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1
涌井の心に宿った若き頃の気持ちは、Mとの協力のもとで成り立つはずだった。しかし、涌井にも気付く事のない最大な違いがあった。歳を重ね、経験を積んだというのだろうか、今の涌井に宿ったのは、自分自身の純粋な心でしかなかった。娘とあらためて再会を実現するために、その一心でここに来た。Xと弘美は、涌井か待っている喫茶店へ向かった。弘美は、そのまえに、立ち寄りたい場所があった。学校前の文具店だ。校門を出てすぐ向かいにある文具店は、まだ開いていた。まるで弘美を待っているかのように。店に入ると、店主がそこにいない。狭い店内に隠れる場所もなく、弘美は外を見た。弘美:「どこへ行ったの!?」すると、Xが店に気になる事を見つけた。X:[…あんた確か毎日のようにここへ来たって言ってたよなぁ?…]弘美:[え?えぇ]…X:[…おそらく店主は、あんたが来るのを哀れに思って、あんたがよく来るこの時間を避けているのかもしれない…]弘美:[どうしてそんな必要があるの?]X:[…あんたが自殺するのではとハラハラしながら会ってあげないといけないというプレッシャーで、店主が深いウツにかかっている可能性がある…]弘美:[あたしのせい?]X:[…そういうわけじゃないが、心配していたのは事実だ…]弘美:[未来に何かあったのね!]X:[…それは言えない、ただ一つだけ言えるのは……]弘美は息を飲んだ。未来を知ってはいけない、でも、知る権利はある。X:[…将来この店はクレープ屋になること、それから、今日が、あんたが自殺した日だ…]弘美:[!……]弘美が毎日来て、相談も、辛かった事も一度も店主には話さなかった。しかし、店主に言った一言は、「クレープ屋さんならよかったのになあ」これだけの言葉に、店主は凄く重みを感じたのだ。毎日来る理由は悟っていた。そして毎日文具を買う理由も。そんな苦しい立場にいながらクレープを食べたいという言葉がけなげな弘美に大きな感情を店主の心に植え付けられたのだ。Xは、店主に宿った心は、XやMよりも、遥かにレベルの高い、純粋な物だと確信した。弘美:[お店の人、あたしが死ぬはずのこの日を知ってるの?]X:[…知るわけないさ、ただ、勘はいい方だと思う…]店に来てから2時間。店主はまだ帰って来ない。同じ時、涌井も弘美と会えるのを楽しみに待っていたが。
2007.08.29
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Xが見たMは、現在のMとは別人のように思えた。堂々とした行動、発言。涌井の性格に押されている可能性もあるが、当時の涌井に強さはあっても、決断力に欠ける。お互いの欠点を補っているのだ。生徒達を次々と裁いて行く蠍組は、いよいよ職員室にたどり着いた。時間にしてホームルームを残すのみだった授業は蠍組によって自習となった。つまり、校内にある全ての教室は蠍組と化したのだ。校長:「何のつもりだね?こんなことをして、タダじゃあ済まないぞ]涌井:<あんたみたいなのが校長だからダメなんだ、この学校の実態を知らない、ていうか、知ろうとしてない>校長:「な、何を根拠に!不法侵入に侮辱罪として訴えるぞ!」まるで状況を理解していない校長は、何もしていなかったことを頭に過ぎらせていたが、この場を何とか乗り切ることしか考えていなかった。驚いた事が学校中に起きていた。どの教室も、どの生徒も、まるで蠍組を待っていたかのように、共感を抱いているのだ。ヒーローの登場というわけだ。みんながやはりこの学校に不満と不安を持っていたに外ならない。涌井は、各自メンバーから教室にまわしていたアンケートを即座に回収し、校長に突き付けた。X:[…何と言う颯爽ぶりだ、徹底している、この2人、一心同体だ…]今までみてきた相性で1番合っている事を認め、Xは、これこそ、選ばれし者に相応しいと感じていたが、これ自体はもう過去の存在にしかならないのが残念だ。腰を抜かした校長をはじめ、教員達も、認めざるを得なかった。この事実を教育委員会にまとめ、校長並びに、上位の教員に教育実習を命じ、この学校を離れることになった。学校は閉鎖することも改名することもなく、維持を選択し、生徒達に安心感を与える事、伝統に沿った明るく、コソコソせず思いきりのある行動を常に心に置く事が大事であることを掲示した蠍組。彼らの役割は母校を正しい道に修正、成功に終わった。本来、若き涌井は、蠍組をきっぱり解散すること決めていた。しかし、その矢先に、Xからの呼びかけが原因で、この件を追加し、解散を延期していたのだ。Xがこの件を過去の涌井に知らせて無理矢理過去から呼び出したからだ。そのために、母校の痛々しい姿を見せる形となってしまったが、若き涌井の心には、充実感が漂っていた。今度こそいい状態て解散が出来ると確信しているのだ。そして、過去からのヒーローは、この時間から姿を消した。当時の事を思い出す涌井の記憶の中に今、再びヒーローの火を点すことになる。涌井:「M、あんたとまた組んでみたい……」M:[…クシュン!…]
2007.08.29
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投げ飛ばされた生徒は、ぶるぶる震えながら、仲間の影に潜んだ。<なんでだってぇ?わからないのか、お前らのイキザマを見て>生徒:「な、何言ってんだかわかんねぇなあ」もうひとりが殴りかかってきたが、秒速な早さでかわした。そして生徒の腕を掴み、<お前ら、学校で何をしに来てんだ?人が苦しんでるのを楽しんでいるのか、それとも、馬鹿な奴らとツルんでバカをいばっていたいのか!>生徒:「どっちもだよ!」と言って、涌井の足を蹴飛ばした。すると、痛がったのは涌井ではなく、蹴った生徒の方だった。他の生徒がそれを見て、生徒:「こいつ、人間じゃねぇ!」と言って逃げようとした。しかし、蠍組にすでに取り囲まれていた。涌井:<このままじゃいけないって言ったはずだ、わかってんのか>弘美には父親の強さの秘密の理由がわからなかった。弘美にとっては、ただの仕事人間だと思っていたが、あの正義感というか、ヒーローぶりは、後の父親という想像をしていたら、別人に思えたのだ。あまりにも強すぎる若き涌井が、学校を守ろうとしている執念が直に伝わってくるのだ。弘美:[あんなに学校を思っていたなんて、伝統を重んじていたのか、いや、違う…]X:[…そう、彼らはただ、学舎として当たり前に考えてるだけだ、本来の学校の目的を守りたかった、生徒にとっても、教師にとってもだ…]弘美:[当たり前の事、常識…!]X:[…さすがは涌井の娘だけあるな、察しがいい…]Xは、あえて、若き涌井の強さには触れなかった。今はそんなことは弘美には関係ない、父親としての基本は、原点はここにあることが伝わる事が目的なのだ。弘美の心に、次第に芽生えてきた、父親の印象。事情はいくらでも抱えるのが人間、父親もその中の1人だ。生活するために仕事を選ぶ事が、涌井にとっての家族思いだったのだ。弘美:[こんなん母にも見せたかったなあ]X:[…そうだな、この場面を理解さえしてくれるといいんだがねぇ…]と言いながらも、Xはある場所を指さした。弘美はその先を見て、思わず涙が溢れてきた。涌井達の行動を見ていた女子高生がいたのだ。弘美:[お母さんでしょ!?]X:[…もう、これであんた達の家族は大丈夫だな…]高校時代には既に出会っていた2人、学校は違っていたが、カンペキな片思いがこの様子で伺えた。しかし、Xは、涌井が言っていた、異次元を知っていた事、会っていた事を仄めかしていた詳細がここにあるとは想像も出来なかった。そして、ようやくXは、その人間離れした様子を見ていてピンときた。X:[…ここにもう出会っていたんだな、M…]
