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時事通信社2007/10/30-20:23 より。診療報酬引き下げへ=来年度予算で財務省方針 財務省は30日、2008年度の予算編成で、医師の給与などとして医療機関に支払う診療報酬を削減する方針を固めた。医療機関側は厳しい現場の実態を挙げて増額を求めているが、同省は「医師の給与は依然高く、業務の合理化余地はある」と判断した。薬価部分を含め3.16%となった前回並みの削減幅を念頭に、厚生労働省や与党と調整に入る。 財務省によると、06年度の医療費は33兆円。このうち国・地方の公費負担は11.2兆円と、3分の1を占める。制度改正を行わなければ、高齢化に伴い医療費は毎年3~4%増え続け、25年度には56兆円に膨らむ見込みだ。 医療費を医師の給与に微妙にリンクさせて、医療費が高いのは医者の給料が高いせいだという世論を誘導しようとする意図が見て取れますね。次はおそらく、開業医の収入抑制と、公立病院から医師の給与減額が始まると思います。財務省は、国の予算を管理するだけですから、予算が限られていればあの手この手を使って総額を抑えるしかありませんね。医療制度を抜本的に変えるというアタマは無いのです。官僚というのはいつの時代も、現状を維持するためにすべての能力を費やし、改革する気概も能力も欠如しているものです。たとえそれが明らかに間違った、時代遅れの制度であっても、それを判断することは官僚には不可能なのです。 時代の節目に、政治家がしっかりしていれば大ナタを振るい、制度を構築しなおしますが、現状ではどうもそういう政治家は見当たらないようです。政治家の大ナタとは、既得権益や利権などを拒否する清潔力と、国民のために動く意志力の強さに他なりません。つまり、現状の医療の問題を打破できない政治家たちは、利権に対して不潔で、意志が極めて弱いということの証明です。 個人的には、以前の拙ブログのエントリー(http://plaza.rakuten.co.jp/otohkmd/diary/200708090000/)でも述べましたが、ここまできたら、それにくわえてアクセス制限と医師の応召義務撤廃を含む制度改革をしないとどうしようも無いのではないかと思っています。 苦しむ現場と国民、患者を助ける政治家の出現を望むのでした。
2007.10.31
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先ほど耳下腺腫瘍の手術が終わりました。耳下腺とは、両方の耳の下方にある唾液を作る臓器で、おたふくかぜで腫れる場所です。この耳下腺に出来る良性腫瘍は、主に2種類で、ワルチン腫瘍と多形腺腫といいます。最近、アグネスチャンが摘出手術を受けたものは多形腺腫です。 耳下腺の中には、顔面神経という顔を動かす神経が埋まっており、これを上手によけて手術しなければなりません。もちろん、癌などの場合は別ですが、良性腫瘍で顔面神経を切断してしまうことはめったにありません。本日も、顔面神経は綺麗に保存し、予定通りの手術終了となりました。 頭頚部の手術は、特に神経に気を使います。首から上は、脳神経と呼ばれる脳から直接出る神経が縦横無尽に走っていますので、これらの解剖を熟知し、可能な限り保存しつつ手術をするのです。さすがにこればかりやっていますから、いまではどの変に何があるかは頭に入っています。ちょうど毎日通る道は意識せずとも自然に迷わずに行けるように、特に予習をせずともほぼ迷わずに手術ができます。ただ、人間にはしばしば解剖学的奇形があり、これが落とし穴のように我々を待ち構えています。思わぬところに血管があったり、通常と違う神経があったりするのです。本日の手術でも血管のバリエーションがありました。 やはり、油断は大敵です。慣れた手術でも気を引き締めてやらねばと思うのでした。
2007.10.29
