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ディーツゲン著『人間の頭脳活動の本質』へのマルクスの批評(その4)
ディーツゲンの『人間の頭脳活動の本質』 (1869 年 ) を、岩波文庫で読んでいます。
今、 「 二、純粋理性或は一般的思惟能力」を読んでます。
前にこの手稿に対するマルクスとエンゲルスの批評を紹介しました。
http://plaza.rakuten.co.jp/sagamimikan/diary/201412270000/
1
、マルクスは、この草稿をディーツゲンから受け取って、自らの感想とともにエンゲルスへ送っています。『マルクス・エンゲルス全集』
32
巻にありますが。
マルクスからエンゲルスへの手紙
1868
年
10
月
4
日です。
「僕の考えでは、ディーツゲンが自分のすべての思想を短くまとめて出せば一番良いのだけれど。彼が意図している範囲で公表すれば、彼の弁証法的発展の欠如や、循環論法のために物笑いになる。通読して君の意見を書いてくれたまえ。」と。
2
、マルクスはエンゲルスの返事がくる前に、クーゲルマンに書いています。
マルクスからクーゲルマンへの手紙
1868
年
10
月
28
日
「ディーツゲンを知っていますか。彼は私が知っているうちで最も天才的な労働者の一人です。手紙の上だけで、まだあったことはありませんが。」
3
、マルクスの求めに対してエンゲルスの書評の返事は、
エンゲルスからマルクスへの手紙
1868
年
11
月
6
日です。
「これについて完全に確定的な判断を下すことは困難だ。この人は生まれながらの哲学者ではないし、彼の典拠
(
フォイエルバッハ、君の著書、自然科学に関するいろいろな通俗的なガラクタ本
)
は、一部分は彼の用語からもすぐに察しが付くが、他に何を読んだかわからない。用語はもちろんまだ非常に混乱しており、その為に厳密性に欠け、またしばしば別の用語での繰り返しがみられる。その中には弁証法もあるにはあるが、しかし関連を成しているというより多くはせん光の姿で現れる。物それ自体を思想物として述べていることは、非常にいいだろうし、また、彼がそれを自分で発案したということが確かなら、天才的でもあるだろう。才気にあふれているし、文法上の欠陥があるとはいえかなりの文才もある。だが、全体として、あんなに不足な予備研究をもってあんなに多くの正しいことを考え出すという、注目に値する本能がある。
いろいろな繰り返しは、すでに述べたように、一部は用語の欠陥の結果で、一部は論理的な修練に不慣れなことの結果だ。これらのことをことごとく取り去ることは困難だろう。短くすることが最良かどうか、僕にはわからない。」
4
、このエンゲルスの書評にたいして、マルクスがお礼を述べつつ語っています。
マルクスからエンゲルスへの手紙
1868
年
11
月
7
日
「僕はディーツゲンの説明は、フォイエルバッハなど、要するに、彼の典拠をのぞいて見なかったかぎりでは、まったく彼の独立の仕事だと思う。そのほかの点では僕もすべて君のいうところと一致する。繰り返しについては、かれにいくつかのことを言ってやろう。彼がヘーゲルを学ばなかったということこそ、彼にとっての不運なのだ。」
5
、この後、マルクスはクーゲルマンに対しても草稿を送るとともに、ディーツゲンについて書いています。総評といってよいと思います。
マルクスからクーゲルマンへ
1868
年
12
月
5
日
「『思考能力』に関する草稿の断片なのですが、これはある程度の混乱や重複が多すぎるなどの点はあっても、優れたところは多く-一労働者の独力の所産としては-感心させられるところの多いものを含んでいます。」
私などが思うに、この哲学問題は、『反デューリング論』
(1876
年から
78
年執筆 『空想から科学へ』
)
と、『フォイエルバッハ論』
(1888
年
)
くらいしかありません。『ドイツ・イデォロギー』
(1845
-
46
年
)
がありますが、これは刊行されたのは
1926
年ですから。
その事情からすると、
1869
年にディーツゲンが読めたものは極限られていた。その中で『人間の頭脳労働の本質』を書いたということは、問題点はあっても、全体としては、彼の独学による、注目されるべき著作だと思います。それは哲学的世界観を豊かにする上で一つの重要な貢献にもなったと思います。
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