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学会で昨日から京都に来ています。head&neck自身の発表は明日なので、本日は先ほど切り上げてホテルに帰って来ました。 一般の方々には、学会と言われてもピンと来ないかもしれませんが、全国規模で行われる学会に参加することで、自分がやっている医療がどのくらいのレベルなのか、最先端医療はどういうものなのかを認識することができますので、ある程度は参加しておかないと時代に取り残されてしまう面があります。 とはいえ、昨今の学会の多さには少し食傷気味です。head&neckが所属している全国学会だけで5つ、耳鼻科関連の全国学会は10を超えます。すべてに参加していては診療もおろそかになるし経済的にも厳しいので、自分の興味のあるものや、専門分野、規模の大きなものを選らんで参加することになります。かなり内容が重なっている学会もあり、個人的にはもう少し統廃合が必要と思っていますが、学会主催する大学同士の学閥争いなんてものがいまだにあるようで、なかなか上手くいかないようです。このあたりはマスコミネタになりそうな話がたくさんあり、どの世界にも「現場知らずのお偉いさん」というのは存在します。 それにしても、学会場での話題にも昨今の医療崩壊が感じられます。最先端医療も、手間のかかる医療もマンパワーのある施設でしか出来なくなり、単発の症例報告が目立ちます。訴訟の証拠になるような発表は手控える傾向にあるのは他の医療系ブログでも書かれているとおりです。一方で、医療機器展示のブースでは相変わらず高額な最先端機器が所狭しと並べられており、ディーラーさんがパリッとしたスーツを着て解説をしています。以前のエントリー診療材料でも書きましたが、医療費の多くがこういう医療機器メーカーや製薬会社に吸い取られていますから、かなり羽振りがよさそうに見えます。(もちろん真面目な方々もたくさん居られますが。) 以前はそんなことは思ったこともなく、純粋に医療機器の解説を聞いてパンフレットをもらったりしていました。ブログを書くようになって、ネットで色々調べ、知識もついてくると、物事の見方が少し変わってきたhead&neckなのでした。 ←学会場から参加中。・・よろしければポチっとお願いします。
2008.01.31
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日々、まじめに診療をしていますが、一般の方が汚いと思うかも知れない仕事の中にもお気に入りのものがあります。 耳鼻科医は、毎日外来で人の鼻の中や耳の中を覗き込みます。我々の大きな武器は吸引管です。まあ、簡単に言ってしまうと掃除機なのですが、耳鼻科の外来には、必ずユニットと呼ばれる器械台があります。これには、鼻粘膜に噴霧する麻酔や粘膜収縮剤のスプレーと共に、吸引用の管が備えられています。この吸引管で患者さんの鼻水をずるずるっ!と吸うわけです。 副鼻腔(蓄膿症)の手術の後には、患者さんは術後処置として広げた副鼻腔に溜まったカサブタや鼻汁を掃除に通院して参ります。充分麻酔して鼻の中を見ると、たくさんの獲物がうなっておりますから、これを丁寧にピンセットや吸引で除去して、綺麗な鼻副鼻腔にしてゆくわけです。この作業、細かいのですが、概ね耳鼻科医は大好きです。まずは、固まったカサブタをピンセットでつまんで取り出すと、鼻の中は粘液(鼻汁)だけになります。術後の鼻汁は血液が混じってやや粘調度が上がり、なかなか吸引するのに時間を要するのですが、これがまた、ついつい時間を忘れて気合を入れてお掃除してしまいます。個人差はありますが、患者さんによっては粘調度が特に高くねばねばの方もいます。それでも負けてはおれません。もっとパワーのある吸引が欲しい!なんて思いながら最期のひと粘りまで吸い尽くさずにはいられないのです。いくら麻酔をしてあるといっても、鼻の中を触っているわけですから、ふと気が付くと患者さんは涙ぽろぽろになっているなんてこともあります。(痛いのもそうですが、鼻を刺激すると涙がでるのです。) 耳垢除去も熱中度では負けません。「先生、最近耳が聞こえなくなったんだよ」「どれどれ、耳を診せてください」「わしゃしばらく掃除しとらんで」…特にお年寄りの中には、3年間耳掃除なんかしたこと無いなんて方がたまに受診されます。ベッドに横になって頂き、顕微鏡をあわせて、さて、耳垢除去開始です。出るわ出るわ、凄いときはソラマメくらいのものが取れる場合もあります。耳垢ですから、あせって取ると崩れてしまいます。できれば大きい塊のままとりたい!そーっとそーっと周りから攻めて、少しずつ引きずり出して、がっぽりと摘出すると、それは気持ち良いのです。逆に、「痛いからもういいよ」なんて言われるとちょっとがっかりしたりします。 来年、head&neckの科には2名の後期研修医が入ってきます。そのうちの一人は、見学に来たときに患者さんの耳垢を摘出した瞬間、とても嬉しそうにしていました。…こやつ、素質があるなと思ったのでした。 ←参加しています。・・よろしければ一日一回ポチっと。
