おしゃれ手紙

2024.11.26
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カテゴリ: 父の麦わら帽子
おか

子ども時代を過ごした。

その頃は、村のどこの家にもテレビはなく、
うちには、ラジオも無かったけれど、流行りの歌謡曲は、よく知っていた。

近所に、若い女性が嫁入りしてきた。
 彼女は、「播州弁」の訛りで、子どもを流産したことを涙ながらに母に話していた。

「あんたは、若いんじゃから、大丈夫じゃぁ。
また、できる」と母は励ましていた。
家に電話もない時代、言葉の違う見知らぬ所に嫁入りして来た女性にとって、我が子だけが唯一の身内と思えたのではないだろうか。


その頃流行っていた歌に、「別れの一本杉」というのがあった。

♪泣けた 泣けた
こらえ切れずに 泣けたっけ
あの娘(こ)と別れた 哀(かな)しさに
山の懸巣(かけす)も 啼(な)いていた
一本杉の石の地蔵さんのヨー 村はずれ


小学生だった私は、「泣けた」や「村はずれ」などの言葉から、その女性の姿に、「別れの一本杉」を重ねた。
その後、彼女は、男の子を出産し、「まさひろ(仮名)」と名付けられた。

数年後、今度は、女の子を出産、「よしみ(仮名)」と名付けられた。

毎日、墓に行っていた女性は、もう行かなくなった。
子どもが出来たこともあるし、その頃、村に点在していた墓地が、近くの山の中腹に移転したからだった。
 まさひろ君は、地元の役場に勤め、定年退職した後、司法書士になっていた。

今年、私の父母が亡くなってから、長い間、放っておいた実家の持ち主の名義を変えるために、司法書士を頼まなければ・・・となった時、
親戚が、「まさひろさんが、司法書士をしょうる」と教えてくれたのだ。
結局、私の家の近くの司法書士に頼んだが・・・。

今、まさひろ君の家は、彼の母親が毎日、手を合わせていた、墓地の跡にある。


昔、昔のことだから・・・。

彼の両親を見たのは、私の父がまだ生きていた20数年前で、以後、見ていない。
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Last updated  2024.11.26 12:01:27
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