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2013/07/19
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カテゴリ: カクテルブック
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◆「Harry's ABC Of Mixing Cocktails」にみるクラシック・カクテル

3.バンブー(Bamboo)

 バンブーは、日本生まれで国際的なカクテルの第一号と言われています。 現代の標準的なレシピでは、ドライ・シェリー3分の2、ドライ・ベルモット3分の1です。

 国内の多くのカクテルブックでは、1890年(明治23年)、その前年に来日していた 横浜グランドホテルの支配人、ルイス・エッピンガー(Louis Eppinger=ドイツ系米国人 1831?~1907)が考案 。その後世界的に知られるようになったとよく紹介されていますが、残念ながら、海外のカクテルブックでは、日本生まれとは紹介はしても、エッピンガーの名前に触れている例はそう多くありません。

 「バンブー(竹)」という名は、クセのない素直なこのカクテルの味を、「天へ向かってまっすぐに伸びる、日本的な竹に重ねた」と言われていますが、エッピンガー自身の証言や書いたものは残っておらず、残念ながら裏付け資料はありません。

 エッピンガーのオリジナル・レシピは、 ドライ・シェリー4分の3、ドライ・ベルモット4分の1、オレンジ・ビターズ1dash と伝わっていますが、ハリー・マッケルホーンの 「Harry’s ABC Of Mixing Cocktail」(1919年刊)はなぜかシェリーとベルモットが等量のレシピ です。

 エッピンガー=考案者説の根拠としては、 ウィリアム・ブースビー(William T. Boothby)という人が、1907年に著した「The World Drinks and How to Mix Them」に「…Originated and named by Mr.Louis Eppinger, Yokohama, Japan」との記述が見られる (洋酒ライター・石倉一雄氏情報)ことや、「1901年の段階ですでに日本から米国西海岸に伝わっていたことは、当時の文献からも確認できる」(石垣憲一氏の著者「カクテル ホントのうんちく話」=2008年刊=や米国の専門サイト情報)ことなど、さまざまな裏付け資料がこれまで紹介されています。s-IMG_4791.jpg

 しかし、マッケルホーンは、なんと別の説を紹介しているのです。バンブーの項の末尾に、 「ホフマン・ハウス(The Hoffman House)のチャーリー・マハニー(Charlie Mahoney)が1910年に考案した」 と書いています。チャーリー・マハニーは、ニューヨーク・マンハッタンの有名な社交クラブ、ホフマン・ハウスのチーフ・バーテンダーとして当時著名だった人で、オリジナル・カクテルもいくつか残しています( 写真 =Bamboo@ Bar K)。

 「マハニー=考案者」説は、欧米の他のカクテルブックやHPでもいくつか見られます。例えば、「(マホニーが)Bob Coleが1902年に発表した“Under The Bamboo Tree”という歌からヒントを得て考案した」と紹介する本(Mittie Hellmich著 「Ultimate Bar Book: The Comprehensive Guide To Over 1000 Cocktails」=2010年刊=ほか)や、「マホニーが考案し、インド在住の英国人にもとても人気があった。“リフォーム・カクテル”という別名もある」と記すサイト(Savoycocktails.appspot.com)などです。

 マッケルホーンが初版本で紹介している以上、 1910年代には、バンブーは少なくともロンドンやニューヨークではそれなりに知られていたカクテルであったことは確かです。 しかし、マッケルホーン=マハニーが「バンブー」とするカクテルのレシピは、エッピンガーのオリジナルとはかなり違う点等からして、このカクテルはむしろ、当時の標準的なマティーニのレシピのバリエーション(ジンをドライ・シェリーに代えたもの)とも言えます。

たまたま、日本から伝わった「バンブー」を知ったマハニーが、材料は一緒だから名前を拝借したのではないかと考えても不自然ではありません 。ただし、上記の石垣氏は、「ニューヨークで(マハニーによって)考案されたバンブーが横浜に伝わり、エッピンガーがそのレシピにアレンジを加えて紹介したため、日本ではエッピンガーの創作(オリジナル)と信じられてきたという考えも、あながち否定できない」としています。ただし僕個人としては、やはりエッピンガーが、アドニスのバリエーションとして、横浜のグランド・ホテルで考案したという従来の説を信じたい気持ちです。

 ちなみに、グーグルで検索してみると、「Bamboo Eppinger」では23件、「Bamboo Mahoney」では6件がヒットしました。 欧米の専門サイトでもやはり、エッピンガーを考案者とみているのが多数派のようです。 なお、「バンブー」の発表の時期については、1890年説のほかにも、エッピンガー没後の1908年とする説(出典:PBOのHP)や1920年代とする説(信憑性はかなり薄いでしょうが…)もあります。

 ちなみに、1910~30年代の欧米の主なカクテルブックでの「バンブー」の登場状況は、以下の通りです。この当時はベルモットもスイート(イタリアン)・ベルモットが主流であったため、バンブーと言えども、かなり甘口志向でつくる方法も見かけます。サヴォイ・カクテルブックに収録されていないのは大きな謎とも言えます。

・「173 Pre-Prohibition Cocktails」 (トム・ブロック著 1917年刊)米
   ドライ・シェリー2分の1、スイート・ベルモット2分の1 ※氷入りのグラスに注ぐ
・「The Savoy Cocktail Book」 (ハリー・クラドック著 1930年刊)英 → 収録なし
・「The Artistry Of Mixing Drinks」 (フランク・マイヤー著 1934年刊)仏 → 収録なし
・「The Old Waldolf-Astoria Bar Book」 (A.S.クロケット著 1935年刊)米
   ドライ・シェリー2分の1、ドライ・ベルモット2分の1、オレンジ・ビターズ2dash
・「Mr Boston Bartender’s Guide」 (1935年刊)米
   ドライ・シェリー3分の2、スイート・ベルモット3分の1、オレンジ・ビターズ1dash
・「Café Royal Cocktail Book」 (W.J.ターリング著 1937年刊)英
   ドライ・シェリー2分の1、ドライ・ベルモット2分の1、オレンジ・ビターズ1dash、レモン・ピール

 なお、エッピンガーは1907年、横浜で没し、外国人墓地に眠っているということです(出典:上記・石垣憲一氏の著書)。墓地は一般には非公開なので、参拝は叶わないのが残念ですが…。日本生まれの古いカクテルなので、「バンブー」は日本最初期のカクテルブックである前田米吉氏の著書「コクテール」(1924年刊)にも登場しています。レシピは、マッケルホーンと同様、ドライ・シェリー、ドライ・ベルモットが等量です。




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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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