草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2019年02月01日
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第 四百 回 目

 ババ物 「過去の人物にインタヴューする」

 時代:現代

 場所:都会の中の空間

 人物:武蔵坊弁慶  ババ  その他

 場所は何処かのテレビ局のスタジオのような所である。司会者のような女性と隣り合ってババが

椅子に座っている。

 女性:柴田様、本日はお忙しい中をわざわざ遠くから本番組の為にお越し頂きまして、誠に有難

う存じます」



 女性「それでは、早速本日のメインゲストの有名人の方を御紹介致しましょう。ゲストの方、ど

うぞスタジオにお入りくださいませ」

 一人の男性が姿を現し、ババの隣の席に並んで腰を下ろした。

 女性「柴田様、ご紹介いたします、この方はあのスパースターの武蔵坊様です。武蔵坊様、

お隣の方が貴方様の熱烈なファンでいらっしゃる柴田様です」

 隣り合った二人が軽く会釈し合う。

 女性「ここで番組をご覧の視聴者の方に武蔵坊様の略歴を、簡単にご紹介致しておきましょう。

此処からは敬称を省略させて頂きますが、通称は弁慶で通っていますので以後は弁慶と呼ばせて

頂きましょうか、弁慶は和歌山県の生まれで、幼少から乱暴者として有名を馳せていましたが、や

がて比叡山で学僧として修行に励みます。そして、あの源の義経、幼名を牛若丸と称しましたが、

牛若丸との劇的な出会い、以後は義経の忠実な側近として仕え、最後も奥州平泉の戦いで壮絶な



 ババ「あの、質問をしても宜しいですか?」

 女性「ああ、どうぞご遠慮なく」

 ババ「(弁慶に向かって)あの、吾の乏しい知識によると、衣川のいくさで亡くなったのではな

く、北海道から大陸にまで渡られたと聞きますが、それについては真相はどうなっているのでしょ

うか?」



 弁慶「それについては申し訳ないのですが、ノーコメントと言う事に致します」

 女性「柴田様に御説明致します。武蔵坊様に出演交渉致しました際に、条件として一つの申出

がありました。それはある種の事情によって答える事を禁じられている項目があるので、その場合

にはノーコメントとさせて貰うという事でした。悪しからずご了承をお願い致します」

 ババ「分かりました。それでは別の事を伺います。貴方は何故、牛若丸、つまり義経にあれ程の

忠誠を尽くされたのでしょうか、何か異常な物を感じてしまうのですが…」

 弁慶「異常ですか、今日から見れば異常なのですが、当時は異常でも何でもありません。ごく当

たり前の事にしか過ぎません。つまり真に強い者、真実信じられる対象を義経公、御主人様に見出

したのですから」

 ババ「それは愛ではないのですか」

 弁慶「二十一世紀の今日で言う、同性愛の関係とは似て非なるものと言うべきでしょう」

 女性「一種の同性愛だと思われますが」

 弁慶「(極めて冷静に)そう考えるのは自由ですが、事実は崇拝、奉仕の感情と呼ぶのが正しい

でしょう」

 女性「封建的な主従関係を支える、支配と服従と言う事でしょうか」

 弁慶「私達の絆は何時の時代でもあり得るものでして、今の人が考えたり想像したりするような

低級な、陳腐な感情では断じてない、それだけはこの際言い添えて置きたい、又、強調したい」

 ババ「セックス感情は抜きの、純粋な愛情の一種だと仰る」

 弁慶「当然です」

 女性「まあ、私としたことが飛んだ思い違いをしておりました」

 ババ「吾もてっきり男だけの世界に特有の男色とか衆道といった類かと」

 女性「私だけではなく、世間一般の見る目はそのように考えるのが、言わば常識なのでは」

 弁慶「下衆の勘繰りと言うやつですナ」

ババ「ところで弁慶さん、貴方は女性をどう思っているのですか?」

 弁慶「それはとても難しい質問ですね」

 女性「私からも同じ女性としてお訊ね致します、貴方は異性をどの様に考えていらっしゃるので

しょうか、無理にもお答え頂きたいのですが」

 弁慶「ですから、難しい質問だと申しているのです。女性にも色々ありますから」

 ババ「じゃあ、思い切って伺いましょうか、例えばこの吾のことを、この皺くちゃ婆さんをどん

な風に思われますか、あんたさんは?」

 弁慶「それを早く仰ってくださいな。それなら答えは簡単です、大好きです」

 ババ「(本気で怒っている)あんたさんね、ひとをおちょくるのはいい加減にしてくださいよ。

(横を向いて独語する)ほんにまあ、いけ好かない男だよ」

 弁慶「私は、冗談など言って居りません。貴女のような女性なら本気で愛せますよ」

 ババ「(絶句している)…」

 女性「(何故か慌てている)あのォー、ちょっとお伺いしますが、あのォー、念の為にそのお訊

ねするのですが、私の事はどういう風にお感じになられているのでしょうか、率直にお聞かせ下さ

いませんでしょうか」

 弁慶「嫌いです、大嫌いですよ」

 女性「えっ、何ですって、大勢のイケメンから愛の告白を雨霰と受けているこの私を、きらい、

ですって」

 弁慶「(平然としている)」

 ババ「分かった、やっぱりあんたさんは女性を愛せない性質の、特殊な男性なのだ」

 弁慶「(にこやかに爽やかな笑顔を浮かべて)どういたしまして、貴女の様にチャーミングな女

性なら、何人でも小生は愛せますよ。愛する能力にかけては、人後に落ちませんね。ところで今度

