草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2018年01月27日
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第 二百八十六 回 目


 寸劇の見本として   「 じっちゃんの 不思議な旅 」(喜劇)

 時代:現代

 場所:日本の何所か…、不明である

 人物:そくら爺さん、えんま大王、えんまの庁の役人たち、村人たち

 舞台の上手から そくら爺さん がとぼとぼと歩いて登場する。頻りに辺りを見回している。

 そくら爺さん「不思議だ、全く不思議だ…。いつの間にこんな場所に来てしまったのか、

全く訳が分からない。ああ、あそこから誰か人が来る。あの人に尋ねてみよう。ああもしもし、

ちょっと物をお尋ねしたいのですが…」



 そくら爺さん「(吃驚している)えっ、あなたは吾のことを知っているのですか?そりゃまた

どうしてですか?」

 村人A「(ニコニコしている)どうしてって、知っているから知っているのです」

 爺さん「吾は有名人ではありませんよ。なのに、初対面のあなたが吾の名前を知っている。

不思議ですね。不思議と言えば、此処は一体何処で、どうして吾は此処に来てしまったのでしょう

かね」

 村人A「(依然としてニコニコしながら)きっと用事があったからでしょう」

 爺さん「用事ですか?一体、どんな用事があったのでしょうか?」

 村人A「あそこから来る女性にお訊きなさい」と素早く立ち去ってしまう。

 爺さん「ああ、確かに女性がやって来る。あの人も吾は初対面だけど、初対面の御人に吾が

此処に来た理由を訊けってか…」



 爺さん「(訳が分からずに面食らっている)それは、御親切にどうも」

 村人B「いいえ、お安い御用です。さあ、私について来てください。直ぐ近くですから」と、

さっさと先に立って歩き出した。慌てて後を追う そくら爺さん である。

 爺さん「さっき何とかおっしゃいましたが、えーと…」

 村人B「えんまの庁と言ったのです」



 村人B「裁判所の様な場所ですよ」

 爺さん「裁判所、ですか…?」

 村人B「さあ、着きました。門の中に御這入りなさい」と言ってからさっさと立ち去ってしまう。爺は怪訝そうに門を潜って、敷地の内部におずおずと足を踏み込んだ。

 役人「お待ちいたして居りました。大王様が先ほどからお待ちかねで御座います」

 爺「吾をですか、大王様が、待っていて下さった、のですか?」

 役人「さあ、さあ、どうぞ建物の内部にお進みください。係の者がご案内致しますので」と、
建物の内部で待機していた上品な女性に、爺を紹介した。

 係の女性「どうぞこちらにお入り下さい。御屋敷の中は通路が迷路のように続いて居りますが、

要所要所には警備の者が配置されていて、御無事に貴方様を大王様の私室に誘導致しますので、

どうぞ御気楽にお散歩されるようなおつもりで、御楽しみ下さいませ」

 爺「解りました。有難うございます」

 女性「どう致しまして。どうぞ、真直ぐにお進み下さい」と言ってから、どこへともなく姿を
消している。

 数分後、えんま大王の私室で対面している そくら爺さん。

 爺「御殿があまりに広く、立派なので吾は何度も目が眩みそうに、なってしまいました」

 大王「(鷹揚に微笑みを浮かべている)」

 爺「先ほども、何度も質問させていただいたのですが、えんま大王様はどうしてそのようにお優

しい、まるでお地蔵さまのようなお優しいお顔をなさっているのでしょう。普通には世にも恐ろし

い形相の御姿が、肖像画などに描かれて居りますが…」

 大王「私が、地蔵菩薩に見えるのは、貴方が正直で、心優しいお人である証拠なのです」

 爺「はあ、ありがとう存じます。しかし、これも先ほどお尋ねしたことなのですが、大王様を

始めとして、この不思議な土地のお方たちは皆さん、私の事を初対面にも拘わらず、詳しく、

詳細に御存じのようなのですが、一体全体、どういう仕組みになっているのでしょうか。どうぞ、

