Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2018/04/07
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 80.シャンハイ(上海)(Shanghai Cocktail)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 シェイク

 誕生の詳しい経緯等は不明です。従来、多くのカクテルブックでは、「1920年代、”魔都”と呼ばれた上海にあった『外国租界』のバーで生まれたカクテル」と紹介されてきました(アヘン戦争で清国が敗れた後の1842年、上海には、中国の主権が及ばない欧米各国や日本の「租界」が生まれました。その後、租界では外国人向けホテルやバーも数多く営業するようになりました)。

 しかし、上海誕生説を裏付ける史料やデータは伝わっておらず、考案者が誰かももちろんよく分かりません。カクテルのレシピ(材料)には、あまり東洋的なものは見当たりませんが、ダーク・ラムとアニゼットでエキゾチックさを、グレナディン・シロップの赤で、当時の妖しげな「租界」の雰囲気を表現したのではないかと従来から言われてきました。

 しかし近年になって、1920年代の上海で生まれたカクテルではなく、1915年以降の欧州で考案されたのではないかという説が提起されています。当初は様々なバリエーションがあったようですが、「サヴォイ・カクテルブック」(1930年刊)の著者であるハリー・クラドックが、自分なりにレシピを固め、同書で初めて活字にしたのではないかというのです(出典:http://shanghaidrinkersclub.blogspot.jp/2012/02/shanghai-cocktail-chinese-puzzle.html)。

 その理由としてこのサイトはまず、上海で生まれたにしては、材料にまったく”オリエンタルなもの”がないことや、当時英国の植民地であったジャマイカのラムをベースにしていることなどを挙げています。
 さらに、このカクテルの材料の一つ、アニゼット・リキュールが一般的になったのは、欧州の主要な国でアブサン( 【注】参照 )の製造・販売・流通が1915年までに禁止され、代替品としてパスティスなどと共に普及し始めてからで、20年代の上海でアニゼットが一般的だったとは思えないことも理由にしています( 【注】 幻覚作用を引き起こすというニガヨモギを使う旧タイプのアブサン。現在流通しているアブサンとは違う)。

 私も昔は「上海誕生説」を支持していましたが、現在では、レシピからしても上海と言うより英国・ロンドンで生まれたと考える方が素直かなと思うようになりました(もちろん30年代以降、英国と上海との人やモノの行き来が頻繁になると、当然、上海の租界でも「シャンハイ・カクテル」は普通に飲まれるようになったでしょうが…)。

 欧米のカクテルブックで「シャンハイ」が登場するのは、前述のように「サヴォイ・カクテルブック」が最初です。そのレシピは「ジャマイカ・ラム2分の1、レモン・ジュース8分の3、アニゼット8分の1、グレナディン・シロップ2dash(シェイク)」となっています。

 ご参考までに、「サヴォイ…」以降、1930~50年代の欧米の主なカクテルブックで「シャンハイ」がどのように紹介されているのか、ざっと見ておきましょう。

・「The Artstry of Mixing Drinks」(Frank Meier著、1934年刊)仏
 ラム2分の1グラス、レモン・ジュース4分の1個分、ペルノー1dash、グレナディン・シロップ1tsp(シェイク)

・「World Drinks and How To Mix Them」(William Boothby著、1934年刊)米
 ジャマイカ・ラム2分の1ジガー、レモン・ジュース2分の1ジガー、アニゼット1tsp、グレナディン・シロップ2dash(シェイク)

・「Trader Vic's Bartender's Guide」(Victor Begeron著、1947年刊)米
 ジャマイカ・ラム1オンス、レモン・ジュース4分の1個分、アニゼット1tsp、グレナディン・シロップ2分の1tsp(シェイク)

・「The Official Mixer's Manual」(Patrick Gavin Duffy著、1948年刊)米
 ジャマイカ・ラム1ジガー、レモン・ジュース3分の2オンス、アニゼット3分の1オンス、グレナディン・シロップ2dash(ステア)

・「Esquire Drink Book」(Frederic Birmingham著、1956年刊)米
 ジャマイカ・ラム1ジガー、レモン・ジュース3分の2オンス、アニゼット3分の1オンス、グレナディン・シロップ2dash(ステア)

 「シャンハイ・カクテル」は、日本でも比較的早く1920年代後半には伝わり、1930年代のカクテルブックですでに登場しています。個人的には、今も通用する個性的な味わいのカクテルだと思っていますが、現代の日本のバーでは、飲まれているのをあまり見たことがないのが少し残念です。

【確認できる日本初出資料】 「スタンダード・カクテルブック」(村井洋著、NBA編 1936年刊)。
 著者の村井氏は「ジャマイカ・ラム2分の1、レモン・ジュース8分の3、アニゼット8分の1、グレナディン・シロップ2dash(シェイク)」というサヴォイ・レシピとともに、石川欣一というロンドン特派員をしていた新聞記者が1927年の帰国時に、「ロンドンで大流行していたシャンハイ・カクテルとして、ジャマイカ・ラム3分の2、レモン・ジュース4分の1個分、グレナディン・シロップ茶さじ2(シェイク)というレシピを銀座界隈の酒場に教え、その後広まった」と紹介しています(アニゼットは抜け落ちていますが…)。
 このことからも、1920年代後半のロンドンで、シャンハイ・カクテルはかなり普及していたことは間違いありません。



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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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