Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2010/02/19
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カテゴリ: 各地のBAR巡り
鳥取県と言えば、日本で最も人口が少ない都道府県(約60万人)。その県庁所在地である鳥取市の人口もわずか20万人しかない。鳥取砂丘や二十世紀ナシ、らっきょう、松葉ガニで有名だが、過疎化、高齢化を象徴する県の一つでもある。

 経済的には、同じ県内の米子市と勢力圏を二分していることもあるが、鳥取市内の商店街は不況もあってさびれが目立つ。しかし、意外と元気なのが飲み屋街である。景気が悪くても、やはり外食はしたい。だから居酒屋やBARも元気である(ちなみに、寿司屋がやたら多いのが鳥取市の特徴でもある)。s-IMG_6734.jpg

 鳥取までは大阪から直通特急「スーパーはくと」で2時間半ほど。出張でも十分日帰り圏内であるが、如何せん本数が少ない。最終は午後6時40分発。うらんかんろのような呑み助には、BAR巡りが叶わないダイヤである。今回、うらんかんろは1泊出張の機会に恵まれ、ようやく念願のBAR巡りができることになった。

 とは言え、関西のBARのマスターにも鳥取のBARに詳しい人はあまりおらず、で、頼りにしたのはS社のホームページにある全国のBARR案内「Bar-NAVI」。そこにオーセンティックBARとして紹介されていた2軒に狙いをしぼった。

 最初にお邪魔したのは「Bar・Style」= 写真左 。しかしオープンは午後8時ということなので、寿司屋でゆっくりと腹ごしらえをしてから出かけた。扉を開けると、当然僕が最初の客。

 まず、1杯目をいただく。「ご出張ですか?」とマスターのMさん。「えっ、分かります?」と僕。「ええ、早い時間に来られるのはまずそうですね。地元の人間は出足が遅くて、(来店は)早くて9時。普通は10時前後くらいです。それに服装です。やはり都会から来られた方はセンスがいいので、すぐ分かります」と解説をしてくれたマスター。センスを誉められて少し嬉しい気持ち。s-IMG_6731.jpg

 店内は、都会にあるようなおしゃれで、落ち着いた雰囲気。鳥取にいるのを(失礼!)忘れるくらいだ。バック・バーの棚のお酒の品揃えも都会に負けないくらい充実している。「(地方都市の)ハンディはありますが、情報は精一杯手に入れて、都会のBARに負けないように頑張っています」とマスター( 写真右

 マスターは時間があれば、比較的近い関西のBARに出かけては、そこのマスターのカクテルづくりなどの所作を学んでいるという。「僕には師匠がいませんから、都会のBARで働く先輩はみんな先生です。技術で盗めるものは全部勉強しています」。話を聞いていて、その努力家ぶりにただ頭が下がる。

 マスターの話に出てくる大阪のBARのマスターには、僕が懇意にしている人も何人もおり、親近感が増す。店は今年で8年。柔らかくソツがなく、温かい接客。まだ30代半ばであろうマスターには「これから」を大いに期待させる。鳥取に行く機会があればまた行きたいと思えるBARだが、マスターどうか午後6時くらいから店を開けてくださいなー(笑)。

 さて2軒目もS社の「Bar-NAVI」に出ていた「Bar・Ism」= 写真左 。訪れた日の夜は雪が吹雪いて、凍えそうに寒かったが、1軒目の「Style」からは歩いて数分なので有り難い。s-IMG_6862.jpg

 店は雑居ビルの2階にあるが、店内はとても静かでゆったりとした空間。バックバーの扉代わりの格子戸がこのBARをさらにしっとりとした雰囲気にしている。ここも8年目という。まず1杯いただいた後、1軒目のBARでした同じ話(鳥取のBARのオープン時刻はなぜ遅いのか)をする。

 「Ism」のマスターもやはり、鳥取の客の出足の遅さを口にした。都会のBARなら、早い時間に開けておけば仕事帰りの客を期待できるだろうが、地方都市なら、マイカー通勤も多いだろうから、なかなかそれも叶わないのだろう。都会とは違うBAR経営の難しさを知った。

 2杯目は、寒いので体を温めるためにホット・ウイスキーをお願いする。「(ウイスキーに浮かべる)丁字(クローブ)はありますか?」と尋ねたが、あいにく「切らしているんです。申し訳ありません」とのこと。s-IMG_6735.jpg

 都会のBARと同じレベルの望んではいけないし、なかったからと言って問題にしてはいけない。温かい接客とリーズナブルなお値段のお酒があれば、もう十分満足なのだから。そういう意味では「Ism」も十分及第点のBARだと僕は思う。

 さて、まだホテルに帰るには時間も早いので、1軒目のマスターに聞いたBARに向かう。なにやら、大阪のBARで修業した方が故郷に戻って開かれた店という。ひょっとして共通の知人がいるかもしれない。

 店は泊まるホテルと川を挟んだ斜め向かい、住宅と飲食店が混在する通りにあった。その名は「Misty Bar」= 写真右 。目立つ看板も出ていないので、もうちょっとで通り過ぎてしまいそうだったが、店先にBARらしい灯りがあるので、なんとか迷わずにたどり着けた。

s-IMG_6739.jpg

 こうなれば僕とNさんとの距離はあっという間に縮まる。落ち着いた雰囲気もあってか、Nさんは実際の年齢よりは少し老けて見える(失礼!)が、ほのぼのとした人柄。ひと言で言えば、「いい味出している」バーテンダーという表現がぴったりか( 写真左 =Misty Barの店内風景)。

 店は「~ist」で修業したという影響もあるのか、なんとなく、店内の雰囲気や酒類の品揃えやフードへのこだわりが似ている(付き出しの盛り付けなど)。聞けば、この店も今年でオープン8年というから驚いた。つまり、鳥取のBAR状況は8年前から大きく変わったということか。

 ほのぼのとしたNさんのゆったりトークに包まれていると、心地よい酔いがさらに心地よくなる。Nさんおすすめのシングルモルト「ベンリアック1987」が胃にしみる。鳥取のBARも捨てたものではない。みんなそれぞれ一生懸命頑張っていることを、僕は実感した。

 願わくは、鳥取の経済状況ももっと好転すればなによりなのだ。そのためには、まず鳥取の人口が増えるような施策が行政にほしい。そして、地元で暮らしたい人が十分暮らしていけるような働き口が多くできればいい。さらに、都会からもっと旅行客を呼び込めるようなアイデアを考えたい。JR西日本さん、ぜひ最終の特急は9時発くらいに設定してほしい。頑張る地方都市を応援することは、都会側にも必要なことだと思う。



【Bar・Style】 鳥取市末広温泉町206 ギャザビル2F 電話0857-23-8008 午後8時~午前3時 月休  【Bar・Ism】 同市末広温泉町158 ユキビル2-2F 電話21-1366 午後7時~午前3時 日休  【Misty Bar】 同市弥生町140 柄本ビル1F 電話29-0180 午後9時~午前4時 日祝休 (JR鳥取駅から徒歩10~15分。3軒ともとてもリーズナブルなお値段です)。

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Last updated  2023/10/30 08:40:14 AM
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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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