Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2006/05/05
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 東北地方へは、高校の修学旅行以来である。しかし、その際は宮城、岩手両県だけだったので、今回の秋田はまったく未体験ゾーン。秋田県と言えば、皆さんは何をイメージするだろうか。米どころ、その米が育んだ清酒。雪国ならではの保存食、キリタンポや漬け物。もちろんハタハタなど日本海側の海の幸も、美味で知られる比内地鶏もはずせない。県面積は全国3位。山林が多くて、山菜の種類も豊かだ。秋田駅前

 日照時間が短いので、女性は色白の美人が多い(いわゆる「秋田美人」)のも特徴だ。実際、行って見てそうだった! 少子高齢化、過疎化は秋田も例外ではなく、1980年には125万人あった県人口は現在114万人(ちなみに秋田市は現在33万人)。65歳以上の高齢者の割合は全国第3位という( 写真左 =JR秋田駅前)。

 そんな秋田へ、最初は東海道、東北・秋田新幹線と乗り継いで行こうと考えていたが、調べてみると、このルートでは所要時間なんと約7時間も。これではやはり時間がもったいないと思い、空路を選んだ。ところが、東京からとは違い、大阪~秋田間はJALが1日1便だけ。おまけに早割・特割チケットを使っても、お値段は片道で2万7、8千円ほどする(繁忙期の正規運賃は3万300円)。交通費だけで往復6万円近くは痛い。稲庭うどんの「無限堂」

 思い悩んで知り合いのJTBの人に相談したら、「ホテルとセットで航空券を取ったら、往復で2万円ほど安くなりますよ」と教えてくれた。幸い秋田市内で泊まろうと考えていた「M井アーバンホテル」とセットとなったプランもあり、これはラッキーだった。

 朝9時半、伊丹を発ったJAL2171便はほぼ定刻通りに秋田空港に到着。早速リムジンバスで市内へ向かう。出る時の大阪の気温は24度、ところが秋田は15度と、10度近くも違う。やはり日本は狭いようで広い。秋田空港は内陸部の丘のような場所にあるせいか、5月というのに、日陰の山肌にはまだ雪も残っている。稲庭うどん

 ホテルにチェックインし、大きな荷物だけ預けた僕らは、早速ハラペコの胃袋を満たそうと、ホテルから徒歩数分にある稲庭うどんの老舗「無限堂」( 写真右 )へ。僕は比内地鶏入りうどん(漬け汁で頂く)= 写真左 =を、連れ合いはマイタケ天ぷらうどんを頼む。比内地鶏の歯ごたえが、あぁ最高!

久保田城の桜

 取りあえず空腹を満たした後、徒歩で市内観光へと繰り出す。まずは中心部にある秋田藩主・佐竹氏の居城、久保田城跡の千秋公園へ。公園内のサクラは見事に満開だが、一応、平日ということもあって、酒盛りをしている人は少ない。

 城内の建物は廃藩置県後、ほとんどが取り壊された(なぜか天守閣はなかったという)。城内には現在、近年復元された櫓や城門などがわずかに残るだけ( 写真右 =復元された城門)。

 城は封建社会、武家社会のシンボルという側面もあるが、現在では各地で「街のシンボル」として親しまれている。貴重な櫓などが残っていれば、観光面でもどれほど有益だったろうか。城内の佐竹史料館を見学した僕らは、公園向かいのビルにある「秋田県物産プラザ」に土産物の下調べを兼ねてお邪魔する。納豆屋・二代目福治郎

 ここでは県内の特産品が広いフロアいっぱいに販売されているが、腹が立ったのは、ほとんどの食品に試食サンプルがないこと。関西じゃ考えられない、サービス精神の欠如。「味見もさせんと買わせようというなんて間違うてる!」と連れ合いも不満顔。

 観光客の誰かが味見をし、「これ、美味しいわー!」と叫んだら、つられて「私も買ってみよ」と言う人も出てきて、売り上げ増にもきっと貢献するはず。そんな商売人魂はやはり関西が一番かなぁ。

 さて、お酒や漬け物など荷物になりそうなものは、物産プラザ内の宅急便コーナーで配送を頼み、次なる目的スポット、徒歩10分ほどの「納豆屋・二代目福治郎」( 写真左 )へ。地酒飲み比べ納豆と言えば茨城が本場だけれど、ここは地元の納豆通の人気店という。地元6種類ある商品をすべて試食させてくれるうえに、「お口直しにどうぞ」とお茶まですすめてくれるという嬉しい心遣い。これでなくっちゃ。県物産プラザの皆さん、見習ってよー。

 試食してみて、好みのタイプを3種類ほど買ったが、一番好きだった小粒の「鈴丸」という商品が最後の1袋しか残ってなかったのが残念。でも、楽天市場でも店を出しているようなので、今度はネットで注文してみようかと思っている。しょっつる鍋

