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2021年11月12日
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次のアガトーンがスピーチを開始した。僕の意図は、最初に原則を述べ、次に本題に入ること

だ。前に述べた人達は愛の神そのものを賛美するよりは、彼が人々に与えている祝福を述べてい

たように僕には思える。こうした贈り物を与えているのは一体どう言う存在なのかを言った者は

居ない。何か賛美の言葉を述べるのであれば、その主題となっている性質をも述べなければ、正

しく賛美した事にはならないだろうからね。それで僕は愛の神を褒め称えるのに、初めには神の

性質を、続いて彼が我々に与えてくれる贈物について述べたいと思う。

 僕は次のごとくに主張したい。もし天上からの嫉妬を免れるならば、全部の神々の仲間の中

で、愛の神のそれがもっとも幸福であろうと。彼は最美であり最善であるから。

 愛の神が最美であるとは次のような考察から立証出来ようか。パイドロス君、先ず第一に彼は



てている。誰もが知るように老年とは予想よりもいつも早く速くやって来るのだからね。

 老年を嫌うのが愛の神の性質だ。彼の全生涯は若者達と共に過ぎる。類は友を呼ぶとの古い諺

は本当なのだ。僕はパイドロスの意見に全面的に賛成するが、唯一点だけ、愛の神が此の世の始

まりと同じくらい古いと言う指摘には反対だ。彼は神々の中でも最も若く、常に若さを保ってい

る。ヘシオドスやパルメニデスが語っている古代の天上界での擾乱は必要の神の仕業であり、

愛の神に因るのではない。そもそもそうした事態が起こったと仮定した時の話だが。手足の切断

とか投獄、その他の暴力行為は愛の神が居たならば起こり得なかった筈だからね。全てが平和で

友好的だった、愛の神が天上界を支配する現在と同様に。

 愛の神は若くして、困難な事態には繊細である。彼が如何に繊細であるかを述べるには第二の

ホメロスが必要だろう。ホメロスは熱中・夢中は神聖な要素だけでなく、神経質な性質を帯びて

いると描写している。或いは、とにもかくにも繊細過敏な足を有している、「彼女の足は優しく



ろすのみ…」とホメロスは言う。私見ではホメロスはその女神の繊細この上ない歩みを実に巧妙

に使ってその性質を描出している。我々も同じ筆法を用いて愛の神の絶妙な繊細さを具現化しな

ければならないだろう。愛の神は大地や人々の頭上と言う、どちらかと言えば硬い場所は歩かれ

ない。全ての存在物の中でも最も柔らかな物の中に生き、動く。人々の性格や魂の中にその住居

を確立されているのだ。全ての霊魂にではない、彼は堅い抵抗を受けるや其処を立ち去るから。



先で付着するのではなく、その全存在を以ってして柔軟な物の中でも最も柔軟な相手にぴったり

と纏わりつくのだ。極度に繊細な性質を示すわけである。

 愛の神は非常に若く極度に繊細であるだけでなく、しなやかで柔軟な形態を有している。彼が

硬かったり硬直した性質だったら、どうしてあらゆる物を包み込み得ようか。そしてあらゆる魂

に入り込み、またそこから密かに逃れ出る事が出来ようか。

 彼の比類のない優雅さは、それは一般に卓絶している事を公認されているが、又、ぎこちなく

く硬直した性質は愛の神とは絶対的に相容れない要素だから、彼が良く均斉の取れた柔軟な形体

を持っている証拠である。

 彼の表情の美しさは花の間に住んでいることで分かる。彼はどの様な住まいにも落ち着かな

い。身体であれ、魂であれ、その他の物、花が咲かない物や枯れる物には。が、花が咲き、芳香

を放つ場所を一箇所でも見出すならば、腰を落ち着けて住むのだ。

 僕は多くの事柄を触れずに残したが、この神の美を証拠立てるのには十分だろう。しかし彼の

良さを更に述べようと思う。この最も重要な点を挙げれば、彼の神々や人間とのやり取りで何も

悪いことは与えないし、同時に悪いことを被ったりもしない事だ。彼が受動的である場合は、暴

力が加えられているからではなく、暴力は決して愛の神に触れることはないから、又、彼が活動

的である場合は決して暴力を用いない。何故なら、誰でもどんな事柄でも、進んで彼に従うのだ