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今日はなかなかとまらない鼻出血の患者さんが来院し、白衣が血まみれになりました。鼻出血、いわゆる鼻血の9割は鼻の前方、Kiesselbachと言われる部分から出血します。一般の方は鼻血が出ると多くはティッシュなどを丸めて詰め込み圧迫止血することが多いようですが、これをやると、つめたティッシュを抜くときに却って創が大きくなり、その後さらに出血がひどくなることが多いので、あまりお勧めできません。正しい止血法は、小鼻を指で真ん中に向かって軽く5分くらい圧迫して止める方法です。止血したら、3日ほどは強く鼻をかまずに、指などでいじらないように気をつけていれば自然に出なくなってきます。 たいがいはこうしておさまってゆくのですが、まれに動脈性の鼻出血の場合もあります。この場合、出血点は多くは鼻腔の上方で、簡単にはとまりません。とりあえずは鼻の中にがっちりと軟膏のついたガーゼを詰め込んで止血しますが、抜去するとまた繰り返して出血する場合が多く、時に手術や血管塞栓術が必要になったりします。head&neckの経験では、これまで20人強の症例で手術等が必要でした。年に1~2名の計算になりますね。こういう難治性鼻出血は冬場に多い印象です。 先日脳外科の先生と話をしていたら、脳外科でも、やはり出血性疾患は冬に多いとのことです。同じような環境要因で、たまたま鼻の血管が切れれば鼻血、脳の血管が切れれば脳出血になるということでしょうか。 たかが鼻血、されど鼻血なのでした。
2007.10.27
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head&neckの一番下の部下がK先生、後期研修医で医師としては4年目です。京都の病院で初期研修を終えたあと、自分で調べてうちの病院に願書を出し、採用となった医者です。 後期研修医なるものを病院独自で採用することに対し、科によってはその科の所属する医局に入局することを求められる場合もありますが、うちの科ではそのようなことはありませんでした。部長と教授の話の中で、「静岡県に耳鼻科医がふえることは大歓迎である」というコンセンサスができているのです。head&neckの考えでも、入局を強要するなぞ愚の骨頂です。医局や、その科の医者が魅力があれば、ついてきてくれる若い医者は必ずいるものです。 K先生が来たとき、彼の試験の小論文はお世辞にも良く出来た文章ではありませんでした。ひらがなが多く、文脈もよう判らん・・部長と顔を見合わせたものでした。ところが、実際に一緒に働いて、色んな物事を教えてゆくと、とっても好青年です。雑用は嫌がらないし、手先は器用だし、患者さんに対する態度も好感が持てます。 部長は、採用の決め手は見学時の態度と面接だといっています。もともと部長は読書家で文章が上手なのですが、そこにこだわらないのはさすがだなと思いました。 そうして、1年半一緒に仕事をしていると、K先生はだんだんと文章が上手になってきました。上司の文章をみて、自分で逐一修正しようと努力している様子です。医局に属する上司をみて、「これなら後期研修が終われば医局のお世話になりたい」とも言ってくれました。 毎日の仕事から感化し、育てていくことで、マッチング世代の若い医師にも医局制度の良い面を教えることが出来る、と思うのでした。
2007.10.25
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本日、末期の患者さんがまた一人逝きました。 お亡くなりになることを、現場では「ステルベン」といいます。ドイツ語で「死亡」という意味です。医療を尽くしても、人はいつか必ず死にます。 head&neckは、癌の患者さんを扱いますから、これまで何人ものステルベンを見てきています。50人までは数えていましたが、今はもう数えるのをやめました。 誰かがこの世からいなくなるとき、独特の空気が支配します。それまでは他の病室と同じ雰囲気であったのに、徐々に空気がじっとりと重くなり、一つ一つの物音が凄く大きく感じられます。電灯の光、日光、人の足音までがすべて印象的になります。もちろん、各々の患者さんのキャラクター、家族など、いろんなものが影響して、一人ひとり、少しずつ違った最期を迎えて去っていきますが、そういったとき、昔の人が神や悪魔を信じて創造した気持ちが少しはわかるのです。 いつか自分も死にます。そのとき、どういう空間になるのか、と考えるのでした。
