全10件 (10件中 1-10件目)
1

◆「Harry's ABC Of Mixing Cocktails」にみるクラシック・カクテル 11.マンハッタン(Manhattan) 「カクテルの女王」の異名をもつマンハッタン(Manhattan)。誕生の由来には諸説ありますが、数多くのカクテルブックにしばしば登場するのは、「ニューヨークの銀行家令嬢だったジェニー・ジェローム(後の英国首相ウィンストン・チャーチルの母)が、1876年の大統領選の時、マンハッタン・クラブで候補者支援パーティーを開き、そのとき考案された」という説です(考案者はイアイン・マーシャルという医師だったとも、ジェローム自身が考案したとも、無名のバーテンダーだったとも伝わっています)。 しかし、チャーチル自身が後年著した自伝のなかで、「母はその当時フランスにいて、妊娠もしていたので、その支援パーティーの場にはいなかった」と記しており、後世のつくり話の可能性が高い(出典:Wikipedia英語版)ということも分かってきました。 考案の時期については、1860年代にはすでにニューヨークで飲まれていたという説や、1884年説(出典:PBOのHP)もありますが、それぞれ裏付け資料は現時点では明示されていません。なお、“カクテルの父”と称されるジェリー・トーマス(Jerry Thomas 1830~1885)は、彼自身のカクテルブック「How To Mix Drinks」の改訂版(1887年刊 ※死去の2年後に出版)で「マンハッタン」を紹介しており、これが現時点では、「活字になった初めてのマンハッタン」と言われています(出典:欧米のWeb専門サイト)。 いずれにしても、このカクテル自体は1870年代から1885年までの間に、このマンハッタン・クラブでのパーティーのために考案され、クラブのあった「マンハッタン島」かそのクラブ名にちなんで「マンハッタン」と名付けられ、その名前で世界中へ広まっていったことはほぼ間違いないと思われます。 他にも、西部開拓時代の1846年、メリーランド州のとあるバーで、負傷したガンマンのためにバーテンダーが気付け薬として作ったという説(欧米の専門サイト情報)もありますが、欧米でも「マンハッタン島」「マンハッタン・クラブ」起源説の方が一般的には知られているます。ちなみにジェニー・ジェロームの息子であるチャーチルはその後、マンハッタンよりもマティーニを愛したことでよく知られているます。 現代の標準的なレシピでは、ライ・ウイスキー【注1】(またはバーボン・ウイスキー)、スイート・ベルモット【注2】、アンゴスチュラ・ビターズを加えたミキシング・グラスでステアし、カクテルグラスに注ぎ、チェリーを飾りに沈める、というところでしょうか(写真=Manhattan Cocktail at Bar K)。 一方、初めて活字になったジェリー・トーマスのレシピは、ライ・ウイスキー1pony(30ml)、スイート・ベルモット1Glass※、キュラソー(またはマラスキーノ)2dash、ビターズ3dash、飾り=レモンスライス、シェイクして小さい角氷2個を入れたクラレット(ワイン)グラスに注ぐというものです(※1Glassの分量は不明です)。 さて、トーマスの本が世に出た後、ハリー・マッケルホーンの「Harry's ABC of Mixing Cocktails」が刊行される(1919年)までの約30年間には、少なくとも4冊のカクテルブック(下記に例示の2冊目から5冊目)に「マンハッタン」が登場します。しかし、この4冊で紹介されるレシピは判で押したように、「ウイスキー(ライまたはバーボン)とスイート・ベルモットが1:1」です。 さて、「Harry's ABC Of Mixing Cockatils」でのレシピはどうだったかと言えば、ライ・ウイスキー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、アンゴスチュラ・ビターズ1dash(シェイクしてカクテルグラスに注ぎ、チェリーを飾る)です。それまでのカクテルブックとは違って、明らかにベルモットの分量を抑えた「辛口のマンハッタン」に変化しています。 ベルモットの銘柄は、原著内に「チンザノ・ベルモット」の広告が出ていることから、マッケルホーンはおそらく、チンザノを使っていたものと想像されます(なお、レシピに添えられた但し書きには「カクテル名は、ニューヨーク・シティのマンハッタン島に由来する」としています)。 ちなみに、1860~1950年代の主なカクテルブック(「How To Mix Drinks」と「Harry's ABC Of …」以外)は「マンハッタン」をどう取り扱っていたのか、どういうレシピだったのか、ひと通りみておきましょう。