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July 21, 2018
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カテゴリ: 教授の読書日記
キャティー・ケイ&クレア・シップマンという女性ジャーナリスト・コンビの共著になる『なぜ女は男のように自信をもてないのか』(原題:The Confidence Code: The Science and Art of Self-Assurance -- What Women Should Know, 2014)という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 このところ女性向け自己啓発本を続けざまに読んでいるのですけれども、それらの本が一様に指摘するのは、どうも女性というのは、能力はおそらく男性と同等、あるいはそれ以上にあるのだけれども、自信が持てないらしい、ということ。場合によっては、自分よりよっぽど能力のない男性が自信満々なのに、自分はそこまでの自信が持てない。で、これは一体どういうことなんじゃ? という話になることが多いんですな。

 で、この本はまさにそういう「自信が持てない女性」の謎に迫るという意味で、興味津々の本であるわけ。

 で、キャティーさんもクレアさんも、ジャーナリストであって、専門家ではないんです。だけど、まさにそこに強みがあって、二人して様々な分野の専門家のところにずけずけと尋ねて行って、この謎の答えを聞き出しに行ける立場にある。というわけで、色々な専門家に「なぜ女性は自信が持てないのか」という問いをぶつけてみたら、こんなことが分かってきました、という体で書かれたのがこの本であります。

 だから、尋ねる人によって色々な答えが返って来るわけでありまして、それを一々記していくと大変なので、大ざっぱにまとめますと、確かに女性は自信がない、という事実は現前としてある。それは、スポーツ界であれ、政治の世界であれ、ビジネスの世界であれ、とにかくそれぞれの世界で最も成功していると思しき女性たちに尋ねても、やっぱり「どうも私は自信が持てない」という答えが返ってくると。

 ちなみにこれは単に感覚の問題とか個人個人の問題というわけではなく、実験によって確かめられる事実なんですな。例えば一般に男性は自分の実力と見合った自信を持っているどころか、それ以上、つまり3割増しくらいの自信がある(これを「正直な自信過剰(honest over-cinfidence)」という)のですが、女性はその逆、2割も割り引いて自分を評価していると。

 だから、会議の場でも、男性はアホな意見であれ、バンバン手を挙げて発言できるのに、女性は、いい意見を持っていても「こんなこと言ったら馬鹿にされるのでは」と怖れて挙手をしない。挙手をしないのだから、発言するチャンスもなく、当然、評価もされない。また昇給の交渉でも、男性は積極的に「こんなに成果出しているんだから、もっと給料くれ」と上司に掛けあえるのに、女性はそういうことはしない。とまあ、そういうことが積み重なって男性と女性では、出世競争に大幅な差が付いてしまうと。

 もちろん、出来る女性はこの状況に気が付いているのですが、だからといって、周りの男性と同じようにアホみたいにバンバン発言したり、アホみたいに昇給交渉に行こうという気にならないんですな。つまり、「自信=アホみたいな行動」という意識があって、あそこまで自分を落としたくない、という風に思っちゃうと。

 ま、これが現状ですわ。



 キャティーとクレアは、ひょっとして男性と女性では頭の構造が違うのか? と思い、そっち系の科学者のところに行って尋ねるのですが、それによると確かに男性脳と女性脳は、その動き方が異なるというのは確からしい。

 だけど、働き方が違うというのは、能力の高低を示すものではないわけね。例えばよく言われる「女性は(先天的に)理数系に弱い」という言い方があって、それを示すようなデータすらあるけれども、実際にはそれは事実ではない。要するに道筋の問題であって、男性脳が通る道筋と女性脳の通る道筋は違うかもしれないけれども、同じところに到達するのだから、結果から言えば両者に差はないわけ。

 じゃあ、なぜ「女性は理数系に弱い」というデータが出るかというと、これはもう「自信」のなせるわざなのね。思春期の前期くらいの時にそういう言い方がなされるために、女性たちは「私たちは理数系はダメなんだ」と勝手に思い込み、問題を解く前に努力を放棄してしまうので、悪い結果しか出ないだけで、本気でやれば男性と同じだけの理数系能力を示せると。実際、自信を付けさせるような暗示をかけた後で数学の問題を解かせると、女性も男性も同程度の理数系の能力を示すことが立証されております。

 このことが図らずも示しているように、だから自信というのは、能力を発揮した後に出てくるものではなくて、自信そのものがある種の能力なのね。能力があるから自信が生じるのではなく、自信があるから能力が発揮されるわけ。

 だから、「自分には自信がない」と思い込んでしまっている女性達というのは、すっごく損をしているわけですよ。そう思っている限り、能力を発揮できず、能力を発揮できないから自信を持てないという悪循環に落ち込んでしまうわけだから。

 しかも現代医学の見地からすると、この自信の無さというのは、遺伝すると。だから悪循環も一世代だけじゃなくて、次世代にまで遺伝してしまう。

 ではなぜ女性たちは自信がないかというと、環境の影響も大きいらしいんですな。

 例えば女性というのは、幼少の頃、男の子よりもませているので、大人たちの思惑に敏感なわけ。で、両親や学校の先生が、自分に何を期待しているのか、いち早く察してしまう。そこで「いい子」であることにメリットがあると学んでしまうわけね。だからどんどんいい子になっていく。勉強も一生懸命やって優等生になる。完璧主義者になる。一方、へまをやることに対しての怖れをどんどん増大させていくと。

 一方、同世代の男の子どもは、「いい子」ではないし、そういう風になりたいと思ってすらいないから、悪いことばっかりやって、やたらに叱られて、でも叱られたって平気の平左なわけ。友達同士でも、互いのダメなところを指摘し合い、からかい合い、馬鹿にされることに慣れていく。

 子供時代の過ごし方が、男と女でこれだけ違うわけね。

 だから実社会が学校の延長だったなら、すべての国の元首は女性になるだろうし、すべての企業の社長は女性がなるはず。だって、学校時代に限って言えば、女性の方が遥かに優等生なんだし、優等生がトップに立つ世界なんだから。



 で、学校から実社会に投げ出された女性達は、学校時代の延長で完璧主義者であり続け、失敗することを怖れ続け、いい子であり続けようとするのですが、その手法は通用しない。逆に、失敗することを怖れず、互いに競争し合うことを怖れない男性たちの方が実社会に適応し易いので、結果として男性天下になってしまうと。

 しかし、本書が最も主張したい点というのは、ここから先ね。

 つまり、こういう現状を打破する方法はある、といういこと。

 本書を通じてキャティーとクレアが到達した一つの見地というのは、結局「自信」とは行動であり、行動によって培われるものである、ということなんですな。

 だから、前にこのブログでも取り上げたシェリル・サンドバーグの本のタイトルじゃないけど、とにもかくにも「Lean In(一歩前に踏み出す」)すること。「自信に満ちた人間になろう」という意志を意図的に抱いて、それを行動に移すこと。早いうちに小さな失敗をどんどん犯し、失敗することに慣れること。失敗したって、他人から批判されたって、どうってことない、ということを体験として自分に覚え込ますこと。これは、意志の問題なんですな。意志の問題というか、選択の問題。自分として、それをやろう、勇気を出して一歩踏み出そうという選択をした途端、すべてが変わり始めると。



 だから、この本も自己啓発本なんですな。

 というわけで、この本、男の私が読んでも面白かったですけど、女性が読んだら余計に「そう、そう!」ってなるのかも知れません。一読の価値はあるんじゃないかな。


​
なぜ女は男のように自信をもてないのか [ キャティー・ケイ ] ​





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Last updated  July 21, 2018 03:35:35 PM
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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