お願いですから、この年寄りが納得できるように、御説明をお願い申したいのですが」

 大王「何、ワケはありません。浄玻璃(じょうはり)の鏡という、映画のスクリーンのような物

に、貴方の行動が逐一鮮明に映し出されるからです」

 爺「はあ、私の行動が、何から何まで、映画のように大写しで見られる」

 大王「それだけではありません。心の中まで手に取る如くに明瞭に、解ってしまう。鏡は一点の

曇りもなく、人々の嘘偽りは忽ちに、見破ってしまう万能のカメラでもある」

 爺「すると、その鏡で吾たちの行動も、心の中も全部、お見通しなのですね。それで、生きてい

る間に悪い事を働いた人間は、此処に来て裁判にかけられ、罪人や嘘つきは舌を抜かれてしまうわ

けですね。あの巨大なペンチのような道具を使って…」

 大王「ああ、その俗説は真実ではありません。子供騙しのペテンの如きものです。本当は当えん

まの庁の役割は、人間一人一人の人生に対して、ねぎらいの言葉を掛け、疲れている者には安らぎ

を与え、無念を呑んで娑婆に未練を残している者には、御苦労様を言う。要するに、死者の魂に

最終的な救済を行う、神聖この上ない正に 極楽 と呼ぶに相応しい所なのです。恐ろしい所など

では、断じてありませんよ」

 爺「それが本当の本当なら、どんなに嬉しい福音でありましょうか」

 大王「嘘をつく習慣があるのは、憂き世に在る人間の通弊です。此処の住人は、皆正直で心の

綺麗な者ばかり。ご安心ください」

 爺「(半信半疑で)安心したいのですが、余りに常識と違い過ぎるものですから…。いや、つま

り貴男様を、仰ることを疑っているのでは、決してありませんで」

 大王「大丈夫です。慣れていますから。と、言うよりは、却ってお気の毒に感じています」

 爺「と、仰いますと…」

 大王「(苦笑いしながら慈愛深い眼差しを向けて)八苦の娑婆と呼ばれている人間社会に、長い

年月を重ねていますと、誰でも貴方同様に、疑心暗鬼に陥ってしまいますから。シンプルで素朴

な事実を、意外と受け入れられなくなってしまう」

 爺「そうかも知れませんね」


    ――― 数日後の公園の午後。そくら爺さんが若者たちに囲まれて、楽し気に話をしている。

 爺「ねっ、だから君たちは出来るだけ善い事をするように、心掛けて、可能な限り悪い事をしな

いように心掛ければ、立派な人生を送ることが、出来るってわけなんだ。少しも難しい事は無いの

だよ」

 高校生「閻魔大王だとか、浄玻璃の鏡だとか、僕にはテレビゲームの中の世界にしか思えないな」

 大学生「嘘つきは舌を抜かれて、地獄に送られるだなんて、今時、幼稚園児だって本気で話を

聞いてはくれないよ」

 女子大生「そうよね。死後の世界だなんて、昔の人の幼稚な知恵が生んだ、荒唐無稽な空想で

21世紀では、エイリアンの存在を信じることより、困難な事よ。まして、恐ろしい閻魔様だなん

て、子供だましにも値しない絵空事よ」

 若者たち「(声を揃えて)そうだ、そうだ」と言うと、一斉にその場を立ち去ってしまった。
 残された爺は、しょんぼりとして傍らのベンチに腰を下ろす。と、何時の間に来たのか、ババ
がジジの背後から両手で目を塞いだ。

 ババ「だーれだ!」

 ジジ「(目いっぱい喜びを表現して)吾の女神様だ」

 ババ「大当たりーぃ」

 ジジ「吾、本当に耄碌してしまったのだろうか…。若い人からはバカにされっぱなしだ」

 ババ「吾 が居るでないの。信じる者は救われるってね。最後に勝つのは何時の場合でも、

少数者の真理なのよ。さあ、元気を出して、吾と一緒にその辺を楽しく散歩しましょうね」

 ジジは「うん」と大きく頷くと、元気よく立ち上がり、ババと手を繋いで歩き出した。

 世界一ナイスなカップルの姿である。





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最終更新日  2018年01月27日 14時46分14秒
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