・「Bartender’s Manual」(ハリー・ジョンソン著、1882年刊)米 掲載なし・「American Bartender」(ウィリアム・T・ブースビー著、1891年刊)米 ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、アンゴスチュラ・ビターズ1dash(ステア)・「Modern American Drinks」(ジョージ・J ・カペラー著、1895年刊)米 ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、ペイショーズ(またはアンゴスチュラ)・ビターズ2dash、レモン・ピール、飾り=チェリー(ステア)・「Dary's Bartenders' Encyclopedia」(ティム・ダリー著、1903年刊)米 ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、ペイショーズ(またはアンゴスチュラ)・ビターズ2dash、レモン・ピール、飾り=チェリー・「Bartenders Guide: How To Mix Drinks」(ウェーマン・ブラザース編、1912年刊)米 ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、キュラソー1dash、アンゴスチュラ・ビターズ1~2dash、ガム・シロップ2~3dash・「173 Pre-Prohibition Cocktails)」 & 「The Ideal Bartender」(トム・ブロック著、1917年刊)米 掲載なし・「The Savoy Cocktail Book」(ハリー・クラドック著、1930年刊)英 ※4種の「マンハッタン」のバリエーションを収録。ワイングラスで提供する「マンハッタン」(シェイク・スタイル)と、カクテルグラスで提供する3種(内訳は、スタンダードなものとスイート、ドライ)の計4種を紹介しています。レシピは以下の通りです。 クラレット・スタイル=ライ・ウイスキー30ml、ベルモット(スイートとドライをミックス)1glass、キュラソー(またはマラスキーノ)2dash、アンゴスチュラ・ビターズ3dash、レモン・スライスと角氷2個を入れてサーブする(シェイク・スタイル)※ジェリー・トーマスのレシピをベースにしたバリエーションと言える スタンダード=カナディアン・ウイスキー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、アンゴスチュラ・ビターズ1dash(シェイク・スタイル)、スイート=ライ(またはカナディアン)・ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1(ステア・スタイル)、ドライ=ライ(またはカナディアン)・ウイスキー2分の1、ドライ・ベルモット4分の1、スイート・ベルモット4分の1(ステア・スタイル) ※なお、「The Savoy…」もカクテル名については、「マンハッタン島にちなんで名付けられた」と紹介しています。・「Cocktails by “Jimmy” late of Ciro's」(1930年刊)米 ライ・ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、レモン・ピール ※「Ciro's」とは、ハリー・マッケルホーンもパリで「Harry's New York Bar」を開業・独立するまで働いていたロンドンの高級クラブ。・「The Artistry Of Mixing Drinks」(フランク・マイアー著 1934年刊)仏 ライ・ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット4分の1、ドライ・ベルモット4分の1、・「World Drinks and How To Mix Them」(ウィリアム・T・ブースビー著、1934年刊)米 ウイスキー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ビターズ1dash、アンゴスチュラ・ビターズ1drop、飾り=マラスキーノ・チェリー・「The Official Mixer's Manual」(パトリック・ギャヴィン・ダフィー著、1934年刊)米 ウイスキー3分の2、スイート・ベルモット6分の1、ドライ・ベルモット6分の1、ビターズ1dash、飾り=マラスキーノ・チェリー・「The Old Waldorf-Astoria Bar Book」(A.S.クロケット著 1935年刊)米 ライ・ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、オレンジ・ビターズ1dash・「Mr Boston Bartender’s Guide」(1935年初版刊)米 ライ(またはバーボン)・ウイスキー1.5onz(約45ml)、スイート・ベルモット4分の3onz(約22~23ml)、アンゴスチュラ・ビターズ1dash、飾り=チェリー・「Café Royal Cocktail Book」(W.J.ターリング著 1937年刊)英 ライ(またはバーボン)・ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、アンゴスチュラ・オレンジ・ビターズ1dash、飾り=マラスキーノ・チェリー・「Trader Vic’s Book of Food and Drink」(ビクター・バージェロン著 1946年刊)米 バーボン(またはライ)・ウイスキー3分の2、スイート・ベルモット3分の2、アンゴスチュラ・ビターズ1dash、マラスキーノ1dash、飾り=マラスキーノ・チェリー・「Esquire Drink Book」(フレデリック・バーミンガム著 1956年刊)米 ライ・ウイスキー2分の1、スイート・ベルモット2分の1、オレンジ・ビターズ1dash、飾り=マラスキーノ・チェリー ちなみにマンハッタンは、日本で初めて活字になったカクテルの一つで、飲料商法・西洋酒調合法(伊藤耕之進編、1913年=大正2年)という月刊の業界新聞での連載上で紹介されました。その際のレシピは、「ウイスキー、イタリアン(スイート)ベルモット各ジガー半分、オレンジビターズ、ペイショー・ビターズ、シロップ各1振り、レモン・ピール」というものでした。 なお、1957年(昭和32年)に出版されたカクテルブック「洋酒」(佐藤紅霞著)では、「マンハッタン・コクテール」として「ライ・ウイスキー2分の1、ドライ・ベルモット2分の1、アンゴスチュラ・ビターズ、クレーム・ド・ノワヨー(アーモンド風味のリキュール)各2dash」となっています。スイート・ベルモットを使うのは、「スイート・マンハッタン」とわざわざ区別していることから、日本では1950年代でもなお「マンハッタン」のレシピ(定義)は揺れていたようです。 マンハッタンはマティーニ同様、レシピはシンプルですが、「Bar(Bartender)の数だけバリエーションがある」というカクテルです。酒呑みたちもしばしば、ドライかスイートか、割合はどうか等をめぐってカウンターで議論を交わします。有名なカクテルですが、実は日本のBarで頼む人はそう多くありません。辛口志向、ライト志向の昨今、少し敬遠されているのかもしれませんが、難しいことは考えず、貴方も「マンハッタン」を飲んで、ひとときの間、「女王様」気分を味わってみませんか? 【注1】ライ・ウイスキーはライ麦を主原料として、主にカナダや米国で生産されるウイスキー。ライト&スムーズな口当たりが特徴。【注2】スイート・ベルモットは長い歴史を持つイタリアを代表する香草風味のリキュール。かつてはイタリアン・ベルモットという呼び方もされた。銘柄名では「チンザノ(Cinzano)」や「ノイリープラット(Noilly Prat)」、「マルティーニ(Martini)」が有名だが、別に他の銘柄を使っているバーも珍しくない。 ・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/28
コメント(0)

【再掲載】Bar UKマスターからのメッセージ たびたびの告知で申し訳ございません。店主である私が「長年の夢にチャレンジしたい」と始めたバーUKは、おかげ様で、7月1日に1周年を迎えることになりました。これも皆様のご愛顧、ご支援の賜物と、この場をかりまして深く御礼申し上げます。 つきましては、明後日6月29日(月)~7月4日(土)の1週間は「開業1周年記念・感謝ウイーク」ということで、「半年記念ウイーク」の時と同様、感謝の気持ちを込めて、1杯目を無料サービスさせて頂きます(※写真は「半年ウイーク」の際の無料ボトルラインナップです)。 銘柄は日替わりで、ウイスキー<モルト、ブレンディド>、ジン、ワイン<赤、白>、スパークリング・ワイン、シェリー2種、ビールの中から、お好きなものをお選び頂けます(「半年ウイーク」の時はビールはありませんでしたが、今回は追加しました!)。 この機会に、まだバーUKをご存知ではない友人の皆さんもお誘い合わせのうえ、ぜひお気軽にお立ち寄り頂ければ幸いです。皆様のご来店を心よりお待ちいたしております。 なお、「感謝ウイーク」の期間中は、混み合うことも予想されますので、2人以上でご来店の際は、事前にお電話頂ければ幸いです。 【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜に各々月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/27
コメント(0)
バーUKから、7月の店休日についてのお知らせです。 7月は現時点では、日曜・祝日のほかに、11日(土)、15日(水)、25日(土)が店休日となる予定です。 ※店休日、営業時間等に変更が生じる場合は、このバーUK公式HP&Blog上にて、すみやかにお知らせいたします。 以上、何卒よろしくお願いいたします。 【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜にそれぞれ月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。午後4時~7時はノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/23
コメント(0)
バーUKマスターからのメッセージです。 店主が「長年の夢にチャレンジしたい」と始めたバーUKは、おかげ様で、7月1日に無事1周年を迎えることになりました。これもお客様のご愛顧、ご支援の賜物と、深く感謝申し上げます。 つきましては、お客様への感謝の気持ちを込めて、来週6月29日(月)~7月4日(土)の1週間は、「開業1周年記念ウイーク」として、1杯目を無料サービスさせて頂きます。 銘柄は日替わりで、ウイスキー=モルト&ブレンディド、ジン、ワイン<赤、白>、スパークリング・ワイン、シェリー2種、ビールの中から、お好きなものをお選び頂けます。 この機会に、どうか友人らもお誘い合わせのうえ、ぜひお気軽にお立ち寄りくださいませ。ご来店を心よりお待ちいたしております。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜に各々月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/22
コメント(0)

Bar UK 写真日記<27>です(By うらんかんろ)。 先日の登場した新フード・メニュー「コンビーフ・サンド」に続いて、「ポテトサラダ」がお目見えしました。マスターは「自信の一品 UK風ポテサラ」と名付けてメニューにアップしました。細かく刻んだ、いぶりがっこ(燻製沢庵)とベーコンを混ぜ込んだ、スモーキーな雰囲気のポテサラです。「秘密の隠し味」も少し加えているそうです。普通のポテサラとは違う味わいをぜひご賞味くださいませ。 という訳で、フード・メニューのラインナップもだいぶ変わりました。下から2番目の「ガッツリ!ご飯でカレー」も新メニュー。「お腹がすいてるから、しっかり食べたい」という方にお勧めです(ハーフサイズや、1人前を2人でシェアするのもOKですよ)。※メニュー右上の日付が「2015.7~」となっているのはもちろん「2015.6~」の間違いだそうです(笑)。 マスターが娘さんからのプレゼントで貰ったロシアのプレミアム・ウオッカ「ルースキー・スタンダルト」がウオッカのボトルに仲間入りしました。日本ではなかなか飲めない1本です。ぜひお試しを! マスターが最近ハマっているのがダイアナ・クラールの最新アルバム「ウォール・フラワー」。70~80年代のポップスのカバー・アルバムですが、プロデューサーがかの“ミリオンセラー請負人”、デイヴィッド・フォスターとあれば、出来が悪い訳がありません。耳に馴染みのある、心地よい曲がびっしり詰まっています。 最近、ブランデー好きなお客様もよく来られるので、マスターは店にあるお勧めのボトルをカウンターに並べてみました。どれも1980~90年代のボトルなので、柔らかくてまろやかで、奥行きもあって、旨いとのこと。なかでも、マスターのイチオシは左から2本目の「オタール(Otard)」。飲み方はもちろんストレートがお勧めです。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜に各々月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。午後4時~7時はノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/21
コメント(0)

【連載再開にあたってのご挨拶】 私はかねてから、19世紀~20世紀半ばまでに誕生したクラシック・カクテル(スタンダード・カクテル)についての研究を、ライフワークの一つにしてきました。そして、その誕生の歴史(経緯)や発展の経過、レシピの変遷等を、可能な限り一次史料・文献(カクテルブック等)にあたりながら調べてきました。 その過程で、2013年6月、親しいバーテンダーの友人が、カクテルブックの歴史的名著とも言われる「Harry's ABC of Mixing Cocktails」(Harry MacElhone著)の初版本(1919年刊)を手に入れたことから、そこに紹介されている代表的なカクテルについて、当時のレシピがどうなっていたか、同時代の英米のカクテルブックと比べてどう違うのか等について、2013年の夏、この日記上で9回に渡って連載をしました(取り上げたカクテルは、アドニス、アレキザンダー、バンブー、ダイキリ、ディアブロ、ギムレット、ジャックローズ、ジョン・コリンズ&トム・コリンズ、ジャパニーズ・カクテル/ミカドです)。 連載は20回の予定でしたが、9回終了後に私的な事情で多忙を極めることになったため、中断を余儀なくさせられました。しかし、未完了のまま中断した連載に心残りは大きくなるばかりでした。 そこで今回、長く間はあきましたが、連載を再開し、残りの11回分を完結させるべく頑張ることを決めました。一応週1回のペースでの掲載を考えていますが、場合によっては2週に一度となるかもしれません。何卒ご容赦ください。 なお、残り11回の連載で取り上げる予定のカクテルは、ニッカー・ボッカー、マンハッタン、マティーニ、ミリオネア、ミント・ジュレップ、ロブロイ、サゼラック、スコッチ・ハイボール、サイドカー、ホワイトレディ、ヨコハマです。何卒よろしくお願いいたします(写真=Knicker-bocker byMr Shuichi Tanaka of Tom & Jerry Bar)。 ◆「Harry's ABC Of Mixing Cocktails」にみるクラシック・カクテル 10.ニッカー・ボッカー(Knicker-bocker) 19世紀半ばに誕生し、かのジェリー・トーマスのカクテルブック「How To Mix Drinks」(1862年刊)にも登場する最初期の古典的カクテルの一つですが、残念ながら現代日本のBarでの知名度はそう高いとは言えません。うらんかんろ自身も、Barで頼んでいる人やお客様に勧めているマスターを見たことはほとんどありません。 しかし、「ニッカー・ボッカー(Knicker-bocker)」は欧米では現在でもそれなりに名の知られたカクテルで、クラシック・カクテルが再評価されている昨今、ロンドン等では人気もあるとのことです。カクテル名は、ニューヨークに数多くやって来たオランダ系移民が愛用していた「短ズボン」に由来し、転じて「ニューヨーク市民」のことを指す俗語としても知られています。 現代の標準的なレシピでは、ラム4分の3、オレンジ・キュラソー(またはコアントロー、トリプルセック)4分の1、ラズベリー・シロップ1~2tsp(ティー・スプーン)、レモン・ジュース1tsp、オレンジ・ジュース1tsp、クラッシュド・アイス(ロング・スタイルの時)というところでしょうか。 ハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)の「ABC Of Mixing Cockatils」(1919年刊)のレシピは、ラム3分の2、ラズベリー・シロップ1tsp、レモン・ジュース1tsp、オレンジ・ジュース1tsp、キュラソー2dash、パイナップル1切れ(飾り)となっています。 ※分量は原著表記のままです。ラム「3分の2」とありますが、残りの「3分の1」についてマッケルホーンは触れていません。ラム以外の材料で「3分の1」ということなのでしょうか)。 一方、サヴォイ・カクテルブック(1930年刊)では、「ニッカー・ボッカー」はマティーニのバリエーションとして紹介され、「ニッカー・ボッカー・スペシャル」という名のカクテルが標準的なニッカー・ボッカーと同じレシピとなっています。欧米のカクテルブックでは他にも、このようなケースが少なくありません。また、なぜかブランデー・ベースの同名カクテルも、1930年代の著名なカクテルブックに登場しています。 なぜ、マティーニのバリエーション的な「ニッカー・ボッカー」というカクテルが生まれたのか、本来の「ニッカー・ボッカー」がなぜ「ニッカー・ボッカー・スペシャル」とその名が変わってしまったのか、一方で、ラム・ベースの「ニッカー・ボッカー」も生き残っていて、現場に混乱はなかったのか、この辺りは今後解明すべき課題です。 ちなみに、1860~1940年代の主なカクテルブック(「ABC Of …」以外)は「ニッカー・ボッカー」をどう取り扱っていたのか、どういうレシピだったのか、ひと通りみておきましょう。・「How to Mix Drinks or The Bon-Vivant’s Companion」(ジェリー・トーマス著、1862年初版、1999年再版)米 ラム1Glass、キュラソー2分の1tsp、ラズベリー・シロップ2tsp、ライム(またはレモン)ジュース2分の1個分(シェイク・スタイル)・「Bartender’s Manual」(ハリー・ジョンソン著、1882年初版、1934年再版、2008年復刻版刊)米 ラム1Glass、キュラソー2分の1Glass、ラズベリー・シロップ2tsp、レモン・ジュース2dash、飾り=パイナップル・スライス、オレンジ・スライス(ステアまたはシェイク・スタイル)・「American Bartender」(ウィリアム・T・ブースビー著、1891年初版、2009年復刻再刊)米 掲載なし・「Modern American Drinks」(ジョージ・J ・カペラー著、1895年初版、2008年復刻版刊)米 ラム1jigger(約45ml)、キュラソー2分の1pony(約15ml)、Glass、ラズベリー・シロップ1pony(約30ml)、レモン・ジュース2分の1個分、飾り=パイナップル、オレンジ、レモンのスライス(ビルド・スタイル)・「Dary's Bartenders' Encyclopedia」(ティム・ダリー著、1903年初版刊、2010年復刻版刊)米 掲載なし・「Bartenders Guide: How To Mix Drinks」(ウェーマン・ブラザース編、1912年初版、2008年復刻版刊)米 ラム1Grass、キュラソー3dash、ラズベリー・シロップ3tsp、レモン・ジュース2分の1個分(ビルド・スタイル)・「173 Pre-Prohibition Cocktails)」 & 「The Ideal Bartender」(トム・ブロック著、1917年刊、2001年&2006年再刊)米 掲載なし・「The Savoy Cocktail Book」(ハリー・クラドック著、1930年刊)英 ラム3分の2、キュラソー2dash、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各1tsp、飾り=パイナップル・スライス)※ただし、Knicker-bocker Specialとの名で掲載。 ※Knicker-bockerというカクテルも収録されているが、ジン3分の2、ドライ・ベルモット3分の1、スイート・ベルモット1dash、レモン・ピール(シェイク・スタイル)と、明らかにマティーニのバリエーション。・「Cocktails by “Jimmy” late of Ciro's」(1930年初版刊、2008年復刻版刊)米 ラム4分の3、オレンジ&レモン・ジュース4分の1、キュラソー2dash、飾り=パイナップル・スライス(スタイル不明)・「The Artistry Of Mixing Drinks」(フランク・マイアー著 1934年刊)仏 ラム1Grass、ラズベリー・シロップ1tsp、レモン・ジュース&オレンジ・ジュース各1tsp、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル)・「The Official Mixer's Manual」(パトリック・ギャヴィン・ダフィー著 1934年刊)米 ラム3分の2、キュラソー3分の1、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各1tsp、パイナップル・スライス=クラッシュド(シェイク・スタイル)・「Mr Boston Bartender’s Guide」(1935年刊)米 ラム60ml、キュラソー2分の1tsp、ラズベリー・シロップ1tsp、レモン・ジュース1tsp、オレンジ・ジュース1tsp、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル)・「The Old Waldorf-Astoria Bar Book」(A.S.クロケット著 1935年刊)米 ブランデー45ml、レモン・ジュース2分の1個分、アンゴスチュラ・ビターズ2dash、角砂糖1個、レモンピール ※「Knicker-bocker」を名乗っているが、ベースの酒もレシピもまったく異なる。・「Café Royal Cocktail Book」(W.J.ターリング著 1937年刊)英 ラム45ml、キュラソー2dash、分の1tsp、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各3dash、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル)・「Trader Vic’s Book of Food and Drink」(ビクター・バージェロン著 1946年刊)米 Knicker-bocker Special ラム60ml、キュラソー2分の1tsp、ラズベリー・シロップ、レモン・ジュース、オレンジ・ジュース各1tsp、飾り=パイナップル・スライス(シェイク・スタイル) ※サヴォイ・カクテルブックと同様、Knicker-bockerというカクテルも「マティーニのバリエーション」として併せて紹介されている。 【注】レシピに登場するラムですが、サンタ・クルーズ(Santa Cruz)、セント・クロワ(St.Croix)と記されている(指定?)ケースが多く、ジャマイカ(Jamaica)、プエルトリカン(Puerto Rican)と記されている例もありました。 なお、確認できる日本での初出資料は、安土禮夫著の『カックテール』(1929年刊)で、日本国内にも1920年代には伝わっていたことが分かります。 ※ちなみに、うらんかんろがこれまでに味わった「ニッカー・ボッカー」で一番美味しかったのは、ロンドンにあるカクテル・バー、Montgomery Place(MP)で提供されているKnicker-bockerです。 MPで修業し、現在は大阪で開業するバーテンダーにつくってもらいましたが、MPのレシピは、ラム(Appleton V/X →なければMount Gay Rumで代用)(45ml)、オレンジ・キュラソー(Tanaka氏はグランマルニエを使用)(15ml)、レモン・ジュース(15ml)、生ラズベリー(7~8個)=シェイカーの中で潰す、シュガー・シロップ1tspで、すべての材料をシェイクし、クラッシュド・アイスを詰めたグラスへ漉して注ぐ。飾りにはオレンジ・スライスと生ラズベリー(少々)をというもの。あぶないくらい美味しい味わいに仕上がりでした。 ニッカー・ボッカーはラムと甘味と酸味のバランスが絶妙な、とても美味しいカクテルです。どうして現代のバーテンダーがもっとお客様に勧めないのか、僕は不思議で仕方がありません。どうかこの一文を読まれた皆さま、ぜひバーでこのカクテルを頼んでみてくださいませ。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/20
コメント(0)

