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2018年01月30日
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第 二百八十八 回 目

 庶民の視点から読む 万葉集  ―― その 第 三 章

 久慈川(くじがは)は 幸(さけ)くあり待て 潮船(しほぶね)に 真楫(まかぢ)繁(し

じ)貫(ぬ)き 吾(わ)は帰り来む(― 久慈川よ、久慈川よ、元気で待っていてくれよ。自分

は、久慈川、お前を一番の仲良しとしてこれまで壮健に成長してきた。そして今、長い、長い、波

路遥かな旅に出る。でも、決して心配などしてくれるな。俺は必ず元気で帰って来るからな。その

帰国の際には、立派で大きな海用の船に、見事な櫓を多数備えて、元気いっぱいに漕いで、帰って

来るからな。それまでの辛抱だ。俺もお前同様に我慢して、堪えて、再会の折を只管に楽しみにし

て、命の限り精一杯生きるつもりだ。久慈川、親友である久慈川よ、どうかいついつまでも元気



生き抜いてやる。弱音を吐いたりはしない、決して…)


 筑波嶺(つくばね)の さ百合(ゆる)の花の 夜床(ゆとこ)にも 愛(かな)しけ妹そ 晝

も愛(かな)しけ(― 関東平野に秀麗に聳え立っている筑波山。その筑波山の素晴らしさは日本

人なら誰でも知っているだろう。が、その美しい山の懐深くに大切に、秘密に咲いている可憐な山

百合の魅力を知る者は、そんなに数多くは居ないだろう。そのすばらしさ、綺麗さと言ったら言語

に絶している。此処からはあまり話したくはないのだけれど、それでも言わずにはいられない。黙

って自分一人の胸にたたんでおくことは、やはりできない相談だ。だって、だって、これは私だけ

の秘密の宝物の話なのだけれど、どうしても、語らずには、喋らないではいられない。なぜだっ

て、もったいぶるなといわれても、簡単には口を開くわけにはいかない。けれども、特別に君にだ

け秘密を漏らしてあげようか…。さっきの筑波嶺の純粋無垢な小百合の魅力だけれど、表現のしよ

うもなく限りなく魅力的で美しい。でもね、私の妻なんだけど、それよりも何倍も可愛いのさ。勿



程に可愛く、限りもなく愛しいのさ。限りもなく、限りもなく、愛しい存在なのさ…)


 霰(あられ)降り 鹿島の神を 祈りつつ 皇御軍(すめらみくさ)に われは來にしを(―

 天の神の怒りを表す如くにかしましい、大きな音を立てながら、今霰が激しく降り敷いている。

その実にかしましい霰の音ではないけれども、鹿島に鎮座される御神様に、平穏無事を祈願し、

祈願しを重ね終えてから、私は喜び勇んで大和の大王であられる天皇の、勇猛果敢な軍隊の一員と



最果ての地までやって来たのだ。どうして、無事に任務を果たし終えて、懐かしい故郷の村に

帰り着かずに居られようか…。石に噛り付いてでも、帰還を果たしてみせる、何が何でもだ)


 橘(たちばな)の 下(した)吹く風の 香ぐはしき 筑波の山を 戀ひずあらめか(― 

あなたは橘という名を知っていますか? そう、高級な柑橘系の果物の名称ですね。橘の、あの

何とも形容し難い懐かしい香りは、過去に大勢の人々から素晴らしいと、絶賛され評判は年を

追う毎に高まるばかりなのですが…。その橘の木の実がたわわに実っている樹木の下を、爽やかに

通ってくる涼風。その一陣の風はこの世の物とも思えず、経験したことのない人には、知らせる

術とて見つからない。でも、それですら私の故郷の誇り、名峰の筑波山は、比喩として出したなら

ば、すっぽんと月の譬えの如くにになってしまうだろう。それくらいに文句なく素晴らしい山、筑

波嶺の事を、忘れてしまえと言う方が無理な注文だ。わたしは、絶対にあの秀麗無比なお姿を、

この目で拝さないではいられはしない、何が何でも、もう一度…)


 今日よりは 顧(かへり)みなくて 大君の 醜(しこ)の御楯(みたて)と 出で立つわれは

(― 昨日までの私は、自分の過去を振り返り、振り返りして、このままで良いのか、何か反省す

る所は無いのか。正しい将来や未来の為に改める点、矯正する必要のある個所は無いのか、その他

諸々、あれやこれやと後ろを振り返って点検する、反省癖が抜けなくて、女々しく、弱弱しく、頼

りない生き方ばかりして来てしまいました。自己反省ばかりに明け暮れしてきた、本当に頼りな

い、自分で自分が嫌になる惰弱そのもの、といった私なのですが…。今日からは、素晴らしい支配

者であらせられる天皇・大君様の、防衛部隊の最前線に立ち、異国からの侵略に備える頑強な御楯

として、精鋭部隊の一員として選抜されたからには、その任務に相応しい真に頼もしい兵士たるべ

く、後ろなど振り返りもせず、戦地に、辺境の土地に、勇んで、勇猛果敢に出発して行くのであり

ます、この私は。……、とは言うものの、心あるお人なら既に私の心の中を、全部見透かしてい

らっしゃる筈。妻の事、子供達の事、父母を始め兄弟姉妹、親戚縁者、友人知人その他、この世で

慣れ親しんだ大勢の人たちの事を、ひと時も忘れることが出来ず、涙に暮れている毎日なのです

よ、実は)


 天地(あめつち)の 神を祈りて 征箭(さつや)貫(ぬ)き 筑紫の島を さして行くわれは

(大意 ― 天地の神を祈って征箭を胡籙にさして筑紫の島をさして行く。私は。)


 松の木(け)の 並(な)みたる見れば 家人(いはびと)の われを見送ると 立たりしもこ

ろ(大意 ― 松の木の並んでいるのを見ると、家の人が自分を見送るとて立っていたのと同じに

見える)


 旅行(たびゆき)に 行くと知らずて 母父(あもしし)に 言申(こともを)さずて 今ぞ

悔(くや)しけ(大意 ― 長い旅に行くとは知らないで、母や父になにも言わずに出発して来

て、今になって後悔される)


 母刀自(あもとじ)も 玉にもがもや 頂(いただ)きて 角髪(みづら)のなかに あへ纏(

ま)かまくも(大意 ― 母刀自も玉であって欲しい。頭にのせて角髪の中に一緒に巻こうもの

を)


 月日(つくひ)やは 過(す)ぐは往(ゆ)けども 母父(あもしし)が 玉の姿は 忘れ為

(せ)なふも(大意 ― 月日は過ぎて行くけれども、母父の玉のような姿は忘れることができな

い)





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最終更新日  2018年01月30日 09時04分13秒
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