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2019.09.23
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第35話「女官の野望」

第5皇子・永琪(エイキ)は嫻貴妃(カンキヒ)・烏拉那拉(ウラナラ)如懿(ニョイ)と愉妃(ユヒ)・珂里葉特(ケリエテ)海蘭(ハイラン)、2人の母に愛され、賢く活発な男の子に育っていた。
一方、宿願を叶えて嫡子を産んだ皇后・富察(フチャ)琅嬅(ロウカ)だったが、第7皇子・永琮(エイソウ)は病弱で、満一月の頃から母乳に薬を混ぜて与えているという。
生後3ヶ月になっても身体が大きくなる様子もなく、夏だというのに2度も風邪を引いていた。
侍医・斉汝(セイジョ)を頼るしかない琅嬅と富察夫人だが、早産が原因で病弱な王子は10歳まで予断を許さない状態だと宣告されてしまう。
その上、産後の肥立ちが悪い琅嬅は再び懐妊できる可能性がなかった。

斉汝は養心殿で皇帝に謁見した。
皇后は病弱な第7皇子と後宮の諸事により、心労で健康をひどく損なっているという。

乾隆帝(ケンリュウテイ)・弘暦(コウレキ)は皇后にとって重い負担となると懸念し、代役を立てることにした。

その夜、弘暦は如懿と2人で星空を見上げながら、皇后の代わりに差配役を任せたいと頼んだ。
如懿は純貴妃(ジュンキヒ)・蘇緑筠(ソリョクイン)に依頼して欲しいと辞退したが、弘暦は純貴妃には判断力が欠けるため何の助力も得られないと認めない。
すると実はすでに褒美があると言って化粧箱を渡した。
中には七夕の祝いに真珠で作らせた美しい薔薇のかんざしが入っている。
「皇后は仏手柑(ブッシュカン)の花、純貴妃には紫陽花
 それに嘉妃(カヒ)、愉妃、舒嬪(ジョヒン)皆に1つずつ贈った
 だが薔薇はそなただけだ、そなたは特別だからな、大切に想う証だ」
弘暦は如懿の髪に挿してやると、その手を握りしめた。
「如懿よ、朕のそばから離れないでくれ…」


中元の朝は見事な快晴だった。

「中元節は霊が戻る日よ、死者の霊は湿った場所を好むわ…」
「驚かせないでよ~」
侍女たちは結局、灯籠流しをあきらめた。
そんな嵐の夜、金玉妍(キンギョクケン)のお産が始まる。
侍女・麗心(レイシン)は長春(チョウシュン)宮に駆けつけ難産だと訴えたが、琅嬅は泣き止まない第7皇子に掛り切り、産婆と侍医に頼めと追い返してしまう。


侍女の桜児(オウジ)こと衛嬿婉(エイエンエン)は物陰に身をひそめ、もっと苦しめと呪いをかける。
すると侍女・貞淑(テイシュク)に呼びつけられ、この大雨の中、皇帝を呼んで来いと命じられた。

衛嬿婉はびしょ濡れになって養心殿に到着し、事情を説明した。
李玉(リギョク)は高斌(コウヒン)が謁見中のため、終わったら皇帝に知らせると約束する。
「ずぶ濡れだな、進忠(シンチュウ)?桜児を送ってやれ」
「はい…」
進忠は美しく哀れな桜児に目をつけた。

進忠はひと目見ただけで桜児が虐められていると分かった。
この大雨なのに使い走りを命じられ、腕にはあざがある。
そこで道すがら、一生を女官で終えるには惜しい顔立ちだと褒めた。
「王欽(オウキン)の一件以来、女官と太監は通婚できぬ、だがひそかにむつみ合う者も多い」
驚いた嬿婉は進忠の傘から逃げるように飛び出したが、進忠は思わぬ提案を持ちかけた。
「私の上役・李玉は嫻貴妃の力で出世した…桜児、その美貌を使って賭けに出ぬか?
 お膳立てをしてやるから皇上の寵愛を得るが良い、失敗したら私の女になれ
 誰からもいじめられぬ、どうだ?」
嬿婉はふと立ち止まると、その場にひざまずいて教えを請うた。

