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他のリセットでは取りあげる事すらあり得ないが、物体的に横領ができるのは透明リセットボタンだけだ。パソコンでいう、もとのファイルから使いやすい場所に"エイリアス"を置くのと同じ仕組みで、発生場所にあって初めて動作するため、すんなり使えるようには出来ていなかったのだ。しかし、それが一番の利用防止であり、リセットされないうちは、複数が同時に現れることもない。サクは持ち帰ったリセットのエイリアスから探るために、サーヤのいる研究所に届ける事にした。イオンとセータ組は、結局何も起こらなかった。しかし、帰り道、たった1台のクルマが通り過ぎ、さっきの倉庫に向かって行った。イオンとセータは、急いで倉庫に戻り、先ほど隠れていた場所に腰掛けた。クルマが脇に止められ、1人の男が、何やらトランクケースを持っていた。男は、フタを開けて中身を確認した。セータが突然反応した。セータ:「うわっ、同じ物を鋭く感じる!」イオン:「何が、どうしたってぇ?」イオンは双眼鏡を取り出して、トランクの中を覗いてみたら、イオン:「ありゃあ、チップだなあ?」セータは、同じ物を感じると言って、その男に引き寄せられていく。イオンは急いで、イオン:「馬鹿、近寄るなよ、どういうつもりだあ!」すると、セータ:「いやあ、なんか、あの人、そんな悪いようには感じないんだよねえ」イオン:「!?」セータの発言に疑問を抱くイオンは、同じチップを持っているだけで何故いい人と思うのか、まったく理解出来なかった。イオン:「チップのせいで妨害されてるかもしれないぞ」セータ:「うーん、その発想、単純だけど、いいねえ」セータは馬鹿にした口調だったが、心の中はかなり的を得ていた。男は、トランクからチップを取り出し、あたりを気にしながら、また違った箱に移し替えた。イオン:「あの黒い箱は何だ?なあ、セータ……あ」イオンがあの黒い箱に見取れている間に、セータがいなくなった。あの男に近寄るために、自分の気を消していたため、イオンにはいなくなった瞬間がわからなかった。イオン:「馬鹿!あれに近づいてるんだな、どこから行ったあ?」すると、黒い箱の横に何かスイッチがあり、それを下に下げた。箱は何か唸りを挙げて、振るえだしたのだ。イオン:「なんかの機械だったのかあ、だとしたら、チップに何かをしているって事!?」見つからなかったセータが、ようやく姿を見せたのは、男の背後だった。イオン:「ああ、馬鹿!」男はいきなり後ろを向いて、銃を構えた。ビビる事なく落ち着いた表情のセータだった。男:「ははあ、君はあの男の仲間だね、何が目的かは読めるがねえ」セータ:「仲間だって?あんた、チップの男に会ったのか?」人気blogランキングへ
2007.01.31
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チップを搭載した幹部Bにはやはり、違法ともいえる裏機能のある[キル]。サクのチップよりも深くしつこい、追従方式のナビを無理矢理内蔵している。裏ならではの施工が施され、もはやサクの考えはお見通しだったのだ。追従方式というのは、見る、聞く内容に対して、解決するまで強制的に検索、誘導、実行までをサポートする。その機能は複数同時進行も出来るが、使う人の能力次第。複数が出来ないタイプがあるらしく、それはチップの値段によって様々だという。この業界では、高性能ほど悪という解釈だ。行動を読まれているサクを心で見ている、そんな状況でやりづらいが、どうやら騒ぎを起こして欲しいというニュアンスだ。騒ぎを起こせば、相手の幹部Bは持ち逃げするだろうし、それよりも、リセットが問題でもある。幹部B:[…どうする…]その囁きに、サクは、サク:[…知ってるのか、リセットを…]幹部B:[…もちろん…]サク:[危険を承知で…]幹部B:[私を心配している暇があるのかね、サク…]名前も読まれているという事は、個人情報は全て流れているという事だ。過去の事以外に、リセット前の事まで、追従されている。どうやら、この幹部Bには回避する秘策があるらしい。目をこらすと、相手側の幹部Bの脇に、ボタンらしき物体が見えるのだ。サク:「なるほどな、自信があるわけだあな」サクは、ふと、住職の事を思い出した。住職の心に備わっている、無の心。それは、即興で実行できる、修行の成果でもある。サクは元々、無の心を持っていたが、チップの異変から、自動的に思考するようになり、学習も出来るようになった代わりに、セキュリティが弱く、情報が漏れやすかったのだ。そこで、命懸けの作戦を即興で実行した。サク:[プツ…]幹部Bからサクの心が見えなくなった。その瞬間、元のクールなサクに戻った。幹部は驚きを隠せなかった。幹部B:「チップの供給回路を切るとは、助からんぞ」何を思ってもサクには伝わらない。落ち着いてはいるが、幹部Bにはサクの行動が見えなくなり、錯乱した。即興の動きが身を結び、あっというまに部下を救出し、ついでに脇にあったボタンも横取りした。幹部B:「取引成立という事で、よろしいかな」幹部A:「は、ああ」後を頼もうとした受け渡し側の無知な幹部Aは、部下が居ないことにようやく気付き、怒りをあらわにしていた時、幹部Bは、微笑みながら、ブツを手に持ち去って行った。残された幹部Aの怒りは、誰にも止められないが、そこにはもう、彼以外、従う者は誰もいなかった。人気blogランキングへ
2007.01.30
