サヨコの土壇場日記

< 新しい記事

新着記事一覧(全1517件)

過去の記事 >

2014.01.17

締め切り～★

(11)

カテゴリ：日記

締め切りにやっつけ原稿を書きました。

後２週間後にまた締め切りが控えています。

てなわけで

ビフォーアフターを報告したいけど

時間がないので

書いたエッセイを貼り付けます。

田舎暮らし

　突然に「千葉に住みたい」と言われたときには驚いた。将来は連れ合いの生まれ故郷の郡山でのんびり庭でも作ろうかと思っていたのが、放射能で住み辛い土地になった。郡山の冬は雪が降る。雪のない千葉に住みたいと。

　思い立つが早いか、ネットで「田舎暮らし」のサイトを検索。物件を探していたが、休日は千葉通いになった。二人の両手の指と同じくらいの数の物件を見ただろうか。最後に辿り着いたのは東関東道のインター近くのトトロの森だった。
　どうせまた、いつもの気まぐれだろうと高をくくっていた私は急き立てられるようにマンションを売りに出す。アベノミクスで不動産屋に動きが現れたのと新幹線の駅まで徒歩圏内という地の利が良かったのか、思いもよらずに直ぐに売れる。半年がかりのつもりでいたのに暮れのあわただしい引っ越しとなった。住みながらリフォームするはめにもなった。見ず知らずの土地。関東平野からいきなり坂道の多い土地へ。

　里山は日本の美の原点だ。インターネットの世界で荒れた古民家の再生作業を公開していこうと思う。庭は生きているので人の手が入ると生き生きと輝き出す。手を入れだすとキリがないのだ。
　人が管理できる庭の限界坪数は一人九十坪だという。建っている古民家と離れと米を保存していた体育館のような倉庫を含めて六百八十坪を二人でやろうというのだから無謀かもしれない。
　石垣の上には槇の垣根がこしらえてあるがそれが伸び放題だ。冬場にはあまり木はいじらないほうが良いと盆栽教室で習ったことがあったが、道路にはみ出したものは剪定し根本をすっきりと刈り込んで芝桜を植えようと思いたつ。すでに水仙が植わっているが中途半端な植え方なので水仙を芝桜が囲むのもいい。雑草を抜いて芝桜の寝床作りに三日かかる。道路側は九十メートルの石垣だから三十センチおきに一ポット植えて三百ポット。同時に庭の一角にじゃがいもを植えるというので購入した種芋が十キロ。かって放射脳と笑われた脳が筋肉化したような作業の毎日だ。

　古民家とはいえお風呂は石油だがユニットバスである。かっては都市ガスであったために不安な部分があって検査を頼む。
　来てくれた技師がなんと福島から自主避難して来た人だという。その日、フクイチの汚染水の放射性物質の数値が十倍になったと情報を貰う。核燃料棒の塊デブリが完全にメルトスルーしたようだ。近々百倍になるに違いない。その福島で東京オリンピックのマラソンをやろうという人が都知事選に立候補したことを雑草を抜きながら考える。私を含めて少数が抗っても仕方がないのか。連れ合いの実家の郡山では葬儀場が混み福島民報のお悔やみ欄が三段に増えた。関連死と認められないからニュースにはならないが。特定秘密保護法の強行採決のせいだとは大きな声で言えないけれど東電は地下水のストロンチウム九十の分析結果を公表しなくなった。日本はこれで良いのかと歯噛みしながら草を抜く。何も出来ない私自身を抜くしかない。門柱横の荒れた松も、下手に盆栽教室に通っただけに気になってしょうがない。剪定ばさみや剪定鋸まで持ってきて格闘してしまう。

　そこへひょっこりと土のついた大根を二本下げた人影が現れる。彼女はいつも音を立てずに近づいて来るのだ。毎日のように柚子や野菜を運んできてくださるお隣さん。取り立ての野菜の美味しさを教えてくれた。これからは私の野菜作りの先生。臆さずに何でも質問する私にとまどっておられるようにも見受けられるが友人関係もこうやって出来上がっていく。
　風呂あがりに、見上げれば満天の星だ。都会の天空しか知らないから古民家に住めばあたりまえのことだろうが驚いたのだ。星はプラネタリウムで見るものだった。田舎でのんびりしている暇もなくあわただしい毎日が過ぎていく。時間が足りない。

読みづらいか？

まあいいや。撃沈！

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう