Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/03/14
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カテゴリ: エトセトラ
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 素人が遊びでピアノを弾いていると、いろんな出会いがあり、得難い体験をする。「一期一会」とよく言うけれど、本当にそうなってしまった、忘れ得ぬ思い出…。

 10年ほど前の11月の話。僕は、友人が自宅マンションで開いたパーティーに招かれた。参加者は30人余り。友人が当時一緒に暮らしていたパートナーの女性は、プロのクラシックのピアニストだった関係で、参加者もクラシック畑の人が結構多かった。

 歌の方(二期会の方なんかもいた!)やバイオリンや管楽器の奏者の方とか、いろんな人が集ったが、人柄も素晴らしい人たちばかりだった。友人のマンションには当然、グランド・ピアノがあった。プロだから、スタンウェイかなと思ったけれど、ベーゼンドルファーというメーカー(これはこれでプロの間では、結構有名なメーカーらしい)のピアノだった。稲岡和さん&Me

 僕は、パーティー当日早めに行って、お客さんがそこそこ集まるまで、好き勝手にそのピアノで練習させてもらい、素晴らしい音色を十分に堪能させてもらった。

 そして、パーティー本番。当然のように、次々と独奏や、あるいは二重奏、三重奏が入れ替わり立ち替わりが始まった。友人も、パートナーに感化されて、この日のために練習してきたオペラのアリアなんかを歌って、客を楽しませた。

 僕も、プロの歌い手の方の伴奏をする幸運に少し恵まれた。クラシックの曲はほとんど弾けない僕のために、彼らはポップス(たとえばビートルズやビリー・ジョエルなど)やシャンソンの曲を、歌ってくれた。Iさんという女性バイオリニストは、「愛の讃歌」を弾いて、一緒にセッションしてくれた。

 Iさんは、ほかにもバイオリンの名曲として有名なクライスラーの「愛の悲しみ」という曲を、別の方の伴奏で聴かせてくれた。その哀愁を帯びた、美しいメロディーに魅せられた僕は、パーティーの後、次の機会に一緒に演奏(伴奏)できることを願って、楽譜を買ってきて練習をし始めた。

 ところが、パーティーからわずか2カ月後の翌年1月、そのIさんが、自宅近くの坂道で自転車に乗っていて転倒し、頭を打って亡くなったという、まったく信じられない知らせが届いた。新婚間もない、まだ27歳の若さだった。若手の有望バイオリニストだったIさん= 稲岡和 (いなおか・ゆたか)さん死去の記事は、新聞にも載った。

 彼女があの日弾いたエルガーの「愛の挨拶」など素晴らしい演奏の数々は、今も心に残り、忘れることはない。上品で、気さくで、一緒にいると、その場の雰囲気がなごむような方だった。クラシック畑の人には、一見とっつきにくい印象があるけど、その日僕が出会った人はみんな素敵な方ばかりだった。「(人に会う前から)先入観を持ってはいけない」とよく言うけれど、僕はその通りだと思う。

 あの日、一緒にセッションした写真( )を見るたびに、いまだに「夢まぼろし」を見たかのような、信じられない気持ちになる。そして、人生の無常を感じてしまう。素晴らしい才能を持った彼女を、こんなにも早く天上に召してしまった神を僕は恨む。






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うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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