2008.01.28
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先日、外科医の手先の感覚について記事にしましたが、「器具にも気を遣うのでしょう」というコメントを頂きました。言われてみるまであまり考えたことがなかったのですが、そういえば知らず知らずのうちに自分自身も相当器具にこだわっている部分があることに気づきました。 手術器具について言えば、同じメーカーの同じ道具でも、一つ一つ微妙な差があります。たとえばモスキート鉗子でも、握りの強さ、先端の細さ、かみ合わせが違い、いちばん気に入っているものにはテープでしるしをつけて、いつも同じものを使ったりします。head&neckの病院には外来ブースが4診まであり、すべて同じメーカーの顕微鏡のはずですが、4番の顕微鏡が特にお気に入りだったするのです。どこがどうというわけではないのですが、「なんとなく」の類ですが、たまたま別のものを使うと、妙に仕事がはかどらなかったりするので馬鹿になりません。 人間の感覚というのは、本当に微細なもので、それを研ぎ澄ましてゆくとどうしてもある種のこだわりが出てきてしまいます。我々外科系医師のこだわりは、料理人が常にお気に入りのフライパンや包丁を使ったりするのと似ています。他の道具でもそれなりにこなせるのですが、いい仕事をしようとするとどうしてもしっくりくる道具でないと上手くいかないのです。食通の人にしかわからないような僅かな味の違いを料理人が求めるように、医師にしかわからないような仕上がりを追求しているだけなのかもしれませんが、ここまでディープな世界になると、ある意味自己満足の部分も大きいのでは、と感じることもあるのでした。 ←参加しています。現在60位近辺をうろうろ・・よろしければ一日一ポチを。
2008.01.24
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さて、前回医療の結果が思うように行かなかったとき、それぞれの立場での考え方を述べました。 最も不幸なのは患者さんです。常識的に考えて、これを救済する制度を作ることに総論としての反論は根拠に乏しいものとなります。困っている患者さんを助けるのに、制度ではなく技術をもって対応するのが医療者です。ですから、結果がよければ医師と患者の間にトラブルは起きません。医療の現場の流れとしては、上手くいっている場合は法曹や官僚の入る隙間はないのです。 しかし、人は病気になります。 さらに、人は死にます。 そして、人はミスや間違いをおかします。 このようなときに、法曹と官僚が介入してきます。法曹とは、簡単にいってしまえば人が人を裁くルールです。そして、そのルールを管理運営するのが官僚です。 ところが、上に述べた3つの不幸のうち、病気と死は、自然の理です。医療とは、ある意味では自然の理に逆らおうとする試みに他なりません。その試みはしばしば挫折します。これを人の理屈でもって裁くことは果たして正しいことなのかを、法曹の方々には良く考えてほしいと思います。 さらに、ミスをしない人間は皆無です。常に満点を取れる学生がいないように、ある一定の確率で事故は発生します。官僚の方々は、その確率を減らすシステムの構築を目指すべきであって、責任を個人に集約することは何の解決にもならないばかりか、現場を混乱させ状況を悪くするという認識を持っていただきたいのです。 まだまだ、法曹界、官僚には真のプロフェッショナルがいるはずです。その人たちの良心と気概に期待するのでした。 ←参加しています。現在60位近辺をうろうろ・・よろしければ一日一ポチを。
2008.01.23