2007.08.27
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涌井が弘美に会えるチャンスは、思わぬ形で訪れようとしていた。蠍組。Xには考えてもいなかった事が、彼女の一言で実現する。Xの能力なら出来る。過去にいながら、更に過去の状態を流用すること。X:[…心のコピーだ、これは使える。過去に実在していれば、その意思を流用することが出来るぞ…]弘美:[?!]涌井が活動していた蠍組の頃に戻り、彼らの意思だけをこの時間に持ってくる、過去からなら、未来には影響しない。弘美:[逆に、未来の状態をコピーするのはダメなんだ?]X:[…それが出来れば苦労しないさ、もしすれば、未来は無くなる、というか、今が未来になるから、未来がどうなってしまうか俺にも誰にもわからない、そんなのはむごすぎるだろ?!…]弘美:[今が未来、かあ]パソコンソフトでもそうだが、作業履歴は、さかのぼったところでぬりかえれば、前回の未来の履歴は消える。それと同じ考えだ。X:[…やはり蠍組だな、ちょっと改良するようだが、使える…]改良する点は、1つだけある。相手が自分の学校であることだ。鎖国状態にするのも外す必要があるが、それは後でも修正出来る。弘美に、父親である涌井と会うための最後の関門となる、心の疎通を、学生時代の涌井として伝えられる。X:[…いいか、これから、学校に何が起きても騒いだり、遮ったりしちゃダメだぞ…]弘美:[え、うん]X:[…父親が誰だかちゃんと見ていればあんたにもわかってくるぞ、本当の父親の心がな…]弘美:[お、父さんの心、気持ち…]X:[…そうだ、あんたへの思いは半端じゃないって事をな…]弘美は、あんなにすっぽかしていた父親が信じられなかった。離婚にまでなったのに、弘美への思いが濃くなるとはどういうことか、理解出来る年齢ではなかった。間もなく、更に過去からの使者が現れる。Xの力は想像を越えていた。更にさかのぼる10年の歳月を経て、蠍組が復活。この地へ到着した。<まさかここに来るとはな、今までの努力を台なしにするつもりなのか、我が母校よ>若かりし涌井率いる蠍組。弘美はすぐに認識し、若い父親をじっと見ていた、信じられるまで。校門を抜け、昇降口にタムロするやかましい男子達を見つけた。<こんなんが後輩とは認められない>男子生徒:「あんだと、コラァ!」涌井を殴りかかろうとしたすぐに、涌井の背後から腕が2本、男子生徒を取り押さえた。男子生徒:「離せコラァ、やるのかぁ!?」瞬く間もなく、男子生徒は高く持ち上げられ、廊下に思いきり投げ飛ばされた。授業が始まる直前という時に、他の生徒達が集まってきた。男子生徒:「見世物じゃねぇ、あっち行ってろ!」他の生徒達は、1番厄介だったこの男子生徒に冷ややかな眼差しだった。すると、男子生徒は、急に怯える表情で質問した。男子生徒:「あんたら、卒業生か、いまさら何だ?」
2007.08.27
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真面目が取り柄だった学校にも陰りが出てきたのは涌井が卒業できるかどうかの審判が下された時だった。まわりの反応では、他校の悪行を成敗するという事で評価が高かったから、なんら卒業は問題ないと思われた。だが、1人の大人によって、卒業が微妙になっていったのだ。その大人は、恩師だった校長だった。蠍組のやり方に疑問を抱いていた校長が、現場をおさえたのだ。相手に恐怖感を与えて、相手の学校に通報したあと、恐喝マガイな約束をさせていたのだ。蠍組のやり方は、今度あったら、学校そのものを訴えるだけではなく、廃校に追い込む事まで忠告していたのだ。涌井の学校は、校長がその様子を1人の教師に相談した事がきっかけで、話しが広がり、噂する教師が続出した。蠍組のやり方はあまりにもいいやり方ではなかったが、真面目を貫く学校にしては、堂々とした権力も千恵もなく、決して考える学校ではなかったために、他校からの被害を受けている事を気付かない、または、知らないふりをしていたことが、涌井達には我慢出来なかったのだ。陰でやるしかなかった蠍組の運命は、学校のためにしていた事が、学校の教師によって解散する羽目になり、他校の悪質な行動が減少していたが、逆に、涌井の学校が鎖国状態になっていったのだ。学校を守ろうとしていた事が後になってからようやく認められて、卒業は出来た。だが、その後、学校は鎖国状態を解除せず、どんどんさびれていき、校内の管理までが散漫になっていった。そして今(過去だが)、他校よりもいじめや悪質行動が勃発するほどに落ちぶれ、あの蠍組の存在など吹き飛ばしてしまうほど、逆の立場となっていた。他校の意見もアドバイスを無視し、どうにかなる体質を崩さなかったことに、やはり生徒は気付くはずもなく、むしろ、その体系に甘んじていた。弘美も、その悪質行動の被害者から加害者になっていたものの、学校から受けていたのは被害ばかりだった。弘美:「こんな学校、リセットしたほうがよくない?」X:[…リセットするのは簡単だ、でも、未来が大きく変わってしまう…]弘美:[そういえば、先に未来をリセットしちゃったんだっけ?]X:[…そうなんだ、番狂わせっていうか、上手くいかないなあ…]未来を先に修復したために、過去をいじくるのは危険極まりない。弘美:[今こそ蠍組って奴、復活させるとかねぇ]X:[…!…]
2007.08.23