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サクは、男達に先に行っててもらい、1人で助けるつもりだ。サク:「いいか、私が行ったらすぐにここを走り去るんだ。あんたらは自由だ。」男2:「でも、あいつらは?」サク:「すぐに逃げられるから。」そう言うと、すぐにその場から離れた。サク:「あのリセットは、罪人の都合で出来た、まやかしのリセット。そして、禁断のチップ、キル、この2つはあいつらにとってビジネスであり、娯楽なんだ。この世界には必要ない、しかし、自分も言えた柄じゃない、あいつらと同類なんだ」サクは、今改めて、自分の罪の深さを悟っていた。そしてそれを噛み締めながら向かって行った。幹部のいる場所からすぐ近くまで寄ってきた、そして、部下達に気がつかせ、合流する。サク:[…今何の取引してる?…]気がついた部下達は、サクに目線を振らずに、男3:[…キルだ、早く逃げろ…]サク:[…そんなわけにはいかない、私のいうとおりにしろ…]サクの誘導に部下達が従うのか、それとも…。一方、逃げた男達は、疲れ気味な身体を癒すために草むらに寝転び、空を見上げていた。星のように舞っている成分を目で追っている。男1:「なあ、こいつが麻薬の粒子だって教えた方がよくねぇ?」男2:「今更遅いだろ、もう、これ無しには生きていけなくなっちまってるよ、だから逆に何も起きないんだろ」草むらに付着した粒子や、涌き水までもが、この世界を支配する手助けをしているのだ。まともに見れば、重度な環境汚染と判断されるも、ここでは天下となり、平穏な暮らしをしながら蝕んでいく世界。ビジネスとしている人間には、汚染されることがないように、特殊なワクチンを投与されているが、それは、幹部から配布されるため、逃亡した者は、もはや、住民と同様、身体の保証はない。それでも、逃げて、少しでもいいから、自由で、平和でありたいという気持ちが上回り、それが、人の身を按じる気持ちに変化していったのだ。説得を続けているサクの能力に限界が来ていた。サク:[このままだと、幹部にばれちまう]危険だが、幹部に悟られないように、幹部の能力を探っていた。すると、提供するこちら側の能力はノーマルなのに対して、相手の譲渡される幹部には、なんとチップが搭載されていた。サク:[相手側の方が、気付いている!でも何も感じないふりをしてやがる」ある意味、陰険だが、かなりのワルである証拠だ。サクの出方次第では、取引をぶち壊して、金を出さずに狙いの品を頂くという気持ちが伝わるのだ。相手の幹部が、心の中から、幹部B:[…さあ、どうする…]人気blogランキングへ
2007.01.29
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男達の希望のないいきざまを見てサクにも、過去があった。希望のないいきざまは、サク自身にも刻まれていた記憶だ。しかし、今は違う。ちゃんとした生き甲斐があるからだ。男達にもそれを味わせたいと考えていた。サク:「吹っ飛ぶとはどうすることなんだ?」男2:「そんなこと聞くのはまともじゃあねぇ、おまえ、何者だあ?」サク:「名乗るもんじゃあねぇよ、ただ、テメェらの生き方が気にいらねぇ」すると、男は、ナイフを突かれている男に対して、男2:「なあ、おまえ、本当に死んでもいいと思うかあ?」男1:「何でそんなこと聞くんだ?」男2:「この男、何だかわかんねぇが、凄い事言ってんぞ」男1:「どういう事だあ?」男2:「本当の生きざまってヤツ」なぜか、男達は、その言葉をずっと待っていたかのように、悟り始めていたのだ。サク:「他におまえらみたいなヤツはいるのか?」男2:「ああ、いるにはいるが、あそこにいる幹部についてるヤツが2人いる」サクは、その2人に、この男達が持っている気を増幅させて、彼らに転送させた、当然、チップによる能力だが、かなりの消費を伴う。少しすると、サクのチップに返事が来た。男3:[…何時からいたのか知らないが、俺達に構わずそこから逃げろ…」サク:[…思いはどうなんだ?…]男3:[…]しばらくしても返事がなかった。サクは悩んだ。人の為に動いている事すら初めての自分が、彼らにはすでに備わっており、しかも、人を助ける為に自分の命を投げ出している。誰も自分の幹部には感心を持っていないようだ。金に目がくらむような幹部には、指示する権利などないと感じている人間は、何のために悪を演じているのだろうか?サク:「こりゃあ、私より上手(うわて)だなあ」呆然としているサクに、男1:「おい、どうなんだ?」しばらく彼らの様子を見ていたサクに、彼らはサクのいる方には一切振り向くことのないまま、男4:[…あいつらの事はよく知ってる、だから一緒だ、俺達は無理だ、ばれたら一瞬だからだ…]サク:[…どうにもならないのかあ?…]男4:[…ああ、だから、行け…]サクは、その時、彼らの思いがかなりの濃度で伝わり、思いより深い部分までキャッチした。彼らのプライベートの事までが伝わってくる中、一瞬という事がようやく明らかになった。サク:「やはりそうか、この空気も、このリセットも、全ての世界も、平穏な世界だと思われたが、この世界を作り出したのは、罪人による幻に過ぎなかった!」空気中の白い成分は紛れも無い、麻薬そのものだ。しかも、植物にとっては宝の産物であるが、それを人間が口に入れた場合、ただでは済まないわけだ。さらにショッキングな事は、あの透明なリセットには、禁断の仕掛けがあった。サク:「あいつらを助けるぞ」男1.2:「そんな無茶なあ!」人気blogランキングへ
2007.01.26
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サクが来ているのは、海沿いにあるやはり倉庫だが、ここはまだ閉鎖されていない。おそらく貿易業界の手の持ち物で、そのなかで影の取引がなされているようだ。人の気配が漂っているここには、どうやら生々しい取引が今、行われようとしていたのだ。サク:「思いきりヤバイじゃん、成立しようがしまいが、世間には関係ないが、むしろ成立しない方が危険だあな、さてどうするか?」サクは奴らの出方を見る事に。その時、サクの頭上に事務所らしき部屋があり、人が2人、何やら話しをしている。サクは特殊な耳をすました。[・・・なあに、こんな面倒な取引制度にしなくてもばれねぇのに、オエライさんは古臭いよなあ・・・][・・・ああ、今まで不成立したことねぇし・・・][・・・万が一成立しなくても、ヤクで吹っ飛ばしゃあいいことさ・・・][・・・でもよぉ、そうなったら俺達も巻き添い喰らうんだぜ、めんどくさいなあ・・・]サクは、この言葉から予測していた。