金玉妍は難産の末、第8皇子・永璇(エイセン)を産んだ。
しかし誕生祝いは規定通り、名前を決めたのも内閣と、全てにおいて嫡子と差をつけられ不満を募らせる。
「永璇の″璇″の意味は美しい石よ?玉ですらない!皇上ったらうちの子に会いにも来ないっ!」
「まったくです、″霊が戻る中元節に生まれた8阿哥は不吉な子だ″と皆が噂を…」
「黙りなさいっ!」
麗心はうっかり口を滑らせ主人の逆鱗に触れてしまう。
金玉妍はその怒りを桜児に向けたが、嬿婉にとってもはやそれが原動力となった。

中秋節の夜、弘暦は第8皇子の満一月の祝いに啓祥宮を訪ねた。
ようやく機嫌を直した金玉妍だったが、そんなある日、皇子を連れて長春宮へ行く途中、御花園でばったり如懿と出くわす。
そこで金玉妍は如懿への当てつけに早速、桜児を呼びつけ、まともに扇ぐこともできないのかと頰をつねった。
しかしちょうど長春宮に向かう皇帝の一行が通りかかる。
貞淑は慌てて桜児を後ろに隠し、皇帝の目に留まらないよう侍女たちが壁になった。
その時、嬿婉はわざと声を発する…「ァィョ~」

進忠はすかさず女官が叩かれたようだと進言、日頃から目下の者に寛容にと言い聞かせてきた弘暦はその女官を呼んだ。

弘暦は嬿婉がどこか如懿に似ていると顔をほころばせた。
しかし女官が本名は衛嬿婉だが嘉妃から″桜児″と言う名をもらったと聞いて顔色が一変する。
さらに嬿婉の頰はつねられて真っ赤になり、腕はあざだらけだった。
慌てた金玉妍は謝罪し、懐妊中で苛立っていたと言い訳したが、皇帝はごまかされない。
「無礼者!嫻貴妃の幼名は青桜だと知っておろう?!
 …これより衛嬿婉と名を戻せ、啓祥宮にも戻るな!」
そこで如懿はこの機会にすでに22歳だという嬿婉を家に帰し、侍衛と結婚を認めてはどうかと提案した。
ところが弘暦は嬿婉が気に入ったので御前女官としたいという。
如懿は凌雲徹(リョウウンテツ)との約束を果たすため嬿婉本人に選ばせようと言ったが、予想外の答えが待っていた。
嬿婉は少し考えていたが踏ん切りがついたのか、皇帝に仕えるという。
喜んだ弘暦は進忠に嬿婉の面倒を任せ、金玉妍にすぐ寝宮に帰って反省するよう命じて長春宮へ向かった。
恩人である凌雲徹が想い女と結ばれるよう願っていた如懿…。
結局、その厚意は嬿婉の野望を前に無となってしまう。
如懿は惢心(ズイシン)に今日の一件を凌雲徹に伝えるよう頼んだが、凌雲徹がひどく落ち込むことは分かっていた。

進忠の思惑通り、衛嬿婉はまんまと養心殿に入った。
しかし道が開けるのは嬿婉が皇帝の妃になってからの話…。
進忠は嬿婉に皇帝の心をつかむよう指示し、早速、着替えさせて皇帝の書斎に送り込んだ。
「これより先はお前自身の力で切り開け…」