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たった1つの家族を引き裂いた理由の中で、かなりの影響が強い学校の体制の問題。涌井が知っているあの学校とは全く違う、伝統などこれっぽっちもない、無惨で堕落していた。Xの考えの一角に、現代での事件と修正に何らかの歪みが生じた関係で、過去にもダメージを受けていると考えていた。しかし、未来が変わると過去も変わるには疑問が発生する。過去を変えれば当然未来は変わる。だが、未来がどう変わろうが、過去には影響しないはずだ。Xは、普通には考えてはいなかった。X:[…歴史を支えているのは、過去にも未来にも人間などの生物次第なんだ。…]現代の事件で、異次元との絡みがあったことを考えれば、影響が出てもおかしくない。しかも、学校絡みだからなおさらだ。Xのケアにより、弘美の心は本来の自分に戻り、忌まわしい記憶は消滅した。X:[…今度は弘美、あんた自身で築く事だ、後は学校にどうしてもらうかだな…]弘美:[救ってくれた成果を見せるって事ね]X:[…わかってんじゃん、時期にお父さんに会えるぞ…]弘美:[近くにいるのね、いつも来た事もなかったのに]X:[…きっと、大事な事を伝えに来たんだ…]弘美はそれ以上質問しなかった。事情がどうであれ、来てくれたこと自体、うれしい事だからだ。仕事一筋で相手にしなかったた家庭。母は限界に来て、父と娘を捨てた。しかし、涌井が弘美を産んだ子供ではない事を知らないだけに、Xが長く弘美の中にいれば、その心理をばらすことになる。そこは慎重にしなければケアはおろか、以前よりひどく成り兼ねない。涌井は、学校に乗り込み、10年前の校長に会った。涌井:「覚えてますか、私の事を?」校長:「あんた、まさか、あの涌井かね?」涌井「覚えてましたか、10年前貴方の担任の生徒だった蠍組の涌井ですよ」校長:「!」涌井は、少しだけ怯えている校長の目をじっと見つめた。校長:「お前、生きてたんか、あんな奴はくたばると思っていた」涌井:「こういう奴ほどどうにか生きていくもんですよ」忘れるわけがない校長の記憶。"蠍組"、それは、涌井が在校生の時、虐めや窃盗などをしている他校の生徒とその高校に対して、正すための、いわば「敵討ち」をするグループのリーダーだった。当時、この学校があまりにも真面目だった事で、他校の悪さが目立ってしまい、帰宅する生徒を狙っては襲われるという事件が勃発した。その犯人を片っ端からあらい出してたたきのめし、その学校に対して警告と通報を促して、その生徒たちを動けなくする事が目的だった。その動けなくなる理由は、真面目がウリだった学校からの警告ならまわりの大人達も納得するということを利用する半面、陰では、あの学校を怒らせたら恐ろしいと思わせるという理由も兼ねていたためだ。ただ、仕返しとはいえ、やり方があまりにも卑劣で残酷だったために、蠍の毒を刺されて動けなくなるという例えから蠍組と呼ばれるようになったのだ。校長がそんなグループを許すわけにもいかず、相手の高校も反省していることから停学処分にとどめた処罰を下していた。しかし、校長本人はそれを影では納得していなかった。追放したい気持ちだったが、他の教員との多数決で仕方なく手を引いた形となっていた。それ以来の再会、しかも、時代を超えた、若き涌井と校長の因縁。
2007.08.22
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涌井は、Xと離れてからもうすぐ1日が経とうとしていた。弘美と出会うためだけに過去に戻ってきたリスクは、このまま会っても弘美にリスクを背負わせてしまう可能性がある。涌井本人が父親として受けるべきと思っていたのだ。Xのケアを待つしかない。現代では、彩香と仁美も心配していた。彩香:「なんかさ、あのクレープ屋にいくたびに思うんだよね、娘さんの事。」仁美:「そうそう、なんか私達知り合っていたみたいに親近感が湧くというか、同じなんだなって思える」彩香:「うまくいくよね」仁美:「当たり前じゃん!」涌井とXの帰りを待つ2人にはもう、弘美と出会えるくらいに心が整っていた。涌井は、例の文具店に向かい、店員に話しを聴きに行った。情報では、1時間前に弘美が自殺している事になっていたからだ。学校からの報告は、当然店にも伝わっているはずだ。店が閉まっていた。情報がきたのか、昼間から閉まっているということは、文具店としてはもう開店しないという事だ。涌井:「ああっ、このまま変わらなかったら、俺は何のためにきたのかわからん!X、頼む…!」どこかにいるXに向かって声を張り上げた。弘美の耳がかすかに感じた。弘美:「今の耳鳴りかなあ?」X:[…いや違う、多分父親の声だ、きっとヤキモキしてるんだと思う…]弘美はそれを聞いて、涙を浮かべた。その間、弘美の心から取り出す事の出来なかった、恨みと辛さが消えていく。Xは、その現象に驚いた。血が通ってない親子だろうと、動かせる心がある。結婚や、親子を経験しないXにとって、この気持ちには勝てない。絶対に経験した者でしかわかり得ない絆があるからだ。時間が経つと、切れかかっていた親子の絆は深まる事がある。いつも顔を合わせている間は、ウザイだの、キモいだの言っている娘が、何らかの事で離れてしまい、何年もの間、会わなかった時期に、過去の記憶が甦る事がある。その記憶は、決してたいしたことはなく、日常の生活や、ウザったい時の事が、不思議と懐かしむ事で、全てがよき思い出となり、親子なんだと改めて感じる。絆とはそういうものなのだ。今、会う事が有り得なかった2人にとって、一番大事だったものを取り戻そうとしている。弘美とかつての親友、真紀や、一目惚れの男子生徒とも、仲が再び修復された。それも弘美自身の力と、真紀達の親友の絆を捨てずにいたおかげだった。みんな、Xには持っていない力でケアをしているのだ。X:[…これなら、俺の出る幕なさそうだな、涌井。ツイてるな…]親子関係を無惨にも引き裂いた理由の中に、やはり学校の態度にも問題があった。Xは、むしろ修正しなければならないのは学校側にあると考えた。今でもだいぶ修正された過去。この代償は必ずある。過去を修正するという行為自体、自然の流れに逆らっていることを深く心に刻まなければならない。未来に支障なく、達成も後悔も共に歴史は流れて出来ているからだ。
2007.08.21
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Xは、ようやく気がついた。Xは、既に弘美の中にいた。Xの頭の中に埋め込まれた記憶に、追加があった。地球外刺客の記した記憶だった。[…この子のケアはあなたが適任、わたしは通りすがりのあなたと同じ目的の派遣。でも、地球人には悪影響を及ぼしたようです。ケアどころか、憎しみを増幅するだけだった、だから痛んだ心を修復してくださいね…]X:[…丸投げかよ、でも、あんた、弘美をひとつだけ救っていたじゃないか…]弘美の中に入ったXに僅かに残る忌まわしい記憶をキャッチした。あの時、店員が話しかけた後、落ち着きを見せたのか、ホッとしたのか、生きる気力も真っ白になり、確かに学校の屋上から飛び降りた。その時に、派遣者は君臨し、弘美の中に入り、命を救っていた。その瞬間、突然弘美が豹変し、いじめからくる憎悪が増幅して復活したというのだ。それがあの最悪だった弘美だったのだ。その後も文具店に通い、シャーペンを買っては、いじめの凶器として使っていた。X:[情報は間違ってはいなかった、だが、過程が全く違う、こんなにも深いとはなあ…]更に、地球の外から来た刺客の記憶には、改めて来る、と付け加えていた。[…今度来る時には、いい状態なのでしょう…]X:[…たくぅ、やっぱ丸投げじゃん…]そのようなやり取りなど空気に包まれている間、弘美は、夢を見ていた。それは一目惚れの彼氏でもなく、友達でもない。目の前に立っていたのは、父親だった。弘美:[お父さん…]弘美が見ていた者は紛れも無く涌井だった。ぱっと目が覚めてから、気分が変わっていることに気付いた。空気はもういつもの流れに戻っていた。だが、いつもとは違う、何か懐かしい感じがする。弘美:「お父さん…」X:[…あ、俺の頭が割れそうに痛い、弘美、あんたは大丈夫か?…]弘美:[あなたは、あたしを知っているのね]X:[……]弘美:[だって、お父さんの香りがするもん]X:[…匂わないだろう、確かに俺の記憶にあんたの父親はいる。でも、このままでは会う事は出来ない。…]弘美:[わかってる、今までの事を真っさらにしないといけないよね]X:[…そのことはいい、あんた自身、父親に会う準備が出来ていない、母親との離婚の事であんたはさっきまで恨んでいたからだ…]弘美は、離婚の原因を知らされていない。弘美の勝手な判断で、女が出来たなどと悪い様に想像していたのだ。弘美がしなければならないのは、いじめ以前に、離婚以前に戻る必要がある。でなければ、今会っても悲しむだけ、後悔するだけ、それだけが永遠に心に刻まれてしまうのだ。
2007.08.20
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弘美は、高校に入って、すぐに好きな人が出来た。それは、一目惚れであり、一方的な片思い。だが、その男子生徒には既に彼女がいた。そのことに気が付かずに、彼を見ては隠れ、彼が目線を向けると、思わず逃げてしまう。そんな弘美の奥手な性格が、後にいじめに発展していったのだ。彼はクラスで最も人気があり、彼女がいようが、他人にも平等に優しく接していた。だが、その彼女は嫉妬心が高まり、我慢の限界が来ていた。だが、彼女は、身近な仲間ではなく、弘美に矢を向けたのだ。彼女:「まるでストーカーね、彼とフレンドリーにもなれない人に、関わりたくないって彼が気持ち悪がってるわ!」弘美:「そんなつもりじゃあ…」はっきりしない行動にむかつく彼女は、次第に悪い噂を流し、弘美に精神的苦痛を味わせる事を思い付く。その噂は、彼にも入ってきたが、最初は気にしなかった。そんな優しい彼は、逆に、哀れむように、弘美を元気づかせたのだ。しかし、その行動は、彼女をますます逆上させる原因となったのだ。罠を仕掛け、弘美を落とし入れる事は普通で、教材の紛失、髪の毛を燃やす、衣服を破くなど、エスカレートしていった。そして、致命的な事が起きた。彼:「君にこれ以上優しくすると、君が不幸になるみたいだから、もう、止める事にするね、そのほうが安全だと思うよ」と、周りの友人に吹き込まれ、弘美にそう言って離れていった。弘美は、この一言でかなりのダメージを受けていた。駄目押しに、彼以外の生徒達からの集団虐めが定着してしまう。ここまで起きている実態に学校側はナゼか動きを見せない。学校の内部よりも、オリンピックがかかっている陸上部の生徒の方で頭が一杯だったのだ。弘美の悲しみの中に、憎しみか起動し始めたのはもう言うまでもないが、その思いが、地球外にいた、わりと近い場所にいた地球外刺客が、偶然にもその思いをキャッチしたのだ。憎悪に圧されて、もう生きる気力を消耗してしまった弘美は、行く場所といえば、学校の向かいにある文具店しかなかった。自分の文具から教材が毎日のように消失するからだ。我慢しながらここに来て無くなった道具を買っていたが、もうそれも限界が来ていた。店員が、いつも心配そうにしていたが、ある日、店員にも弘美の身の上がわかってきた。店員:「いつもありがたいのだけど、何か事情がおありのようだ、何か一言心に残っているんなら言ってみると気が落ち着くかもしれないよ」そこで初めて口を開けた言葉は、弘美:「クレープ食べてみたいなあ…」そう言った後の日、自殺をしたという。しかし、弘美は生きていた。一体何が起きたというのか?
2007.08.20
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逃げ切った弘美達は、疲れがピークに達していた。男子生徒:「あいつ、大丈夫かなあ!?」弘美:「あの人はきっとやってくれる」と、根拠がないが、そう言わずにはいられなかった。男子生徒:「何でそんなこと…」弘美:「なんか、懐かしい香りがしたから」男子生徒:「……」Xは完全に空気の中に包まれた。だが、空気の中は、不思議な香りがした。お香のような、何とも言えない、心地のいい香りだ。Xの目の前に、人の影が迫ってきた。X:[…やはり、女か、でも、人間なのか?…]近づいてくる影は、人間の女性とわかるまでになった。X:[…あんたは一体?…]喋りかけたXの口をふさぐように、女は指をXの口元に宛がった。女:[……]X:[……?…]女:[…心を無にして聞いて下さい…]X:[……!…]女は口を開かずに、何かテレパシーのように語りかけた。それはソフトで高い声だった。女:[本当は違う、でもそうなってしまった、彼女が取り違えた、だからそうなってしまった…]X:[…意味がわからん…]女:[虐めたのは彼女の願望ではなかった、でも、そうさせたのは彼女なのです…]X:[…何?願望でなくて、でも、そうなるようになったって事?…]女:[…叶えるために来た、ここではない星から、彼女が呼んだ、不思議な力で…]X:[…あんたが地球以外だとは予測出来た、だが、その不思議な力とは何だ?どうやって来た?…]女は、黙ったまま、Xを見つめていた。お香の香りがどんどん強くなっていく。Xは次第にまぶたが重くなっていった。そこから、頭が真っ白になっていく。女は空気の中で、Xを抱えたまま移動を始めた。弘美の本当の心理を知っている謎の女。弘美の中に戻ってやらなければならない事があった。しかし、中に入った瞬間、弘美に異変が起きるというのだ。弘美は、仲間と別れた後、心配になって公園の方向に戻ろうとした。すると、そよ風が吹き、弘美を包んだ。弘美:「えっ?…」女:[…今のあなたには彼が相応しい。…]弘美の心の中に、Xを送り込んだ。女:[…あなたは、私の能力を越えた罪悪感を秘めています、今の私ではそれが増幅させてしまい、あなたはあなたではなくなるのです。…]X:[…うっ、その罪悪感というのは?…]女:[…憎しみ、いじめから来た仕返し…]X:[…何?!…]実は、本当にいじめられていたというのか!?
