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3月の読了本は7冊(6作品)だけでした。相変わらずペースが上がりません。このままだと年間100冊にも届かないですね。 3/3 森見登美彦 『夜は短し歩けよ乙女』 角川書店 3/4 土橋真二郎 『扉の外』 電撃文庫 3/12 貫井徳郎 『ミハスの落日』 新潮社 3/18 辻村深月 『スロウハイツの神様(上下)』 講談社ノベルス 3/20 蒼井上鷹 『九杯目には早すぎる』 フタバノベルス 3/29 篠田真由美 『王国は星空の下 北斗学園七不思議1』 理論社ミステリーYA!
2007.03.31
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深い森に囲まれた北斗学園。学園に伝わる七不思議を解明しようと立ち上がったのは、アキ、ハル、タモツという新聞部の三人組だった。だが、夜中に寮を抜け出した彼らは、学園の森のなかで首を吊っている男を見てしまう。彼らの謎解きを邪魔するのはいったい誰なのか・・・ 「起爆剤としてのミステリー」を合言葉とする若者向けミステリシリーズ「理論社ミステリーYA!」の第1弾です。 どうしてもこのシリーズのことを考えると、同傾向のシリーズである講談社「ミステリーランド」と比較してしまいます。あちらの合言葉は「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」であり、僕自身3冊ほど読んだけれど、大人も子どもも楽しめる作品になっています。むしろ大人よりかと思わせるものもあるけれど、『小学5・6年生が「友達にすすめたい本」として選ぶ《うつのみやこども賞》4年連続受賞!!』とHPに書いてあるので大丈夫でしょう。きっと、「YA!」も似たようなところを狙っているでしょう。 さて、肝心の『王国は星空の下』ですが、大人の目から見るといささか期待はずれでした。僕の中では篠田真由美=本格ミステリ作家、というイメージがあり、もっとバリバリの機械トリックとか出てくること想像していたのですが、学園内探検と殺人鬼との対決で終わってしまい拍子抜けでした、篠田さんがこういう作品を書くとは予想していなかったのです。 たとえイメージと違っていても、こういう作品ならドキドキ、ワクワクさせてくれればいいのですが、正直なところそういった興奮にも乏しく、僕としてはただストーリーを追うだけというか・・・ もともとこの作品は、サブタイトルとして「北斗学園七不思議1」とつけられているようにシリーズ化を前提として書かれているようです。それだけに第1巻として人物や状況の説明にある程度の分量を割く必要があり、結果として楽しく読み進めることを阻害している気がします。 また、クライマックスで視点が変わるのはどうしたものかと。 ただし、これらはあくまで大人としての感想です。「YA!」の対象年齢の子どもが読んだらどんな感想を持つのでしょうか。案外好評なのかもしれませんね。 とりあえず、第2巻で七不思議がどうやって解明されていくのか、ちょっと楽しみにしています。あの旧図書館がどうなるのかも気になるし。2007年3月29日読了
2007.03.30
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第26回小説推理新人賞受賞作「キリング・タイム」、第58回日本推理作家協会賞・短編部門候補作「大松鮨の奇妙な客」を収録した蒼井上鷹デビュー作。5作の短編に4作のショートショートが挟まれるような構成です。●「大松鮨の奇妙な客」 尾行していると、男は寿司屋で茶碗蒸しに寿司を加えてかき混ぜ、寿司屋を追い出された・・・「どうしてかき混ぜたのか」という部分が解き明かされても「どうして茶碗蒸しだったのか」という部分がそのまま残ってしまいます。●「私はこうしてデビューした」 作家志望の相尾がネットで作品を発表するとファンレターが・・・この捻り具合はなかなかおもしろく、サイコがかった展開がスリリングでした。●「タン・バタン!」 行きつけのバーであった男。会話が合わずイライラするがどうも親しまれてしまって・・・男のイライラがよく伝わってきて、読んでいてイライラしてしまう、ということは成功なのかな。●「見えない線」 バーの常連のあの人は幸せにならなければいけない・・・オチの持つ切なさがよかった作品。