2007.10.22
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10年以上医師をやっていると、その科その科で特性があり、診療科独特の雰囲気が個人の医師にも大なり小なり身についてきます。もちろん例外はあり、良い面、悪い面は様々ですが、以下はhead&neckが感じている診療科ごとの雰囲気、性格です。(お読みになったドクター、気を悪くしないでくださいね)外科(消化器、呼吸器等) 白衣はケーシーを着用し、ネクタイはしていない先生が多い。声は大きく、お酒が強く、面倒見は良いがややぶっきらぼう。飲み会などではかなり愉快な芸を披露し、3次会まで付き合う。患者さんのことで相談すると、急いでいない症例でも概ねわざわざ病棟まで診に来てくれる。内科 総じて清潔な印象。ネクタイ着用率高し。語り口はマイルド、理論派。声はやや小さめ、笑顔は微笑。紹介状の文章は懇切丁寧、ただしやや長い。脳外科 雰囲気は基本的に外科と同様。専門用語は英語表記が当たり前のせいか、英語に堪能な先生多し。整形外科 理論を言うよりまず実践。ピンチには先に身体が動く先生多し。外科系の中ではややネクタイ着用率高い印象だがうちの病院だけ??小児科 やさしそうなオーラの出ている先生が多い。小学校の先生と雰囲気が似ている。産婦人科 激務のせいか、年齢より老けて見え、やや疲労気味の先生が多し。夜中に病院にいくと必ず姿を見かける。泌尿器科 外科よりさらに男性的な雰囲気。飲み会、夜の街には詳しい様子?眼科 おしゃれな白衣の女医さんも良く見かける。会議などでは良識派。皮膚科 ちょっと眼科と似た雰囲気。腰の低い丁寧な先生が多い印象。麻酔科 多趣味で博識な先生が多い。他科との折衝が多いせいか、かなり弁の立つ先生が多数派。・・・・医師もいろいろなのでした。
2007.10.20
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昨日の手術は久々に腰に来ました。症例は下顎歯肉癌頚部転移例です。ちなみに行った術式をすべて書くと「下顎および口腔底部分切除術、抜歯術、左根治的頚部郭清術、右上頚部郭清術、気管切開術、遊離腓骨及び下腿外側皮弁による口腔底下顎再建術、全層植皮術」となります。医療関係者でなければ訳がわかりませんね。とにかく、手術室入室が朝9時、手術終了したのが本日朝4時半、ICUに入ったのが5時半。概ね全体の7割ほどをhead&neckが術者で行いますから、17時間のうち10時間ほどは入っていたことになります。もちろん助手も、再建をお願いした先生もオーバーラップして手術に入りますから、一同クタクタです。おまけに、本日は一日中外来。さすがにへばります。 ここのところ、大学病院の人員不足のあおりを受けて、head&neckのいるような市中病院でこういう症例をやることが増えてきました。今は年におよそ20例前後ですが、増加傾向にあるのは間違いないので、数年後が恐ろしいことになりそうです。 ただ、しんどい症例を一緒に乗り切ることでチームワークは良くなります。小さい症例を効率よくこなすよりも指揮系統がはっきりするからかもしれません。麻酔科の先生に聞くと、ロングオペがあることで、うちの科はよその科よりも仲が良くなるとの評価です。確かにその通りで、手術のあとには一緒に頑張ったという共感が一同を支配します。 きつい仕事には、それなりの満足感と充足感、そして同僚との絆を培う魅力があるのでした。
2007.10.18
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月曜日、head&neckは初診担当なので、外来終了時間の予想が付かないため、自分の手術は入れていません。時間が空けば主に部下の手術の監督役です。これまで、色んなタイプの先輩医師に手術を教わりましたが、大きく分けると次の2通りです。 (1)「とにかく見て覚えろ。技術は教わるものでなく盗むものだ。」 (2)「出来るところまでやれ。ただし最初は教えるとおりに手を動かせ。」今の部長は(1)です。以前に大変世話になった上司は(2)でした。どちらもそれなりの理屈があり、下に付いてやりやすいのは個人の資質に因るでしょう。自分自身は(2)のタイプの上司に基礎を教わったので、自然に教え方も2.の様になってしまっています。独特の手術を鮮やかに行う医師は(1)のタイプが多いようです。 不思議なもので、外科系の医師をやりこんで10年ほどたつと、どの科の医師も少しずつ自分自身のやり方が出来上がってきます。定型的な手術はもちろん、結構きわどい手術もある程度得意なやり方で行けばそこそこの出来になる事が多いのです。もちろん、糸の結び方、針の通し方、組織の分け方等、基礎的なところは若いうちにしっかりと覚えなければスタイルは構築できませんから、いま部下に教えるところはどうしても基礎にうるさくなります。出来上がってきた医師には、質問されたときにアドバイスする程度です。 たまに「これは別格だ」と感じるほど手術の上手い先生にお目にかかることがあると、いまでも熱中して見入ってしまうことはあります。ちょうどサッカーのトッププレイヤーのプレイをうっとりと眺めるのに似ています。逆に、若い先生が自分の手術をじっくり見てくれると確かな手ごたえを感じます。部下の手術を見ると、過去の自分の失敗を思い起こします。 もっと、もっと上手に治したい。いつもそんなことを考えながら手術を教え、手術をするのでした。
2007.10.15
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head&neckの兄は皮膚科医です。3つ違いで、小さい頃から面倒見が良く、どこかに遊びに行くときは、いつも手を引いてくれました。小学校に入っても、中学になっても、見本は兄。常に彼の真似をしておけば、とりあえず周りより少し進んだことをやっていることになるので、皆に尊敬されるというわけです。高校までは同じ学校でしたが、顔が似ているせいか、教師も親しげにしてくれ、見えないところでもずいぶんと恩恵を受けました。 兄の背中を追いかけることがなくなったのは大学に入ってからです。独自の人生を歩み始め、専攻する科も別になり、今では年に数回顔を合わせる程度になりました。それでも、会ったときに話をしていると、小さい頃に手を引いてくれた兄の姿が脳裏に焼きついて、理不尽なことを言われても絶対服従になってしまいます。「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものです。 いくらこちらが部下が増え、指導的立場になっていっても兄から見れば弟は弟、親からみれば子供は子供です。なぜか時折そういう扱いを受けたくなって実家に帰ることがあるのでした。
2007.10.14
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head&neckの部下は現在4人ですが、いちばん学年が近いのが巨漢のU先生です。出身大学も同じで、ひとつ後輩になりますから、かれこれ20年近い付き合いになります。 最初は、外科に入局したのですが、3年ほどたって、細かい手術手技に憧れて耳鼻科に転向してきたという経歴の持ち主ですが、好みとはうらはらに体重は0.1トンをついに超えてしまったようです。いつも笑顔で、飲み会では病棟の若い看護師にその豊かな腹部を触診されてオオモテです。 体重は規格外ですが、それ以外ではきわめてバランスの取れた医師で、耳の細かい手術から腫瘍まで概ねオールラウンドにこなします。フットワークも軽く、患者受けもとっても良いようです。何しろ、患者さんからは、「あの大きな先生」と、ひと目で覚えられてしまうのです。キャラクターは当科随一です。 最近、head&neckはややメタボ気味で、先日ついに学生時代のズボンが入らなくなったのですが、U先生にそのことを言ったら、「なに言ってんですか。私なんか朝はいたズボンが夕方はけなくなることはしょっちゅうですよ!」と慰められてしまったのでした。
2007.10.11
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あちらこちらの医療系ブログで癌の5年生存率について分析がすすんでいるようです。先日の朝日新聞に掲載された記事を受けてのことで、よっしい先生(よっしいの独り言)やあつかふぇ先生(さあ 立ち上がろう)、その他のたくさんの先生方が詳細なレポートをまとめています。 head&neckの病院も地域のがん拠点病院に指定されていますし、専門は頭頚部の癌ですから、それなりに興味をもって新聞記事とブログの記事を拝見しました。新聞記事では、施設ごとに差があり、いかにも患者さんが施設を選ばないと予後が変わるような見出しでしたが、医療系ブログでしっかりとした分析をされたものを見ると、「癌の治療はどこの施設で受けても変わらない」ということになりそうです。 予想通りというか、日々の臨床で感じているままの結果となりました。だって、よっぽどの不真面目な医師で無い限り、自分の専門とする分野の癌の治療を勉強しないはずはありませんし、この情報化社会の中、狭い日本で極端な差が出るとは思えません。がんセンターで手術を受けようが、大学病院で受けようが、市中病院で受けようが大した変わりは無いのです。 では、なぜ朝日新聞はわざわざ患者に施設を選ばせるような見出しをつけているのでしょうか?邪推ですが、市中病院より、がんセンター等の病院に患者を誘導する意図があるのではないでしょうか? はっきり言っておきますと、がんセンターは公立病院ですから、サービスという面ではやや立ち遅れています。そして、がんセンターで働く医師の給与は、圧倒的に低いのです。(もちろん、腕のいい医者がたくさんいますが、みな我慢して働いていると聞きます)彼らは、ただただ癌と戦いたいがために、薄給の待遇に耐え、症例をこなしています。がんセンターに対するいろんな批判がありますが、待遇の悪さは医師ならば誰しも否定できないと思います。そして、昨今の情報化、セカンドオピニオン流行り、医療崩壊がこういうがん拠点病院の多忙に拍車をかけ、現在すでにキャパシティの限界に近づいていると聞きました。そんなところに、今以上の患者さんが押し寄せたらどうなるか。。 報道機関の皆様には、ぜひ、ご自分たちの文章が社会におよぼす影響力について思いをはせてから文字にしてもらいたいものです。そして、専門的なデーターを報道するときにはせめて専門家に分析をしてもらってから正しい印象を与える文章を掲載することを望みます。 医療現場の声や現状を正しくすくい上げる報道にはなかなかお目にかかれないのでした。
2007.10.10
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連休明け、皆様なかなか憂鬱かと思います。head&neckも連休と思いきや、昨日は緊急手術で朝からたたき起こされ・・のんびりするはずの一日が寝不足でけだるい午後となりました。待機番でなくても、緊急の手術や、担当患者がなくなったときなどは病院から呼び出されることはあります。こういうときは、得てしていろんなことが重なるものです。 昨日は朝8時に腫瘍出血で緊急手術、午後4時に腫瘍増大で呼吸困難、夜1時に末期がんの患者さん自宅で呼吸停止・救急搬送と、どたばたが重なりました。医療をやっていると、このように、なぜか大事が重なって多発することがあります。何もない時はほんとに平和に過ぎていくのですが、一度リズムが激しくなると連発して重症患者さんがやってきたりします。 まあ、医療に限らずどこの職場でもこのようなことがあるかもしれません。ずいぶん昔にマーフィーの法則という本がありましたが、思わずうんうんとうなずいてしまうようなことがたくさん書いてありました。 それでも、我々の仕事の場合、患者さんの命に関わることがありますから、乗り切るためには気合いが必要です。もちろん、医者である以上はそういう訓練をしていますから、仕事中はあまり疲れただの嫌だの思ったことはありませんが、一段落つくと緊張の糸が切れるように動けなくなったり、逆にはじけて飲みに行って泥酔したりする方が多いようです。 もうすぐ忘年会の季節になりますが、普段の緊張感の反動からか、医師、看護師の宴会はかなり激しく羽目を外す方も見受けられます。プロ野球の優勝記念ビールかけみたいなもので、多少おおめに見て欲しいと思うのでした。
2007.10.09