衛嬿婉は皇帝に平伏し、助けてもらった感謝を伝えた。
弘暦は嬿婉を特別扱いしたわけではなく、嘉妃が嫻貴妃の幼名と同じ字を与えて虐げたことに憤ったと教える。
すると嬿婉は第23話で皇帝と話したことがあると訴え、その時のことを叶えるためではなかったのかと戸惑った。
「思い出した、永璜(エイコウ)の侍女をしていた女官か」
「思い出してくださいましたか?
 皇上はあの時、もしかしたら私といつか″嬿婉と良時に及ぶこともあろう″と…」
弘暦は自分の言葉を誤解するなと否定し、今となってはそう言ったのかも定かではないとわざと冷たくする。
そこで嬿婉はおしゃべりが過ぎたと謝罪し、それより痩せたようなので衣を仕立て直さねばと言った。
「以前は四執(シシツ)庫で皇上の衣にお仕えしており、毎日、体つきを思い浮かべていました
 …私は皇上をお慕いして女官になりました
 遠くからでもお姿を拝見するだけで、心が温かくなりました
 今、陛下は目の前にいます…私の胸は燃え盛っています…」
弘暦はすっかり嬿婉に魅了され、衣を作り直したいので採寸してくれと手を広げる。
華奢な手で皇帝の胴回りを計り始める嬿婉…。
ちょうど皇帝を抱きしめる格好となった時、頃合いを見計らっていた進忠が差し入れを持って入ってきた。
「申し訳ございません!」
「ちょうど良い、勅命を伝えよ
 衛嬿婉を答応とする、永寿(エイジュ)宮と侍女2名を下賜し、夜伽を命じる」

その夜、衛答応となった衛嬿婉は馬車を断り、歩き慣れた道を妃として歩いておくことにした。
しかしその途中、石段に座り込んでいる凌雲徹に気づく。
嬿婉は侍女たちを先に行かせ、凌雲徹の元へ向かった。
「夜伽を務めるの…長くは話せない、言いたいことは何?」
「無理強いか?」
「いいえ」
「よりを戻したいと言ったよな?あの時の言葉は全部、嘘か?」
「違うわ、あの時はそれが唯一の逃げ道だった」
あの頃は嘉妃に虐げられ一刻も早く逃げ出したかったが、やはり自分を守れるのは自分だけだと気づいたという。
かつて父は内管領(ナイカンレイ)だったが、失脚して罰せられ、このままでは女官でいるしかない。
毎日、虐げられ蔑まれる、そんな日々はまっぴらだった。
すると凌雲徹は寵愛などいずれ尽きると釘を刺す。
全てを失ってから後悔しても遅いのだ。
しかしもはや何を言っても嬿婉には届かない…。
「四執庫にいた時は美しい着物を眺めるだけだった
 きれいに整えても袖に手も通せない、でも今はこの通りよ!
 夜伽の時は特別な馬車が迎えに来るの、でも私は歩いて向かう
 妃としての第一歩を自分の足で確かめたい、寵妃となるまでの道のりがどれほどかを…」

凌雲徹は吹っ切れたのか、ようやく立ち上がって選んだ道をしっかり歩めと言った。
「後悔しないよう祈っている…」
「あなたの邪魔がなければ私は栄華を極められる…ごめんなさい、雲徹哥哥」
「…衛答応、滅相もございません」
凌雲徹のわきまえた挨拶に嬿婉は言葉を失い、しばし動けずにいた。
ここから先に進んだらもう引き返せない。
その時、侍女が呼ぶ声が聞こえた。
嬿婉はついに決心し、過去に別れを告げる。
「さようなら…」
「衛答応、どうか息災で…」
凌雲徹は侍衛として拝跪し、衛答応を見送った。


衛嬿婉は決して振り返らなかった。
やがて養心殿に足を踏み入れると、もはや迷いなど感じられない。
その頃には凌雲徹のために流した涙もすっかり乾いていた。

つづく


(  ̄꒳ ̄)もう、男って…w
雲徹哥哥ったら、美人は真心より権力になびく…って読まなかったのかしら?





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最終更新日  2019.09.23 13:43:49
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