その辺りがブラック一辺倒の作品と違うところ。意味深なタイトルともきれいにつながっています。●「キリング・タイム」 偶然出会った上司に飲みに連れて行かれるが、彼は「最近誰かに狙われている」という・・・悪くはないけれど、やや無理やりな感じがします。 5作の短編はいずれも一捻りに加えてもう一捻り? といった具合の結末を迎え、その持って行き方はなかなかのもの。それは十分評価に値するのでしょうが、正直なところ物足りなさが残りました。短編は5作とも酒のイメージが強く、しかもブラックで後味が悪い点も共通しています。おまけにいずれの作品も男と女が事件に絡む殺人事件で・・・と、どれを読んでも同じようなイメージを持ってしまって、飽きてしまいました。初出で個々に作品を読む分にはそういう事もないのが当然ですが、短編集としてまとまってしまっているが故に、不満として残ってしまうのです。 ノンシリーズの短編集にするならばバラエティに富んだものの方がよかったでしょうし、同じ傾向のものならばいっそシリーズものにして端役の登場人物や舞台を統一するとかした方がよかったのではないでしょうか。作品自体は悪くないでしょうから、この構成上の問題が残念です。 とりあえず、僕は今回に限ってはちょっと合わなかったですね。収録作:「大松鮨の奇妙な客」「においます?」「私はこうしてデビューした」「清潔で明るい食卓」「タン・バタン!」「最後のメッセージ」「見えない線」「九杯目には早すぎる」「キリング・タイム」2007年3月20日読了
2007.03.22
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赤羽環がオーナーのアパート「スロウハイツ」。かつて旅館だったというこのアパートでは、脚本家の環がクリエイターの卵である友人たちを集め、共同生活を送っていた。中でも環が一目置くチヨダ・コーキは、10年前に起きた彼の小説を模倣した猟奇的な大量殺人事件によるショックから立ち直り、再びの人気作家として活躍していた。しかし、穏やかな共同生活を揺るがす事態がやってくる。コーキのファンを自称するロリータファッションの美少女がやってきたのだ。 正直、いい本を読んだと思います。 辻村版「トキワ荘」とも言うべき「スロウハイツ」。住人それぞれの物語が時間軸もまちまちに描かれ、読んでいる最中には取り留めもないような印象を覚えることもあります。 しかし、それらのすべては最終章のために書かれたのです。「二十代の千代田光輝は死にたかった」というこのひとつの章に寄与するためだけに存在しているのです。 とにかく伏線の回収力が抜群なのです。本来こういうミステリ的な読み方をすべき作品ではないかもしれないけれど、様々なエピソードが回収される様子がとても心地よく、そしてうれしいのです。作品の構造としては複雑ではなくむしろシンプルなので、よりわかりやすく、しかも加速を続けながら読むことができます。ページを繰る手が止まらないというのはこういうことなんでしょう。 内容は全く異なるのですが、若竹さんの『ぼくのミステリな日常』を思い出しました。あの連作短編集の最後でそれまでのすべての短編が貫かれるような感覚が甦ります。この『スロウハイツの神様』も、各章が短編とまではいかないまでも各登場人物ごとの物語という趣きで、最後に真実が明かされ表と裏が符合するのです。読んでいていよいよミステリから離れるのかとも思いましたが、僕にとってはこれは間違いなく広義のミステリです。 また、伏線の回収云々だけでなくキーワードの使い方もなかなか巧いですね。エピソードに出てきた言葉の1つに過ぎないものが多くの伏線に意味を持たせ、エピローグでは最後を閉める切り札として効いてくるのです。最終章で驚きと感動を与え、その上さらにエピローグでしっかりと物語にけりをつける。やってくれます。 ちなみに『ぼくのメジャースプーン』と同様に、この作品も旧作とリンク。『凍りのくじら』のあの人が登場します。こういうの、ちょっとうれしいですね。2007年3月18日読了
2007.03.20