サク:「ヤクっていうのは火薬かあ…?」吹っ飛ぶというのが妙だ。いったい何がどう吹っ飛ぶというのか?サク:「爆弾でも仕掛けるのか?いや、待てよ、吹っ飛ばすのは火薬でももしかして吹っ飛ぶのは、麻薬?」サクのチップが威力を増していく。サク:「これは、とてもじゃあないが、まともじゃないなあ」何気に考えていると、1つの結論が出て来た。サク:「こ、これが、あの…!」呆然としていたサクは、上の事務所から駆け降りる人の気配を見失っていた。サク:「俺が以前やったあの件と同じだあ、間違いない!」身体が震えて来たサクの背後から、男達が迫って来た、震えが止まらないサクは異変にかすかな気を感じ、切り付けてきたナイフを瞬時にかわした。逆にかわした背後から男の首を締め、ナイフを取り上げて切り付け返した。サク:「さあ、説明してもらおうか、こりゃあ何の取引だあ?」もう1人の男に質問した。男2:「バカヤロウ、簡単に言うわきゃあねぇだろぉ!」サク:「じゃあ、こいつがどうなってもいいのかあ!?」すると、男は、意外な言葉を口にした。男1:「フン、好きにしろ、どうせこうやって不祥事がでりゃあ、取引もダメになる、そしたら、ここにいる全員、吹っ飛ぶだけだあな!」サク:「何ぃ、吹っ飛ぶ意味がわかんねぇ!」男1:「テメェに言ってもしょうがねぇ、やるならやっちまえぇ!」サクは、哀れな男達を見て、まるで将来を決め付けられている、がんじがらめの人生を送っていると知って、幹部というのは、下を見ようとせず、自分の立場ばかり見て都合のいいことだけを追っている、こういう体制が嫌いなサクに、怒りが込み上げる。サク:「おまえら、生きたくないんか!?」人気blogランキングへ
2007.01.25
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ウインとサーヤの研究が続く中、あのリセットの根源は何か、何が目的だったのか、改めて考えなければならない。最悪が起こった上での幹部の手によって降されるやり方だったかどうかだ。あの透明なリセットに関しては、降したのはサクだ。しかも、今、一緒に同じ部落にいる。そんな彼が、リセットを押す立場だったとするなら、幹部にあたる人間がそのほかにはいなかった事になる。実権は握ってはいたが、サクに幹部の資格はなかった。ではなぜ、サクのいる場所にあのリセットが現れたのか?サーヤは、透明リセットの出るタイミングが、他のリセットと違う方式を探り、そこから本当の意味を見つけた上で、あの成分の正体を知る近道だと感じた。その説にウインも納得し、幹部ではない別の理論で追ってみることにした。既に、計画を組み実行する段階になっていた、イオン達3人は、事件になりそうな場所を探り、しばらく様子を見ていた。あの植物が用いられるかもしれない、しかも、あの成分の特性を既に知っているのかもしれない、だが、むやみに聞くことはできなかった。まだ誰も知らないかもしれないからだ。チップにはかなりの負担をかけるが、ラーメン屋の主人の話しでは、そういった類のグループがいくつかあると言っていた場所に絞り込めば、負担は軽い。しかし、あまりにも範囲が狭すぎるので、サクがもう1カ所の場所に向かい、チップ同士のコンタクトをとりながら行動することにした。イオン:「サクは多少でも、格闘の経験があるから襲われても大丈夫だよな。」サク:「ああ、嗜む程度になあ、ここはイオン先生に任せたぜぇ」と言って、別の場所へ向かっていった。セータは、緊張する中、あたりを真剣に探っていた。セータの気持ちは、高まっていた。サクがいなくなって初めて感じた思いにプレッシャーを感じているのに気付いたからだ。セータ:「こんな俺が、まさか、怯えてるのかあ?何だ、この気持ちは」イオンが情けないくらい弱いと思うと余計にその思いが高ぶってきた。イオン:「この一帯は、倉庫だったそうだ。だいぶ前に潰れて、今は何かとヤバイ取引場所になってるって噂だ。」こんなヤバイ事に気が付かない程、この世界は、あまりにも鈍っているという事に、ここの奴らは見越している。だから、逆に、探られている事にも予想していないはずだ。現に、嘘のように入り口の警戒はなかった。セータは、セータ:「この警戒心のなさは、まるで罠みたいだよね」イオン:「あ、ああ、ひっくり返せばそうなるなあ」セータ:「相手は、まるで考えてないか、もしくは…」イオン:「なんだあ、変な事いうなよ、余計緊張すんだろ」セータは、少しでもイオンに緊張して欲しかった。人気blogランキングへ
2007.01.24
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人間は何かに取り組んでいる時が一番美しい。筆者の親のまた親である婆さんがいるが、娘に思いを込めて育てていたが今では100歳に到達する。それは、他でもない、生き甲斐をもっているからがんばれるのだ。ノルマや、目的、趣味、やり方は様々だが、それに向かっていく姿勢こそが、本来の生き方だと思う。駄目でも違う角度からやれば上手くいったり、客がたくさん来ていても、天狗にならず続けられるように工夫する、目的とは、達成するために努力することを、現代の人間に欠けて来ている。無理しない、しても犯罪から入っていく。考えない、全てパソコンがやってくれる。目的がない、もう家にあるから。助けない、病気にならないから。セータ達は、このリセットを理解することが出来なかった。怠けるためのリセットなど有り得ない現象なのだ。最悪を打ち消すためにあると思われたが、今、戸惑いを見せていた。セータ:「もしリセットが最悪に起こるとすれば、住職も言っていたが、今のスタイルで新たな犯罪が起こる可能性を考えていた。でもさ、今のままでも充分最悪だと思うんだけど」セータが発言したことに、イオンにも、サクにも同じ気持ちだった。何故、リセットがこれなのか?サクの案に、サク:「あのラーメン屋が言ってた、頑張っている連中が標的になるんじゃないかあ?」