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2019年03月25日
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第 四百十八 回 目

 サンプル・ストーリー ―― その二

     「 プリンセス さくら の 華麗なるアドヴェンチャー 」

 時代:現代

 人物:謎の依頼人、世界で唯一人のライフメンターを名乗る私立探偵の はるの さくら(女性

年齢不詳は勿論、全てが謎に包まれた女性)、さくらの友人たち、その他

 場所:銀座その他の東京の盛り場など

 季節はまだ春の浅い銀座の深夜。とあるビルの薄暗い裏階段を静かに上って行く女性の人影が

あった。三階のフロアーに通じるドアを開けて、女はビルの内部に入って行く。そして「本日は閉



 声 「どうぞ」、中から直ぐに返事があった。女は静かにノブを回し滑り込むようにバーの中に

入った。中はカウンターだけの狭く細長い部屋で、照明も極端に暗く演出されているようだ。

 バーテンダー「お待ちいたして居りました。お約束の時間きっかりですね」

 さくら「お電話を頂いた金田様は、お宅様でしょうか?」

 金田「はい。どうぞ椅子に腰をお掛け下さい。何か御作り致しましょうか」

 さくら「ああ、そうですね…、アルコール抜きでトマトジュースをお願いします」

 金田「畏まりました」

 さくら「早速ですが、本題に入ります。この室内には現在、私と貴方との二人しかいないようで

すからお訊ねしますが、金田さんは間違いなく御依頼人本人で間違いありませんでしょうか」

 金田「はい、本人です」


 数日後。昼過ぎの新宿御苑の庭内を並んで散歩する二人の男女。売れっ子シナリオライターの



 野原「何だか作り過ぎな感じがするな、第一に依頼人の金田を名乗る人物だけど、ダミー、つま

り身代わりの可能性もある。それに金田が男か女かそれもはっきりしない。バンダナをして、サン

グラスを掛けて、顔中が鬚もじゃ。室内の照明は絞り込まれて極端に暗い」

 さくら「(静かに頷き)金田というのは偽名だし、性別・年齢・その他身元不詳、何から何まで

はっきりしていない」



 さくら「それは大丈夫、主訴が、自分の運命の人を一か月以内に探し出して欲しい。報酬として

十億、手付金代わりに祖父の形見の宝石を預ける。念の為に専門家に鑑定してもらったところ、時

価で数億は下らない貴重なものと判明している。これがそれよ」と左指に無造作に嵌めた大きなピ

ンクのルビーを示して見せた。

 野原「僕には宝石の趣味がないから分からないけれど、見るからに凄そうな代物だね。所で金田

に会った銀座のバーには行ってみたのだろうね、君の事だから」

 さくら「ええ、勿論だわ。でも無駄だった。バーテンダーは雇われで、金田などという人間の

事は全く知らないと言う」

 野原「やっぱり。雲を掴むような話だね。僕がこんな設定の事件を仕組んだら、リアリティーが

全然ないってプロデューサーから全面否定されるだろうな、きっと」


 その翌日。葛飾区にある水元公園の中を中年の女性・美由紀とさくらが散策している。

 美由紀「珍しく落ち込んでいるようだけど、一体、どうした訣。まさか、誰かに恋をしたって事

じゃないわよね、さくらに限って」

 さくら「まさか、私だって適齢期の乙女だから、恋の一つもして、悩んでみたいけれども」

 美由紀「そうよね。でもまさか仕事の事で落ち込んでいる、まさか…。そんな事全然信じられな

い」

 さくら「それが、図星なのよ」

 美由紀「ひえーっ、天才さくらが仕事上で壁にぶつかって酷く落ち込んでいる。いやーあ、これ

は目出度い話だわ、本当に」

 さくら「冷やかさないでよ、私だって人間だよ。分からない事だって一杯あるんだから」

 美由紀「おやおや、随分と弱気になっているのね。それも、いいかもね、人間味があってね」

 さくら「先輩、後生一生のお願いです、私を助けて下さい。何かヒントだけでも与えて頂けると

有難いのですが、この通りです」と、さくらはその場に足を止めて深々と頭を下げるのだった。

 美由紀「さくら、この仕事は貴女が命を賭けて自分で選んだ道だよ、それもライバルの私に頭を

下げる位なら死んだほうが益しだと、そう思っている。分かった、一つだけだよ、今日は私の誕生

日だから筋違いな誕生日ギフトだけど、依頼主の誕生日は当然に探り当てているのだろうね」

 さくら「はい。私と同じ8月28日と占いの結果が出て居ます」

 美由紀「それじゃあもう、答えがでているじゃないの」と言い捨てて、さっさと後ろも振り返ら

ずに去って行く。それを呆然と見送るさくら。


 その翌日。依頼人の弁護士事務所からさくら宛てに招待状が届いた。中味は京都の高級料理店で

食事をするように案内するもの。但し条件があって誰か男性の同伴者を連れて行くこと。新幹線そ

の他の交通費や宿泊費と店での支払いは、依頼主の方で負担するとあった。

 その週の週末。京都で有数の割烹料理店の暖簾をくぐるさくら達三人の一行。

 三十分後の座敷は食事の宴が酣(たけなわ)である。