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重厚な長編が多い貫井さんの新作は、小説新潮を中心に掲載された短編集です。 読んでみて意外だったことが2つ。1.海外を舞台とした短編集だということはわかっていたけれど、登場人物も現地の人。当然といえば当然だけれど、日本人が中心だと思い込んでいました。2.実は既読だった作品があったこと。普段文芸誌はパラパラめくる程度で小説は読みません。だからすべて未読だと思っていたのですが。ところが表題作は・・・ ということで、読んでみるとなかなかバラエティに富んだ作品集でした。●「ミハスの落日」 既読だった表題作は『大密室』に収録。読んでいたわけですが、真相にたどり着くあたりまですっかり忘れていました。逆に言えば、唾棄すべき真相が生々しく忘れられない作品。ただし密室トリックはイマイチか。●「ストックホルムの埋み火」 いかにもといった風のサスペンス、しかしとんでもないところから読者の世界を反転させてくれます。最後の一文はわかる人だけに贈られた遊び心溢れるもの、なのですね。さてはこれのためにストックホルムが舞台なのか。●「サンフランシスコの深い闇」 コメディタッチの人物造形なのに、隠されているものはなかなかに深く、そして苦い。同じキャラクターを使った作品が『光と影の誘惑』に収録された「二十四羽の目撃者」だということなので、早く『光と影の誘惑』を探し出さなければ(本棚のどこかにあるはず)。●「ジャカルタの黎明」 これはちょっとした驚きでした。ミステリでこういう動機があっても説明がつけば問題ないと思うけれど、現実だったら取り合ってもらえない気がします。●「カイロの残照」 伏線が若干わかりやすい気もするのですが、世界が反転するインパクトは大きい作品。人の気持ちなんて常にすれ違い続けるものなのかもしれない。 いずれも派手な作品ではないのですが、粒が揃った作品集となっています。貫井さんのうまさが光っていて、限られた紙幅の中に社会の深い闇だとか人間の暗い陰といったものを折り込み、鮮やかな切れ味で目の前の世界が反転あるいはグニャリと歪むような感覚を味わうことができます。 各編のタイトルにあるとおり、それぞれ別個の都市が舞台なのですが、現地の雰囲気がよく伝わってきます。それだけでなく、ほとんどの作品が日本を舞台にはできない、あるいは日本では扱いにくい設定になっているようです。貫井さん自身がすべて現地を訪れているというだけに、その労苦が活かされていると言うべきでしょうか。何せ短編5編に10年近くを要した作品集ですから。完成度が高く、安心して読むことができるオススメの短編集です。収録作:「ミハスの落日」「ストックホルムの埋み火」「サンフランシスコの深い闇」「ジャカルタの黎明」「カイロの残照」2007年3月12日読了
2007.03.13
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あまり花粉症がひどいので、土曜日(10日)に耳鼻科にかかりました。人気があるのかシーズン的なものなのか、昼前に行くと待合室に入りきれないほどの人・ひと・ヒト。2時間ほど待たされると言うので一旦外出。 ところが、自宅で昼食をとり、待たされることを覚悟して早めに耳鼻科に戻ると・・・待合室には誰もいない。何故? あの人だかりはどこへ? 待合室で待つこともなく診察。あっという間に終わってしまいました。なんだかあっけないですね。 そうそう、最近鼻づまりがひどくて苦しんでいたのですが、市販の薬は飲みつづけると副作用的に鼻づまりがひどくなるそうです。
2007.03.13
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さて、元日に宣言したとおり毎日分更新(決して毎日更新ではない。だって数日分まとめて更新してたもん)をやめたshiba_motoなのですが、そうしたらすっかり本のことでしか更新しなくなってしまいました。 こんなに更新しなくなるとは思ってなかったのですが、日記記入率がどんどん下がっていくのは気持ちのいいことじゃない。 競馬予想もしなくなったから、当然かもしれないですけどねぇ。 そんなshiba_motoは今どうしているのかと言うと・・・苦しんでいます。花粉症で。 今年の花粉症はとにかく早い時期から来ました。天気予報で「きょうの花粉の飛び散る量は・・・」なんて言葉が聞かれたらもうあっという間ですよ。1ヶ月以上経ちますか。 おかげで読書量もちょっと落ちてます。調子悪いと読む気も失せるし。月10冊はちょっと厳しそう。 競馬は相変わらずはずしまくっています。これだけ本命党なのに、どうしてはずれるのか不思議なくらい。クラシックは牝馬のほうがおもしろそうなので楽しみです。
2007.03.07
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目を覚ますと、そこは見たことのない空間だった。修学旅行に向かっていたはずなのに。モニター画面では、ソフィアと名乗る人工知能が2年4組の面々に支配と庇護の事実とこの空間でのルールを告げた。動揺するクラスメイトたち。だが、紀之はいち早く腕輪をはずして、ソフィアの支配と庇護を拒否した。宇宙だといわれるこの空間の外はどうなっているのか。ルールの下で生き延びることはできるのか。 戦略シミュレーションゲームをモチーフにしたと思われる第13回電撃小説大賞受賞作。 ネット界隈ではどうやら評価が真っ二つに分かれているようなのですが、どうなのでしょうか。僕はとても楽しく読みました。 スペード、ハート、ダイヤ、クラブの4つが用いられた戦略的な要素もあり、それはそれで楽しいのですが、この作品の本質は危機状態に陥ったときの人間の行動と、群と個の人間関係にあるのではないかと思うのです。すなわち各色のオピニオンリーダ-(たち?)の統率方法の比較と、その他大勢のとった行動、及び群の中に飛び込む異分子の存在について。読み出したときには戦略的な面を期待していただけに少し違和感を覚えたのですが、非常に興味深い小説であったといえます。 また、ラストシーンについては投げっぱなしで拍子抜けの感は否めないのですが、5月には『扉の外 II』が刊行されるということなので、残された荷物はそれに期待しようかと。もっとも、『もしも人工知能が世界を支配していた場合のシミュレーションケース1』というのが原題だったそうなので、『扉の外 II』が『~2』だとすると全く違う内容なのかも。2007年3月4日読了
2007.03.06
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後輩である「黒髪の乙女」に心惹かれてしまった私は、夜の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭と彼女の視界に入ることのみ努力してきた。半ばストーカーである。しかし、彼女の言葉は「あ!先輩、奇遇ですねぇ!」・・・私と黒髪の乙女を待ち受けるのは、奇々怪々な面々が繰り広げる珍事件の数々。京都の町を縦横無尽に駆け回る純情ラブストーリー。 全編ご都合主義で、「おもしろいでしょ、おかしいでしょ」という物語。萌えてくださいと言わんがばかりの黒髪の乙女。まるで作者の手のひらに乗せられてしまったかのよう。 オモチロイオモチロイオモチロイ。 ここで僕がいろいろ書いたことを読むよりもまずご一読あれ、と言いたいところなのですが、そういう訳にはいかないので。 この作品の素晴らしさの1つは、圧倒的なパワーでしょう。ハチャメチャな人物たちが起こすハチャメチャな出来事。李白さんとの飲み比べや古本市での火鍋、あるいは韋駄天コタツや偏屈王といった数々の出来事のヘンテコな力強さ。思い出したのは高橋留美子さんの漫画『うる星やつら』。あのパワフルさがここに小説として甦ったかのよう。そういえば『うる星やつら』は鬼ごっこの話。追いかけると言う点では共通していると言えなくもないですね。強引なこじつけですけど。 それから、語り手のスイッチのタイミングが素晴らしい。ある程度の間隔を置いて黒髪の乙女と先輩(私)の間で語り手が入れ替わるのですが、出会っていないはずの二人がうまいこと後を引き継いで・・・というのは小説だから当然ですが、その人の一人称でなければうまく話が進まないところでスイッチしているようです。また、その導入部も珍妙でちょっとおもしろいのです。 という事で、オモチロイ物語だったのです。もちろん、独特の言い回しは健在。「恥を知れ!しかるのち死ね!」なんてセリフから、「偽電気ブラン」「おともだちパンチ」「ナカメ作戦」「詭弁踊り」「パンツ総番長」などなど。歯科衛生士の名前が羽貫さんってのはどうかと思うけれど、まあそれはそれ、これはこれってことで。 ともかく、オモチロイのでたくさんの人に読んでほしいのです。 なむなむ! この本が「本屋大賞」に選ばれることを祈願せずにはいられない気分なのです。 なむなむ! ところで、「二足歩行ロボットのステップ」ってどんなんだろう?2007年3月3日読了
2007.03.06
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