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August 31, 2018
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カテゴリ: 教授の読書日記
平良アイリーンという人の書いた『アロハ! ヒューレン博士とホ・オポノポノの言葉』という本を読みましたので、ちょいと心覚えをつけておきましょう。

 その前に、何で私がこの本を読んだかと申しますと、ハワイの「ホ・オポノポノ」って、要するにニューエイジ系の自己啓発思想なんじゃないの? と思っているからで、いずれそっち系のことについての論文を書く時にどうしても言及しておかないとまずいだろうと思ったから。

 で、とりあえず「ホ・オポノポノ」については、ほとんど知識のないところから読み始め、今もなおこの本しか読んだことがないので、これから私が書くことが「ホ・オポノポノ」について正しい認識かどうかってのは保証できません。できませんが、とにかく書いておかないと自分の理解がどこまで進んだか分からなくなるので、書いちゃいます。

 で、この本から私が学んだところから行きますと、「ホ・オポノポノ」ってのは、もともとはハワイに伝わるトラブル解決法らしいんですな。で、「ホ・オ」というのは「目標・道」という意味で、「ポノポノ」は「完璧」という意味。つまり、何か人間同士、部族同士でトラブルが発生した時、「本来あるべき完璧な道は何か」ということに立ち返り、いわばその「正道」に戻して、トラブルを解決する、そういう一種の方法論であると。

 で、その伝統的な「ホ・オポノポノ」を、個人的に用いる・・・ということはつまり「自己啓発思想」的な発想で用いるようなものに変化させたのがモーナ・ナラマク・シメオナ女史という人で、この人が唱導した「SITH (Self Identity Through Hooponopono)」というのが、今日的な意味での「ホ・オポノポノ」なわけ。で、モーナ女史の元で学んだイハレアカラ・ヒューレン博士という、見た目はハワイの土産物店で土産物を売ってそうなおっちゃんが、今はSITHの元締めみたいなことをしていて、本書の著者である平良アイリーンさんは、ある時ヒューレン博士の講演会に出てすっかりSITHにはまって、日本におけるホ・オポノポノの普及に努めています、的な感じらしい。

 さて、そんな状況を踏まえた上で、じゃあ「SITH版ホ・オポノポノ」ってのは一体何をすることかというと、一言で言えば「クリーニング」をすること。ある意味、それに尽きるのかなと。

 で、SITHの世界観からすると、ひとりの人間は3つの部分に分けられる。「アウマクア(超自我)」と「ウハネ(表面意識)」と「ウニヒピリ(潜在意識)」がその3つで、我々人間が自分の意志でどうこう出来るのはウハネの部分だけ。ウハネがウニヒピリを上手にケアしていると、我々はアウマクアを通じてディヴィニティー(まあ、宇宙存在というか、神みたいなもの)とつながることが出来、万事うまくいくと。

 ところがウハネがウニヒピリの暴走に引きずられると、ボロボロになってしまう。

 ではウニヒピリってのは結局何かと言うと、「記憶」なのね。それも個人としての記憶ではなく、人類が、というか、宇宙がこれまでずっと存在していた間に溜め込んだ記憶。で、この記憶の巣窟たるウニヒピリは、ウハネに向って毎秒毎秒、ものすごい数の記憶を我々に向って投影し続けるらしいんですな。



 そこで、ウハネ(自分の意識)でもって、ウニヒピリが訴えかけてくるあらゆる記憶を手放す必要がある。この「手放す」という作業が、SITHのいう「クリーニング」なわけよ。だから、SITH的ホ・オポノポノでは、クリーニングがすべて、ということになるんだなあ。

 では、どうやってクリーニングするかっつーと、ちゃんとクリーニング用の呪文があるの。そう! 例の「ありがとう、ごめんなさい、許して下さい、愛しています」の4つの言葉。あれを心の中で呟いて、ウニヒピリが「ほれほれ」って持出してくる記憶に別れを告げると。そうやって古い記憶と結びついた糸を一本一本切っていく。そしてそれが自分を自由にすることであると。

 で、まずそうやって自分を自由にすることから始めないとダメ、とSITHは教えています。自分がまず先。で、自分をクリーニングして自由になると、そこから世界が変り始めるんだけど、それはもう自分の仕事じゃないのね。それは勝手に始まることだから。だから、とにかくまず自分をクリーニングすること。それこそが、あなた、あなた、あなたに与えられた仕事なのでありまーす。

 ちなみにね、クリーニングするのは、「悪い記憶」だけじゃないのよ。「良い記憶」もどんどんクリーニングする。クリーニングするものの性質なんかどうでもいいの。とにかく、ウニヒピリが持出すものは全部かたっぱしからクリーニングする。そこを間違えちゃいけない。

 だから、ある意味、簡単なのよ、ホ・オポノポノの実践は。

 だって、日々、そして一瞬一瞬、我々は何かを感じて生きているわけじゃん? 街を歩いていても、「道にゴミが落ちていて、嫌だな」とか、「子供が遊んでいて、可愛いな」とか。そういうのが全部、ウニヒピリからのメッセージ、ウニヒピリが持出してきた記憶だから。だから、「嫌だな」にしても「可愛いな」にしても、心に思い浮んだ瞬間に、チャンス! と思って、「ありがとう、ごめんなさい、許して下さい、愛しています」を呟いてクリーニングしちゃう。約束の時間に間に合いそうもなくて、焦ったりあたふたしたりしたら、それこそチャンス! その焦りやあたふたに向って「ありがとう、ごめんなさい、許して下さい、愛しています」でさっさとお別れ。そうやって、常に自分を記憶から切り離し、ゼロの状態に近づける。それが、奇跡を起こす唯一の方法であると。

 なーるーほーどー。

 なるほどね。

 ある種の自己啓発思想も、同じようなことを主張しているわけよ。つまり、今見ている世界は、あなたが作り出している世界だ、という発想。渋谷の駅前交差点を見て、「なんで東京ってこんなに人ばっかりなんだよ!」って思った場合、それは「人が多くて嫌だ」と思ったあなたが自分で作り出したヴァーチャルな世界を見ているのであって、本当はそこには誰も居ないのかも知れないって奴。

 ウニヒピリが溜め込んだ記憶の海を、我々は常に見させられているんだ、というSITHの考え方って、これと同じじゃん。だから、記憶を切り離せば(自分をゼロに戻せば)世界は変るんだっていうね。

 それから、世界を変えようとするのではなく、まずは自分に出来ること、すなわち自分を変えることをしろ、そうすればそれによって世界は変るのだ、という考え方も同じだよね。

 あと、人間は過去に縛られていて本来生きるべき現在を生きていない、だからまず過去を手放せ、と教える自己啓発思想があって、たとえば「ACIM」系の自己啓発思想がそうだけど、「過去の記憶から自分を切り離せ」と教えるSITHも、同じことを言っているわけですな。

 そういう意味で、SITHの言っていることって、要するに自己啓発思想が蓄積してきた知恵を、SITH流にうまくまとめあげたものだな、ということが分かるわけよ。

 ま、「良い記憶」も切り離せ、と言っているところがちょっと斬新だけど。

 で、私がこれをどう評価するか、ですけど、なかなかいいんじゃないの? 

 私も、御多分に洩れず、こう見えて結構過去に引きずられるタイプだからねえ・・・。過去の嫌な思い出に縛られて、身動き取れないってことも多いのよ。だからそういう記憶に「ありがとう、ごめんなさい、許して下さい、愛しています」の呪文で別れを告げ、クリーニングできたらいいんだろうなと思う。結局それが、「今を100%の力で生きる」ってことなんだろうからね。



 そうそう、樹木で思い出したんだけど、本書の中に出てくるヒューレン博士の言葉で一番私の心に響いた一節を書き抜いておきましょう:


 「笑っている人がほんとうに幸せかがどうしてわかる? 涙を流してうつむいている人がほんとうに悲しみの中にいるかがどうしてわかる?
 まず、聞いてほしいのは、すべてがあなたの目に映っているということ。聞こえているということ。外に悲しみが見えたり聞こえたりするとしたら、その悲しみはあなたの中にあるということだよ。
 木を見てごらん。その木を見て、あなたにはその気が嬉しそうに見える? それとも悲しそうに見える? 木は涙を流さないよ。木は大声で笑ったりしないよ。木はただ、そのいのち、アイデンティティーのままいるよ。雨の日も、晴れの日も、外側で起きていることが問題ではない、ただ自分の命を生きている。
 その木を見たときに、あなたが美しいと感じるか、それとも醜いと感じるか。それはその木には関係のないことなんだ。あなたの中で起きていることなんだよ。
 このことは人にも言えるよ。あなたが誰かを見て、どんな感情があるか、どんな反応が現われるか、あなたはそのことをまずはクリーニングするんだよ。
 記憶とともにいつまでもいるよりも、あなたはクリーニングすることができる。クリーニングして、何かがまた顔を現したら、それをクリーニングする。あなたはそのことにもっと責任をとっていいんだよ。主人公はあなたなんだから」(142-143頁)


 書き抜いてみて思ったんだけど、この一節だけで、ヒューレン博士の言いたいことってのはすべて言い尽くされている感がありますな。まあね、私もこのくらい気の利いたことが口をついて出るようになったら、大学も辞めてさっさと「生き神さま」にでもなろうかと思うんですけどね。

 ってなわけで、私としては初の「ホ・オポノポノ」本、それなりにタメになりました。興味のある方にはおすすめです。



アロハ! ヒューレン博士とホ・オポノポノの言葉 [ 平良アイリーン ]





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Last updated  August 31, 2018 06:28:20 PM
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