月21日 読売新聞 明治大の近藤大介講師と三菱総合研究所の中川浩一主席研究員が20日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、中東への影響力拡大を図る中国について議論した。 中国の習近平シージンピン国家主席が今月、サウジアラビアを訪問したことについて、近藤氏は「アメリカを意識していたと思う。中東の中で大きな存在であるサウジとうまくやっていくんだという意思を感じた」と指摘。中川氏は「脱石油を図るサウジにとって、海外からの投資を(どう)呼び込むかが最大の焦点。今回、習氏から多数の投資を得ることができた」と分析した。 ― 引用終り ― エネルギー資源を中心に据えて世界に影響を及ぼそうとする世界は終わりつつあるが、しがみつく既得権者はいる。 中国・習国家主席は中東支配を「一帯一路」政策の総仕上げとするつもりだろう。 サウジアラビアは、中東の盟主から、中国から多額の投資を得た末に返済不能となり、中華圏の軍門に下るつもりではないと思うが、今後の国内政策のかじ取り、勤労を避ける国民層をどうしていくのかが注目点となる。
2023年01月02日
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中国はキューバに140億円贈与を決めた。中国はキューバを手中に収めつつある 中国は米欧に対抗すべく、途上国や社会主義政党との連携に力を入れ、中国の覇権の拡大、確立をすすめている。 2022年11月25日、中国の習近平国家主席は、訪中しているキューバのディアスカネル大統領と北京の人民大会堂で会談した。「キューバと共に覇権、強権に反対し、キューバが外国の干渉と封鎖に反対することを引続き支持する」と語り、社会主義体制をともにするキューバに対し、米国による制裁を念頭に連携を呼びかけた。 中国、キューバに140億円贈与経済危機からの脱却を支援2022/11/27 AFPBB News キューバのアレハンドロ・ヒル(Alejandro Gil)副首相兼経済企画相は26日、新型コロナウイルス流行で深刻化する経済危機からの脱却支援として、中国から1億ドル(約140億円)相当の資金を贈与されたと明らかにした。 ミゲル・ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領が25日、訪中し、習近平(Xi Jinping)国家主席と会談。ヒル氏が国営テレビに語ったところによると、その席上で習氏から資金贈与の申し出があった。資金は「優先課題」に充当されるという。キューバは過去30年で最悪の経済危機に陥っている。 両首脳はまた、キューバの対中債務をめぐっても協議。ヒル氏は「わが国の大統領が(債務)状況について説明したのに対し、中国側は理解を示した。われわれは債務計画および債務再編に関して相互に受け入れ可能な方式を見いだそうとしている」と述べた。具体的な債務額には言及しなかった。 ― 引用終り ― 中国は贈与の見返りが欲しい。 対中債務の再編でキューバの対中債務は拡大するだけなら優しい方だ。中国・人民解放軍の基地(港、空港)の設置が条件となるあたりは十分想定される。 必要な外貨を稼ぐに足る資源も産業もないキューバは、今後中国傘下となる。
2022年12月08日
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2018年、バチカン(ローマ教皇庁)と中国は長年対立してきたが、暫定合意を結び歴史的和解を果たした。 2020年2月14日、中国の王毅国務委員兼外相とバチカン(ローマ教皇庁)のギャラガー外務局長(外相に相当)が、ドイツ・ミュンヘンで会談した。1951年の国交断絶以降、両国の外相が会談するのは初。 会談の内容は主に新型コロナウイルスによる肺炎の拡大などについてだったが、中国側はバチカンに台湾との断交を迫ったとされる。暫定合意は2年延長された。 2022年10月22日、バチカンは、司教任命権を巡る中国との暫定合意を再び2年間延長すると発表した。基本合意への切り替えは見送られたが、引き続き協調することを決めた。 中国と断交のバチカン司教任命巡る暫定合意を2年延長…外交関係の台湾は歩み寄り警戒読売新聞 2022年10月22日 バチカン(ローマ教皇庁)は2日、中国でのカトリック教会司教の任命権を巡って2018年に中国政府と結んだ暫定合意を2年間延長したと発表した。 バチカンは司教任命権を巡って1951年に中国と断交し、欧州で唯一、台湾と外交関係を持つ。台湾は、暫定合意を通じたバチカンと中国の歩み寄りを警戒している。暫定合意は20年10月に2年間延長され、22日が期限だった。バチカンは声明で「2国間関係のさらなる発展のため、敬意を持ちながら、建設的な対話を継続していく」と述べた。 バチカンは合意以前、中国公認教会が選んだ司教を原則として認めず、非公認でバチカンに忠誠を誓う地下教会の聖職者から司教を任命していた。合意後は、従来は未承認だった中国独自の司教を容認し、公認教会の聖職者を新たに司教に任命している。 ― 引用終り ― 2018年の暫定合意が結ばれるまで、中国は、ローマ法王が全世界の教区ごとに司教を任命する制度を認めず、政府公認の「中国天主教愛国会」が独自に司教を選んできた。 バチカンは欧州で唯一、台湾と外交関係がある国であり、中国は「一つの中国」の原則に基づき、経済関係などを切り口にして世界各国に台湾との断交をすすめている。 バチカンが中国との国交締結に至れば、台湾が受ける外交面でのダメージは大きい。このことが暫定合意が基本合意に転換しない大きない理由と考えられる。
