Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2021/01/18
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カテゴリ: ITTETSU GALLERY
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 ITTETSU GALLERY:もう一つの成田一徹(81)~(100)

 バー・シーンを描いた切り絵で有名な成田一徹(1949~2012)ですが、実は、バー以外をテーマにした幅広いジャンルの切り絵も、数多く手掛けています。花、鳥、動物、職人の仕事、街の風景、庶民の暮らし、歴史、時代物(江戸情緒など)、歴史上の人物、伝統行事・習俗、生まれ故郷の神戸、小説やエッセイの挿絵、切り絵教則本のためのお手本等々。

 今回、バー・シーンとは一味違った「一徹アート」の魅力を、一人でも多くの皆さんに知ってもらいたいと願って、膨大な作品群のなかから、厳選した逸品を1点ずつ紹介していこうと思います(※一部、バー関係をテーマにした作品も含まれますが、ご了承ください)。
※絵の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします。


(81)カワセミと薔薇 (1993年)
 ※鳥の中でも、カワセミは一徹氏がとくに好んだモチーフ。色鮮やかな薔薇と組み合わせたこの幻想的な構図は、何を意味しているのは分からないが、この年、初めて上梓した入門者用テキスト「だれでもできる最新切り絵教室」(誠文堂新光社・刊)の巻頭を飾った。


(82)七福神 (2000年頃)
 ※一徹氏は「目出度い」テーマの作品も、頼まれた仕事として、あるいは切り絵教則本の「お手本」(作例)として、何度も切り絵にしている。とくに「七福神」は好きなモチーフだった。


(83)一富士二鷹三茄子 (1996年)
 ※元旦。年の初めということで、昨日に続き「目出度い」モチーフの作品。縁起の良い初夢の例えとして、この「一富士二鷹三茄子」は江戸時代初めにはすでに「ことわざ」として知られていた。
 由来は諸説あるが、最も有力なのが駿河の国の名物を並べたという説。駿河には日本一の富士山があり、富士山麓に棲む鷹は鷹の中でも最高の種とされ、駿河産の茄子も逸品であったことから、優れたものの象徴として三つを並べたというもの。
 ちなみに、江戸時代の国語辞書『俚言集覧(りげんしゅうらん)』によれば、このことわざには「四扇五多波姑(たばこ)六座頭」という続きがある。扇は末広がり、多波姑=煙草(の煙)は上昇するので、運気が上がるとされ、座頭(髪のない視覚障害の人)は毛が無い(=怪我無い)ので「安全無事」につながるということらしい。






(84)新年の祝膳(三点揃い) (2006年)
 ※正月三が日は、引き続き「目出度い」絵柄で。一徹氏は、生涯に二度(1996年と2006年)「切り絵12カ月カット集」(誠文堂新光社・刊)というタイトルの本を出版している。これはその「1月編」に収録された作品のごく一部。



(85)福寿草 (1990年代前半)
 ※春を告げるキンポウゲ科の多年草で、正月を象徴する花の一つ。花言葉は「永久の幸福」「幸せを招く」等々で、「元日草」との別名も持つ。この作品は、毎日新聞の休刊日告知チラシのカット絵として制作された。


(86)神戸百景 (1981年)  ペン画
 ※一徹氏の生まれ故郷の神戸で、1981年、初めて全国規模の博覧会「ポートピア神戸」が開催された。これを記念して、神戸のタウン誌から依頼された作品。神戸にちなんだ様々な情景、人々が描かれている。なかには「鬼が松明を持つ姿」(長田神社の追儺式<ついなしき>)など一見神戸らしくないモチーフもあるが、これは何だろう? 誰だろう?と考えてみるのも面白い。



(87)ハウストン通りのデリカテッセン (1993年)
 ※海外の大都市のなかでも、とりわけニューヨークが大好きだった一徹氏。生涯に何度かこの地を訪れた。ニューヨークではもっぱらバー巡りに時間を費やしたが、時には食事のため、このようなセルフサービスのデリカテッセンにも行った。
 これはグリニッジ・ヴィレッジに今もある「KATZ’S」という有名な店(1888年創業)。「人種のるつぼ」ニューヨークらしい店内の雰囲気に、一徹氏の絵心は大いに刺激されたに違いない。
 なお、「ハウストン」通りの名の綴りは「Houston」でテキサス州ヒューストンと同じだが、この通りの名は、1787年のフィラデルフィア憲法制定会議でジョージア州代表だったウィリアム・ハウストン(William Houstoun)の名前由来で、「ヒューストン」とは発音しない。米国人でもよく間違うので有名なんだとか(Houstounの綴りは後に公式にHoustonに改められたという)。



