Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

2022/07/12
XML
カテゴリ: ITTETSU GALLERY
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X
 ITTETSU GALLERY:もう一つの成田一徹(601)~(620)

 バー・シーンを描いた切り絵で有名な成田一徹(1949~2012)ですが、実は、バー以外をテーマにした幅広いジャンルの切り絵も、数多く手掛けています。花、鳥、動物、職人の仕事、街の風景、庶民の暮らし、歴史、時代物(江戸情緒など)、歴史上の人物、伝統行事・習俗、生まれ故郷の神戸、小説やエッセイの挿絵、切り絵教則本のためのお手本等々。

 今回、バー・シーンとは一味違った「一徹アート」の魅力を、一人でも多くの皆さんに知ってもらいたいと願って、膨大な作品群のなかから、厳選した逸品を1点ずつ紹介していこうと思います(※一部、バー関係をテーマにした作品も含まれますが、ご了承ください)。
※故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします。


(601)電話器の側にいる猫  1990年代前半
 ※昨日は犬が登場したので、きょうは猫が登場する作品を。昨今では、家庭に固定電話を付ける家が少なくなったというが、一徹氏が生きた時代は、有線の固定電話がまだ普通にあった。この一枚は、誰かの猫好きの作家さんのエッセイの挿絵として制作されたのだろう。





(602)舞台を見つめる猫  1990年代前半
 ※昨日に続き、もう1枚猫をテーマにした作品を。猫の後ろには座席に座って、舞台方向を眺める男たち。猫も同じ方向を見つめている。さて、どんな小説(またはエッセイ)の挿絵だったのか?





(603)ロッキングチェアで本を読む猫(最後の読者)  2003年
 ※しつこいようだが、もう1枚だけ猫の絵を。本日は、漫画原作者・城アラキさんによる連載エッセイ「男包丁」(2002~03年、週刊「漫画ゴラク」誌上)の第122回「『バカメディア』の行方」のために制作された作品。
 猫は擬人化され、老眼鏡をかけて、パイプ煙草をくわえ、ロッキングチェアに座って本を読んでいる。誌面では「最後の読者」という言葉を添えて掲載された(下の画像ご参照)。
 読書週間でもあったこの回のエッセイで城氏は、この100年間に生まれた新たなメディア(小説、新聞、テレビ、漫画、パソコン、インターネット、カメラ付き携帯等々)を振り返りながら、「登場した時は『便所の落書き』『電気紙芝居』などと笑われた」様々な”文化”も、「50年経つと権威になって、新しく登場するメディアを笑う」「文化は辺境より生まれ、中心に至って滅びる」と語る。
 そして、結論として「脳の仕組みはメディアが進歩するスピードほどにはすばやく対応できない。だからこそ本を読め、いや一度は本に戻れ」と言う。
 このエッセイが書かれた約20年前には、まだスマホやSNSはほとんど形がなかった。今はどうだ? 我々はメディアのとんでもない急激な「変化」に、嫌でも向き合わされている。いやはや、高齢者には厳しい時代になった。






(604)かき氷屋さんの幟(のぼり)  1990年代前半
 ※きょうは全国各地で「猛暑日」予報。本格的な夏がもうそこまで来ている。と言う訳で、きょうは「かき氷屋さんの幟」を描いた作品を(自著の切り絵技法書の「作例」として制作)。見た目だけでも涼し気な気分を味わって頂ければ幸い。ちなみに、この連載の第251回でも、同じ「かき氷屋の幟」をモチーフにしたカラー作品=毎日新聞の休刊日お知らせチラシのために制作=が登場している(下の画像ご参照)。










(605)スイカの季節 =3枚 1990年代前半
 ※きょうも「夏」をテーマにした作品を3枚(これも切り絵技法書の「作例」として収録された)。個人的にはスイカは好きな果物のベスト3に入る。子どもの頃、京都の祖父母の家を真夏に訪れると、冷水を満たした盥(たらい)で冷やされたスイカが待っており、祖母が切り分けてくれるのが楽しみだった。昨今は、そんな光景を家庭で見ることはほとんどない。スイカが美味しい季節になると、幼い日々のそんな思い出がよみがえる。





(606)夏の海へ  1990年代前半
 ※きょうも各地で猛暑日予報。ということで、引き続き「夏」をテーマにした作品を。海にヨットで漕ぎ出そうとする男女。空には入道雲がむくむくと。半袖半パン姿で、帽子もかぶっていない。この数年の暑さでは、日焼けよりも熱中症にご用心と言うべきか。何の媒体のために制作されたのかは分からないが、自著の切り絵技法書の「作例」として収録されている。





(607)アーティスティック・スイミング  1990年代前半
 ※きょうも引き続き各地で猛暑日予報。電力不足とかで、テレビでは盛んに節電を呼びかけている。さて、「夏」をテーマにした一徹氏の作品ということで、きょうはアーティスティック・スイミング(かつてのシンクロナイズド・スイミング)。とは言え、描かれているのは男女3人。何のために制作したのかは伝わっていないが、画面上の白と黒とグレーの配分が絶妙だ。





(608)水遊び  1990年代前半
 ※3日連続で猛暑日予報。きょうも「夏」をテーマにした一徹氏の作品を。小さいジョウロを手に持ち、これから水遊びしようかという水着姿の幼い女の子。帽子をかぶった「後ろ姿」だけを描き、あとは「見る人の想像力に任せる」という得意の手法を使った1枚。シンプルだけれど、可愛さが伝わってくる。









(609)マリン・スポーツ3題  1990年代前半
 ※きょうも「夏」をテーマにした一徹氏の作品を。マリン・スポーツをテーマにした絵(水上スキー、ウインド・サーフィン、スキューバ・ダイビング)を集めてみた。いずれも自著の切り絵技法書の「夏の作例」として収録されたもの。











(610)夏の子どもたち =4枚 1990年代前半
 ※きょうも「夏」をテーマにした一徹氏の作品。子どもたちの生き生きとした姿&表情を。いずれも自著の切り絵技法書の「夏の作例」として収録された。









(611)「夏」3題  1990年代前半
  ※きょうも「夏」をテーマにした一徹氏の作品を。そろそろ蚊がぶんぶんと飛び始める季節だが、最近は煙の出ない蚊取り器が主流である。しかし個人的には、(変な人と思われるかもしれないが)蚊取り線香の煙や燃える匂いが好きで、蚊取り器は、やはりこのブタの形をしたものが一番だと思う。
 そして、蚊取り器の側には団扇立て。田舎の一軒家で、縁側に蚊取り器を置き、寝転がって団扇で涼をとるなんて実に気持ちよさそうだが、都会ではそもそも縁側のある家が、なかなかない。夜、縁側で寝転がってうたた寝をしていたら、空に突然花火が…という妄想を抱いてしまった。花火の切り絵は、シンプルな白いラインだけで表現。1本、1本のカッティングが見事だ。







(612)浴衣姿2題  2003年
 ※浴衣姿の女性を描いた作品を2枚。いずれもマンガ原作者城アラキさんの連載エッセイ「男包丁」(2002年~2003年、週刊「漫画ゴラク」誌上)のための挿絵として制作された(実際の誌面では左の絵は「意地の夏」、右の絵は「美女爽涼」という言葉を添えて掲載された=コメント欄の画像ご参照)。後ろ姿や足元だけという描き方だが、一徹氏の手にかかれば女性の色香が十分伝わってくる。







(613)外航客船 =2枚 2003年
 ※一徹氏が好んだモチーフの一つに「客船」がある。30年余に及ぶ画業の中でたびたび制作している(この連載の第3回、第187回、第301回、第482回ご参照)。これはおそらく、ほぼ同じ時期に制作された2枚(何の媒体で使用されたのかは不明)で、カクテルグラスと組み合わせたファンタジックな作品。煙突のけむりを、1枚目はスパッタリング(吹き付け)手法で「グレー」の紙で、2枚目では普通に「黒」で表現している。カクテルグラスの位置や、カモメの数なども微妙に違う。貴方はどちらの絵がお好み?





(614)作家の机  1990年代半ば?
 ※「作家の机」というタイトルが付けられた作品だが、もちろん、畳に座布団、万年筆、文机とあれば、明治・大正期の作家机であろう(何の媒体で使用されたのかは分からない)。出版社の編集者の話では、今時、万年筆で手書きする作家はほとんどなく、通常はパソコンで仕上げた原稿を届けてくるという。「届ける」と書いたが、昨今は郵送・宅配便や手運びも少数派で、添付ファイルでメールで送る作家も多いという。さて、50年後はどうなっているだろうか。





(615)兵庫県司法書士会館  2012年
 ※兵庫県司法書士会の「会報ひょうご」の表紙絵=2012年12月号=のために依頼された描き下ろし作品。一徹氏はこの年の10月8日、東京都内の駅で脳内出血の疑いで救急搬送され、14日に天に召された。一徹氏がいつ頃この仕事を依頼され、いつ頃制作したのか、正確な記録はないが、おそらくは生前最後の時期の作品の一つであることは間違いない(当然、出来上がったこの会報の表紙=下の画像ご参照=を見ることもなかった)。






