Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2016/12/07
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16.青い珊瑚礁(Blue Coral Reef)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 シェイク

 日本生まれ(または日本人考案の)カクテルは数多くありますが、バーの現場で、半世紀以上も忘れられずに生き残っているものはそう多くありません。現代でも毎年、千を超える創作カクテルが生み出されていますが、残念ながらそのほとんどは、数年以内に忘れ去られてしまうのが現実です(その理由については、また別の機会に書きたいと思います)。

 「青い珊瑚礁」はそうした国内のカクテルの歴史の中で、長く生き残ってきたカクテルです。1950年(昭和25年)5月、戦後初めて開催された本格的なカクテル・コンクール「オール・ジャパン・ドリンクス・コンクール」(日本バーテンダー協会=当時はJBA=主催)で1位に輝きました。作者は名古屋のバーテンダー、鹿野彦司氏(後に名古屋・栄で「くらぶ鴻の巣」オーナー・バーテンダー。同協会の副会長も歴任)です。

 敗戦後の1947年、日本政府はGHQ(連合国軍総司令部)の指示で「飲食営業緊急措置令」を出し、国内での酒場営業や自由な酒類販売を禁じました。この規制は1949年5月にこの「措置令」が廃止されるまで続きました。「青い珊瑚礁」は、酒場営業解禁を記念する歴史的な一杯でもあったのです。

 カクテル名は、1948年に公開されたイギリス映画「ブルー・ラグーン(The Blue Lagoon)」にヒントを得たと鹿野氏自身が後に語っています(出典:「バーテンダー今昔物語」1970年刊)。その後、1955年に始まるトリス・バー開業ブームによって、日本国内に広まりました。

 しかし、その後様々なカクテル・コンクールが開催され優勝カクテルが生まれたにも関わらず、昭和20年代に誕生した創作カクテルで、今なお知名度を保っているのはこの「青い珊瑚礁」と「キッス・オブ・ファイア」(1953年=昭和28年のコンクールでの1位カクテル)くらいです。

 前者については、「戦後初のコンクールでの優勝作品」という大きな話題性もあって、業界でも長く記憶に残るカクテルとなりました。後者については、カクテル考案の年に歌手のペギー葉山が歌ったヒット曲「火の接吻(Kiss of Fire)」にヒントを得て考案した、言わば“タイアップの優勝作品”でした。

 前述のような話題性もあって、昭和30年以降に国内で出版されたカクテルブックではこの2作品は必ずと言っていいほど取り上げられました。そうした長年の積み重ねが、現代でも知名度を保っている大きな理由の一つと考えられています。

 なお、残念ながら同じような日本生まれのカクテル、「バンブー」や「ヨコハマ」、「チェリー・ブロッサム」とは違って、海外のカクテルブックでこの「青い珊瑚礁」を掲載した例は、現時点では確認されていません。

【確認できる日本初出資料】 「カクテール全書」(木村与三男著、1962年刊)。レシピは、ドライジン3分の2、クレーム・ド・マント・グリーン3分の1、マラスキーノ・チェリー&ミントの葉(飾り)、グラスの縁をレモンで濡らす(シェイク)。



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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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