Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2018/04/30
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 83.シンガポール・スリング(Singapore Sling)

【現代の標準的なレシピ】
◆レシピ1 → ジン(20~30)、チェリー・ブランデー(30~40)、レモン・ジュース(15~20)、シュガー・シロップ1tsp、氷、ソーダ(適量)、飾り=レモン・スライス&チェリー(出典:国内外のカクテルブックやWeb専門サイトなど多数)
 ※ジン(45)、チェリー・ブランデー(15)、レモン・ジュース(20)、シュガー・シロップ1tsp、氷、ソーダ(適量)という比率のレシピもある。

◆レシピ2 (1920年代のラッフルズホテルのレシピ。当初は「Straits Sling」と呼ばれていたという)→  ジン(40)、チェリー・ブランデー(10)、ベネディクティン(10)、レモン・ジュース(15)、アンゴスチュラ・ビタース&オレンジ・ビターズ各2dash、クラッシュド・アイス、ソーダ(適量)、飾り=レモン・ツイスト(出典:Wiki.Webtender.com)。
 ※誕生当時のレシピは現在残っていないが、ジンはビフィーターを使用していたと伝わる。

◆レシピ3 (現在のラッフルズ・レシピ)→ ジン(30)、チェリー・ブランデー(15)、ベネディクティン1.5tsp、コアントロー1.5tsp、グレナディン・シロップ(10)、パイナップル・ジュース(120)、ライム・ジュース(15)、アンゴスチュラ・ビタース1dash、飾り=パイナップル・スライス&チェリー(出典:Wikipedia日本語版)
【スタイル】 シェイクまたはビルド

 シンガポールのラッフルズ・ホテル(Raffles Hotel)で誕生した世界的カクテルです。同ホテルを定宿にしていた英国の文豪サマセット・モーム(Somerset Maugham<1874~1965>)が愛飲したことでも知られています。「スリング」とは「スピリッツにレモン・ジュース、炭酸を加え、好みによって甘みを加えるスタイル」のこと。独語の「シュリンゲン(飲み込む)」由来の言葉と言われています。

 誕生の時期や考案者については、1910年~1915年の間に、ラッフルズ・ホテルのバーで、同ホテルのバーテンダー、ニャン・トン・ブン(Ngiam Ton Boon 中国名「巌崇文」)が考案したと伝わっていますが、オリジナル・レシピはその後失われ、同ホテルは「(現在では)正確なレシピはよく分からない」と認めています(出典:石垣憲一氏の著書「カクテル ホントのうんちく話」=2008年刊=ほか)。

 なおこのカクテルは当初は、「シンガポール・スリング」ではなく、「ストレーツ(海峡)・スリング<Straits Sling>」と呼ばれていました。「シンガポール・スリング」の名が定着し、世界的に普及するのは1930年代以降です(出典:上記・石垣氏の著書ほか)。

 欧米のカクテルブックでこの「ストレーツ・スリング」が初めて活字になったのは、現時点で確認できた限りでは、米国で1922年に出版された「Cocktails: How To Mix Them」(Robert Vermeire著)です。
 レシピは「ジン2分の1、チェリー・ブランデー8分の1、ベネディクティン8分の1、レモン・ジューズ半個分、アンゴスチュラ・ビターズ&オレンジ・ビターズ各2dash、ソーダ」で、「シンガポールではとても有名なドリンクである」との添え書きもあります。

 「シンガポール・スリング」と呼ばれるようになったのは、ロンドンのバーテンダー、ハリー・クラドック(Harry Craddock)が、1930年にその著書「サヴォイ・カクテルブック(The Savoy Cocktail Book)」上で、「ストレーツ・スリング」をアレンジした独自レシピを「シンガポール・スリング」の名で紹介したのがきっかけだと考えられています(出典:Wiki.Webtender.com→「Singapore Sling」という名を伝えた、おそらく世界初の新聞記事=1930年4月6日付のThe Washington Post=を紹介しています)。

 現在伝わっているラッフルズ・ホテルの「オリジナル・レシピ」は、1977年、当時のホテル支配人、ロベルト・プレガルズが公表したものがベースになっています。なお、カクテルブック等では、「ラッフルズ・ホテルのLong Barで誕生した」と紹介されていることも多いのですが、このバーの名が「Long Bar」となったのは1967年だということです(出典:石垣氏の著書。まぁラッフルズ・ホテルのバーで誕生したことは間違いないでしょうが…)。

 ご参考までに、1930~50年代の主なカクテルブックで「シンガポール・スリング」がどのように紹介されているか、ざっと見ておきましょう(※以下の各レシピは、例外なくロング・スタイルです)。

・「The Savoy Cocktail Book」(Harry Craddock著、1930年刊)英
 チェリー・ブランデー2分の1、ジン4分の1、レモン・ジュース4分の1、氷、シェイクした後にソーダ(シェイク) 
 ※「ストレーツ・スリング」も併せて紹介されていますが、そのレシピは「ジン3分の2、チェリー・ブランデー6分の1、ベネディクティン6分の1、レモン・ジュース3分の1個分、アンゴスチュラ・ビターズ&オレンジ・ビターズ各2dash、氷、シェイクした後にソーダ」となっています。

・「The Artistry Of Mixing Drinks」(Frank Meier著 1934年刊)仏 
 ジン2分の1、チェリー・ブランデー2分の1、レモン・ジュース半個分、氷、ミネラルウォーター適量(ビルド)

・「The Official Mixer's Manual」(Patrick Gavin Duffy著、1934年刊)米 
 ジン60ml、チェリー・ブランデー30ml、シュガー・シロップ1tsp、レモン・ジュース半個分、1dashアンゴスチュラ・ビターズ、氷、シェイクした後ソーダ(シェイク) ※「Straits Sling」も収録されている。レシピは「ジン2分の1、チェリー・ブランデー4分の1、ベネディクティン4分の1、氷、ソーダ」です。

・「Mr Boston Bartender’s Guide」(1935年刊)米 
 ジン2オンス(60ml)、チェリー・ブランデー2分の1オンス(15ml)、パウダー・シュガー1tsp、レモンジュース半個分、氷、ソーダ(ビルド)

・「Café Royal Cocktail Book」(W.J. Tarling著 1937年刊)英 
 ドライ・ジン2分の1、チェリー・ブランデー4分の1、ベネディクティン4分の1、ライム・ジューズ半個分、氷、シェイクした後にソーダ(シェイク)

・「Trader Vic’s Book of Food and Drink」(Victor Bergeron著 1946年刊)米 
 ジン1オンス(30ml)、チェリー・リキュール2分の1オンス(15ml)、スロージン2分の1オンス(15ml)、カシス・リキュール4分の1オンス、グレナディン・シロップ1dash、カットライム1個分のジュース、氷、ソーダ、スライス・オレンジ&マラスキーノ・チェリー=飾り(ビルド)

・「The Stork Club Bar Book」(Lucius Beebe著 1946年刊)米 
 ジン2オンス、チェリー・リキュール4分の3オンス、ベネディクティン1dash、レモン・ジュース(適量)、氷、ソーダ、スライス・オレンジ&生ミント=飾り(ビルド)

・「Esquire Drink Book」(Frederic Birmingham編、1956年刊)米 
 ジン2分の1ジガー(約23ml)、チェリー・ブランデー2分の1ジガー、アプリコット・ブランデー2分の1ジガー、スロージン1ジガー、ライム・ジュース半個分、シュガー・シロップ1tsp。氷、ソーダ、チェリー&スライス・オレンジ&パイナップル=飾り(ビルド)

 「シンガポール・スリング」は1920年代前半までには日本に伝わっています。「シンガポール・スリング」での日本初出資料は、以下に示す「スタンダード・カクテルブック」(1936年刊)ですが、「ストレーツ・スリング」はそれよりも12年早い1924年刊の「コクテール」(前田米吉著)で登場しています。

【確認できる日本初出資料】 「スタンダード・カクテルブック」(村井洋著、NBA編 1936年刊)。そのレシピは「ジンをリキュールグラス2杯、チェリー・ブランデーをリキュールグラス1杯、レモン・ジュース4分の1個分、氷、シェイクした後ソーダで満たす」となっています。
 なお「コクテール」収録の「ストレーツ・スリング」のレシピは、「オールドトム・ジン(60ml)、ブランデー(15ml)、ドム=ベネディクティン(15ml)、レモン・ジュース(15ml)、アンゴスチュラ・ビタース&オレンジ・ビターズ各2dash、氷、平野水(炭酸水)」で、チェリー・ブランデーの代わりにブランデーを使っています。



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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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