 さて一日目の晩ご飯は、秋田市内きっての飲食街、川反(かわばた)というエリアにある郷土料理の店「てのじ」へ。郷土料理の店はあちこちにあるが、ここは3600円という手頃なお値段で、「秋田の味コース」というのが楽しめるうえに、地酒3種(六舟、とわずがたり、雪の茅舎)の飲み比べセット(1000円)= 写真右上

 コースは、八郎潟の小魚の唐揚げ、じゅんさい、とんぶりと山芋の酢の物、お刺身、ハタハタ焼き、キリタンポ鍋(またはしょっつる鍋= 写真左 =僕はこちらを選択)、ガッコ(漬け物)の7品。我々はそれ以外にも、ホンナという山菜のおひたし( 写真右 )と、比内地鶏の照り焼を追加で頼んだ。ほんなのおひたし

 料理のお味はどれも美味しくて、とくにとんぶりの酢の物は山芋に、ウズラの玉子で割って食べるのだが、これが旨くて酒が進む、進む。飲み比べの酒は同じ辛口でも「やわらか系」「まろやか系」「すっきり系」の3つに分かれていたが、どれも「酒どころ・秋田」の底力を感じる芳醇な味わい。

 唯一の不満は、照り焼きの比内地鶏に歯ごたえがなかったこと。ただし、家に帰ってもう一度店紹介のページをよく見たら、「硬い地鶏を秘伝のタレで極限まで美味しく柔らかくした人気の一品」と説明書きがあった。硬く歯ごたえがあるのが好みの僕らは、比内地鶏は別の店で食べることにしよう。

写真左 )へ。東京五輪の年の1964年の創業。店内は昭和の雰囲気を残した、とても落ち着いた空間。マスターの中島さんは秋田を代表するバーテンダーの1人。そして、店長の長澤さんは日本バーテンダー協会秋田支部長でもある、若手の実力派。Bar Lady

 こんな2人が揃っていて、グッド・バーでないわけがない。僕はとりあえずラガヴーリン16年でクールダウン。そして、長澤さんのオリジナル・カクテルである「ティアーズ・レイク」( 写真右下 )をお願いした。

 田沢湖の辰子姫伝説にちなんでつくられたカクテルは、ウオッカ・ベースで、ライチ・リキュールやペパーミントの香りが効いて爽やか。色は湖水のように美しく、龍のようにカットされたライムのデコレーションがとても粋だ。

 遠来の客である僕らに対して、お二人とも実にフレンドリーで、優しい。共通の知り合いでもある銀座のBAR「ル・ヴェール」のSさん(秋田出身)の話などで盛り上がりながら、そして、昨年秋がんのため49歳の若さで亡くなった秋田の名バーテンダーKさんをしのびながら、僕は美酒に酔った。Tear's Lake

 そろそろ次のBARへ転戦しようかと思って、「近所のBAR『 I 』にSさんという方を訪ねようと思っているんです」と言ったら、長澤さんから「あぁ残念、きょうは『 I 』は休みなんですよ」とショックなお言葉が。

 聞けば、秋田はなぜか月曜定休というBARが多いとか。「ゴールデンウイークに休むなんて、困るなぁ…、県外からもお客さん、絶対来るのになぁ、商売っ気ないなぁ…」と、まだ恨み節の僕。

 気を取り直して、もう1軒の候補だったBAR「The Bar 1980」へ。ここは先ほども触れた故・Kさんが開いたBARのうちの1軒。今はYさんというマスターが引き継いでおられる。長澤さんが電話をしてくれていたので、Yさんと打ち解けるのに時間はかからなかった。飛良泉・山廃仕込み焼酎

 ここでも、「1980」でもYさんのオリジナル・カクテル「ムリエール」(ポルトガル語で「女性的な」という意味とか)をいだたく。辛口ポートワインをベースにした、すっきり、上品な味わい。しばらくしてカウンターの目の前のスタイリッシュで、おしゃれなボトルに目を奪われた僕を見て、Yさんは「少し飲んでみられますか?」と嬉しいサービス。

 「飛良泉」という地元の酒造メーカーが造った焼酎( 写真左 )という。これがまた、一口飲んで思わず「めちゃ旨!」と声を出したほど。ウイスキーのような雰囲気を漂わせてた不思議な味わい。

 秋田のBARで、地元の清酒メーカーが造った焼酎を飲むというのもちょっとヘンかもしれないが、まぁそこはお許しあれ。「1980」で美酒を堪能した僕らは明日の角館行きに備えて、11時前には店を別れを告げた。秋田のバーテンダーの皆さん、温かいもてなしを有難う! 今年は、日本バーテンダー協会の全国大会も6月に秋田で開催されるという。BARの世界でも、秋田がますます注目される街になることを、僕も心から願っている。

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Last updated  2006/05/05 09:35:57 AM コメント(16) | コメントを書く


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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