(616)七夕の笹飾り  1990年代半ば?
 ※きょう7月7日は「七夕(たなばた)」。一徹氏の作品に七夕にちなんだものが何かないかと探したら、笹飾りの絵があったので紹介したい(自著の切り絵技法書に「作例」として収録されている)。七夕は、織姫=こと座の1等星「ベガ」=と、牽牛(和名では「彦星」)=わし座の1等星「アルタイル」=が天の川を渡って、1年に1度だけ出会える夜とされる。短冊に願い事を書いて笹竹に飾り付ければ、願いが叶うと言われる。かつては、旧暦の7月7日(新暦では8月のどこか)の行事だったという。せっかくなので、Wikipedia日本語版などを参考にしながら少しウンチクを。
 「七夕」伝説は、中国・漢の時代に遡り、現在でも日本や韓国、ベトナムなどアジア圏に広く伝わる祭り=行事である。中国では唐の玄宗皇帝の頃、盛んになったという。日本には奈良時代に伝わったが、当初は貴族の文化だった。奈良時代末期に成立した歌集「萬葉集」には「たなばたの今夜あひなばつねのごと明日をへだてて年は長けむ」など、七夕にまつわる歌も登場する。
 「たなばた」の語源は諸説あるが、江戸期の文献には、牽牛、織姫の二星にちなむ「種物(たなつもの)」「機物(はたつもの)」という言葉が由来と伝えるものも。この二星は、それぞれ「農耕作」「蚕織・手芸」をつかさどる星であり、二星が出会うこの夜は技芸上達の願いが叶うとされ、江戸時代には「願掛け」として一般庶民にも広がったという。ちなみに、国立天文台のHPには、ベガとアルタイルの間は、14.4光年もの距離があるので、「1年に1度出会えるなどはあり得ない」という夢を壊すような話が紹介されていた。









(617)朝 顔 (3態) 1990年代前半~半ば
 ※夏の花と言えば、いろいろあるが、朝顔(アサガオ)もその一つだろう。と言う訳で、きょうは一徹氏の残した作品の中から、3つの朝顔の姿を紹介する。なお、この連載では過去5回、朝顔が登場している(第33回、34回、247回、272回、466回)が、今回紹介したうちの2枚目は第466回の原画と思われる。





(618)花 嫁  1990年代後半
 ※作家・小川竜生氏(1952~2003)の小説「極道ソクラテス」(小説「宝石」<光文社刊>誌上、1996~99年頃連載)の挿絵として制作された作品。後ろ姿で描くのは一徹氏のお得意の手法。「ピュアな白」を強調するために、「SOKCRATES」の文字以外は、あえて白い紙だけで切って表現している。









(619)ニューヨークで出会った男たち (3枚) 1990年頃
 ※1980年代から90年代前半にかけて、一徹氏は大好きなニューヨークをたびたび訪れ、そこで出会った人々をよく切り絵のモチーフにした。まだこの頃は、「1枚の黒い紙だけで、どれだけ自分が求めるような表現ができるか」に挑んでいたが、その後、「表現の限界」も感じて、黒と白の2種類の紙を巧みに使い分ける手法に転じた。









(620)米国、1950~60年代の記憶 (3枚) 1990年代後半?
 ※絵柄からみると、おそらくは1950~60年代頃の米国の街角。郊外のレストラン・バー、モーテル、カフェなどを描いた作品。店の前にとまるクラシックな車は、当時としては最新型だったのだろう。この3枚は、何の媒体のために制作したのかは不明だが、ほぼ同じ時期に、同じ仕事の一環としてつくられたと思われる。一徹氏が初めて米国を訪れた1980年代でも、田舎(郊外)へ行けばこんな光景は珍しくなかったのかもしれない(さすがに車はもう少し新しいタイプだったろうが…)。



◆故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします (著作権侵害に対する刑罰は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金という結構重いものです)。

※「ITTETSU GALLERY:もうひとつの成田一徹」過去分は、 こちらへ

★過去の総集編ページをご覧になりたい方は、 こちらへ。

【Office Ittetsuからのお願い】成田一徹が残したバー以外のジャンルの切り絵について、近い将来「作品集」の刊行を計画しております。もしこの企画に乗ってくださる出版社がございましたら、arkwez@gmail.com までご連絡ください。


・こちらもクリックして見てねー! 【人気ブログランキング】







PR

Profile

うらんかんろ

うらんかんろ

Comments

kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

Free Space

▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神戸の残り香 [ 成田一徹 ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2021/5/29時点)


▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。 ▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。

Favorite Blog

「続・豚肉と大根の… はなだんなさん

東北の夫婦旅。 きんちゃん1690さん

LADY BIRD の こんな… Lady Birdさん
きのこ徒然日誌  … aracashiさん
猫じゃらしの猫まんま 武則天さん
久里風のホームページ 久里風さん
閑話休題 ~今日を… 汪(ワン)さん
BARで描く絵日記 パブデ・ピカソさん
ブログ版 南堀江法… やまうち27さん
イタリアワインと音… yoda3さん

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: