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Jan 15, 2018
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カテゴリ: カテゴリ未分類
1963年に公開された映画「博士の異常な愛情」の正式タイトルは「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」と云う異常に長いものです。

主演はピーター・セラーズ。


ほんとうに何十年かぶりでこの映画を観なおしてみました。
やはりキューブリックはスゴイ。
50年以上も前の作品なのに、きっちり今日の出来事のように描かれている。

この映画の冒頭にアメリカ空軍により「映画はフィクションであり、現実には起こりえない」と字幕が出ます。
ワザと冒頭に出してますなぁ、キューブリックは。
出していながら、いかにもウソくさいのを狙って。


その映像を背景に、軽妙な字幕タイトルが表現されてるのが、逆に背筋をぞっとさせます。
物語はロシアがまだソ連と呼ばれていた時代。
キューバ危機によって極限状態に達した冷戦の真っただ中の物語です。

アメリカ空軍は、万一のためにB52を多数24時間絶え間なく飛行させていて、それぞれの爆撃機には原子爆弾が搭載されていました。
その爆弾の総容量は第二次世界大戦で使用された全爆弾、砲弾の16倍の破壊力があったのです。
核兵器によって保たれている「恐怖の均衡」...
今の北朝鮮とアメリカの関係にピッタリ当てはまりません?

どちらも核兵器を使ったら終わりだと云うことは分かっているけど、かと云って自国の軍事力を維持するには核兵器を手放せない。
そんなときに、ひとりの核兵器を誘導できる人物がとち狂って発射ボタンを押してしまったら...
この映画は、偶発的な事故が重なって、不幸なことに世界中で核爆弾が破裂するところで終わっています。

なんか映画だけのお話しぢゃないんですよね。

欧州の各国ではイスラム組織より、北朝鮮の方が厄介との見解を示しているのに。
アメリカのバープルソン空軍基地の司令官リッパー准将が精神に異常をきたし、指揮下のB52戦略爆撃機34機にソ連への核攻撃を指令。
そしてそのまま基地に立て篭もってしまったのです。

この人物には実在のモデルがいます。
ケネディ大統領のキューバ危機の際、全面核戦争を覚悟してでもキューバ空爆を行うべきだと主張したカーチス・ルメイ空軍参謀総長です。


リッパー准将に拉致されて、話し相手をさせられます。
全ての爆撃機は敵の謀略電波に惑わされないために特殊暗号装置に接続されていて、それをコントロールできるのはリッパー准将ただひとり。
つまり気のおかしくなった軍人が、いっさいの爆撃機をコントロールしてるワケです。

対するアメリカ政府首脳部は機密情報の塊であるペンタゴンの戦略会議室にあえてソ連大使を呼び対策を協議します。
ソ連大使いわく、ソ連が万一核攻撃された場合は、地球上の全生物を放射性降下物で絶滅させる爆弾「皆殺し装置」が作動すると告白します。

なんとか「皆殺し装置」を解除してくれとアメリカ大統領(ピーター・セラーズ二役)。
ソ連大使「それはできない。すべて自動化されていて、解除しようとするとその時点で自爆するんだ」
アメリカ大統領「なんで、そんなモン作ったんだ!」
ソ連大使「その方が、人を介して守るより安上がりだから」
アメリカ大統領はソ連の大統領と直接電話で対策を協議しようとしますが、ソ連の大統領は酔っぱらっていて話がてんでバラバラ。
アメリカ大統領「なんとか、そちらでアメリカの爆撃機を全部撃ち落してくれ!」
リッパー准将に劣らぬ反共主義者のバック・タージドソン将軍(ジョージ・C・スコット)「そんな(爆撃機を打ち落とす)ことソ連のボケナスにできる能力はありませんよ。

それより報復される前にソ連に先制攻撃するほうが先決。
この際、ソ連を皆殺しにしてしまいましょう」
爆撃機を呼び戻す方策の会議がどんどん違う方向にいってしまいます。
バック・タージドソン将軍は熱弁中に勢いあまって後ろに転ぶも立ち上がり、なおも熱弁を続けます。
これはヒトラーが演説中に興奮したときの癖と同じなんですな。

こんなバカげた協議が続いている間も爆撃機は進撃を続けています。
飛行をなんとか食い止めなければなりません。

そこで気の狂ったリッパー准将のいる空軍基地に空挺部隊を動員するのですが、准将が基地内の兵隊に戦時体制の指令を出していたため、味方同士による戦闘が開始されます。
このシーン、まるで実戦のルポを見てるみたいに、妙に生々しいのです。
いっぽう1機の爆撃機の中では、実際にソ連基地に核爆弾を落とす準備が着々とすすんでいました。
このB52爆撃機、当時内部構造は軍事機密であったためアメリカ国防総省の協力が得られませんでした。