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あちこちの報道やブログで、厚生労働省の「診療行為に関連した死亡の死因究明等のあり方に関する課題と検討の方向性」についての異論や反論が出ています。著名なところでは虎ノ門病院の小松先生などもこれについて厳しい意見を述べられております。 この制度、大まかな流れとその是非が、一般の方には非常にわかりにくい物となっています。そもそも、過度なマスコミの煽りを受けて現在の医療不信が増大した状態のなかで、「医療事故調査」というだけで、「医療事故がおきた場合に、どこに、もしくは誰にミスがあったのかを明らかにして責任の所在をはっきりさせるための調査」というニュアンスありきになってしまっている感は否めません。 head&neckなりに、あちこちのホームページや資料を読んでまとめた印象を、患者、法曹界、医療者、官僚の立場別に述べてみましょう。 まず患者側の主張は、「被害者」救済です。医療「事故」に会い、体に障害を負ったことに対する保障を求めている意見がほとんどです。 法曹の主張は、「責任者追求」です。医療事故を「犯罪」と捉え、その犯人を見つけて罪と罰を与え裁くことを目的とする論調が多いようです。 医療者の意見は、医療事故の原因追及と再発防止、および施行者の免責です。医療は不確実という認識の下、不確実な中でのぎりぎりの努力を評価してほしいというのが願いです。 そして、官僚は、上3つの意見を取り入れつつ、何とかお役人に責任が及ばない制度の構築を目指しているというのが本音でしょう。この問題、根がふかそうです。次回に続くのでした。 ←参加しています。よろしければ一日一ポチを。
2008.01.22
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手術というのは手作業で、指先の感覚がかなり重要です。我々外科医が手術をするとき、摂子(ピンセット)や鉗子やはさみで組織を分けてゆくのですが、自然に微妙な力加減や角度を調整し、組織の種類にあった強さで道具を扱います。head&neckは釣りをしますが、自分で釣った魚を包丁でさばくときの感覚と似ています。もっと簡単なところでは、ただの注射針を自分の思った深さに持っていく技術に関して言うと、針先が血管を突き破って血管の内腔に入ったとか、いま皮膚からその下の層に入ったとかいう所はまさに感覚のみの世界です。 先日、腕のいい形成外科のK先生と、道具の先端の感覚はどれ位のものかという話をしました。K先生「モスキートペアン(鉗子の名前)があれば、麻雀牌の漢字牌であれば盲牌は出来そうだね」head&neck「うんうん、判る判る…。たぶんソウズとマンズも大丈夫ですね。」K先生「ピンズは難しいかなあ。でも注射の針があればわかるかも」head&neck「そうですね。あと、縫い物なんかはオペ用の針糸ならかなり上手に出来そうですよね」K先生「うん。フォークとナイフで切ったステーキ肉くらいなら元通りには出来そう」head&neck「ご飯粒なら摂子とメスで肉眼で16等分くらいは出来ますね」K先生「顕微鏡使えばたぶん正方形のサイコロを作れるとおもうよ」・・・・ まあ、我々は特に手技が細かいのでこのような会話になりました。つくづくマニアの世界かもしれないと感じたのでした。。。。 ←参加しています。よろしければ一日一ポチを。
2008.01.18
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本日はやや専門的な内容になります。明日は今年初めてのロングオペの予定が入っています。術式は、「咽喉頭摘出・右根治的頚部郭清・左保存的頚部郭清・遊離回盲部移植による食道音声再建術」となります。(長い!) 下咽頭や、喉頭といった場所に癌ができ、摘出以外に根治させる方法が無い場合、手術で喉頭といって、声帯がある場所を一緒にとらざるを得ませんが、患者さんの声は失われます。つまり、術後は一生声が出せなくなってしまうのです。この声を再建する方法の一つとして考えられたのが上記の術式で、回盲弁という弁を使って、食物の誤嚥を防ぐのと同時に声を獲得するものです。勿論、元通りの声が出るわけではなく、だみ声になりますが、声の性質としては、声帯の形だけではなく、口の中の形態や鼻の形が密接に関係していますから、なんとなく本来の声に近い感じになります。 この術式を考え出したのは外科の先生ですが、現在ではもっぱら耳鼻咽喉科・頭頚部外科で行われます。head&neckはおおよそ25例の手術の経験がありますが、おそらくは本邦有数と思っています。原理は単純なのですが、術式にちょっとしたコツがあり、いい声を出すために小細工の類のことを追加してあります。音声再建には、ボイスボタンという器具を使う方法もありますが、交換の手間やコスト、合併症などを考えると、個人的にはかなり優れた再建術式と思っていますが、なぜか全国的には主流にならないようです。 おおよそ12時間かかる手術なので、そうそう連日できるわけもなく、また先日書いたようにhead&neckの体力が年齢と共に低下してゆけば耐えられないでしょう。しかし、今のところは県下ではこの手術の第一人者として、不幸にも声をうしなう運命にある患者さんに、一人でも多くまた音声を獲得させてあげたいと思っています。 たまには宣伝をしてみたのでした。 ←参加しています。よろしければ一日一ポチを。
