Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2021/05/18
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カテゴリ: ITTETSU GALLERY
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 ITTETSU GALLERY:もう一つの成田一徹(201)~(220)

 バー・シーンを描いた切り絵で有名な成田一徹(1949~2012)ですが、実は、バー以外をテーマにした幅広いジャンルの切り絵も、数多く手掛けています。花、鳥、動物、職人の仕事、街の風景、庶民の暮らし、歴史、時代物(江戸情緒など)、歴史上の人物、伝統行事・習俗、生まれ故郷の神戸、小説やエッセイの挿絵、切り絵教則本のためのお手本等々。

 今回、バー・シーンとは一味違った「一徹アート」の魅力を、一人でも多くの皆さんに知ってもらいたいと願って、膨大な作品群のなかから、厳選した逸品を1点ずつ紹介していこうと思います(※一部、バー関係をテーマにした作品も含まれますが、ご了承ください)。
※故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします。


(201)飛べるよ、ボクは!   1990年代前半
 ※何かのエッセイのための挿絵のために制作された作品だろうが、切り絵技法書の「作例」としても収録された。石段の上からのジャンプ。一見、危険な遊びだが、男性なら、幼い頃に一度や二度はやった経験があるのではないだろうか。それにしても、一徹氏の描く子どもたちの表情は生き生きして、可愛い。



(202)ユリと女   1990年代前半
 ※これも、おそらく何か小説かエッセイの挿絵のために制作されたのであろう作品。斜め上から見下ろすような構図、対象も画面全体には描かず、見る人の想像力に任せる。一徹氏の絵の配置ではよく見られる手法である。




(203)熱帯魚たち   1990年代前半
 ※動物や植物の切り絵はあれこれと数多く手掛けた一徹氏だったが、魚類をモチーフにした作品は意外と少ない。nこれは、切り絵技法書の「作例」として制作したもの。上下で反対方向を向いた熱帯魚たち。その間には白い空間。元々は本の表紙用に作って白い部分はタイトルなど文字スペースのための余白だったのか、それとも別の意図があった構図だったのか…。




(204)円空仏   1993年
 ※江戸時代の修業僧・円空(1632~1695)が手掛けた荒削りな仏像彫刻は「円空仏」とも呼ばれ、生涯に10万体以上の仏像を制作したと言われ、全国で約5300体が確認されているという。その荒削りな質感を表現するために、一徹氏はスクリーントーンをコピーした紙を切って、黒い紙に貼り付けるという手法を選んだ。その狙いは見事に成功している。この作品も93年に出した切り絵技法書の「作例」として収録された。




(205)ごろ寝でテレビ(常盤新平氏の連載エッセイのために)   1990年
 ※ビールを飲みながら、ごろ寝でテレビのゴルフ番組をのんびりと観る男性。まるで「緊急事態宣言」期間で家にこもっている我が身を見るような切り絵(私の場合は野球中継が多いが…)。プロデビュー(1988年)直後から、常盤氏とは何度もコラボした一徹氏なので、絵のタッチにもなんとなく、ほのぼのとした余裕が感じられる。




(206)森の小川で水遊び   1986年
 ※プロデビュー前の一時期(1年間ほど)、一徹氏は灘神戸生協(コープこうべ)の広報紙の表紙を担当していた。フルカラー印刷だったので、時間も手間もかかり大変だったが、毎回一生懸命取り組んだ。この切り絵も、森の奥行きや多様性を表現するために、バックに様々な同系色を使うなど手の込んだ作品になっている。




(207)鯉のぼり   1995年
 ※作家・半藤一利氏の連載エッセイ「歴史探偵かんじん帳」(毎日新聞日曜版掲載、1994~95年)の1回(95年5月7日付)に使われた作品。一徹氏の手にかかれば、風に泳ぐ3匹の鯉も、かように生き生きと表現される。この回の内容によれば、「端午の節句」自体は中国からの伝来らしいが、「鯉のぼり」の風習は日本発祥らしい。ただし、最近は鯉のぼりを立てる家も少なくなった。




(208)海辺のプールサイド   1980年代前半  貼り絵&切り絵
 ※プロデビュー前の、1980年代前半。まだサラリーマンだった一徹氏は、「美大卒ではない自分には、基礎的な画力、表現力、デッサン力が決定的に不足している」と痛感、講談社フェーマススクールズの通信講座で、プロの講師からデッサンや配色の基礎から画面上での素材配置、画材の使い分け術などを学び始めた。講座では年に数回、講師から直接教えてもらえるスクーリングも開催された。
 これは「夏らしい風景を、数種類の色紙を使って表現しなさい」という提出課題として制作したもの。一徹氏は、4色(種類)の紙をデザインナイフとハサミを使って切り、貼り絵の手法で制作した。カッティングや素材の配置には、後の切り絵のような味わいや雰囲気が感じられる。まさに一徹切り絵の「原点」と言えるような作品かもしれない。ここからアーチスト・成田一徹の人生(画業)が始まった。




(209)密 談   1990年代後半
 ※本棚の前で、何やら真剣な表情で話し合う学者風の男性3人。ミステリー・マガジンか何かの雑誌の依頼を受けた作品。おそらくは推理小説ための挿絵の一つだろう。3人のうち2人の服の柄には、それぞれ違う模様のスクリーントーンをコピーした紙を使い、画面全体にメリハリを付けている。モノクロームの切り絵とは言っても、時には単純に白、黒だけで仕上げないのは一徹氏ならではの拘り(小技)なのだろう。




(210)ビリヤード・チャンピョンA氏   2011年
 ※作家・村山由佳さんのエッセイ「世界チャンプから学ぶこと」(「あんしんLife」2011年10月号掲載)のための挿絵。エッセイでは、村山さんが交友を持つビリヤードの世界チャンピョン・赤狩山幸男さんのことを取り上げ、プロのアスリートの「人に見えないところでの地道な努力の凄さ」について綴っている。
 私はこれを読んで、一徹氏にも同じ「努力の凄さ」を見たことを思い出していた。バー巡りする時間以外はほぼ机に向かい、新作の切り絵を次々生み出していった。新たな技法や画材も試し、常に勉強・研究を怠らず、人に見えないところで努力し、プロとして仕事への真摯な態度と矜持を、終生持ち続けた一徹氏だった。




(211)大海原を往く帆船   1993年
 ※その年に顕著でユニークな業績を上げた人や企業を表彰した「パイオニア・オブ・ザ・イヤー」(関西テレビ主催)の第5回記念としてつくられたテレホンカード。この年(1993年)の受賞者が誰だったのかは、残念ながら、テレカの表面からは確認できないが、このような図柄を一徹氏に依頼したことからしても、海関係の人物か企業、団体だったのだろう。ちなみに、この「パイオニア…」という表彰制度は今も続いているのだろうか…(ネットで検索しても確認できなかった)。




(212)コウベハイボール(テレカ)   1984年
 ※昨日に続き一徹氏が手掛けたテレカ(テレホンカード)を紹介。今ではほとんど見かけなくなったテレカだが、個人用の携帯電話がまだ登場していなかった80年代は人気アイテムの一つで、記念品として制作する会社や店舗が多かった。
 これは、氷無しハイボールで有名だった神戸のバー「コウベハイボール」(1990年に閉店)が、創業30周年の記念品として1984年に制作したもの。一徹氏はその生涯で、他にも数多くのバーから「周年記念テレカのための特別な切り絵」を頼まれた(例えば、銀座の老舗バー「ダルトン」→ 下の画像ご参照)が、大好きなバーからの仕事とあって、いつも喜んで引き受けていた。







(213)ザ・シガー・ストーリー(テレカ)   2002年
 ※しつこくてすみません(笑)。3日連続で一徹テレカをご紹介。これは一徹氏と城アラキさんの共著「ザ・シガー・ストーリー 葉巻をめぐる偉人伝」(2002年、集英社刊)出版の際の記念品。私の手元にはこの1枚だけ残っている。
 おそらくは、販促ツールとして集英社側が制作したものだろう。絵の舞台(モデル)となったのは、今はなき銀座の名バー「ボルドー」のように見えたが、カウンターに椅子があるので違う(ボルドーのカウンターは、スタンディングだった)。これは何処のバーを描いたのだろうか?