(88)江戸情緒:武家の煤払い (2011~2012年頃)
 ※一徹氏の「江戸情緒」をテーマにした作品は、浮世絵を下敷きにしたものが多い。これは喜多川歌麿(1753?~1806)作の浮世絵「武家煤払の図」を参考に制作されたもの。江戸時代、武家では煤払いは12月の吉日に行うのが習わしだった。そしてこの日が「正月の始め」とされたという。なおこの絵は、元絵(下)とは人物の配置などをかなり変えた構図となっている。お時間があれば、元絵と比べて頂ければ幸いです。
 (※この絵では左手前の女性のみ「彩色」した紙を使っている。全体のバランスからすれば不自然なので、おそらくは、何らかの理由で完成途上で放置されたのでないかと思われる)。




(89)下北の親子猿 (2000年頃)
 ※動物をテーマにした切り絵も多い一徹氏。写実的に表現するか、やや漫画的にコミカルに描くか、いつも頭を悩ませていたが、いずれの場合でも、その動物が持つ自然な魅力や可愛らしさを伝えたいと願っていた。この青森・下北半島で「雪に震える親子猿」は、写実と漫画の中間くらいの味わい。ほのぼのとした愛情が伝わってくる。


(90)クラシック・ファッションのための小品<C> (1990年代前半)
 ※一徹氏はこの類のクラシック・ファッションの作品を10数点残しており、この連載の(18)や(48)の作品とほぼ同じ時期に制作したと思われる。一連の作品は残念ながら、どの媒体のために、何のためにつくったのか、現時点でははっきりしていない。



(91)鬼平がゆく (1999年)
 ※1999年10月に刊行された「毎日MOOK 鬼平を歩く」(毎日新聞社刊)の表紙を飾った作品。一徹氏は関西人だが、江戸の町への思い入れも結構強く、上京後、下町の雰囲気が残る谷中に居を構えたのも、それが大きな理由かもしれない。ドラマの「鬼平犯科帳」(原作者は池波正太郎)も大好きで、主人公・長谷川平蔵の切り絵も残している。仕事の合間に「鬼平」が活躍した時代(天明~寛政期)の江戸の面影をたどったりしていたという。


(92)冬のカモシカ (1995年頃)


(93)ブラッサイに捧ぐスケッチ (1981年) 筆ペン
 ※ブラッサイ(Brassai 本名は、ジュラ・ハラース<Gyula Halasz>1899~1984)はハンガリー出身の世界的写真家。1920~30年代、パリを拠点にして、カフェに通いながら多くの文化人とも交流し、パリの街や人びとの様々な表情をカメラでとらえた。1932年に出版された写真集「夜のパリ」は世界的ベストセラーになった。
 日本でも1977年、みすず書房から写真集「未知のパリ 深夜のパリ」として初めて紹介されたが、この本に衝撃を受けた一徹氏は、80年代前半パリを訪れた際にも、ブラッサイが撮った20~30年代のパリの面影を追った。スケッチブックには、ブラッサイが撮ったであろうパリの人々が、筆ペンで軽やかに残されている。



(94)エッセイのための挿絵(女性像) (1980年代後半)
 ※熱い情感に溢れるような半裸の女性。金網とブラシを使ったスパッタリング(霧吹き手法)で濃淡2種類の茶色に処理した紙(1枚はグラデーションに)を使った異色の作品である。一徹氏の落款のスタイルから判断すれば、上京直後(1988年頃)の作品。
 月刊誌「婦人公論」収録のエッセイの挿絵のために制作されたことははっきりしているが、誰のエッセイだったのかが明確ではない。この頃、一徹氏が一番よくタッグを組んでいたのは、エッセイスト&評論家の西舘好子さん(故・井上ひさし氏の元妻)だったので、おそらくは、西舘さんの文章に添えた挿し絵と想像している。