 老人「春野さん、本当に美味しい旬の食材を使った料理ばかりで、儂(わし)の胃袋がさっきか

ら吃驚仰天のしっぱなし。寿命も優に十年は確実にのびるでしょう」

 若者「僕も、こんな素晴らしい高級料理は生まれて初めてなので、両方の頬っぺたが落ちてしま

うのではないかと、心配しながら御馳走になっている所です」

 さくら「そう言って戴くと、お二人をお連れした甲斐があるというもので、私としてもこんなに

嬉しい事はありません。まだまだメインのお料理はこれからのようですから、遠慮せずにたんと召

し上がれ。私も今日はなりふり構わずお腹一杯に京料理を堪能する心算ですから」と普段のさくら

からは余り想像できないリラックスし切った表情を見せている。

 老人は一人暮らしの孤独な老人であり、若者は虐めが原因で引き籠りの生活を続けていて、ここ

数か月通常の生活に復帰する兆しを見せ始めていた。さくらの一人の人間としての優しさと周囲へ

の気配りが、こんな所にもさりげなく発揮されているのだ。


 さくらが京都から帰った翌日に、再び弁護士事務所経由で或る招待状が届けられた。今度は豪華

客船での国内クルーズのインヴィテーションであり、二人用のスイートの客室を確保してあるの

で、自由に相手を選んでエンジョイして欲しいと言うのだ。

 さくらが今回相手に選んだのは、知人の友人で末期の癌を宣告され闘病中の独身女性。身よりも

なく天涯孤独の薄倖の人であった。女性はさくらからの提案があった時に、一瞬信じ難いと言う様

に天を仰いだが、直ぐにさくらの両手を押戴くように自分の胸に抱きしめて、何度も何度も「有難

う御座います」の言葉を繰り返したのだった。


 好天に恵まれた豪華客船でのクルーズは実に素晴らしいものであった。一週間は文字通りあっと

いう間に過ぎ去った。


 さくらの姿が浅草の浅草寺の境内に見られた。鳩に餌をやり、本堂で本尊の観音様に向かって両

手を合わせる。夜になってから、さくらの姿はスカイツリーの展望スペースに見られた。東京の

夜景が美しく眼下に広がっている。


その数日後。さくらの姿は北海道にあった。彼女は特注の愛車をフェリーで北海道に送り、自身

は空路で千歳に行き、愛車に乗って北海道の平原を思いきり疾走させるのが、唯一の趣味らしい趣

味で、ここ数年は休止していたこの道楽を心行くまで、しばらくぶりに堪能し尽くしたのだ。


 そして約束の一か月が経過する日の夕刻に羽田に着き、自宅兼事務所の麻布に還ったのが夜の八

時頃であった。その直後に特別書留郵便の形で、一通の手紙が届いた。その手紙には次の如くに

端麗な手書きの文字で綴られていた。

 「 親愛なる はるの さくら 様  奇妙なお願いを申し上げました金田雪乃で御座います。

御賢察の通りこれは偽名です。しかし貴女様を心の底からお慕い申上げる私の心までが偽りでは

御座いませんの。私は現在ただ今、非常に困難な立場に立たされており、自分一人の力ではとても

解決の道を見出すことは不可能でした。それが、貴女様の本当にお優しいお心に接して、意外な

結論に達することが出来、強い驚きと同時に、非常な感謝の気持ちが身内に充満するのを、たとえ

ようもない歓びの感情で受け止めて居ります。改めて、この度の御尽力に対して衷心よりの御礼を

申上げます。

 もう既に十分にお分かりの様に、私は金銭的には十分過ぎるほどに恵まれた、他人さまから羨望

の眼差しを向けられる境遇には居りますものの、精神的には極めて貧しく恵まれない立場にありま

す。もちろん、私自身の努力と才能の無さが災いしている事は事実ですが、自分の乏しい力だけで

はどうしようもない事柄が山の様にありまして、絶望の淵に追い込められてしまったのです。

 単刀直入に申上げます。わたくしは貴女様によって救われたのです。ええ、そうです、ですから

さくら様貴女は私にとって神以上の存在ですわ。信仰の薄い私がこんな言葉を使うのは可笑しいよ

うなものですが、私は世界中の誰よりも貴女様を強く愛し、お慕い申上げて居りますの。そして、

その自分の気持ちを抑えることが出来ずに、今度のような茶番、ええ、実際そんな風にしか表現の

仕様も無いバカげたお芝居めいた筋書を思いつき、実行に移したわけですの。

 幸いに、愚かな私は貴女様のお優しく、賢明な御心によって救われました。そして、私は周囲の

誰もが吃驚仰天するに相違ない結論を得ました。明日、私は自分の両親に今日まで強く拒否し続け

て来た結婚の承諾を、笑顔で伝えるつもりです。今では死語となっている政略結婚の当事者として

です。最後にさくら様、貴女を お姉さま と一度だけ呼ばせて下さい。私は、真実の愛であなた

さまを強く、強く、心の底から愛して居ります故。 怱々 かしこ 」

 以後、ライフメンターのさくらはこの事件の報酬で得た巨額の資金を駆使して、世の為、他人の

為に、正義の為に身を粉にして尽力する事になった。    ( おわり )





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最終更新日  2019年04月04日 10時52分20秒
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