2007.08.16
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弘美と仲間が集まったところで、Xはすぐに、X:[…リセット!…]仲間とともに、弘美は心が無になった。ここで見た事から離れていく。その間をぐるぐる駆け巡る地球外派遣の行動はまさに、居場所を失っていた。Xは、無となった皆の心が、その流れで浄化することを願っていた。この一件の事は記憶から消えていくのである。だが、無にする時間は限られていると言われていた。だが、噂であり、実際この技を使った者はまだいないからそんな証言は確実ではない。何も情報がない。分かっていることは、まさに、今、この技の情報として記録される第一人者であることだ。地球外派遣と呼ぶこの者は、心に入る事が出来ず、矛先がXに向けられた。X:[…やっと俺に食いついてきたな、皆は今からここを離れて、掛け声と共に、心を戻す、だから今のうちに…]すると、皆は深く頷き、公園を離れていった。地球外派遣の矛先がXになってから数秒が経った。X:[…もうすぐ切れるな、後は奴が逃げるのか、それとも!…]間もなく、リセットが解かれた。Xは、公園がものすごく静かで穏やかさを感じた。消滅したのか?X:[…いやな静けさだ、何一つ反応がない、いるのか、奴は?…]これまでのタイプとは全く違うため、行動が読めない。気までも隠す言が出来た者はこれまで例がない。X:[いるならここに出てこい、この意気地無し!…]すると、空気の一部が揺れ動く反応がした。X:[…そこかあ!…]そこに目掛けて腕を伸ばした。その腕を掴まれ、物凄い力で左右に振り回した。Xよりもある力は、まさに人間を越えていた。X:[…イテッ、何なんだ、コイツ、言葉が通じてるようだが…]この反応を喜ぶかのように、Xはさらなる力を出していった。X:[…俺を見くびるなよ!…]すると、ようやく、その者:[…うう…]その声に性別はあるのか、X:[…お、女か!?…]弘美に付いていた謎の派遣者は、同性という特性を利用した方法で、女特有の誰にも持っている気持ちの中の最も質の悪い心理を引き出し、一番上の階層に置き換えていたのだ。だから、この気持ちが弘美の奥深く宿っていたとすれば、浄化のためのリセットでは、弘美のためにならないかもしれない。自分本心から動かなければ、このようなウイルス感染にも似た、異星人に取り付かれてしまうのだ。Xの腕に絡み付いた空気の渦は、少しずつ腕を飲み込んでいた。凄い吸引力で、一気に肩にまで達していた。X:[…こりゃすごすぎる、俺の力何てもんじゃない!…]瞬く間に、空気の中に入っていった。
2007.08.15
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こらえながら男子生徒を操るXは、X:[…おい、弘美を抑えて中身をえぐり出せ!…]男子生徒:「だ、誰だ!?」X:[…いいから言う事を聞け!…]男子生徒:「何言ってんのか意味わかんねぇ!」すると、弘美:「何ゴタゴタ言ってんだ、ホラァ!」シャーペンを持って手を上げる弘美。X:[…あんた、弘美の自由にしたくないんだろ、好きなんだろ!…]男子生徒:[…!]一瞬にして図星を突かれた男子生徒は、瞬時に弘美の腕を抑えて込み、逆手にひねって弘美をひざまずかせた。弘美:「イテッ、何だよその力は!」男子生徒:「弘美、もうヤメにするんだ、クダラネェ!」持っていたシャーペンを振りほどき、弘美の手を強く握った。弘美:「イテッ、離せ!」Xはその握った手から弘美の中身と心をリンクさせた。X:[…おい、出てきやがれ、変態野郎!…]男子生徒はずっと弘美の手を握り続けた。男子生徒:「お前、以前の弘美に戻って欲しいから、それだけを信じてきたつもりが、いつの間にかただの奴隷になっていた。でも、その原因は、ただお前の事が好きだったからなんだ、言う勇気がないままズルズルきちまった、ゴメン、もっと早く目覚めるべきだった」男子生徒は涙を浮かべて、心の底にあった言葉をすべて弘美に伝えた。その言葉が、弘美の中のカギを解除させた。弘美:[え、何?ここは、痛い、何、心が痛い」弘美の心に潜む謎の者は、男子生徒と目覚めた弘美の心との挟み打ちとなり、もがき始めた。X:[…今のうちに引き上げだ、変態!…]Xは、その者と入れ代わるように、その者を外に追い出した。すると、その者は、外で居場所を探していた。Xは、その光景を見て、X:[…まずい、新しい居場所を探して入ろうとしている、奴はこの星の者じゃない…]弘美に入ったXは、その者の行動を抑える方法は心を閉ざす事だと分かったが、他の生徒達にどう伝えたらいいか考えた。そこに弘美が、弘美:[何となくだけど分かって来た]現状を把握してきた弘美は、弘美:「みんな、そこから逃げて!」X:[…ただ逃げるだけじゃだめだ!…]弘美:[どうすればいいの!?]X:[…逆だ、皆をここに呼ぶんだ、急いであんたに近づけてくれ!…]弘美はXの言う通りに、弘美:「待って、あたしの方に来て!」男子生徒が、弘美の手を引っ張って、男子生徒:「こっちから行くぞ!」弘美:「…!」男子生徒:「そのほうが早いし、手を繋いでるから平気だ」弘美:「任せたわ」Xは、男子生徒を信じて、仲間達と接近、その前をさ迷う異星の者を追い越した。
2007.08.14
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Xは衝撃とともに震えを感じた。いじめている弘美が例の文房具屋に。それは、涌井がクレープ屋に話しを聞いた内容は確かに弘美が訪ねていることは間違いないようだが、違うのは、弘美がいじめに会っていたのではなく、いじめの加害者であることだ。弘美は、何やらシャーペンを買いにきたようだ。店主:「いつもありがとう、どうしていつも来てくれるのかな?」というと、弘美はその質問を無視して、店を出た。毎日のようにシャーペンやノートを買いにくるのは、弘美にとって、一体何をそうさせているのか、全く理解出来なかった。いじめに会い、文具を無くされたり、壊されるのならわかるが。Xは更に弘美を尾行した。しばらくすると、小さな公園に着いた。そこには何人か生徒が集まっていた。弘美が来たのを見たら、集まっていた生徒は、立ち上がり、その場所を去った。その集まっていた場所に1人、しゃがみ込んでいる生徒がいた。全身傷だらけで、制服も所々破れていた。X:[…なんだこれは!弘美に何か殺気を感じる…]弘美はその生徒に近づいていく。その場を去った生徒が、公園の草むらの陰に隠れながら様子を見ているのが分かったXは、その中から一人選んで心の中に潜入した。男子生徒でスラッとしている。Xはその男子生徒の体を思い切り締め付けながら、体を操り始めた。男子生徒:「うっ、何だよこれ、勝手に……!」締め付けた体は、Xの心とリンクして操作出来るように密着することで可能な特殊な技だった。他の生徒も、それを見て、「おい、弘美の邪魔すんなよ!」「そーだよ、後が大変なんだからー!」そんな声も聞いて分かっていながら、体がいうことをきかない。男子生徒:「そ、そんなの、俺にもワカンネェよ!」弘美にどんどん近づく男子。弘美:「何の真似だ?近寄るなんていい根性してんねぇ」男子生徒:「お、俺じゃねぇよ、違うんだよぉ!」すると、弘美は男子の方に向いて、弘美:「あんたがこの儀式、受けな!」と言ってすぐに、さっき買ったばかりのシャーペンを男子生徒の顔目掛けて突き出して来た。Xは、それを予測して、それを瞬時に避けた。男子生徒:「うっそぉ!?マジかよ、弘美のを避けたぞ!」興奮気味な男子生徒は、弘美を逆に見下すように、男子生徒:「テメェの儀式もこれまでだなぁ、こんな儀式は、弘美じゃなくてもいいんだよぉ!」
2007.08.13
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夏休みを控えた1学期末期。彩香達は、時間の歪みに耐えながら、何とか普通の生活を過ごしていた。仁美の中で何も出来ないでいたMも、今は時間と共に復帰しつつあった。仁美:[もう大分経って私もかなり人の事を考えられるようになったわ、あとはMの彼女として生きていけるといいんだけどな]M:[…1番難しい課題だね、現代と異次元が合併しなきゃ…]仁美の心を叶えるためのケアとしては、もうクリアしているはずだが、叶わない恋に落ちていた仁美の心に離れられない状況にあった。Mも、仁美の気持ちになって考えてきた。そして、彩香も。仁美:[彩香への気持ちも感じる、優しいからしょうがないんだけどね。]M:[…気のもちようかなと思うんだけど、彩香の人間性に心があるだけだと思ってる。これは恋愛とは全く違う気持ちなんだ…]仁美:[わかってるよ、それは私にも彩香との友情として見ているし、そんなんじゃないけど…]お互いわかっているからこそ、叶わない恋の壁を越えたい思いが、2人の強い気持ちで共同作業をしている事で、異次元と現代を結び付ける何かを、きっかけを探していた。彩香は、学校の過去を思い出そうとしていた。学校を浄化する代わりに一部の記憶を失っていた彩香は、当然あの騒動があった部分が消えている。仁美も、そして全校生徒や先生達も同様だった。Mとiにはその記憶は消える事はなかったが、一部の機能を失っている。それは、選ばれし者にはなれない事だ。失敗を覚悟で、大掛かりな作業をすると、失敗は許されず、再起不能となるが、成功したとしても、一部の機能は失う事がわかっている。Xの場合、既に選ばれし者となっているが、まだ失敗したらどうなるというデータがない。誰も失敗したことがないからだ。もし、Xが任務を失敗すれば、ただでは済まされない可能性がある。まして過去にいるだけでもかなりやばいはずだ。噂では、選ばれし者になれば怖いものはないとも言われているが、それは理想論に過ぎない。Xは、帰宅する弘美の後ををつけた。中身に悟られずにしなければならない。弘美が歩く先には、何やら見覚えのある場所だった。X:[…く、クレープ屋!…例の!?…]
2007.08.12
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Xはどう言っても辞めようとしない、使い走りや言われ放題の中に、真紀本来の思いがあった。ただいじめられているのではない、傷ついてほしくない、嫌われなくないという気持ちになっていた。X:[…これじゃ、真紀が飯を喰う暇なんてないじゃないか!?…]真紀:[そんなのどうって事ないじゃん!]X:[…そりゃあ違うな、あんたがやってる事は、弘美の為なんかじゃない、あんたがいじめられていることを認めたくないだけだ、弘美にも悪影響だし、あんたにも精神を削ってる事で、どうせ持たないぞ…]真紀は、その言葉に一瞬ピクっとしたが、それでも、真紀:[ほっといてよ、どっか行って!]と発言した瞬間、Xは叩き付けられるように、真紀の体外に追い出された。中に居られるのは、真紀の本心に委ねられるからだ。X:[まずいな、怒らせちまった、真紀の気持ちも判らんでもないが……]一方の弘美は、真紀を待つどころか、勝手に学食で食事を済ませていたのだ。弘美の中で操作している者、性格の悪さを極めている。しかも、的確に、シナリオ通りに、頭のいい知能を秘めていた。X:[…困ったもんだ、これじゃ仕事にならん、弘美を早く突き止めないと、あの中に何があるのか?!…]真紀は、買い物から戻り、弘美を学食で見つけた時にはもう、昼休みの時間は残されていなかった。弘美が真紀を見つけて、弘美:「遅かったから食べちゃったよ、それ、貰ってくね」真紀は、黙って、教室に戻り、平然と席に座った。極めて悪質な者が弘美を操る事から、弘美本来の意志はどこかに封印するだけの事をしなければ、あんなに悪質にはなれないはず。Xは、弘美の本心ではない状態で本体に潜んでいるために、未来には、何らかの食い違いで誤報となり、弘美がイジメられて自殺したとされてしまったと見ている。弘美がまた新たな展開に歩もうとしていた。人に物を盗ませようとしていたのだ。X:[…真紀以外にまだいる!…]Xは、真紀以外の対象になっている生徒を探した。イジメられている生徒を捜すのは苦難だった。自分からは絶対喋らないし、申告もしないからだ。心の奥深くその事を隠そうとする。表に出たら何をされるかわからないから、その恐ろしさに潰されそうになるのだ。それに耐えられるとしても、人間として生きて行く為に欠乏してしまう何かがある。それは人間関係そのものだ。1人では決して生きて行く事の出来ない人間から、交流を失ったら、まず先は長くない。真紀の行為は、友情を守るどころか、耐えるだけの精神力と、人間関係を結ぶ交流感を消耗していくのだ。
2007.08.09
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自分の子供ではない、でも救いたい。名付け親が違う、でも呼びたい。複雑なしがらみが涌井の脳裏を駆け巡る。弘美と名付けたのは、前の夫であり、その夫とは昔から知っている者だった。だが、仲のいい関係だったわけではなく、涌井がその者に虐められていたという過去があったのだ。時が経ってしまうと、虐めた側というのは本当にその事実の記憶を忘れるというが、まさにその通りであり、よりによって涌井より先に出会ってしまったのはその者だった。世界の狭さというか、偶然が、涌井にとって、弘美を通じて蘇る辛い記憶。それでも弘美を救いたかった。しがらみを乗り越えられずに妻とは結局離婚してしまったが、娘との繋がりだけは失いたくなかったのだ。涌井:[こんな身勝手なことは承知の上だ、今更どうにもならない自分自身の過去は、自分だけで背負う、けれど、娘には全く関係のない事。今更父親ぶるのもおかしいが、出来れば娘に認めてもらいたい]学校は昼休みに入り、真紀は、学食に向かおうとした時、後ろから、弘美:「さっきのは何なの?何のつもり?」真紀は返事する言葉が見つからず、ただ言われているだけだった。X:[…これじゃ、カモだな…]真紀には口では勝てない性格、そこに付け込まれて言いたいように言われていた。弘美:「何とかいいなよ、早くしないとお昼ご飯食べれなくなるじゃん」真紀:「そんなこと言われても…」弘美:「そのトロトロした言い方がムカつく!時間無くなるから、ご飯代わりに買ってきてよ、何でもいいからさ」といって、どこかに行ってしまった。X:[…あんた、親友思いが仇になってるんじゃないか?…]真紀:[そうかもしれない、けど、いつでも弘美が戻ってもいいようにしてなきゃ]X:[…それも大事だが、今は弘美の中を探るのが先決だ、もっと会話を引っ張ってくれ…]真紀は学食に行く前に、校外にある売店に行き、弘美の好きそうな食べ物を買った。そしてすぐに、弘美のいる、今朝居たあの隙間に入っていった。X:[…場所を知ってるということは、もうこの状況が長いって事だな…]弘美:「遅かったじゃん、何買った?」真紀は弘美が好むと思ったクレープパンとサラダを取り出した。弘美:「こんなの欲しいって言ったっけ?忘れちゃったんじゃないの?」真紀は、本当に大好きだったクレープパンを叩き投げ、またどこかへ行ってしまった。人のいい真紀はら再び買い直す事に。
2007.08.08
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涌井の恐れている事はXにはわかっていた。しかし、事実を知る事も重要であり、今の生き方を変えられるきっかけになるかもしれない。過去を消すという作業は、Xでなくとも、Mやiでも可能なイージーな技だった。ただリセットするのであるなら。Xは、実は、過去の一部分だけを消去する方法を知っていた。だが、この方法は誰も知らない、Xも使ったこともない、出来れば使いたくない方法。理由は、過去が変わる事、関係者は必ず記憶が消える、そして、消した本人は責任重大という事で死ぬより辛い事になると言われているのだ。その意味は、決して使ってはならないという裏付けがあり、人間として、一番卑怯で卑劣で非常識な行為だからだ。X達の異次元では、[3H]と称されているが、誰も口にすることはない。だから、過去にいながら過去の一部は消してはならなかった。自分に都合よく記憶を変えようという行為を悪用する者が必ず現れるかもしれないのだ。それを出来ると思わせてはいけない、その流れにしてはならない…。涌井はここで決断しなければならなかった。弘美の存在を知る事、父親としてすべき事。X:[…とにかく、大変なことだが、事実を話すしかない。もし、それを聞いて何か異変があったら、その動き方によっては俺が判断する。…]涌井:[ああ、そうだな、記憶がなくなるのはゴメンだ。]その前に、弘美を操っている者を探らなければ、真実を語るわけにはいかない。Xは真紀と共に再び学校へ向かう。真紀:[弘美を救う事は出来るの?]X:[…そのために来てるんだぜ、何もしなければ帰れないしな…]真紀:[弘美の中にいるのは貴方と違うって言ったけど、何がいるの?]X:[…よくわからないが、人間じゃないことは確かだ、弘美の人格を変えているのも奴の仕業だと思う。…]まだみたこともない生命体、Xにも何が起こるかわからない。だが、弘美から引き上げなければ救う道はないのだ。学校は何やら異様な雰囲気。イジメの事実を知っているのか知らないのか、職員にも、ただならない空気が漂っていた。X:[…これで普通か?…]真紀:[いつもこんなんだよ]X:[…だから気付かないんだ、ドンヨリしていて、はっきりしない、動作がまとまってないし、霞がかかっているようだ…]真紀のいる3年生のクラスは、ごく平凡な生徒ばかり。今は弘美とは別のクラスだが、2年生までは同じクラスだった。3年生になる進学期には既に弘美の人格は変わっていたという。
2007.08.07
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X:[…いや、弘美の中にいるのとは全く違う。 俺は別の世界では人間と変わらない。しかし、コイツは違う…] 真紀:[じゃあ、何なのよ?] X:[…今は喋ってる暇はない、ここからとりあえず逃げるぞ…] 頭が混乱していたXは、何がどういう真実か理解出来ない。 ひとまず弘美から遠退く必要があった。 サッと振り返り、Xの転送で、涌井のいる廃墟に戻った。 その時、弘美は、いや、弘美の中にいる者は、転送先をキャッチしていたが、学校のチャイムが鳴ると、元の平然とした弘美に戻り、他の生徒と何もなかったかのように、正面玄関に入っていった。 涌井の前に1人の女子高生が向かってきた。 涌井は、Xの反応で、知り合いと感じて、 涌井:「よく来たね、学校はいいのか?」 真紀:「今はね、あんたの事は聞いたよ、大変みたいだけど、未来がどうのこうのっていうのは、あたしには理解出来ないから」 涌井:「それでいい、その件は複雑だから何となく、来た目的がわかってりゃいいさ」 涌井は、優しい言葉で真紀に言った。 涌井:[娘の事は聞いた、真紀さんが何とかしようとしていたのも。でも、真紀さんが娘に何かがいると知ったのは何故?] X:[…真紀には鋭い霊感のようなものを持っている、能力というより、天然だ。それで本来の弘美ではなく、操られていると感じたんだ。そうだな?…] 真紀:[そう、そう思うほうが自然だったから] 涌井:「娘とは親友のようだね、もう長いのか?」 真紀:「そうね、短くはないな」 よく知った仲であるからこそ、余計に変化に感じやすかったのだ。 X:[…ところで、整理したいことがあるんだが、涌井は何故、娘を名前で呼ばなかったんだ?…] 涌井は、名前について、渋った顔をした。 涌井:[弘美という名前は、前の親が付けた、でもあの娘はそのことを知らない。もし、最初から名前を言っていたら、その真実が私の心から来た事が娘の本心に伝わって、その事を知ってしまうと思ったからだ] X:[…ちっ、複雑だねぇ、あんたは本当の……] 涌井:[それ以上言うな!] X:[悪かった、それより、知ってしまったらもう彼女にはツツヌケになるぞ…] 涌井:[さっきの話しを聞かなかった事にしたいよ] X:[…いくらなんでもそりゃあ無理だな。真実を話して納得させる方向に持っていったらどうかな?…] 涌井:[簡単にいうなよ、それが出来れば苦労しないさ] 過去に来ていながらその過去を消す事は出来ない。 全てを消す事は出来るが。
2007.08.07
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X:[…考えられん!…]娘の心に入ろうとしても入れない!娘は既に洗脳されている!X:[…どこの次元かわからない、別の者?いや、他に居るとは思えない!一体、誰だ!?…]娘を動かしていたのはまさにその心に潜む者が原因のようだ。数人の生徒が1人の生徒を押さえ込んでいた。その前に、娘が立ち、娘:「なあ、あんた、昨日、センコォにチクりに言っただろ?それに、あたしの名前出したよなあ?」X:[…弘美…というのか…]そういえば、涌井から名前を聞いてなかったが、何故だろう?一刻もできない状態で、Xは、急遽、攻められている女子生徒の心に潜入した。X:[この子は、親友のようだな、何故こんな目に?…]ひとまず、この場を何とかしなければならない。女子生徒:「正しい事してるのがいけないの、弘美!」意外な反撃に、弘美:「何?この世界に正しいも何もないんだよ!」と言った後、蹴り飛ばすと、X:[…避けろ!…]それに反応した女子生徒は、押さえ込んでいる生徒を力いっぱい払い上げ、その場から逃げた。弘美:「何かが違う」どうにか逃げ切った女子高生は、心に潜むXに問いかけた。生徒:[あんた、誰?何故助けるの?]Xは、この生徒の言葉がとても不思議なイントネーションだと気付き、X:[…あんた、今何されてるかわかってんのか?…]すると、生徒:[わかってるような口きかないでよ、イジメられてるのはあたしじゃないわ!]X:[…!…]生徒:[弘美に決まってんじゃん!]Xさえ読めないこの言葉の意味を、生徒は淡々と答えていった。生徒:[あんたも気付いてると思うけど、弘美の中にいるのは、弘美を操っているみたいなの、弘美の本心をイジメてるのよ!]そんなことがあっていいのだろうか?人の心を本心から操るとは、XやMには踏み込めない所に奴が潜んでいることになる。X:[…幸いとは言い難いが、弘美本人の意志ではないという事だな…]現時点では、この生徒がイジメられている形ではある。だが、本当に苦しんでいるのは、弘美の本心である。X:[…とても複雑で解決するのが困難だ、イジメを解くにはイジメをさせないこと]弘美を救うには、弘美の本心にいる何者かを解読すること。厄介ではあるが、Xは必ず解決させる重大な任務だ。X:[…あんたは問題ないようだな、真紀と呼んでいいな…]真紀:[名前を?あんたも奴と同類なの?]
