Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

2017/04/23
XML
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X
 46.キール(Kir)

【現代の標準的なレシピ】 (容量の単位はml) 辛口白ワイン(適量)、カシス・リキュール(10) ※国際バーテンダー協会(IBF)の標準レシピでは、辛口白ワイン10分の9、カシス・リキュール10分の1  【スタイル】 ビルド

 今日でも代表的な食前酒の一つです。第二次大戦終結後の1945年頃、仏ブルゴーニュ地方・ディジョン(Dijon)市の市長、フェリックス・キール(Felix Kir 1876~1968)が考案したと伝わります(この定説には異論は出ていません)。カクテル名は彼の名に由来します。考案にあたっては、いくつかの理由があったと伝わっています。

 第二次大戦中、ブルゴーニュ地方の赤ワイン畑は、占領ドイツ軍に没収されていました。戦後、ディジョンでは地元の農業振興のため、赤ワイン畑の復興とともに、まだ出来が悪かった特産・アリゴテ種の白ワインの在庫を減らし、カシス・リキュールの消費を拡大させる必要がありました。このため白ワインとカシス・リキュールを使った食前酒をつくり、市の公式晩餐会では必ず出してPRしようということになったそうです。

 もう一つの理由としては、大戦直後の国内の物不足でシャンパンが足りず、代わりに白ワインを消費する必要があったということです。すなわち「キール」にはシャンパンの代用品という役割もあったようです(出典:Wikipedia英語版ほか国内外の専門サイト)。

 元々「ワインは酒場(バー)の酒ではない」という保守的な考えから、「キール」は主にレストランでの食前酒として発展してきたカクテルでした。仏の作家、フランソワーズ・サガン(Françoise Sagan 1935~2004)の小説「一年ののち(Dans un mois, dans un an)」(1957年発表)には「キール」が登場していることからも、1950年代にはフランス国内ではその名が知られるドリンクだったこと(出典:Wikipedia日本語版)は間違いありませんが、欧米のカクテルブックで紹介されることは、60年代後半まではほとんどありませんでした。

 しかし、1965年11月に出版された米国の有名な写真雑誌「LIFE」に、90歳でもなお元気で市長職を務めているキール氏の姿が紹介されたのがきっかけに、カクテル「キール」のことも世界的に広く知られるようになりました(出典:今井清&福西英三著「カクテル小辞典」)。ホテルや街場のバーでよく飲まれるようになったのは、欧米では1960年代の後半以降、日本では70年代後半以降と言われています。

 欧米のカクテルブックで「キール」が初めて登場するのは、現時点で確認した限りでは、1966年に英国で出版された「Booth's Handbook of Cocktails and Mixed Drinks」(John Doxat著)です。そのレシピは「ブルゴーニュの白ワイン(シャルドネ)4オンス、カシス・リキュール1tsp、お好みで氷を」(French Bartender's Associationのレシピによる)となっています。

 なお現代のフランスでは、カシス・リキュール以外、ブラックベリー・リキュール、ピーチ・リキュールを使った場合でもキールと呼ぶため、注文の際、どれを選ぶか問われる店もあるといいます。

 「キール」の白ワインをシャンパンに替えると「キール・ロワイヤル」となる(考案者はオーストリアのフーベルト・ドヴォルシャック氏)ことはよく知られています。「キール・ロワイヤル」のカシス・リキュールをラズベリー・リキュールに替えると「キール・インペリアル」と呼ばれます。また、白ワインを赤ワインに替えると、「キール・カージナル(またはカルディナール)」と呼ばれるます(出典:Wikipedia日本語版)。

【確認できる日本初出資料】 「カクテル小事典」(今井清&福西栄三著、1967年刊)。レシピは「冷やした辛口白ワイン60ml、クレーム・ド・カシス10ml」となっています。



・こちらもクリックして見てねー! 【人気ブログランキング】






PR

Profile

うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

Free Space

▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神戸の残り香 [ 成田一徹 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/5/29時点)


▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。 ▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

Favorite Blog

「続・豚肉と大根の… はなだんなさん

東北の夫婦旅。 きんちゃん1690さん

LADY BIRD の こんな… Lady Birdさん
きのこ徒然日誌  … aracashiさん
猫じゃらしの猫まんま 武則天さん
久里風のホームページ 久里風さん
閑話休題 ~今日を… 汪(ワン)さん
BARで描く絵日記 パブデ・ピカソさん
ブログ版 南堀江法… やまうち27さん
イタリアワインと音… yoda3さん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: