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Phantom ～Requiem for the Phantom～

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June 7, 2007

セイント・ビースト～光陰叙事詩天使譚～　第十章｢闇よりの使者｣

テーマ：アニメあれこれ(28285)

カテゴリ：薄桜鬼

セイント・ビースト～光陰叙事詩天使譚～の第10話を見ました。

第十章　闇よりの使者

倒されたカムイは金色に輝く砂のようになっていた。
《どうして俺は…!?ゼウスのやり方を疑問視しておきながら、いや、違う。非道さを確信しながら何故カムイと… 》
｢それはお前が天使だから｣
｢ルシファー!? ｣
｢天使は神の命には従わねばならない。だから、お前は戦った。そうだろう? ｣
｢だが、背くことだってできたはずだ。なのに俺はカムイと戦い、奴を倒してしまった… ｣
｢嘆くな、お前は務めを果たしただけ。天使は神には逆らえない｣
｢でも、あなたは逆らった｣

｢御機嫌よう｣
｢あなたはガブリエル!? ｣
｢美しき月は雲に隠れてしまった。もう、今宵は輝かぬ｣
｢だからやったのか、夜陰に紛れて｣
｢険しい物の言いだな。その昔はお前にも優しくしてやったはずだが｣
｢あの頃とは違う!!あなたは神に反逆し、ルシファーと共に堕天した。もう関わりたくはない｣
｢だが、時を経て再び巡り会った。これが私達の定めではないのか?上辺は相反しても、魂が呼び合えば運命の糸は絡まり合う｣
｢言っている意味が分からないが｣
｢ならば言い方を変えよう。お前も地獄へ来い｣
｢馬鹿な!?人間達を脅かす者の誘いに乗るとでも思っているのか!? ｣
｢相変わらずだな、お前は。いい加減安っぽい正義感など捨ててしまえ｣
｢正義感からではない!! ｣
｢ならば忠誠心か?ゼウスへの。どうした?図星のようだな｣
｢答える義務はない!! ｣
｢やれやれ…嫌われたものだ。今日のところは大人しく帰るとしよう。だが私達の運命の糸はいずれまた… ｣

｢俺に構うな!!天界へ戻らなければ｣
｢ユダ、南の地で何を見ていた?大神こそが諸悪の根源だと知ったのではないか? ｣
｢それは… ｣
｢素直になれ。さぁ、私の手を握り返せ。そうすればこのまま地獄へ連れて行ってやる。一瞬の決断でお前は救われる｣
｢例えゼウスが悪の源だとしてもあなたについてゆくつもりはない!! ｣
｢ならばどうする?私のように戦う気か?答えたくなければそれでいい。お前を無理やり連れ去ることもできるが、私はゼウスのように野蛮ではないのでな。今は一先ず退散しよう。が、気が変わったら私を呼ぶがいい。いつでも受け入れてやろう｣
ユダの元にゴウがやって来て、かつての仲間に会ったと話します。
真の目的が何か分からないが、自分達を翻弄したり、人間を陥れたりしながら光と闇の均衡が崩れるのを待っているのかもしれないと言うユダはせめてもの弔いとして小石で墓を作り、天界へ戻るのだった。

《この傷も程なくすれば治る。天使の体とはそうしたものだ。だが…心の傷はどうやって治せばいい?どうやって… 》
ユダの部屋にガイ

テーブルが小さすぎて窮屈に座っているゴウ、シン、ルカ。
面倒臭いというガイですが、サロンから小振りのテーブルを運ぶことを提案するシン。
ゴウは座るより立っている方が楽だと言い出すと、シンまで立ち出し、折角椅子を運んだガイが怒っています。
六聖獣の皆と楽しく過ごしたユダルカから辛いことも多いが、こういう日もあるので結論を急がずに暫く様子を見ようと言われます。

精霊祭の準備で天使達は皆大変です。
聖楽隊の練習の音色が聞こえてきて、皆綺麗な音色に手を止めています。
｢天界にはずっとギクシャクした空気が漂っているが、まだまだ悪いことばかりじゃない。精霊祭を機に以前のような睦まじさが戻るといいな｣
｢はい、私も同じ気持ちです｣

シヴァは蝋燭を作る係に当たったが、何故こんなものを作らなきゃいけないのかと不満を漏らしながら作っています。
本当はユダ
そんなシヴァはサキに下手くそだと言われ、ムキに怒ってしまう。
六聖獣になれなかった者同士仲良くしようと言われると、シヴァは候補にすらなれなかったお前と一緒にするなと言います。
｢ずいぶんと鼻息が荒いじゃないか。候補にまでなりながら、たった1人選ばれなかったお前に言われたくないぜ｣
作った蝋燭を地面に叩きつけてどこかへ走っていくシヴァ。
《畜生、馬鹿にしやがって。これもキラとマヤのせいだ。あいつらがいなくなったばかりに僕の落選が目立って、いっそう7人を聖獣にしてくれたら良かったのに。7人全員…!? 》