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医者も人間、色んなタイプの医者がいます。今日はhead&neckの上司の部長についてです。 head&neckは今の病院に来て2年半になりますが、実は研修医の頃に部長(その頃はまだ部長ではなく、医長で、上から2番目でしたが)にお世話になっています。 部長は、とにかく冗談好き。それも朝からネタが炸裂します。出張や学会で部長がいないときは非常に粛々とカンファレンスが進むのに、部長がいると話が面白いのでなかなか終わりません。外来でもその調子、ついつい患者さんと笑い話をして、長くなってしまいます。患者さんの中には、非常に神経質な方や、よその病院でトラブってお見えになる方がいますが、部長の外来にかかると、皆満足して帰っていきます。 一時期研究をされていましたが、やはり臨床がすきで、結局第一線病院でどっぷりと医療につかり、気がつけば病院の中でも古株です。 時に怖いところも見せます。何しろ毒舌かつ読書家で知識量が豊富なので、一旦攻撃されようものなら並みの論客では太刀打ちできません。それこそ研修医のときに部長に叱られた経験は今でも良く覚えています。「ああ、この先生にはごまかしは効かないな」と思ったものです。その頃、よく怒っていた部長も今ではめったに怒気をあらわにしなくなり、人格者としてのオーラが出つつあります。 そんなところが買われて、昨今は自分の科の仕事より、○×委員会とか、安全管理とか、病院全体の仕事に時間をとられることが多くなり、好きな臨床に関わる時間が減っているのが悩みなようです。以前は一人で担っていた現場監督を、ずいぶんとhead&neckに委譲しつつあるような感がありますが、好きにやらせてくれるのでこちらも非常に助かります。 もちろん、人間ですから欠点もありますが、それを補って余りある美点も多く、上司としては、まず上等の部類にはいります。 やはり、科のトップが理解あると、職場に張りがでるのでした。
2007.10.04
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本日は、朝から病院が満床です。どこの病棟を探しても空きが無い状態です。 急性期病院では、人の出入りが激しく、head&neckの病院では一日におよそ100人以上の患者さんが入れ替わります。手術や、検査で入院になる方は、あらかじめ予約をしてありますから、これは優先して入院していただきます。そのほかに外来で具合の悪い人がくると即入院となりますが、満床だとここで苦労をします。実際、具合が悪くて外来にかかってもらっても、空きベットがないと受け入れられないのです。この「空きベットがない」という表現は、しばしばマスコミでも登場します。ベットが無くても医者はいるだろうという暴論をよく見かけますが、ベットが無い=患者さんを診る余剰人員、場所、時間が無いということです。医療現場で通用する方言ですから、誤解を招いてしまうことがあるかもしれません。そもそも、満床の状態では、入院患者さんが具合が悪くなり個室や観察室に移そうと思ってもそこが一杯なわけで、スムーズな治療ができませんから、あまり好ましい状態ではないのです。 ベットコントロールをしているのは、主に病棟の看護師長さんで、その苦労は並大抵のものではありません。満床近くなると、朝っぱらから「先生、女性2人と男性1人入らないよ」といった具合に、早く退院させろ光線を出してきます。病院ですから、具合の良い人がはじき出されてゆくのですが、もう2,3日ゆっくりさせてあげたいな・・なんて考えることもあります。もちろん重症患者さんや、退院させられない方もたくさんいますから、心を鬼にしてお願いするしかありません。10年前は、「いやあ、迎えがこないから明日で・・」とか、「家が忙しいから日曜日まで置いてください」とかいうお願いを聞いてあげられたのが、今ではほぼ不可能になってきています。 自転車操業の病棟は、とってもあわただしく、殺伐としているのでした。
2007.10.02
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