『先輩、そのルートで合ってますか?』

『先輩、そのルートで合ってますか?』

2026年09月19日
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「先輩、その手袋って何でしてるんですか?」

新人が秋雄の手元を見ながら言った。

「何でって?」

「白い手袋。いつもしてるじゃないですか」

「理由は三つあるかな」

「三つも?」

秋雄はハンドルを握ったまま言った。

「まず、見た目」

「見た目?」

「接客の時、手元が整って見えるだろ」

「まあ、確かに」

「制服着てても、手元が雑だと締まらないんだよ」

新人は自分の手を見た。

「所作まで含めて接客ってことですか?」

「そういうこと」

「二つ目は?」

「ハンドルを汚さない」

「え?」

「手油」

新人が少し笑った。

「そこですか」

「乗り回しの車だと分かるぞ。前に乗った人の手油がハンドルに残ってると、結構イヤだろ」

「ああ……それは分かります」

「自分も次の人に残したくないしな」

「なるほど」

「で、三つ目」

秋雄は前を見たまま、右手を少し上げた。

「サインが見やすい」

「サイン?」

「対向車に右折を譲る時とか」

「ああ、どうぞってやつ」

「そう。白い手袋だと見えやすい」

「確かに」

「車線変更で入れてもらった時も、窓を開けて手を出してありがとうってやりやすい」

新人が笑った。

「そこまで考えて手袋してるんですね」

「まあな」

少し間があった。

「あと」

「まだあるんですか?」

秋雄が笑った。

「なんかハイヤーの運転手っぽくて、カッコいいだろ」

新人が吹き出した。

「最後それですか」

「大事だぞ」

「三つじゃなくて四つじゃないですか」

「最後のは気分の問題だ」

新人はスマホを取り出した。

「先輩、こんな感じの物ですか?」

「どれ?」

新人が画面を見せる。

「白手袋で、運転用。これカッコいいっすね!」

秋雄が覗き込んだ。

「そうそう。そんな感じ」

新人が値段を見た。

「……先輩、これ結構お高いっすね!」

「そう?」

「一双にすると、四百円ちょっとしますよ」

「ああ、それなら俺が使ってるのとは違うな」

「違うんですか?」

「俺はカインズで買ってるよ」

「カインズ?」

「薄手の白手袋が何双かまとまって入ってるやつ」

「じゃあ、それで十分?」

「俺はそれで十分」

新人はもう一度スマホを見た。

「楽天にも似たのはあるけど、先輩が使ってるのはカインズなんですね」

「そういうこと」

「じゃあ、今日はポチらない?」

「好きにしろよ」

新人は少し考えた。

「……とりあえずカインズ見てきます」

秋雄が笑った。

「その方がいいんじゃない?」

「でも、先輩」

「ん?」

「ハイヤーの運転手っぽく見えるのは、どっちも同じですよね?」

「そこ気に入ったのかよ」

今回、先輩の道具箱から出てきたのは白手袋。


楽天で見つけたカッコいいタイプはこちら。

​

先輩が実際に使っているのはこちら。

カインズ マチなし薄手 スムス手袋 12双組 L | 作業着・作業服・安全靴 通販 | ホームセンターのカインズ






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最終更新日  2026年09月19日 10時00分05秒
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