(214)くいだおれ太郎の休息   2000年
 ※一徹氏は、仲の良かった同業のアーチスト、ウノ・カマキリ氏、楢喜八氏と3人で、1995年からほぼ毎年「八・一(はちいち)トリオ原画展」を全国の大都市で開催し続けた。これは2000年に大阪で開催した際、案内はがき用に制作した切り絵。
 モチーフは、言わずもがなだが、大阪ミナミ・道頓堀の飲食レストラン「くいだおれ」(現在は閉店)の名物人形「くいだおれ太郎」である。ただし、トレードマークの「太鼓を叩いている姿」ではなく、「ちょっとひと休み」している姿をユーモラスに描いたのは、やはり一徹氏ならではの”遊び心”だろう。



(215)くいだおれ太郎   1999年
 ※昨日に続いてもう1枚、「くいだおれ太郎」の絵を。1974年から2001年まで発行されていた「週刊小説」(実業之日本社刊)の1999年4月2日号掲載。この号に掲載された「推理小説のための挿絵」ということは残された資料から判明しているが、残念ながら、誰の作品のための挿絵かは、現時点では不明。



(216)飛田の踏切   1984年頃  ペン&デッサン用黒鉛筆
 ※飛田(とびた)と言えば、大阪市内南部のディープなエリア。どういうエリアなのかは、ここでは敢えて説明を省く。これは飛田界隈の駅(飛田本通駅?)のそばの南海電鉄の天王寺支線(天王寺~天下茶屋間)の踏切を描いたスケッチ。一徹氏はかなり時間をかけて、細かく描き込んでいる。ただし、残念ながらこの支線は1993年に廃線となって、駅も今はない。
 いつ頃描かれたスケッチかは、踏切のそばに立つ映画館の看板の上映作品が決め手になった(看板の左側にある3つの作品は、それぞれ1977年<成龍拳>、1980年<土佐の一本釣り>、1984年<月の夜星の朝>の封切り公開)。



(217)森 鷗外  2001年
 ※言わずと知れた明治・大正期の文豪(1862<文久2年>~1922<大正11年>)である。本名は、林太郎。石見国津和野(現・島根県津和野町)出身。東京帝国大学医学部卒。陸軍省派遣留学生としてドイツで4年間医学を学んだ後、陸軍軍医(最後は軍医総監=中将に相当=まで昇任)を務めながら、小説、評論、翻訳と幅広い分野で執筆活動を続けた。代表作に小説「舞姫」「ヰタ・セクスアリス」「雁」「阿部一族」「高瀬舟」、訳詩編「於母影」、翻訳「即興詩人」(アンデルセンの小説)など。
 この切り絵は、「ザ・シガー・ストーリー 葉巻をめぐる偉人伝」(城アラキ氏との共作。隔週刊の漫画雑誌「スーパー・ジャンプ」連載。2002年に集英社から単行本化)で、森鴎外を取り上げた回のために制作したもの。



(218)傘を開いて学校へ  1990年代前半
 ※各地域で梅雨入りのニュースも聞かれる昨今。出かける際は傘が欠かせない季節になってきた。これは、何度か登場している毎日新聞の「休刊日お知らせチラシ」のための作品。後ろ姿で学童を描いて、後は「見る人に想像力に任せる」のは一徹氏の得意の手法(構図)である。



(219)あした天気になーれ!  1990年代前半
 ※昨日に続いて「雨」をテーマにした絵。これは、切り絵技法書の作例(お手本)として制作したもの。バックに使っているスクリーントーンをコピーした紙が効果的だ。それにしても一徹氏が描く子どもたちの何気ない表情は、ほんとピュアで可愛いと思う。



(220)雨の紫陽花  1995年頃
 ※「梅雨入り」したということもあって、一昨日から「雨」をテーマにした作品を紹介している。で、梅雨時に一番ぴったりくる花は?と考えた場合、やはりこれだろうということで、本日は紫陽花の切り絵をご紹介(96年に出版した自著「切り絵12カ月1000カット」にも「作例」として収録された)。



※絵の制作時期については正確に分からないものも多く、一部は「推定」であることをお含みおきください。

★過去の総集編ページをご覧になりたい方は、 こちらへ。

【Office Ittetsuからのお願い】成田一徹が残したバー以外のジャンルの切り絵について、近い将来「作品集」の刊行を計画しております。もしこの企画に乗ってくださる出版社がございましたら、arkwez@gmail.com までご連絡ください。

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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