2022年10月31日
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中国の習近平国家主席は2022年9月14日から16日にかけてカザフスタンウズベキスタンを訪問する。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウズベキスタンで習主席と会談する。 欧米諸国によるウクライナへの兵器供与などでウクライナによる反転攻勢が優勢となりロシアは苦境に陥っており、中国に支援などを呼びかけるとみられている。 ロシアによるウクライナ侵略戦争において、欧米では当然となっている、軍事作戦における陸海空の情報の共有化と連携が、ロシア軍においては不十分なことが明らかになっている。 中国はソ連・ロシアの兵器の国産化、発展形の兵器が多く、ロシアは使い勝手がよいはずである一方、同じような弱点・欠点を抱えているとみられている。軍種、作戦の統制に関しても人民解放軍とロシア軍とは弱点を共有しているようだ。 中国軍、ロシア軍と同じ潜在的な弱点米国防大の新報告書2022.09.17 CNN.co.jp 中国軍はウクライナで苦戦するロシア軍と同じ潜在的な弱点を抱えており、同様の戦争を遂行する能力の妨げになる可能性がある――。米国防大学がそんな報告書を公表した。 報告書では、軍種を超えた訓練の不足が人民解放軍(PLA)のアキレスけんになる可能性があると指摘している。ただ、専門家は中国の能力を過小評価することには依然慎重で、ロシアとの比較には注意を促している。 報告書では2021年までの6年間、PLAの陸海空軍とロケット軍、戦略支援部隊の5軍種に所属する幹部将校300人以上の経歴を調査した。その結果、どの軍種においても、幹部はキャリアを開始した軍種以外で作戦経験を積む機会に乏しいことが判明した。 別の言い方をすれば、PLAの陸軍兵は陸軍兵のまま、海軍兵は海軍兵のまま、空軍兵は空軍兵のままキャリアを過ごす。報告書では、PLAの要員がそうした狭い組織の外に出ることはまれだと述べ、軍種をまたいだ訓練が1986年から法律で義務付けられている米軍とは対照的だと指摘している。 報告書はさらに、こうした「硬直性が将来の紛争で中国の有効性を低下させる可能性がある」とし、特に軍種をまたいだ高レベルの統合行動が求められる紛争では問題になると指摘。PLAは「軍全体のまとまりに欠ける」ウクライナでのロシア軍と同様の問題に見舞われる可能性があると示唆した。 7カ月前のウクライナ侵攻開始以降、ロシア軍の組織構造の欠陥は外部から見て明らかになっている。 ― 引用終わり ― ロシアは大量の古い兵器類を保有しており、何の躊躇いもなくそれらの兵器を作戦に投入することができた。 米軍、NATO軍では、情報連携(C4I)の機能のない前世代遺物ともいうべき古い軍用航空機、軍用車両の投入は限定的になされるはずだ。 2022年9月、ウクライナ軍の反転攻勢始まった時、ロシアの地上部隊は航空支援を欠き、機動性にかける装甲車両の多くを放逐して潰走した。開戦当初に侵略がすすむと、ロシア軍の長々しい補給用トラックの車列、泥濘地に足を取られる様子補給用トラックの様子が映し出された。ロシア軍の兵站の現代化がすすんでいないことが世界に明らかにされた。 人民解放軍もロシア軍と同様に、軍種間の連携を現代化がすすんでいないこと、兵站の情報連携、輸送用具の現代化もすすんでいないと、上記の報告書では指摘されている。 米軍は数々の戦歴から兵站(ロジスティクス)の重要性に気付き、対策を施してきた。航空機で運搬可能な高機動ロケット砲ハイマースの機動性の高さも、戦訓がいかされている。米軍は輸送用トラックも総輪駆動化、地雷への抗堪性の強化がはかられている。 軍用コンテナは、RFIDでその位置、内容が外部から分かるようになっている。 湾岸戦争における米軍の電撃戦は、兵站システムの現代化の賜物とされる。 日本社会、日本の官僚制は縦割りが進化・深化している。自衛隊の軍用車両、艦船、航空機のC4Iで情報連携が進んでいるが、作戦の統制能力は現代化されているだろうか。 非戦、戦争放棄だから、指揮統制にかんする能力は進化しなくてよいのか? 中国の脅威が高まる現代において、大いに気になるところだ。 ウクライナと異なり、平和主義の日本は侵略されても、多くの国民は戦わず侵略されるがままになるのだろうか。
2022年09月22日
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