ゼウスの元にやって来たパンドラ。
｢按配は如何でしょうか? ｣
｢嘆かわしい限りだ。出来損ないの天使ばかりが目立ちよる｣
｢それは困りましたね。年に1度、ゼウス様が施行される天界の浄化は精霊祭のより素晴らしいものにするための大切な儀式なのに…。―シーラ、階級中位。下位天使の家に忍び込み物を盗んだ…。あの、シーラの悪行はこれだけですか? ｣
｢それが何だ?全ての罪には普く裁きを下さねばならない。お前には分かっているであろう｣
｢あ、はい…勿論。このパンドラも力の及ぶ限りお手伝いさせていただきます｣
｢こいつも粛清が必要がある、こいつも、こいつもだ｣

《まったく、どいつもこいつも精霊祭ごときに浮かれて馬鹿みたいだ。祭くらいで騒ぐなんて下界を這いずり回っている人間とちっとも変わらないよ。今日こそ僕がどれだけ優れた天使かをゼウス様に訴え、そしてあのことを提案するんだ》
シヴァはゼウスの元を訪ねる。
｢恐れながら、このところ天界でも天使の自覚を忘れてはしゃぐ者や失態を繰り返す者が多くなってきました。我々はゼウス様に従い、下界が平和であり続けられるよう心を配っておりますが、下位天使にまでなかなか手が回りません。何か対策を考えた方がよいのではないかと｣
｢そのような心配は無用。天界、下界共々六聖獣が気を配っておる｣
｢ですから!!六聖獣よりも七聖獣の方がよいのではないかと｣
｢七聖獣? ｣
｢はい!!どうか、この僕… ｣
｢下らぬ!!私は精霊祭の準備で忙しいのだ。下がれ｣
｢それでしたら、我々が滞りなく進めています。ゼウス様自らがお手を煩わさなくても… ｣
｢その準備を言っているのではない。聖なる祭の前に穢れし者の処分をせねばならぬのだ｣
｢穢れし者…? ｣
｢そうだ｣
《 …!?それって暗黒の… 》
｢シヴァ、聖獣云々と言う前に己の心に救う暗黒を早く浄化するがよい。でないと… ｣
｢ …!?失礼します!! ｣

《何てことだ、これじゃ逆効果だよ。確かに暗黒の森を見てしまったけど、あの時は単なる偶然だったんだ。それなのに… 》
｢どうかされましたか?お顔が真っ青ですよ｣
｢な、何でもないよ｣
｢ゼウス様にお叱りを受けたんですか? ｣
｢何故僕が叱られなきゃならないんだよ!! ｣
｢そうですよね、上位天使のあなたがゼウス様の怒りを買うようなマネをなさるはずがありませんでした｣
｢お前も僕を馬鹿にしてるんだな。六聖獣になれなかった奴だって｣
｢まさか、とんでもない｣
｢嘘つくなよ!! ｣
｢本当ですよ。あなたはとっても素敵な方だと思っています。困った事があったら言って下さい。いつでも相談に乗りますよ｣
｢ホントに? ｣
｢えぇ、私でお役に立つのなら。何しろあなたは天界きっての優秀な天使。ゼウス様に期待されているのですよ｣

｢なぁ、ルカ｣
｢何だ? ｣
｢俺はここにいていいのだろうか? ｣
｢ユダ… ｣
｢何事もなかったような顔をして、ぬくぬくと六聖獣の長に留まっていてもいいのだろうか?こうして満月を眺めていると、カムイとの戦いが昨日のことのように鮮烈に蘇ってくる。あいつの憎しみに満ちた眼差しが今でも忘れられない｣
｢気持ちはよく分かるが、そんなに自分を追い詰めるな。いずれは誰かが決着をつけねばならなかったことだ｣
｢そうなのかな?俺は回避できる戦いに臨んでしまったのではないか?ゼウスの命だからと｣
｢命だからだろ?六聖獣として下界に降臨し、神への不信を募らせたのは同じだ。だが天使である以上、神には従わねばならない。天界の殺伐とした空気は相変わらずだが、カムイ討伐を最後にゼウスから降臨の命はなくなった。ここが以前のような楽園に戻る可能性だってなくなったわけじゃない｣
｢希望は捨てちゃいない｣

ゼウスによる粛清が始まった…。

次回、｢粛清｣