は小生の方から質問しても宜しいですか?」

 女性「(不機嫌に)構いませんよ」

 弁慶「確か柴田さんと仰いましたね、柴田さん、貴女は何故、どういう理由から私に会いたいな

どという突拍子もないことを考えたのでしょうか。其処の處をどうかお聞かせください」

 ババ「何故ってか…、正直言ってそれは吾にも解っていない」

 女性「えっ、何ですって、柴田さん、貴女自身が分かっていないで、どうして当番組に応募され

たのでしょう、こちらの係の者が膨大な時間と人脈とを駆使して、この歴史上の超スーパースター

をスタジオにお招きしたというのに、えーと、応募書類には何と書かれてあったかしら…」

 弁慶「司会のお方、私は何もこの柴田様にクレームをつけているわけではありません。ただ、素

朴に嬉しくて、お会いしたらとても魅力的な女性だったので、感激の余りについつい口が滑った

だけですから、無理に理由を言って戴かなくとも、構わないのです」

 女性「そうですか、そう仰って頂けると当方としましては大助かりなのですが…」

 ババ「英雄崇拝の感情、そう、アイドルに憧れる気持ちと同じ物」

 女性「(何故か怒っている)ちょっと柴田さん、この超、超が幾つもつく歴史上のスーパース

ターをその辺にごろごろと転がっている くちばしの黄色い 学芸会に毛の生えたようなアイドル

などと一緒にしないで下さい」

 弁慶「司会者のお方、お言葉ですが、私は柴田様のお言葉に素直に感動・感激しています。涙が

出る程に嬉しい。この番組に出演出来て本当によかったとさえ思っています」

 女性「(何故かひどく感情を害している)武蔵坊様、お言葉では御座いますが、私には全く納得

が出来ません。どうか分かりやすくご説明をお願い出来ないでしょうか」

 弁慶「わかりました。造作もないことです。英雄崇拝と仰るのなら、素直に私の御主人の義経公

を選択されるのが自然であり、筋というもの。それを敢えて武骨な小生に白羽の矢を立てられた。

感謝感激の一語に尽きます」

 女性「有難う存じます。丁度お時間となりました。御出演のお二方にはご苦労様で御座いまし

た」

 席から立ち上がったババと弁慶が固い握手を交わして番組の収録が終了した。

 十分後、帰り支度を終えたババがスタジオ施設のある建物の廊下をやって来る。ベンチに腰を

掛けてババを待っていたジジが立ち上がって、

 ジジ「お疲れさま」

 ババ「……」、ジジを無視して行きすぎる。ジジは素直にババの後を追う。

 数分後の路上。二人並んで歩くババとジジ。ババが突然立ち止まって、

 ババ「分かった、弁慶さんに会ってよかった」

 ジジ「それはよかった、それはよかった」

 ババ「何が、よかったよかったよ、何も分かっていない癖に」

 ジジ「吾はなんでもいい、あんたが喜んでいればそれで満足なんだから」

 ババ「弁慶さんはとても素敵だったよ、でも、おめえはそれに輪をかけてもっと素敵だよ」と、

言い捨てるようにして、さっさと先を行ってしまう。嬉し気に後を追うジジである。


                            《  おわり  》

 馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでですが、過剰な芝居や演出は無用です。ただ、自然に、

その時点での役者の技量に応じて素直に演じて貰えれば十分です。目指すのは、ゲストのストレス

発散のみ。

 ここで、参考の為に少しだけ解説めいた事を申し上げておきます。読み の難しさ、と言う事で

すが、これは活字で書かれたもの全般に当てはまる。取り分け、台本を正しく読む、理解する事は

普通に考えるよりずっと難しい。きっちり読めるようになる為には年季が要る。

 例えば、現代文の読解という学科ですが、これが今の高校生には非常に難しい仕事になってし

まった。ぼんやりと考えると、日本人が日本語で書かれている文章を読んで、理解するのに何が

難しいことがあるのか。難しい筈がないと、安易に判断しがちなのですが、そうではないのです。

因みに、英語の長文読解というのがあって、大学受験などでは高校生が非常な努力を強いられてい

ますが、同じ読解と言っても、その内容のレベルが格段に違う。

 私は学習塾で指導する際に、内容が大人と子供の違い位に異なっていると、よく説明した。つま

り英語の長文は子供の内容で、現代文は大人のレベルだから、難しいのは当たり前なのだ、と言う

風に。正しく理解するには英語の長文読解などとは比較にならない程に高度で難解なのです。

 ことほど左様に、現代語、日常語が豊富に含まれている文章すら、正確に読み解くのは難解至極

なもの。取り分け訓練が行き届いていない人にとっては。更にまた、台本、ドラマや芝居の台本や

戯曲は猶更です。これに近代になって流入した翻訳ものに到っては、殊の外「正読」が期し難い。

 セリフ劇ではゲストの心の中でカタルシス・ストレスの解消がスムースに行われるのが主眼です

ので、そうした心得を持った上での読みの工夫が、上手く加えられる必要もあるわけですから、想

像以上に難しい。どうしても指導者が、劇の本質をよりよく心得た 教育者 が要請される。





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最終更新日  2019年04月10日 07時16分30秒
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