そこで仕方なくB29とB52の写真を参考にコックピットを作り出したのです。
アメリカ空軍幹部が撮影終了後にセットに招待された際、「それはデータ分析装置のような小さな黒い箱さえ、全て正確に作られていた」と述べたと云います。

偶然でしょうが、あまりにも正確なセットのため、キューブリックは美術チームがFBIの捜査対象になるのではないかと心配したと云います。
いよいよ空挺部隊が空軍基地を制圧して、リッパー准将の部屋まで迫ってきました。
リッパー准将はマンドレイク大佐に、日本人から拷問を受けた話を聞き、自分は耐えられそうもないと云ってバスルームであっさり自殺してしまいます。

これで爆撃機を呼び戻す暗号は分からなくなりました。
イギリス空軍のマンドレイク大佐は、リッパー准将が残した書類から暗号を推察して、ついに解読に成功します。

そのとき、空挺部隊が乱入してきました。
彼らはなんでこの基地を制圧するのか聞かされていません。

マンドレイク大佐は引き立てられる途中で公衆電話を見つけ、そこからアメリカ大統領に電話することにしました。
ところが小銭が足りない!
空挺部隊の隊員を脅したりなだめたり、ようよう傍にあったコカコーラの自販機をライフルで打ち抜いて中の小銭を失敬することに。
こうして無事、アメリカ大統領に連絡がとれて、爆撃機を呼び戻す暗号でほとんどの機はアメリカめがけて戻ってくることになりました。
4機を除いて。

実はすでにソ連のミサイルで撃ち落されてた爆撃機があったのです。
しかし、致し方ありません。

ところが、ところがです。
1機だけは、依然としてソ連への飛行を続けていたのです。

この機は飛行中にミサイルが近接爆発したために、機内の通信装置が全部やられて、「戻れ!」の通信が受信できていなかったのです。
しかも、エンジンもやられていたため、超低空飛行をよぎなくされてる。
ところが超低空飛行のため、逆にソ連のレーダーでは捕捉できないのです。
いよいよ、目標のソ連基地が迫ってきました。
カーボイハット被ったコング少佐は、核爆弾の入った機内のドアを開けるように命令します。

ところがミサイルの影響でドアの開閉装置が壊れて開かない!
しかたなくコング少佐自ら、開閉装置を点検にいきます。

なんとかミサイル基地到着前に開閉装置を直して、コング少佐はロディオよろしく、核爆弾にまたがったまま真っ逆さま。
ここはこの映画で最も有名なシーンです。

こうして不幸な偶然の積み重ねから、1基の核爆弾が投下されてしまいました。
こうなるとソ連の「皆殺し装置」が自動的に作動します。
そのころペンタゴンの戦略会議室では対処を検討してました。
こうなったら「やられる前にやってしまえ」しかし「皆殺し装置」が作動しますから、こっちも全滅です。

そこに現れたのがストレンジラヴ博士(ピーター・セラーズ三役目)。
彼はナチス政権下のドイツ科学者だった男です。
そう原爆を作ったマンハッタン計画の責任者ジョン・フォン・ノイマンやナチスの元でV2ロケットを開発したヴェルナー・フォン・ブラウンを模しています。

彼が云うには、アメリカもとっくに「皆殺し装置」と同等の装置を持っていると。
だからどっちにしても、人類は助からない。
しかしアメリカには地下1,000m の炭鉱がいくつも掘られている。
ここを都市化して、選抜された頭脳明晰な男性と性的魅力のある女性を地下の坑道に避難させることにより人類は存続させられると。

地球上に残った人類がたった1万人でも、核の影響がなくなるのが100年後だから、その間にたっぷり労働力は育っているハズ。
君たちは関係者だから、もちろん選抜の対象だし、人類を増やすのが目的だから男性1人につき、女性は10人必要だ。

ストレンジラヴ博士は熱弁し、興奮のあまりドイツ時代に立ち返り「総統!私は歩けます!」と絶叫するのです。
こうしてヴェラ・リンが歌う第二次世界大戦時代の流行歌「また会いましょう」の甘いメロディが流れる中、核爆発が繰り返され、人類は滅亡していくのです。
「また会いましょう、どことも知らず、いつとも分からないけれどでもいつかまた晴れた日に会いましょう。いつものあなたのように笑顔を絶やさないで。青空が暗い雲を吹き飛ばしてくれるまで」

ドッカ〜ン、ボッカ〜ン。
晴れた日に、お会いしましょうね、いつか...





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Last updated  Jan 15, 2018 05:11:12 AM
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