仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2006.01.04
XML
カテゴリ: 宮城
昨日から今日にかけて暴風雪と言われましたが、この辺はほとんど影響がないです。高校サッカーは、終了間際のドラマ。インターハイ王者の青森山田は悔しい逆転負け、岩手の遠野高校は堂々8強。頑張って欲しいです。

さて、突然ですが、アインシュタインの続き。ちょっと視点を変えて、アインシュタインに連なる仙台・宮城の歴史について。

アインシュタイン来日の中心人物であった石原博士と仙台・宮城の関わりと言えば、東北大学と歌人原阿佐緒です。大正11年の仙台訪問の際には、石原とともにアインシュタインに会い、会話をしています。

明治21年(1888年)、宮床村の裕福な家に生まれた才色兼備の阿佐緒は宮城女学校(現在の第一女子高)を経て画家を志し上京。美術学校の妻子ある教師に迫られ妊娠、自殺未遂、出産を経て、宮城学院女学校の美術教師となる(現在の宮城学院高の校章をデザインしたそうです)。他方でアララギ派歌人として歌集も出版。歌を与謝野晶子に認められ、のち斉藤茂吉や島木赤彦にも師事し、アララギの美人歌人として一躍歌壇の注目を浴びる。その後画家と結婚するが破綻、上京するが病気で帰郷。東北帝大へ赴任してきた石原は自らもアララギ派の歌人として活躍しており、大学の職も妻子も捨て、大正9年阿佐緒と結婚。これは一大スキャンダルとして報道され、阿佐緒はアララギ派破門。8年後石原は他の女に走り阿佐緒の3度目の結婚も破綻。東京や大阪の盛り場を経て、女優に転身。自伝を元にした映画に主演するも成功せず、大阪の雇われマダムなどの経歴を経て、最後は東京で次男の原保美さんご夫妻と生活したそうです。そして、昭和44年に82歳で亡くなりました。

もう10年くらい前でしょうか、私は俳優の原保美さんが母をつづった短い随筆を文藝春秋だったか中央公論だったかで読んだことがありますが、原保美さんが阿佐緒の息子さんだと言うことをその時初めて知りました。その保美さんも平成9年に亡くなったそうです。

阿佐緒については、私も記念館を2度ほど訪れた程度で、文学的な良さは正直言ってよくわかりません。地元出身の人に聞いたことがありますが、地元では阿佐緒については郷土の生んだ偉人として顕彰するというよりは、敬遠、触れたくない、むしろ非難するような雰囲気があったようです。たしかに、波乱に富んだ激しい人生をみれば、地域の見る目もわかるような気もします。

本人も画家を志して母と一緒に上京したときには、こんな波乱を夢にも思わなかったでしょう。才能と美貌のゆえとも言えるかもしれませんが、スキャンダルが先行して、文芸人としての正当な評価が後退していたことは残念な気がします。

彼女の晩年には、歌人としての彼女を見直す動きが生じて、70歳代になって、大年寺山や宮床の生家に歌碑が建てれれたようですが、波乱と非難の人生を歩んだ彼女も、最晩年は歌人としての評価を得て、救われたのかも知れません。
そして、地元で顕彰する機運が生じたのはごく最近のようです。没後20年以上を経て、生家が原阿佐緒記念館として開館したのが平成2年6月です。



昭和7年に阿佐緒は自らの半生を描いた映画「佳人よ何処へ」を製作・主演した際に、阿佐緒は古賀政男に主題歌の作曲を依頼(昭和7年)しています。映画は興行に失敗しましたが、阿佐緒の直接訪問をうけて感銘した古賀が涙ながらに作った歌「あけみの歌」は名曲でヒットしたのだそうです。古賀政男もわが宮城県ゆかりの音楽家ですね。

さらに言えば、アインシュタインの仙台講演を通訳した愛知敬一教授、そのご子息で後日アインシュタインを尋ねて仙台の思い出を話し合った政治家愛知揆一も忘れてはなりません。このようにアインシュタインに連なる人物が、わが仙台・宮城の歴史と深く関わっているということで、まさに時間と空間がつながっているという感じです。

■原阿佐緒記念館(大和町宮床)の 公式HP

■過去の日記
 ○  アインシュタインと仙台(その3 )(12月18日)
 ○  アインシュタインと仙台(その2 )(12月17日)
 ○  アインシュタインと仙台 (12月14日)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006.01.04 05:59:50
コメントを書く
[宮城] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

コメント新着

ななし@ Re:北のキリシタン聖地-旧大津保村を中心に(その3 大籠地域)(09/10) 『1917年(元和3)年頃の統計では、佐竹藩…
おだずまジャーナル @ Re[3]:水の森公園の叢塚と供養塔(08/03) 風小僧さんへ 規模の大きい囲いがあった…

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい (ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: