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ブラウン神父の童心 創元推理文庫著者/訳者名 : G・K・チェスタトン/著 中村保男/訳 出版社名 : 東京創元社 (ISBN:4-488-11001-0) 発行年月 : 1992年00月 価格 : 693円(税込)<本の内容> 奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモア、独特の逆説と警句、全五冊におよぶ色彩ゆたかなブラウン神父譚は、シャーロック・ホームズものと双璧をなす短編推理小説の宝庫で、作者チェスタトンのトリック創案率は古今随一だ。まんまるい顔、不格好で小柄なからだ、大きな黒い帽子とこうもり傘の神父探偵の推理は常に読者の意表をつく。 <感想> ミステリ初心者にとって至福なのは、これから読むべきミステリの名作が山ほどあることだ。 というわけで「古典」ブラウン神父シリーズをようやく読んでみた。(「30越してからブラウン神父」というのもいささか恥ずかしいが)。 話の構成や展開はさすがに豊富で面白い。短編のお手本のようなシリーズ。「童心」では、「奇妙な足音」「見えない男」が秀逸。 ただ翻訳がどうも古くさく、読みづらいことこのうえない。個人的に翻訳ものが苦手なので「そういうのは自分だけなのかな~?」とも思うけど。 考えてみれば、高校生の頃に、「これは面白い」と言われてクリスティの「アクロイド殺し」を読んで以来、翻訳ものというのは読んでいなかったのだ。エラリークイーンも途中で挫折・・・(確か「ローマ帽子の謎」だったか) 自分の「読み」が足りないのか、翻訳者が悪いのか。名作ミステリは手塚治虫あたりが漫画化しててくれるとありがたかったのだが・・・。 この「翻訳」という作業は一度なされたら、何度もやったりするものではないんだろうか? 願望としては20年に一度くらいは「再翻訳」してほしいもんだが。日本語も変わるし。 少なくとももう少し読みやすいシロモノにはなると思うんだがな~。
2006.02.24
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退職刑事 1 創元推理文庫著者/訳者名 : 都筑道夫/著 出版社名 : 東京創元社 (ISBN:4-488-43402-9) 発行年月 : 2002年09月 価格 : 630円(税込) <本の内容> かつては硬骨の刑事、今や恍惚の境に入りかけた父親に、現職刑事の息子が捜査中の事件を語ると、父親はたちまち真相を引き出す。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第一集。収録作品 写真うつりのよい女/妻妾同居/狂い小町/ジャケット背広スーツ/昨日の敵/理想的犯人像/壜づめの密室<感想> たまたま見かけたブログに「一番好きな作家は都筑道夫」というフレーズがあって読んでみた作品。 恥ずかしながら都筑道夫という作家を全く知らずにいたのだが、「こんな作家もいたのか」という感想を持った。 「安楽椅子探偵」(アームチェア・ディテクティブ、Armchair-Detectiveとは、ミステリの分野で用いられる呼称で、もともとは安楽椅子に腰をおろしたままで、人から事件に関する話を聞き、それに基づいた推理で事件の謎を解く探偵のことをいう)というジャンルはなかなか興味をそそるものがあり、国産でもこういう作品があったのか~と再発見。 退職した刑事の父と現職刑事の息子の会話のみで繰り広げられるストーリー。不可解な事件を、いろんな角度から推理する老父の発想が面白い。 事件はリアルな犯罪さながらの下世話なネタが多いのだが、「父と息子の会話」で話が展開するため、読後感は上品な感じに仕上がる。(ただ、事件がホントに下世話なので、「こんな会話をする親子がホントにいるのか?」という違うギモンもあるが。まあだから「刑事」という設定なんだろうが) 「安楽椅子探偵」の面白さはロジックのみで話が展開し、解決するというところにあるのだが、ややもすれば作者の独りよがり的な展開になることもあり、難しいところではある。 「おいおい、人の話だけでそこまでわかるか?普通」みたいな。 ただこういう作品を連発するのは相当難しいであろうことはわかる。こういう作品は小説雑誌かなにかで、月イチくらいで読むのが良いのかもしれない。 文庫でまとめてガーッと読むにはややもったいない本。 文庫カバーイラストがポップでシャレた仕上がりになっているのも○。