(95)豆まき (1993年) 切り絵に手彩色
 ※一徹氏の切り絵はモノトーンが基本だが、時にはこのような透明水彩絵の具での手彩色を併用した作品をつくった。画面の左右と下の黒い枠線が、なぜか歪んでいる。一徹氏が意図的にそのようにしたのかは分からないが、結果的にそれが画面全体に「動き」を生み出している。



(96)4 Faces (2000年頃)
 ※月刊誌(おそらくは「ミステリー・マガジン」)に掲載された推理小説のための挿絵。一徹氏と「ミステリー・マガジン」=早川書房との付き合いは1988年の上京前から始まり、仕事の依頼は亡くなる直前まで長く続いた。遺された作品の中には、このような推理小説の挿絵として制作された小作品が数多くある。


(97)海王丸 (1980年代前半) ペン画に手彩色
 ※神戸港振興協会に勤めていた頃、一徹氏はたびたび仕事場のそばの突堤に接岸する帆船を見る機会があった。時には業務として、船員たちの接遇や船内の一般公開の手伝いにも行った。スケッチブックに残されていたこの1枚は、おそらくはそんな機会に描いたのだろう。繊細なタッチのペン画に、一徹氏はあえてセピア色の彩色を施し、まるで水墨画のような雰囲気をつくり出している。



(98)ジャズの街・神戸 (1990年代半ば)
 ※国際港湾都市・神戸は、ジャズを聴かせる店(ライブハウスやジャズ喫茶など)が多いことでも知られる。ジャズのイベントもたびたび開かれる。これは、あるジャズ・イベントのポスターために制作したもの。ゲストであるトランぺッター・日野皓正氏をフューチャーした絵柄になっている。



(99)火の鳥・再生 (1995年)
 ※1995年1月17日に発生し、6434人が犠牲になった阪神淡路大震災。自らの実家(神戸市長田区)も半壊被害を受けた一徹氏だったが、東京から故郷・神戸のために、5種類の絵柄のチャリティ葉書を制作して、売上金はすべて寄付するなど被災者支援に協力した。これはそのチャリティ作品の一つ。第28回で紹介した「1995 春 神戸に」(下の絵)もこのチャリティ葉書のための作品である。







(100)オブジェ:バーの情景  1990年代後半
 ※昨年10月11日から始めたこの「ITTETSU GALLERT:もう一つの成田一徹」。今のところ1日の休みもなく続けていますが、本日めでたく100回を迎えました。節目にふさわしいかどうかは分かりませんが、100回目にぴったりの珍品を紹介します。
 制作理由や動機はよくわかりませんが、90年代後半に一徹氏が自らつくった不思議なオブジェです。大きなサイコロのようなボール紙製の立方体ボックスの5面に、それぞれ違う切り絵原画を貼り付けられています(写真6枚目)。
 ボックスの内部には、小さなスピーカーと音源が仕込まれています(写真7枚目)。バッテリーは9V電池。スピーカーから手動ボタンの付いたコードが伸びています。そのボタンを押すと、バーの店内の声やグラスが触れ合う音に交じって、なんと一徹さんの声(言葉)が聞こえるのです。
 「マスター、ジン・リッキーお願いします!」。その注文に対して、「はい、わかりました!」というマスターの元気な声も入っています。
 このマスターの声の主は誰なんだろう?と思って、何人かに尋ねてみました。一徹氏のこのような奇妙なオブジェづくりに、気軽に協力してくれるマスターと言えば…。そうです。現在、神戸のバー・サヴォイ北野坂のオーナー・バーテンダーである木村義久さんでした。木村さんに確認すると、「なんとなく覚えています。一徹さんから突然、録音するからお願いねと、付き合わさせられた記憶があります」とのことでした。

 もし、在りし日の一徹さんの肉声が聞きたいというお方は、このオブジェはバーUKにありますので、マスターまでお声がけください。






※絵の制作時期については正確に分からないものも多く、一部は「推定」であることをお含みおきください。


【Office Ittetsuからのお願い】成田一徹が残したバー以外のジャンルの切り絵について、近い将来「作品集」の刊行を計画しております。もしこの企画に乗ってくださる出版社がございましたら、arkwez@gmail.com までご連絡ください。


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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