2008.01.15
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外科系の医師の仕事で最も習得に時間がかかるのが手術です。科によって差はありますが、一人前になるのにはかなりの時間を要します。よく職人の技にたとえられますが、まさに手作業で、ある程度出来上がった外科医の手術には独特のリズムとテンポがあり、専門外の人間の傍目にも鮮やかに見えるものです。手術が上手か下手かはある程度生まれもった才能になりますから、外科系医師になる人間はもともと器用な人が多い傾向にあります。しかし、ただ器用なだけでは駄目で、解剖学的知識、生体内の組織の扱い方、道具の持ち方、助手との連携等、すべてが絡み合って手術が進められていくのです。 若い頃憧れて見ていた先輩医師の手術をどんどん覚えてゆく過程で、自分の癖ややり方、オリジナリティーが出てきます。自分自身は、大体9年目くらいの時からそういう傾向に気づきました。昔、手術の基礎から教えてくれた上司曰く、「外科医の一番上手な時期は30代半ばから50歳くらいまでで、その後は少しずつ下り坂になるよ」とおっしゃっていました。(そういうご本人は50歳を超えてまだまだ現役ですが)勿論、個人差もありますし、手術の分野によって違いがあります。例えば顕微鏡を使える手術では、視力の衰えを顕微鏡がカバーしてくれますから、70代でもガンガン手術をしている先生もいらっしゃいます。ただ、長時間かかる手術となると、やはり体力のあるうちが華で、7時間、8時間連続で手術するという持続力は失われていくのかもしれません。もしこれを読んでいる外科医の先生がいるとしたら、とにかく35歳くらいまでに昇れるだけ昇っておくことをお勧めします。それを超えてからは技術としてはあまり飛躍的に身につくものではありません。どこまで高みに昇れるかでその後の技術者としての方向性が決まってしまうのです。 前出の先生の言葉を信じると、head&neckは今まさに旬のさなかにいるということになりそうですが、いずれ自分が年をとった時に、後輩の手術を見てどう感じるのか、どれだけ後輩医師を育て上げられるのかということに思いをはせることがあります。head&neckの考えとしては、自分が教えた技術で、その医者が患者さんを治せば、それは自分が治したのと同じことだと思っているのでした。 ←参加しています。よろしければポチっと。
2008.01.13
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本日は病棟の新年会でした。6年間勤めた病棟婦長(本来は師長といっていますが、婦長のほうがわかりやすいのであえてこう書きます)さんが異動になるので、その送別会もかねて総勢40名と大所帯の飲み会です。 看護師という職業は3Kと言われて久しいのですが、確かにきつい現場で、看護学校を卒業し、新人ナースとして病棟に入ってきて、5年もたつと半数がいなくなります。やめてゆく理由は様々です。結婚、妊娠、転職、etc.…10年たって看護職にある人は少数派です。婦長さんはうちの部長と同い年、独身です。勿論、家庭を持っても立派に仕事をしているベテランナースも大勢いますが、婦長さんの独身・離婚率は比較的高めです。彼女たちに欠陥があるわけでなく、おそらくは仕事の厳しさと家庭の両立が今の日本では難しいことが原因でしょう。 ともあれ、職場で世話になった部下は医師よりずっと多いわけで、会は盛況でした。医師、看護師という職種の違いはあっても、共に働いた仲間としては異動されるのは何となくさびしいものです。普段は厳しい顔を見せることが多い婦長さんも、こういう飲み会では柔らかな雰囲気に囲まれて別人のように見えます。そう考えると、医療現場で働く人々が、職場ではいかに気を張り詰めているかということに思いあたります。 皆が柔らかな顔をみせながら働ける医療現場になる日はくるのだろうか?と思ったりするのでした。 ←参加しています。よろしければポチっと。
2008.01.10
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さて、前回までのお話では、医療費がいかに医療関連産業に吸い取られているかという点を一例として挙げて来ました。医療機器、医療用消費材、製薬会社などの関連企業の多くには経済産業省、財務省、厚生労働省の元担当課長が再就職しています。薬害エイズの問題が起きた際、省庁からの直接の天下りは禁止されたはずです。ところが、官僚というのは自分たちの利益のためならばいくらでも抜け道を作るもので、公益法人や独立行政法人に一旦就職し、その後、民間企業に再就職するという手を考えていました。したがって、各会社には今までと変わりなく天下り官僚が入り込み、利益を誘導するという図式は全く変わっていないのです。以下はJA1NUT先生のブログ、ステトスコープ・チェロ・電鍵よりの引用です。 顔見知りの中規模の後発品をメインに製造・販売している製薬会社の営業マンが、自社の製品(いわゆる後発品)が、この夏にようやく認可されて発売されることになったと嬉しそうに報告に来た。他社から、全く同じ内容の薬がすでに1年前に販売されている。昨年、同時に販売認可を申請したのだが、同じ製造元の同じ製品なのに他社の方が1年先に認可された。どうしてか彼に尋ねると、「厚生労働省からの天下りを受け入れているかどうかの違いです。」という返事。同じ問題が、薬価の設定にもある。同じ後発品でも、その価格設定に、天下りを受け入れているかどうかが関わってくる。 医療に関わらず、すべての分野である程度こうした天下り官僚による利益誘導が行われています。100歩譲って、それでもその分野が産業として崩壊せず、庶民が生活に困ることが無ければ、度を越さない限りはよしとする人々もいるでしょう。もちろんまじめに仕事をしている天下り官僚だっているかもしれません。しかし、医療の分野はすでに瀕死の状態です。そして、医療は国民の生命に関わることなのです。こういった領域での天下り官僚の活躍は、社会に対する悪、寄生虫の類です。 皆さんが病院の窓口で払う金額と、医療費の公費投入の裏にはこういうからくりがかくされています。この事実に目をつぶり、現場に負担を押し付けるような報道をしても、それはあまりにも浅はかです。そして、医療に対する不満を現場にぶつけても、一向に改善しない根源は、このような一部の寄生虫官僚がはびこる日本の医療制度自体に問題があると思うのでした。 ←参加しています。よろしければポチっと。
2008.01.07
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さて、前回述べた例は、仔細にわたって決められている診療報酬のうち、手術という限られたカテゴリーのうち、そのまたたった一つの例にすぎません。手術について言えば、例えば白内障の手術や鼻の手術、その他、決められた点数で充分黒字になるものも存在します。どんな産業にも黒字部門、赤字部門がありますから、総合的に医療が黒字になれば現在のような医療崩壊の問題は起きません。ただ、医療に関しては他の産業のように簡単に赤字部門を切り捨てるわけには行かないことが大きな問題です。例えば、自動車製造会社が、売れなくなった車を製造中止して新機種を出すようなわけにはいかないのです。医療に市場原理を持ち込むことは、「赤字ではあるが必要である」部門、例えば小児科や介護といった部署からの人員の撤退を惹起します。 まあ、それはさておき、前回の手術のコストに関して、一般の方は医療器材がなぜこんなに高いのかを疑問に思った方も多いでしょう。以下は、日経メディカルオンラインの飛岡宏先生のブログからの抜粋です。 一般仕様の機器が、医療仕様となると、値段が倍に跳ね上がる。この理由についてメーカーは「安全・事故防止のための装備が追加されているためだ」と説明している。しかし、米国のメーカーは、日本で使用されている医療電子機器は古い型が多いと指摘している。その理由は、日本では、行政で医療用機器の承認に時間がかかり過ぎているということのようだ。 そのため、輸入業者は、旧式でも承認を得てあるものを扱おうとし、新型の機器の一部(新たに承認を得る必要のある部品)を、旧式機器(承認を得ている部品)に改造して、日本に持ち込むようなことがある。これを「日本仕様」と呼ぶそうである。そのために、値段が高くなってしまうのだという。医療機器として承認を受けるのに、20カ月以上の時間を必要とするところに問題がある。 厚生労働省には、医療用電子機器承認の時間短縮をお願いしたい。少なくとも、日本仕様にしたために、値段が跳ね上がるようなことはあってはならない。 …極端な例では、心臓のペースメーカー(ドイツ製)は日本では160万円、アメリカでは60万円、ドイツでは40万円です。