約2週間ぶりにBar UK写真日記です(By うらんかんろ)。 マスターの“第二の故郷”徳島から、馴染みのバーのマスターらがバーUKに来られました。Long BarのMマスター(写真右端)には徳島在住時、とてもお世話になったそうです。ちなみに、Mマスターは、好評発売中の成田一徹さんのバー切り絵作品集『to the BAR』にも登場されています。 最近は、新しいボトルはそう増えていませんが、話題の「ブラックニッカ・ディープブレンド(Black Nikka Deep Blend)」はカウンターにお目見えしています。ピートが効いて、アルコール度数45度のしっかりした味わい。ストレート、ロック、ハイボール、水割りとどんな飲み方でもいけるオールマイティなブレンディド・ウイスキーです。1Shot(45ml)¥600です。 韓国から、マスターの懐かしい友人がUKにお越しになられました。マスターが徳島時代にお世話になった元NHKのOさん(写真左)です。Oさんと一緒にご来店されたのは、現NHK大阪放送局・チーフアナウンサーのSさん(同右)。 OさんはNHKを定年退職後、先般まで大分の大学で教壇に立たれていました。そして現在は、韓国KBS放送の海外向け放送部門で働かれています。異国で新たな挑戦に励まれているOさんの姿に、マスターも良い刺激を受けたようです。 前の写真にも登場するOさんからマスターが頂いたのは、深紅のバラのプリザーブド・フラワーです。花屋さんに「ウイスキー・バーにふさわしい花を」と注文されたそうです。深紅は、シェリー樽熟成のモルト・ウイスキーの色のようでもあり、素敵なチョイス&センスにマスターも心から感激していました。 フード・メニューの見直しを進めているマスターですが、6月8日から、新たに「コンビーフ・サンド」がお目見えしました。コンビーフ、ピクルス、チリソース、塩、コショウでつくった、温かいオープンサンドです。腹持ちも良くて、お客様にはとても好評とのこと。バーUKの「看板フードメニュー」に育ってくれるといいのですが。 ちなみに、同時に「ご飯でがっつりカレー」という本格的なカレー・メニューも8日から登場しています。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜に各々月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。午後4時~7時はノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/14
コメント(0)
バーUKマスターから再度のお知らせです。 皆さま、先般お知らせしたように、明日12日の金曜日は、夜7時過ぎまで用事があるため、バーUKのオープンは午後8時頃とかなり遅くなります。その代わりと言ってはなんですが、開業以来初めての試みで、なんと!翌日午前3時半~4時頃まで、店を開ける予定です。深夜(朝?)までしっかり飲みたいという方は、ぜひお越しくださいませ。宜しくお願いいたしまーす。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜に各々月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時はノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/11
コメント(0)
バーUKからのお知らせです。 今週6月12日(金)は、マスターが夜7時過ぎまで用事があるため、バーUKのオープンは午後8時頃とかなり遅くなります。その代わり、開業以来初めての試みとして、店は翌日午前3時半~4時頃までオープンする予定です。普段、金曜日は午後11時閉店ですが、夜中(朝?)までしっかり飲みたいという方は、このチャンスにぜひどうぞお越しくださいませ。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜に各々月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時はノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/07
コメント(0)
Bar UKマスターからのメッセージです。 6月がスタートしました。間もなく、バーUKも1周年(2014年7月1日オープン)を迎えます。 1周年に向けて、現在ささやかですが、「半年記念ウイーク」の時と同様、お客様への謝恩企画も準備しております。今回は7月1日を挟む1週間(6月29日~7月4日)通しての企画です。どうかご友人等をお誘い合わせのうえお越し頂ければ幸いです。 バーUKの1年目は「種をまく期間」と位置付けていましたが、2年目はその種の「芽」が出て苗がきちんと育つように、そして、僕と一徹さんが夢見た「理想のバー」という花が咲くように、小さなことからコツコツと精一杯努力していく所存です。 どうか今後とも皆様よろしくお願い申し上げます。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途、水曜と土曜に各々月1回程度お休み。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。午後4時~7時はノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2015/06/01
コメント(0)
全10件 (10件中 1-10件目)
1


![]()