青空と木洩れ日

青空と木洩れ日

2022.05.18
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カテゴリ: 着物・和装
テレビの番組を見ていてびっくりしたので
書いておきます。

着物に関するクイズ形式の問題が2つ出ていました。

最初の問題は、
次の着物で結婚式に着ると失礼にあたるのはどちら?
A.薄いオレンジにおしどりと菊の絵柄が
主に着物の下半分に描かれた着物。
B.ピンクと赤の大輪の桜が全体に描かれた着物。
でした。


その理由がテレビに出ていた『着物家』を名乗る方は
桜は散るから縁起が悪い。
そのほかにも下り藤等の模様も縁起が悪い。
と答えていたのですが、
これ、着物の基本がすっぽり抜けている答えなんですね。

Bが結婚式出席に向かない最も大きな理由は
柄ではなく、小紋だからです。
(紋付の江戸小紋等、特殊な例外はあります。)
柄以前の大事な基本です。

柄については
桜はおめでたい柄の一つなので

振袖や訪問着なら年間を通して着て
通常は問題ない柄なんです。
(小紋を着る時は季節に合わせるのが一般的です。)

藤は柄として使われるときは
ほぼすべて下がっているので

これも問題はなく、桜も藤も伝統的な柄なので
縁起が悪いということはありません。

桜は散るとか
藤は下がっているから良くないというのは
好みの部分の問題で
失礼に当たる柄ではないんです。

そんなことよりも
小紋と付け下げの違い=着物のTPOについて
説明するほうが先なんですけどね。

番組に出ていたもう一つの質問は
次のうち価格が高い着物を見分けるコツは?
A. 一般的な付け下げ
B. 刺繍の桜模様の訪問着
というものでした。

答えはBで、訪問着のほうが
仕立てに手間がかかっているから
高価であるという説明でした。

しかし、訪問着=高いと説明したり
値段の話を先にするのも
なんだか変な方向を向いているなと思いました。

着物は形式(TPO/マナー)の部分と
伝統工芸品であるが故の価格の部分があり
この部分は切り離して、整理して説明しないと
おかしなことになるんです。

訪問着は付け下げよりも正式な着物で
仕立てにも手間がかかっていますが、
かといってそれだけで
付け下げより高価とは言えません。

着物の価格は
どれだけこだわって作られたかで決まるので
仕立て以上に
反物(糸・織・染・刺繍他)の価格が大きく
訪問着の何十倍もする付け下げや小紋が
ごく当たり前に存在しますし、
勿論付け下げや小紋の何十倍の訪問着もあります。

訪問着だから高価という見方はしないし
そういった見方はしないほうが
着物を理解するうえで大事なんですね。

番組に出ていた例で見ると
Aの着物は画面越しでよくわかりませんでしたが
プリント柄かもしれないし、
金箔はただの金色の染料に見えたので
あまり上質なものではなかったように見えました。
Bの着物は総刺繍の訪問着なので
手間はかかっていて多少価格のはるものでした。

しかし、Bの刺繍は知らない人には豪華に見えますが
あまり出来は良くないタイプの蘇州刺繍でしたし、
(蘇州刺繍は雑なものから芸術品まであります)
正式な場所にデコデコな中国の蘇州刺繍は
あまり好まれません。
どちらかというと、派手派手しくしたいイベント用です。

なので、BがAより高価だからと言って
良い着物かというと、良いものを知る人から見ると
どうなのかな、という感じはします。

私のような素人と違い
着物が本当にわかっている方というのは
人様の着物について悪いところは指摘しません。

それこそ一番の失礼に当たるからです。

だからおかしな着物を着ていても
誰も何も言ってくれずに
何もわからないままそれでいいと思い込んでしまうので
ここであえて書いています。

やはり着物は、自分が初心者すぎて何もわからないので
ちゃんとした方の話を聞き、
ちゃんとした店員さんのいるお店で見ないと
変なうんちくばかり聞いてしまって
おかしなものを知らずに着てしまうと思いました。

下:着物の基本や知っておきたい話だけでない
いろいろな奥深い話を
丁寧に惜しみなくしてくださっていた
着物姿が美しいお二人の名著。












画像をクリックすると詳細が見られます。





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Last updated  2022.05.26 22:58:52
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