イオン:「そんなあ!それじゃあ逆だよー!」有り得ない事ではなかった。人間が幸せである以上、今では、努力が最悪に成り兼ねない。イオン:「じゃあ、禁断の植物を使った犯罪っていうケースはあるのか?」セータ:「考えられるとしたら、禁断の植物を、努力している人に何らかの理由で服用させ、苦しめるっていうのは?」サク:「有り得るなあ、今で充分と考えれば、余計な事は避けたいだろうからなあ」それでは、そういった事態をいつ、どこで見分けていくのか?余程、先を読まなければ必ず一件は犠牲者が出てしまう、すると、それが引き金となり、連続する可能性が高いのだ。不思議な事に、現代でも異様な現象として、一件の事件が明るみになると、必ず同じような形で連続する傾向があり、誰もが身の回りを気にするような事態、明日は我が身、的な、誰もが疑わしい気持ちになっていく。人間の心とは、いいことより悪い方を引っ張る習性があるから、その観念を消す事は、極めて困難なのだ。歴史を変えるほどではないが、時間単位で予想することが可能なのは、サクとセータしかいない。ただし、チップに負担がかかることは避けられない。セータ:「どのみち、放っておけば事件が起きちゃうんだよな、もう今からでもアンテナ立てた方がいいのかな」サク:「待て、少しでも引っ張らないと身体がもたない、きっかけを掴むんだ」人気blogランキングへ
2007.01.23
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あれから一週間が経った。イオンとセータ、そして、サクの3人は、かなりの疲れを見せていた。新たな進展はないまま、 住職を捜していたが、見つかるめどがつかない。まるで存在がなかったかのように、消えてしまった住職。チップを駆使しても発見できない理由を考えると、イオン:「こりゃあ、リセットかなあ?」サク:「個人的にかあ?」イオン:「有り得ないよなあ、やっぱり」やはり過去にはなかったリセットのパターンではあるが、そこまで考えつくサクのチップは、なおも進展し続けていた。疲れ切った3人は、歩く事も出来なくなり、仕方なく、近くの街に入り休暇できる場所を捜した。やはり人気(ひとけ)のない街。ある意味不気味な空気が漂う。事件がないことはいいことだが、何て言ったらいいのか、サプライズがないとでもいうのだろうか。何事も起きないからやることがない、やっても意味がない、やるだけ無駄、普通とは、じっと家でのんびり、朗らか家族。なにやら昔から言う、憧れの生活キャッチコピーを履き違えているようだ。ゆったりのんびりは、温泉でのんびりする時に使う言葉だし、朗らかは家を買う夢などに言う。しかし、ここでは、表現が違う。しない、動かない、協力しない、以前から開発されていたが、全てにおいてオートメーションな文化に人間はとうとう、何もしなくても生きていけるようになっていた。オートメーション化まではよかったが、ニートが急増し、仕事があっても手抜きが多い。人間から苦労を抜くと、目的や達成感がなくなり、給料をもらう気持ちも変わる。それを激化させたのは、この空気だった。この空気は、健康である代わりに、この世の中から、努力する気を吸い取っているようだ。セータ達は、スーパーを見つけ、そこで必要物資を手に入れようとしたが、既に倒産し、閉ざされていた。オンライン化が主流となり、外で買う事や、外食までもが無くなっていた。イオン:「なあ、パソコンがないと飯も食えないのかあ?」セータ:「ねえ、あれ見てよ!」3人が見たのは、陰気臭い路地裏にある古いラーメン屋だった。そこへ向かい、戸を開けてみると、何とそこは大盛況。イオン:「なんだあ?ここだけは昔のままだなあ」店主に聞いてみると、店主:「俺がこの制度に反発してラーメン屋をやり続けていたら、知らないうちに、マニア扱いにされて、逆に好きな客だけが集まってきた、うれしいけど、複雑だね」セータ:「という事は、おじさんみたいな人が他にもいるんだね?」店主は、うれしい顔で、店主:「そうともさ、こんな世の中だからこそ、逆に頑張らなきゃならないと誓った連中がいる、まだ少ないがなあ」人気blogランキングへ
2007.01.22
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ウインとサーヤが研究所に戻ってきたのは明け方だった。今日は深い眠りに着いて、少しでも専念できるように、身体を休める必要があった。一度研究に入れば今度はいつ休めるかわからないからだ。ウイン:「サーヤ君はあれをどう思う?」サーヤ:「いや、まだ何とも言えませんが、博士のおっしゃりたいのは、あれがいいか悪いかって事ですよね?」ウイン:「さすが、冴えてるね、どうも腑に落ちないんだよなあ、確証できないけど、まっ、適当に休みなさい。」そう言って奥の部屋に向かって行った。サーヤは、1人、寮に入って、部屋でいろいろ考えていた。歴史、住職、光、浮遊物、光合成、そして皆。リセットを巡り、様々な出来事が何かと起こり、消えゆくものや、誕生するものがはっきりしている。現実では有り得ない自分の考え通りに世の中が動いていく観念こそ、リセットを生み出す発端となった事を考えれば、今の世界は誰がどう動かしているのか、誰が支配しているのか全く想像がつかないところが、今回では初めての事。人間が作り出した欲望さえも見えて来ない。やはり、自然が起こしている事なのか?そして、イオンがあそこまで記憶復活が遅れているのは、明らかに、他の皆と体質が大きく異なっている可能性もあるし、山積みな謎がサーヤに襲い掛かる。サーヤ:「やっぱ寝られないなあ」考え過ぎも癖になっているが、それが研究の中で最も重要な事に繋がっているのも、サーヤのいい面でもあったが、逆に、睡眠不足から、免疫が薄れているのも事実だった。隠ぺいとか、自殺だとか、並べてみれば、最悪なニュースが毎日のように発生している現代。それは、咄嗟に考えつく人間の発想から来る行動による事件が殆どだ。時間を費やして、たどり着き行動することも中にはあるかもしれないが、我を忘れて一瞬でも頭に来れば、それが起爆する。落ち着いた時には後悔の波がどんどん押し寄せる。結局、波に乗れず、時間に追われ、まわりの人にも煽られるこの世の中で、最も世界に押し潰されて、最も悲鳴を挙げて訴えているのは、むしろ犯人側だったりするのだ。犯罪は2種類あるとしたら、極悪犯より、普通の人の方が大半だろう。そういう人間を作り出しているのは、今の世に生きる大人達、政治、技術、文化、そして、時間。そして、今、深刻なのは、陰険たる人の心理。何を考え、行動しているのか、同じ人間とは思えない発想。これこそ、サーヤが今考え悩んでいる事の結果になることに繋がっていく事を予感し、恐れていた。先を見すぎて心痛めるストレスから、気が付かないうちに、サーヤの身体は蝕まれていた。人気blogランキングへ
2007.01.19
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偶然を生むとは言うが、これほどまでに仕組まれた偶然はない。過去にもこのケースと同じ事が起こっていた。探索させておいて、僧侶がいなくなり、成分分析がまとまり、誰か1人が毒味をする。しかし、定期的に死んでしまったのか、ぼけてしまったのか、今日まで記録を残した物は全く見当たらなかった。ウイン:「これは推測だが、過去の歴史がもし本当なら、全く同じ事をしようとしているのではないのか?」「俺も冗談かと思って言わなかった」薄々感じていた気持ちが一致していた。この出来事は繰り返されていた?繰り返されているとは断定出来なかったが、今は重要視されているのは毒素の存在であり、浮遊した成分がいかにしてそういった現象を作り出しているのかが課題だった。ここまで詳しく調べるにはやはり研究所へ移動するしかなかった。ウインとサーヤはひとまず、資料を持ち帰り、しばらくは研究に没頭することに。残りのメンバーは引き続き、作業を続けた。だが、ここまででわかったことは、あまりいい内容ではなく、むしろ、最悪を臭わせる状態であり、空気中の浮遊物もいいのか悪いのか謎のままだ。サク:「なんか、このまま作業してても無駄じゃあないかなあ、あれがわかんないうちはさ」イオン:「それはそうだが、また違った切り口だって見つかるかもしれないし」サク:「そんな確信のない事やるより、あのじいさん捜した方がいいんじゃあないかなあ」イオン:「怠けたいだけじゃあないのかあ?!」サク:「何だとぉ!」そこへ、セータが仲介に入って、セータ:「センコー、こりゃあ、サクの言っている事が一利あるかも。だって、消滅する理由がわからないし、歴史に乗っかってるだけじゃん。捜した方が先に進めるし、歴史の流れも変えられるんだあ」イオン:「でも、それが間違っているとは限らないんだぜ、どうにもならないだろぉ」セータは黙ってしまった、イオンが頑固なのは承知だったが、こんな時に固い者がここにいてもしょうがないと感じていたが、ウインはきっと、イオンの記憶を戻させてやるつもりでここへ連れてきたのだ。辛いのは、本当はイオンの方なのかもしれない。思い出せないのに元気で明るく振る舞っている姿はまさにあの教室の時のようだ。サクとセータは住職を究極チップを駆使して捜せば、まだそう遠くへは行ってないと予想している。平穏とされたこの空気に、新たな流れが吹き込まれようとしていた。人気blogランキングへ
2007.01.18
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未確認な成分と、寺院の書物には、密接な関係があった。ウインは更に追跡すると、太陽を浴びた方がいくらかの栄養素と空気中の成分と似ている。空気中の成分は、あの光から放たれた浮遊物で、何も起こらない限り、長い時間でも空気中に依存し続け、流れに任せて植物、食物などに付着する。光合成をたくさん浴びた植物に付いた瞬間、化学変化と共に栄養素が通常の3倍、耐久性も2倍増していると断定。これを人間が食べる事で、身体にいい影響を与え、健康であり、ストレスもない、平穏な世界を作り出したのだ。一方、陰で生えていた植物に関しては、もっと意外な結果が出た。「出来れば間違って欲しい結果だな」ウインは、深刻な顔で皆を見回した。セータもこの時点で判った。サクとサーヤは、不思議がり、イオンは、至って普通にしていた。ウイン:「あの陰にあった花には物凄い毒素を持っている、日向のと同じ種類でだ、しかも隣り合わせでお互いに共存しあっていることが不思議な位だ。これがどういうことかわかるか?」一同は、沈黙し、その花を見つめていた。陰の植物の事を、この世界の人間はおそらく知っている、そして、それらは、物凄く恐ろしい犯罪に繋がる事も承知だった。だから、新しい植物に関しては、絶対に太陽が当たる場所にしか栽培していない。これが知っているからこそ、誰もが犯罪者に成り兼ねないのだ。ウイン:「毒素があることは判ったが、どんな事になるかはまだ不明だ、解っていることは、いいも悪いも共存できる気候にあるらしい。まだ誰も使ってないし、食べる勇気もないからなあ」イオン:「政府上では採取、食用を禁止としているらしい。寺院の書物にも書いてあったな。」ウイン:「セータ、なんか深刻な顔してるけど、知ってることあるのか?」セータ:「いや、でも、さっき、センコーが見ていた歴史書にあった事が気になってるんだけど、10年周期でリセットされているという仮説がどうも不自然なんだよなあ」それが本当なら、今年のリセットがその節目の10年であり、引き継がれる時。しかし、住職はいなくなり、後継ぎもいない。これはただの偶然か?ウインがとりあえず、一同の中軸として、このブロジェクトを仕切る。しかし、これは仕組まれた偶然であることがわかるのは、もう少し後の事だった。人気blogランキングへ
2007.01.17
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イオンが見つけた書物は、ここに存在したであろう、先代寺院管理者の記録が載っていた。寺院の落成から、今日までの建物についての記録のようだ。この寺院の歴史は、やはり30年と浅く、戦後に造ったもの、先代は3人の僧侶が管理しており、いずれも10年で引き継いでいる。現在の僧侶、則ち、消息を絶った住職は今年で10年目にあたり、引き継ぎをすると思われるが、後継者は現れていない。しかも、引き継ぎする話題も資料もなかったし、どうやって引き継ぐかも記録されていない。イオン:「一番気になるのは、ほら、リセットの時期の記録も載ってないぞ」セータ:「でも、ここがやはり新しいって事が判ったけど、何かきっかけがあったんじゃあないかな?」イオン:「そんなに勘が当たったからって先走った言い方すんなよぉ」セータ:「うるせー、悔しいんだろ?」セータはイオンのツッコミが、懐かしく思っていた。セータ:「ホントにこいつ、記憶ないのかよ」知らない人に対しても遠慮しない性格なイオンがセータにとっては逆に長所となっていた。サーヤとウインは、寺院の中に戻り、事務室のような部屋で、簡易研究アイテムを取り出した。簡単なものしか調べられないが、成分の分析程度なら問題なく調査できる。簡易顕微鏡によると、ウイン:「空気中の酸素の他に、なんかみたこともない成分が混じってるが、これがあの光から発生したものかもしれないな」しかし、見たこともない成分としか判断できない簡易的なアイテムでは完全に解析不可能とみたウインは、違った成分が混じっていることは事実なため、簡易だが、空気をボンベに圧縮して採取し、研究所に持ち帰る必要があった。一方、音沙汰のないサクは、植物の分析を続行していた。前回と比べて違うのはやはり進化したチップによる、植物にたいしての接し方だ。全く興味を示さなかった性格が裏を返したように、花一輪一輪丁寧に見ている、そして、進化したチップの中に新たな機能が生まれていた、成分分析機能だ。これを研究すれば習得できる学習型であり、花の分野では強い反応を示すようになる。そうしている間に、サクはあるものを見つけた。この空気中で育った植物に、太陽のあたる場所と影となる場所とでは、成分の付き方が違う事が判った。サンプルを持ってウインの元へ向かったサクは朧げに喜んでいた。持ち帰ったサンプルに違いがあった。太陽を浴びている方がより光合成を付けているのに加え、全く見たこともない成分が検出されたのだ。人気blogランキングへ
2007.01.16
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セータとサクが帰還、イオンもサーヤもそして、ウインも皆喜び合い、2人を招いた。セータは、セータ:「センコー、まだ思い出さないのかあ?」心配そうに見つめると、イオンは、イオン:「な、なあに、大丈夫だ、そのうちになんとかなるよ」イオンだけ、なぜかこの気候に馴染んでいないようだ。ウインが、ウイン:「個人差があるようだね、また皆で作業を再開しよう、でないと、今後の事が不安だし」セータ:「あとぉ、センコーもね!」セータが付け加えた。皆から笑顔が戻っていた時、一人の人物が消えていた。後ろにいたサクが気が付き、サク:「浮かれてる場合じゃあなさそうだなあ」ウイン:「何?」いつの間にか、いなくなっていたのは住職だ。サーヤが、サーヤ:「さっきまでいたのに、いったいどうしちゃったの?」イオン:「寺院に戻ったのかなあ?」すると、セータが、セータ:「いや、違う、居なくなったんじゃあない、身を引いたと言った方がいいかも」サーヤ:「まさか、修業に出かけたっていうこと?」一同の姿を見た瞬間から、住職の気持ちが固まったのか、それとも、自分のおこなったことによって、蟇目を感じ、自立した新しい気持ちを育むのに障害になると判断したのか?気になるところだが、今はやりかけた作業を進ませる必要がある。イオンの回復のめどがつかないまま、イオンと共に作業を再開したセータは楽しかった学校生活を思い出していた。寺院にある書物はどれも仏法や法律書ばかりで、これといった珍しい資料はなかった。イオンは、イオン:「こんなことしていていいのかなあ、せめて、寺院の歴史書くらいあってもいいだろう!」すると、セータが、セータ:「なんか、ここにある本ってさあ、新しくない?」イオン:「どうしてそれが判る?」セータ:「たいがい、お寺の本なんてあるだけでみることが少ないんだ、だからかび臭いはずなんだが、ここにあるのは、そんな臭いしないし、色も変わってない」イオン:「それは空気がいいからじゃないのかあ、湿気すら感じないんだぜ、こんな暗がりで窓もないのに」チップが働いたはずだが、セータの知識は、イオンに年齢と教師の頭脳にしてやられた。セータはその時、やはり経験がモノを言うということを痛感した。しばらくして、イオンは気になる本を手に取った。それは、ある偉大なる僧侶が書き綴ったものだが、崩した筆の書き方が一見、題目かと思うようなくせ字だったたが、よくみると、年号が記されていた。イオン:「これって、ここの創立者が書いたんじゃあないだろうなあ!」人気blogランキングへ
2007.01.15
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住職が管理していた当時の政府には、独裁を望んでいた上官がいた。リセット後の世界はその上官の気持ちが練り込まれたとも言われていたが、そこで仕切っていたのは、元ショウの師匠であるスヴェンだった。ではスヴェンが上官だったのかといえばそうではなく、独裁していたのは、単なる偶然であり、上官がこの世界に移ってきたという事実はなかった。ということは、生きて現在に存在する可能性がある。問題は、白のリセットで記憶を失っているはずだが、自らリセットを知っている事から、それを防御している事も考えられるのだ。住職の考えは、この気候を利用した新たな陰謀は、その男にかかっている説を唱えた。何故なら、後先の行程を知り尽くす能力をもっているとしか言いようがなかったからだ。サーヤ:「つまり、チップ使いって事かしら?!」