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2007/02/12
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カテゴリ: アート&ブックス
 久々に面白いミステリー小説に出合えました。高野和明という人の「13階段」( 写真左下

 場面転換や人物描写にも優れ、巧みなストーリー展開。審査員の宮部みゆき氏をして「手強い商売仇を送り出してしまったものです」と絶賛させただけのことはあります。一気に読んでしまいました。あらすじは次のようなものです。高野和明「13階段」

 けんか相手を誤って死なせてしまい、3年の刑に服していた三上純一は、刑期満了の4カ月前に仮釈放される。 実家に戻った純一が見たのは、被害者への慰謝料のため生活が困窮する家族の姿だった。

 そんな時、純一の服役していた刑務所の刑務官・南郷正二が彼を訪れる。南郷は純一に対し、「樹原亮という死刑確定囚の冤(えん)罪を晴らす調査の仕事を手伝ってほしい」と頼んだ。

 樹原亮には、仮出所中に自分の保護司夫妻を金目当てで殺害した容疑をかけられていた。現場に残された様々な証拠は、樹原が犯人であることを裏付けていた。

 しかし、樹原は事件直後の交通事故のため、犯行時刻の記憶を一切無くしていた。そのため、犯行を否認することも出来なければ、改悛(かいしゅん)の情を示す事も出来なかった。

 最高裁への上告は棄却され、不服申し立ても認められず、事件から3年後、樹原の死刑は確定した。刑執行の可能性を考えると、残された時間は3カ月しかない。唯一の手がかりは、樹原がふと思い出した、犯行当時の断片的な記憶。樹原は「(当時)階段を昇っていた」と言った。映画「13階段」

 純一は迷いながらも、この仕事を引き受ける。調査報酬の一千万円がこれまで苦労をかけた家族のためになればと考えたのだ。



 2人は、真犯人の行動範囲を絞り込み、現場近くの山の中に、樹原の記憶に残る「階段」を探し続ける。そこに、未だ発見されていない被害者の預金通帳や印鑑がきっとあるのではと睨(にら)んでいた。2人を待ち受ける驚くべき真実とは? 

 著者の高野和明氏は1964年生まれ。映画の撮影、編集などを学んだ後、映画やテレビの脚本家になった。ストーリー展開の巧さは、映画の脚本で鍛え上げた所以か。

 死刑制度という重いテーマを織り込みながら、読者をぐいぐいと引っ張っていく力量はさすがです。ネタばらしになるので結末は書けませんが、とにかく最後の最後まで目が離せません。お時間のある方にはおすすめの一冊です。

 なお、この「13階段」は03年に反町隆史(純一役)、山崎努(南郷役)の配役で映画化されました( 写真右上 =映画「13階段」の一場面。 (C ) 公式HPから )。残念ながら、映画の方は僕まだ見ていません。出来はどうだったのかな? 映画はともかく、原作の出来は間違いありません。

 ※本の表紙画像はAmazon上のものを引用しました。Amazon.Japanに感謝いたします。




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Last updated  2012/09/29 12:16:10 AM コメント(4) | コメントを書く


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