2007.08.05
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何が娘にさせていたのか?何を考えていたのか?それから突き止めなければ、被害者も加害者も救う道はない。これは心と心の問題だった。些細な事から虐めが発生する事があるから、それぞれの心を見抜いた上で行動する必要がある。涌井:[とにかく、Xは今から娘の中に潜んでくれ、俺はそれによって相手の行動を見たい]X:[…いいんだな?娘さんのプライベートに入っても?…]涌井:[ああ、何か起きようとしたら、食い止めてかまわないから]Xは、涌井の苦しみをよそに、余裕を感じる娘にやる瀬ない思いと、怒りを覚えた。X:[…親を横目にして、あの光景には信じられない、早いとこ正してやらなけはれば、涌井の心が持たない…]涌井の痛んだ心と連動するかのように、現代の異変が変わっていく。iは、その異変を予測した。i:[…地震が起きるわ、微震だけど、涌井に何か変化があったみたい…]彩香:[変化って、いい意味なのかなあ?]i:[…わからない、けど、あまりいい内容ではないと思う…]彩香:[いい意味では異変を感じないからでしょ!?]i:[…そうね、もうじき揺れるわ!…]iの答えた後、すぐに地面がかすかに揺れた。彩香は、涌井に起こっている事が心配だった。同じ時に仁美も、Mと同じ気持ちになっていた。仁美:[何が起こっても、無事に会って欲しい]iは、もし次に異変が起きた時は、もっと大きな地震が来る事を予想していた。規模によっては、皆を避難させなければならない。でも、そこまでの判断が付かなかった。M:[…これ以上の災害が出る予想がたてられるなら、僕なら何とか出来るかもしれない…]i:[…この時代ならできること?…]M:[…そう、この時代であれば、特殊機能は使える、ただし、非常用だけどね…]非常用である以上、決して完璧に実行出来る可能性は保証されないが、今の段階では、他に手がない。M:[…出来れば何も起こって欲しくないが、あっちは大丈夫だろうか?…]Xは娘を尾行し、学校の昇降口の前まで来た。そして、中に入って行くと思ったら、その横に逸れて、脇に狭い空間があった。そこで何人か生徒がいた。誰かを囲んでいるようだ。Xはすぐにそれが虐めの現場だとわかり、急いで娘の心の中に突入しようとした。X:[…な、なんだ!これは!?…]
2007.08.02
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娘に近寄ろうとするX。だが、思いがけない光景に出くわした。携帯電話を持っていた…?しかも、誰かにメールしている。X:[…おかしいな、涌井の言っている事と違うな…]しかも、虐められているような雰囲気ではなく、むしろ、余裕すら見える。X:[…もしかして、虐めって…]事態は急変した。現代では、iと彩香のコンビが、保健室で柚木先生と佳代の姿を見て、彩香:「ねえ、今日おかしくなかった?」柚木先生:「日付の事かしら?」佳代:「あたしもさっき彩香に会ってなかったらどうしようと思ってさ」彩香:「佳代、あれから走ったの?」佳代:「走ってないよ、ちょっと考え事してたんだけど、気が付いたら校門にいたような…」i:[…歪みが発生した瞬間、彩香を越えて来たのよ…]彩香:「え、あたしには何も感じなかったけどな」i:[…だから個人差があるって言ったでしょ…]柚木先生:「iさんの言っている時間の歪みとやらの修正は効くのかしら?」i:[…おそらく、2人が帰ってくればね…]柚木先生:「あなたには無理って事?」i:[…何が言いたいの!?…]柚木先生は、佳代との会話の間に入ってきた事が気に入らない様子だった。彩香は、ひとまず保健室を出る事にした。i:[…あたしが何も出来ないと思われてるわね…]彩香:[気にすることないよ、割り込んだあたしが悪いのよ]i:[…だけど、あの2人意味深な会話をしていたのは確かよ、家庭の事情みたいな…]彩香:[わかったよ、でも、詮索はやめよう]iは、以前よりも大人になった彩香を見ているようだった。同じ頃、仁美とMは、教室で会話をしていた。仁美:[でも、異次元で見たMの姿は本当に私が描いてた通りでびっくりしたなあ]M:[…仁美が選んだ通りでよかった、自分はとくにイケメンではないし、こんなんでいいのかと心配したんだけどね…]仁美:[十分どころじゃないよ、はまりすぎだよ]お互いに、同じ場所に居ながら姿が見えない事がなによりもやるせなかった。仁美:[いっそ、異次元とくっついちゃえばいいのになあ]M:[……]彩香とi、そして、仁美とM。皆が待っていたXと涌井の情報は、思いがけない展開となっていく。涌井が助けようとしていた娘は、実は虐めの加害者だったのだ。X:[…しかしなぜ、死んだのかがわからん…]涌井:[例え加害者だとしても、突き止めなければならない、立場が逆になっただけだよ]Xは、涌井の心の思いきりダメージを受けた痛みを感じた。
2007.08.01
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