おしゃれ手紙

2021.08.26
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カテゴリ: 父の麦わら帽子
帽子
その頃は、何もなかった。
夏になると、毎日川に泳ぎに行っていたが、誰も浮き輪など持っていなかった。

明けても暮れても毎日泳ぎに行って、
花咲く、合歓(ねむ)の木の下で ■泳いだ。

泳ぎつかれると、あおむけになって川上から漂った。
目に映るのは、薄紅色の花と優しげな葉っぱ、花咲く合歓の木・・・。
 そんな毎日だったが、ある日、一人の子どもが、浮き輪を持ってきた。


浮き輪に乗って、ぷかぷか浮いている子が羨ましくて家に帰って父に云った。
「〇〇ちゃんが、タイヤの浮袋を持って来ていたわ。」

「そうか・・・」と父が言った。
アメリカじゃ、古くなったタイヤが多すぎて処置に困っておる そうじゃがなぁ」

私は、信じられなかった。

あの頃、どの家にも車なんかなくて、泳ぎに行くときに出会うのはバスだけだったからだ。
 その頃、なんにも捨てるものなどなかった。
枯れ枝や落ち葉は、焚き物になったし、古い浴衣は、おしめになった。
自転車のタイヤがパンクしても自分たちで張り替えて使い、リムがダメになったら、子どもがもらい受け、リム廻しという遊びをしていた。

今の子どもは、浮き輪なんて小さい頃から持っている。

豊かな水の川もないし、子どもの遊ぶ時間もなくなった。
私たちは沢山のものを手に入れることが出来るようになったが、それと引き換えに豊かな自然を失い、気候変動に怯えなければならなくなった。

今、しみじみと自分がいい時代に生まれたと感じている。

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Last updated  2021.08.26 00:55:07
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