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2026.09.18
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 小林聖太郎「平行と垂直」キノシネマ神戸国際 神戸 の キノシネマ で封切ったのが 9月の初旬 だったのですが、結構人気で、何となく避けていると、上映時間が夕方の5時を過ぎてしまう変更もあって、もういいかなと思っていたのですが、頼りにしている映画好きの友だちが​
「今年いちばん泣いた!」
​とかいう感想を書いたりしているのを読んだりして、​
「やっぱり、見とこかな・・・」
​と揺れもどして、ちょうど、この日、 同居人 が、別の映画館の午後5時頃はじまる作品を見るというし、ここの所負け続けている ダメトラ のナイターが休みだということもあって、 17時50分開始 ですが見ました。普段は、こんな時間に映画館に来ることはありませんが、今日は見ました(笑)。
小林聖太郎監督 の 「並行と垂直」 です。 ​
いい話でした。
 ​ボクが、一番気に入ったのは 大貴君 の職場の、 須賀さん でしたっけ、 同僚のオッさん でした。 大貴君 が、 彼 を こわがっていない 所に胸うたれました。
 で、思い出したのは、30数年務めた 教員生活 の終わりごろに出会った 少年 のことでした。
 入学直後、 少年の母親 が 学年主任 をしていたボクに面会を申し込み、 少年 の 自閉症 の症状について、事細かに訴えられる機会がありましたが、それから3年間、 彼 は、大好きだった 音楽系のクラブ を途中でやめたこと以外、卒業を目前にして 出席不足 の補講が必要になったことが唯一のトラブルという高校生活を送りました。​
「お前、なんで、毎朝、こんなに遅刻したん?」
「校門に先生が立っているとはいられへんねン。」
「で、どうしたの?」
「下の、公園。」
「で?」
「先生がおらんくなったら入れる。」
「そこまで公園で座って待ってて、で、遅刻か?」
「うん、まあ、そう。」
「なんで、入られへんねン?」
「 こわいから。 」
「そのこと、担任の先生にいうた?」
「いや、いうたことない。」
「なんで?」
「3年間、担任の先生、みんなこわかったってん。」
「なんでやねん、I先生とか、和やかに話聞いてくれたやろ。」
「うん。でも、こわかったから。」
​  トイレ掃除 を一緒にしていた時の会話です。​
「おい、そんな丁寧にせんでも、適当でええで。」
「先生が、それいうたらあかんのんとちゃう?」
「いや、まあ、そうやけど、ボクもマジメにせなアカンようになるやん。するけど。」「ここ、済んだら、ちょっと、クラブの練習聞いてきてもええ?」
「ええで、あっちの女子トイレ、オレがやっとくわ。」
​
 隣の 女子トイレ の掃除をすませて廊下に出てみると、 少年 は、かつて、彼が所属していた 音楽クラブ が練習している 音楽ホール の 二階の渡り廊下 の陰に隠れて練習を聞いていました。ボクも下から見えないように座りました。​
「クラブ、なんでやめたん?」
「ミーティングの時間が守られへんかってん。」
「なに、それ。」
「練習の始めに、パート・ミーティングってあるねん。ボク、いっつも遅れるねん。パート・リーダーにおこられ続けやねん。」
「行かれへんのんか?」
「うん、なんか、行ったら叱られるような気がして。」
「リーダー誰やったん?」
「Kさん。」
「やさしい子やん。」
「うん、わかってんねんけど。 ちゃんとっして って。で、結局、顧問の先生に叱られて、やめてん。もうちょっと、聞いとってええ?」
「ええで、1階の男子トイレにおるから。」
トイレ掃除 に戻って来た 少年 に聞きました。​
「オマエ、なんで、ボクには、そういうこといえんのに顧問とか担任にはいわんかったん?」
「だって、こわないやん。」
「ボクがか?」
「うん。補講の担当、S先生やって聞いてホッとしてん。」
「それ、なんか、誤解してへんか?(笑)」
 こんなことを思い出して、ここに書き留めているのは、この 少年 がすでにこの世にいないからです。彼は、この出会いから数年後、大学卒業間際、この世を去りました。その間、何度か、彼から誘われて、同じような会話をしました。でも、彼が生き延びることを支えることはできなかったわけです。
この映画 で、 K察 の エライさん が​
「責任とれるの?」
​とか聞くシーンがあります。悪意はないんでしょうけど、みんな、そんなふうな聞き方をするんですよね。一方で 同僚の 須賀のオッさん は 大貴君 が掃除する姿を呆れて見ているんです。でも、だから、 大貴君 は 須賀のオッサン が こわくなかった んですよね、きっと。
 そこのところを描いたこの作品に涙がこぼれました。 拍手! です。 
共生 とか、 相互理解 とか、美しい言葉はいっぱい出回っています。 大貴君 が相手の 顔に触る というシーンがあります。​
「そんなことしたら、みんなこわがるやろ。」
​  おかあさん が諭します。みんなこわがりながら相互理解とかいうんです。どうして、もう一歩、近くによって顔を撫でてもらわないんでしょう。大切なのは 隣の人に顔を寄せて出会う勇気 ですね。
 そういえば 「突然具合が悪くなる」 という映画でも マリーさん だかが​
「もっと近づいて・・・」
​とかいってましたね。
「平行と垂直」 、考えぬいた結果の 題名 なんでしょうね。 希と大貴 、 妹と兄 、 家族 、そして 世間 。何が 平行 で、何が 垂直 なのか。見ていて、どうしても 客観 というか、 こわいもの見たさ というか、一歩離れた所から 頑張ってるネ・・・ とかいっちゃいそうなんです。 ドラマ ですからそうなってしまうんですけど、二人だけの問題じゃないと思うんです。そのあたりに届きそうで届いていない弱さも感じました。まあ、どうすれば表現できるのかわかりませんが、 誠実な作品 であることは間違いないですね。 拍手! のん という女優さんの演技を初めて見ました。こういう感じって ヘタウマ(笑) っていうんですかね、いいですね。 安田章大 という人も初めてでした。まあ、カメラの前だけでしょうが顔作るの大変だったでしょうね(笑)。ああ、それから 紗奈ちゃん を演じた 子役さん 。やるもんですね(笑)。 小林監督 って、あの、 上岡龍太郎さん のご子息なんですね。なんか、しみじみしちゃいました。皆さんに 拍手!
 いろいろ思い出させてくれた作品でした。見てよかったです(笑)。 拍手!
監督 小林聖太郎
原案・脚本 山野海
撮影 大塚亮
編集 宮島竜治
音楽 富貴晴美
主題歌 浮 安田章大
キャスト
安田章大(日向大貴 兄)髙田幸季(幼少期)
のん(日向希 妹)武藤凪(幼少期)
伊島空(田澤雅也 希の恋人)
高山トモヒロ(日向義孝 父)
谷村美月(日向咲子 母)
福田転球(吉川 先生)
芦川誠(須賀峰雄 同僚)
早織(安藤靖子 少女の母)
河野咲良(安藤紗奈 少女)
神野三鈴(田澤芳子)
菅原大吉(田澤茂一)
2026年・118分・G・日本 東映
2026・09・16・no179・キノシネマ神戸国際no74



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最終更新日  2026.09.20 11:22:35
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