から。相互間に承諾がある限り、至高の社会の支配者たる法律は正しいと宣言されるべき性質の

物なのだから。

 加えて、愛の神には豊かな自己抑制の美徳が賦与されている。自己抑制とは快楽や欲望を克服

する事で、愛そのものより強力な快楽は存在しないのだ。もし全ての快楽が愛よりも弱いとする

ならば、愛こそは快楽の支配者であり、その他は臣下であろう。従って愛の神は、快楽や欲望の

君主にして、空前絶後の比類なき自己抑制の保持者の名に値する。

 勇気について言えば、愛の神は戦の神アレス以上だ。愛を捕虜にしたのはアレスではなくて、

アフロディテの愛人であるアレスを捕虜にしたのは愛である。詰まり、言い伝えによれば。捕虜

よりは捕獲者の方が勝れているのだった。他の全勇者中の一番の勇者を捕獲したのだから、必然

的に最大の勇者と言う事になろうか。

 この神の道徳的な高潔さ、自己抑制、勇気などについてはこの位にして止めておこう。彼の智

慧が残っている。僕としてはこれを間違いなく処理したい。最初には、エリキマカスが彼に与え

た同様の先例に倣い、技巧の限りを尽くして述べてみたい。彼は自身が素晴らしい詩人であるか

ら他者をも同じ詩人にする。ともかく、以前には詩神のミューズなどとは無縁であった者でも、

彼が触れた相手は誰であれ詩人になる。幅広く言って、愛の神があらゆる芸術的な創造の分野で

卓越している証拠として、これを受け止めるべきであろう。一体誰が自分の持っていない物や知

らない芸術を他者に授けたり教えたり出来るであろうか? 

 あらゆる種類の生者の創造に関して述べれば、これは愛の神の智慧の恩恵だと受け取らざるを

得ない。それによって全部の生者が生まれ、成長している。

 最後に、芸術分野の制作では、この神を自分の教師として持っている者は注目されて有名に

なり、そうでない者は世に埋もれたままである。この欲望と愛の神の案内を受けてアポロは弓術

と医術と予言の技術を発見したのであり、アポロもまた愛の神の教え子だと呼んでよい。同様

に、詩神ミューズは文学に於いて、へファイストスは鍛冶の技で、アテネは機織りの術で、ゼウ

スは神々や人間を支配する事に於いて、愛の神の生徒である。

 同様に、愛の神の誕生こそが、疑いもなく美への愛が、神々の間の揉め事を作り出したのだ。

何故ならば美の神は醜さに自身を拘束させることが出来なかったからだ。それ以前は、僕が初め

に述べたように伝説が伝えるように、天界には恐ろしい出来事が、最高支配者の必要の神に因っ

て惹起されていた。が、愛の神が誕生するや否や、神々にも人間にも同様に、あらゆる種類の幸

いが齎されたのだ。

 僕の意見では、だから、パイドロス、愛の神は第一に美や彼自身の善良さで卓越しており、第

二には他者の同様な性質の原因になっている。実に、僕はこの考えを韻文で表現したい気分に駆

られているので、それを述べようと思う。愛の神が創造した、「人々の間には平和、海には凪、

不和の風には休息、そして悲しみには眠りを」と。

 我々の阻隔不和の気分を空にして、友愛の気分で満たしてくれるのは愛の神だ。相互間のこう

した交友を可能にしてもいる。祭りや踊りや、犠牲的な行為を主宰する、良好な気分を与え、意

地悪を追い出す、彼の贈物は善意であって悪意ではない、懇願には直ぐに応じ、非常に親切、賢

者の凝視を受け、神々から尊崇され、彼を持たない者から熱望され、彼を所有する光栄に浴す者

の宝物である、優雅さ、繊細さ、肉欲に耽る感性、全ての優美さ、憧れ、そして欲望の父、善き

人の幸福に敏感で、悪者の運命には無関心、労苦、恐怖、欲望、演説での最善の水先案内人、兵

士、仲間、救済者、天と地の秩序の作者、歌の愛らしく、最高の指導者、彼の褒め歌を歌いなが

ら彼に付き従い、そのメロディの自分のパートを受け持ちながら歌う、彼は神も人も引っ括めて

呪文で魔法をかけてしまうのだ。





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最終更新日  2021年11月12日 19時47分24秒
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