2006.02.23
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ゼロの焦点 新潮文庫著者/訳者名 : 松本清張/著 出版社名 : 新潮社 (ISBN:4-10-110916-8) 発行年月 : 1988年01月 価格 : 620円(税込)<本の内容> 新婚一週間で失踪した夫の行方を求めて、北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子がまき込まれた連続殺人! 『点と線』と並ぶ代表作品。 <感想> 中高校生の頃の話だが「社会派推理小説」というものに憧れた時代があった。ちょうどパソコン(当時はマイコンともいったが)ゲームの「アドベンチャーゲーム」というものが隆盛を極めた頃だった。後に「ドラゴンクエスト」で一世を風靡する堀井雄二が作った三部作「軽井沢誘拐案内」「ポートピア連続殺人事件」「オホーツクに消ゆ」は「社会派」という意味で、ちょっと背伸びしたい年頃の男子に大ヒットしたものだ。同じ感じで「軽い社会派」の赤川次郎なんかもよく読んだ気がする。 「社会派推理小説の重鎮」松本清張という名前はもちろん昔から知っていたが、恥ずかしながら読んでみたのは最近の話で、「砂の器」に続いて読んでみたのが本作品。 「旅情」「サスペンス」「もつれる人間関係」と今で言う2時間ドラマの要素がてんこもりなのだが、その原型となったのが本作「ゼロの焦点」だという。 読んでみてなるほど「これは原型である」と思った。証拠品である2枚の写真を片手に、北陸金沢をさまよう新妻。次々と明らかになる事実。登場人物の思わぬ殺人。謎が謎を呼ぶ展開。そして犯罪の背景にあった社会的事件とは・・・。 2時間ドラマの原型であることもさながら、昔ハマったアドベンチャーゲームの原型がここにあったのだ。証拠品を関係者に見せながら証言をとり、行ける場所が徐々に増え、思わぬ人が意外なことを言い出したりする展開。 宮部みゆきの「火車」を読んだときも「こりゃー昔のアドベンチャーゲームみたいだなー」なんて思ったけど、さらに原型は松本清張なのであった。 それにしてもこの「ゼロの焦点」は面白い。最後までぐいぐい読者を引っ張る語り口のうまさは絶妙だ。松本清張とか横溝正史とか、終戦直後ころの時代を描いた、いわゆる「ミステリの古典」と呼ばれるものが、意外と読みやすいのはやはり名作ということなのか。 「ゼロ~」の舞台となる昭和30年代は確かに遠い時代となってしまったのだが、細かな描写や言葉づかい、出てくる小道具などに「古き良き日本」を感じさせ、独特の良い味を出していると思う。 新幹線も携帯電話もパソコンもなかった時代だが、そこに生きた人達は現代よりももっと品があったのではないかという気がする。 少なくとも「ゼロの焦点」を読むかぎりそんな気がしてくるのだ。
2006.02.12
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斜め屋敷の犯罪 講談社文庫著者/訳者名 : 島田荘司/〔著〕 出版社名 : 講談社 (ISBN:4-06-185189-6) 発行年月 : 1992年07月 <感想> 正月に「古畑任三郎」を見たからというわけではないのだが、今ミステリーがマイブームとなっている。特に「本格物」というジャンルが読みたくなって読んだのがこの本。「占星術殺人事件」と並び表される島田荘司の初期代表作とあって、前評判はなかなかだったのだが、読んでみて「驚愕」の一言だった・・・。 推理小説は皆トリックのための物語であるというのは確かにそうなんだろうが、ここまで大胆に、ダイナミックにトリックのためのストーリーを考えた作者はスゴイ。 なんというか読者を「ズバッ」と一刀両断するようなトリックなんだな。「うわ~やられた!」という感じ。「リアリティがない」という批判もあるようだが、このトリックの前にはリアリティなんて必要ない。多少、社会的背景のある動機すら無くてもいいくらいだ。 ミステリ好きにはもちろん、「あっ」と驚きたい人向けの一冊。 蛇足だが、この「斜め屋敷」の主は「ハマーディーゼル」という農機具会社の社長である。この「農機具会社」が絶対謎解きに関係あると思ってたら全然関係ないのであった・・・。 なぜ作者は「農機具会社」にした?謎だ。(笑)
2006.02.08
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