住職:「ああ、可能性があるって事です、だが、上官が入手しているならば、極上のチップだったと思うがのう」サーヤ:「それって、違う意味の極上なんでしょ」住職:「さよう、判っているようだね、サーヤさん」チップ作成の特許は研究所が独占する。それ以外は作る事は禁じられ、偽装、違法コピーとなる。それが上官でさえもだ。住職は更に、住職:「まず狙われる根源がここにある」イオン:「それって!?」住職の目の前には、人を背負った人物が見えていた。住職:「カギを握る男が、ここにある」紛れもなく、サクとセータのことだ。あの2人には、将来がかかった、究極のチップを持っておる、しかも、今度はバージョンアップと同等の試練を受けて帰ってきた。サーヤ:「同等というのは、上がり下がりだけではない、身体に合った最適化って事ね」住職:「サーヤさん、冴えてきたのう、もう大丈夫でしょう」住職は、自分が手を下す事はもうすでにないと感じていた。サクの独創たるバージョンアップと、セータの完全最適化が物語っている。イオン:「セータ君は大丈夫なのかあ?」イオンが心配そうに言った。住職:「多分な、いまはまだ安定してないと思うがなあ、それより、いい加減、イオン殿の復活を願いますよ」イオン:「俺、めっちゃ知ってなきゃあいけないんだよな」イオンは、未だにセータの記憶が薄いままで、回復がかなり遅れていた。一同が目にしたその2人の姿、しかも、サクが人を背負っている自体、奇跡に近い。全てをバージョンアップさせたサクと、最年少対応の究極頭脳を持つセータが、新たな展開を開いていく。人気blogランキングへ
2007.01.12
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セータを支えていたサクの心理には、あらゆる変化が生じていた。まずは人を考える事、自身自分とは思えない行動に驚くが、自然体でいることの喜びの方が大きかった。セータはやはり若すぎた。チップの判断はやはり最適化するに至った。いわゆる、"退化"だ。しかし、ただの退化ではなく、今までの知識を踏まえた退化だった。この最適化は、人がだれもが羨む機能だ。無駄に過ごしていた高校時代をやり直したいと思ったことはないだろうか?しかも、今の知識そのままでだ。まさにその機能だ。しかし、退化である以上、それなりのリスクもある。体力が減り、今後の思考力も範囲が狭くなる。容量自体は高校生並と判断される。体がついていけるようになるには時間を要した。サクはセータの退化を認め、背負いながら、一同のもとへと向かった。サクの進化は、セータの真逆となり、更にサクの中にあった、邪悪な心は排除されていた。考えるチップは、後にも先にもこの2人だけ、今の気候に対応し、判断するというチップの将来はあるのか?そして、これを量産する意味が出てくるのか、今後の課題となるのだ。この澄んだ世界がどこまで続くのか、平和な世界はどこまで保たれるのか、それがこのチップの運命を暗示していた。サーヤが生み出した史上最高のチップに設計図など存在せず、しかも、計算されたものでもない、偶然の産物といっても過言ではないくらい絶妙なのだ。住職:「再び悪のない世界を創るのはあの2人、しかし、支えが必要だのう。」再び作業に戻るウインとサーヤに住職の言葉の意味がすぐに理解出来た。この分析結果が大きなきっかけとなること、それに付随するかもしれない同等なるチップ量産への可能性を踏まえて、サクとセータの将来を見つめ続けること。住職は感じていた、この世界独特の悪がきっと発生するときが来るだろう。だが、その独特さが判らないため、何も判断はできないが、おそらく、この気候を利用した新たな事件が待ち受けていると考えられる。指揮をとっていたあの頃には考え付かなかった気持ちで、今、改めてあの立場を見つめ直すと、出世街道ばかりたどっていた自分が恥ずかしくなる、あの2人をみているとそんな気持ちになった住職の目には涙が溢れていた、その目の前にあの2人の姿が写ってきた、それぞれの成長した容姿を期待して。人気blogランキングへ
2007.01.11
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伝説を知っている住職の存在は、イオン、サーヤ、そして、ウインの記憶をより確実なものとした。この環境と、伝説の内容とが、消えかけた記憶に刺激を与えたほど重要だったのだ。住職:「私がこの道を選んだのは、紛れも無い、出世することばかり考えていた事で人を危ぶんだ罪は償いきれん。心が痛むがそれが定めだと思い、リセット後は山篭もりをしたのが始まりだった。」イオン:「出世の果てには出家って事かあ」住職:「ああ、山篭もりしたころには、自分も記憶がなかった事に気付いたのだが、不思議と違和感がなかった。多分、頭が真っ白になっていた矢先だったのだ、都合がいいと言われても仕方ないがなあ」確かに都合がいい話だった。しかし、誰一人、住職を恨む者はいなかった。人事だと思うのは勝手だが、いつ自分に降り注ぐかわからない。住職に起きた派遣疑惑には、上からの圧力があり、それが出世ではなく罠だった事に気付いた時にはもうすでに遅かった。住職はすぐに、「後になって思い出したら、あの伝説に出て来た名前と一致したことに驚いた。派遣三人の名は、ショウ、カイ、そしてマリアだったからだ。」イオンは衝撃が走った。そして、イオンの両親がいたあの時代、独裁と麻薬が渦巻いた世界によって更なるリセットを余儀なくされた、あの伝説の意味とはなんだったのか?サーヤにも心辺りが僅かだが、荒れた時代に生まれた事だけは、記憶を貫くほど判っている。サーヤ:「一体何のための派遣だったの?侵略者を突き止める為だったんじゃなかったの?」その言葉に住職は何も答える権利がなかった。派遣追跡はしたものの、再びリセットされた自体、全く意味を無くしていたのだ。すると、ウインが、ウイン:「いや、無駄とはいえない、現にそこでイオンとサーヤは産まれたんだ、逆に無駄のままにしてはいけないと思うんだが!」その言葉にイオンもサーヤも認めるしかなかった。そして、一番救われたのは住職だろう。ウインは更に、「それよりも重要なのは、住職を重圧していた上の者とは誰かという事だ、この者こそ、全ての記憶を牛耳る、そして全ての世界を知り尽くしていたと思われるからだ。」住職:「何でそんなことまで言える?」ウイン:「答えは簡単だ。リセット前に派遣を送ると指示したのは、リセットを知っているという事だ、言っちゃあ悪いが、住職さんはただの駒、自分は既にその世界からおさらばしていたんだ、でなければ、その者が指示した意味がないし、そのほうが自然だ。」住職:「自分だけがんばってたって事?」人気blogランキングへ
2007.01.10
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サクに近寄るセータ。震えているサクは、何か呟いている、聞こえるまで近寄ったセータは、セータ:「何が起きた、進化か退化か?」サクは、震えながら、サク:「あんたに、希望のある若いあんたに、言っていいのかどうかあ」セータ:「その言い草は退化かあ?」チップにとって進化とは、学習能力や判断力を発展させるものだが、逆に退化するということは、普通の人間の持つ能力に戻ることになる。だが、サクの場合は深刻だった。サクのチップが無知だったからだ。失うものがないと安心していたサクは、たった1つだけ、失うものがあった、それは、本心全ての記憶。最悪だと死に至るのだ。サク:「私はもうすぐ失うものに、関しては、悔いるものは、ない、記憶なんか、くだらないこと、ばかりだ、ただ…」セータ:「どうした?」震える中で、サクは涙を流していた。サク:「死ぬのだけが、なにより恐怖だあ…」死ぬのか、記憶喪失か、どちらに転んでも、死んだも同然と思っているサクに、セータ:「お前らしくないなあ、記憶ならまた始められるだろ」サクはどちらに転ぶかわからない極地に立たされながら、サク:「あんた、学生のくせに、いいこと言うなあ」サクはそのまま倒れた。セータは、この先どうなるのか見えなくなっていた。まるで現代の社会現象に近い。完全に記憶がなくなる前に新たな記憶を吹き込むしかないが、サクの人格に適合しない、まったく関係のない記憶を植え付ける事は不可能だ。セータ:「いったいどうすればいいんだ、こんなときは!」セータがサクに何かをしようと懸命になっていた。すると、セータのチップにも異変が生じていた。セータ:「お、俺も、退化するのかあ」考えれば考えるほど、頭痛がするようになり、サクのように体が震えてきた。セータも段々立っていられなくなり、サクの横でうずくまった。セータ:「こんなところで終わっちゃうのかよお、ついてないなあ、無知になる位なら死んだ方がマシだなあ」セータはそう呟いた後に気を失った。そんな体を支えていたのは、立ち上がったサクだった。サク:「チクショウ、無知、無知って言いやがって、死にたくない?無知な私はしっかり生きてるんだけどなあ」と言いながらも、セータの体を摩っていた。サク自身、まだ気付いていないが、無知を感知した空間がくだした判断は、人間として最低、基本となるベースがなにもかも持っていないサクに、"命を粗末にしない"、たったこれだけでも、この男にとっては大きな進化を遂げていたのだ。人気blogランキングへ
2007.01.09
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住職が、セータを止めないで、サクを探させたのは、チップ搭載である運命を背負う者同士でなら出来ないことはない、そう思っていた。しかし、チップを認めていたわけではなかった。チップを利用してまで人間を抑制した所に何があるというのか?だがそれが定めなら、それに従った道を貫くのが筋道なのだ。住職:「あの2人は、ここにいてはならない、本来、チップというのは、浄化された場所には適していないのだよ、ウイン殿」ウイン:「なるほど、対応できなくなったから使うって事だな。」住職:「さよう」最悪な気候に生活していく上での最終手段として開発が始まったのは事実である。空間が汚れなく、平和な世界、浄化された本来の気候では必要性のない、いや、使用不可能になる可能性だってあるのだ。「お坊さん、どうしてそんなにお詳しいの?」サーヤが切り出した。住職は少し笑みを浮かべながら、住職:「かなり昔、わたしはある団体の幹部として、とてもきつい地位にいたのです、人に命令するのは向いているわけではなかった。しかし、内部紛争が起きて、何人かは犠牲者となった。反逆が始まり、私もそれを止めるために、政府の人間として参戦した。政府が立ち向かうのに力不足だとふんだ私は、政府の中でも、一番気になっていたものがあった。軍事機密とされていた軍用の隠れ部隊を用意していた、そのものたちこそ、チップを積んだ始まりとされた者だった」開発当時は軍用として動いていた。住職は司令塔の地位にあり、最悪の時の非常事態の権力を持っていた。住職:「その後はイオン殿の先代の話しに繋がっていくのですよ。」先代?ショウの伝説!イオン:「それってまさか!?」イオンは急に顔が青ざめた。そしてその瞬間、全ての記憶が甦ったのだ。イオン:「あの伝説のリセットボタンを押したのは、あんただったのかあ!」住職:「私もなぜそんな記憶が甦ったのか知りたくていろいろ確認した、長年かけて、いつの間にかこの寺社に身を委ねるようになった。」あの当時の政府の幹部だったとすれば、リセット間際に起こったスパイ捜査疑惑についても知っているはずだったのだ。イオン:「ショウがずっと解読出来なかった謎の部隊、あんたはそれが誰だったか判っているでしょう?」すると、住職は眉をしかめながら、住職:「それは私が決定を下したわけではないのだ、今更言い訳するわけではないが、まだ上がいたのだ。でも派遣された人間だけは知っている。」イオン、サーヤは、住職の言葉一つ一つに記憶の重みを感じるようになった。人気blogランキングへ
2007.01.05
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