ドイツからアメリカに輸出するコストと、日本に輸出するコストに120万円の差が出るなんて思う方はいないでしょう。 たとえば、アメリカで医療用に使用されている体温計を日本で使用したいとします。輸入原価は1個2ドル(300円弱)です。まず、日本で医療用に使うためには、厚生労働省に医療機器としての認可を取るための分厚い書類を提出しなければなりません。内容は難解で、とても素人に書けるような代物ではなく、この書類を書いてもらうための代行業者は厚生労働省がピックアップした数社を案内しており数百万円の手数料がかかります。また、経済産業省に計測機器の基準を満たしているかの審査を求め、JISマークにデザイン基準を満たしているかを審査してもらう必要があり、計測機器基準とJISマークからは商品一つひとつに対して貼る、認定シールを買う必要があるのです。その結果、一個2ドルで仕入れることができたとしても、コストに見合うようにするためには、商品を2,3千円で卸さなければなりません。認可に必要な中間手数料が医療機器の値段を押し上げているわけです。手続き代行業者のひとつである医薬品医療機器総合機構の理事長である宮島彰氏は厚労省元医薬局長です。その他、ホームページにある役員の名前をググッてみると、社会保険庁元課長、厚労省元課長などがずらりと名前をそろえています。典型的な天下り組織ですね。 皆さんも調べてみてください。インターネットって便利ですよ。 さらに次回は掘り下げようと思うのでした。 ←参加しています。よろしければポチっと。
2008.01.05
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年も明け、病院は明日から通常営業です。今年は医療全般の崩壊が少しはとどまってよい方向に動くように願っています。 さて、あちこちの医療系ブログでも新聞でも、医療費の問題は色々と取り沙汰されています。皆さんが病院に払うお金は果たして高いのか、安いのか。医師や医療者のブログでは、主に海外の値段との比較でもって、日本は極端に安いという論理展開が多いようです。大手新聞、テレビ等のマスコミでは、サラリーマンとの給与の比較や医療総額、開業医の収入総額でもって論じ、医師は高給取りであるという世論操作に必死である印象を受けます。果たして、医療を産業として捉えた場合に、儲かる商売なのでしょうか? 簡単な例を紹介しましょう。 あなたに、甲状腺の腫瘍ができて、入院して手術することになりました。甲状腺手術(半切)の値段は52200円です。これは、手術が簡単でも難しくても、腫瘍が大きくても小さくても、術者が上手でも下手でも日本国内全国一律の値段です。現在、日本の制度では、この値段は手術に対して使用した材料費込みで、手術に関してはこれ以上のお金を請求することができません。 それに対し、あなたに手術をする際に使った医療用具や消耗品の値段は以下のとおりです。ただし、(判りやすくするためにかなり単純化してあります。) 術前に点滴をとるための用具代:アルコール綿一枚20円 点滴留置針130円 輸液セット400円 薬剤費約2000円 固定用テープや注射器、その他の消耗品で約3000円。 手術の費用:滅菌布800円×5=4000円 術衣1600円×4=6400円 滅菌手袋300円×4=1200円 手術室用帽子、マスク等300×4=1200円、術前後に使用する消毒薬等の薬剤費2000円、心電図の電極、電気メスの対極版、メスの刃、縫合針、縫合糸、滅菌ガーゼ、創被覆材等の消耗品で約10000円。 上の2つを合わせて約30000円ですね。さらに、手術室を1時間稼動させる純粋な光熱費だけで1時間当たり1万円以上かかるのです。甲状腺の手術は、たとえばhead&neckがやると普通は2時間弱です。手術室に入って、全身麻酔をかける時間、覚ます時間を考えると、よっぽど手際よくやっても手術室は3時間半稼動しますから単純計算で35000円かかりますね。 つまり、甲状腺手術を1件やると、65000円の純粋なコストに対し、それに対する値段は52200円。13000円の赤字になります。しかも、これらの値段には、医師、看護師の人件費が全く含まれていないのです。 上に述べた値段には、いろんな問題点があります。ただ、現状の医療の技術料が極端に低く押さえつけられているという事実はおわかりになると思います。次回につづくのでした。 ←参加しています。ポチっと。
2008.01.03
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